気温が下がると血圧があがる
断熱性能と健康の関わりを考える際に、まず知っておくべき事があります。それは、気温と血圧の関係です。10℃の温度低下によってどの程度血圧が上昇するかを、年代別に調査したグラフです。年齢によらず気温が下がれば血圧は上がっていますが、特に注目すべきは年齢が上がるにつれその影響がどんどん大きくなっている事です。70歳を超えると、10℃の温度低下で10以上も血圧が上がっています。統計的にも暑い夏より寒い冬に亡くなる方が多いと言われていますが、高齢になるほど、寒いという事自体で体に大きな負担がかかってしまうのです。
この血圧が高い状態が続いてしまうのは良くないのですが、血圧が大きく変動するというのも体には大きな負担となってしまいます。家の中には温度差があり、血圧に急激な変動を生じさせてしまう事を、ヒートショックと言います。聞いたことある方が多いと思います。暖かいリビングから寒いお風呂に入る時や、温かいお布団から寒いおトイレに行くときなどに大きな温度差がある場合、血圧に急激な変動を生じて、最悪の場合には死亡事故にも繋がるというお話です。ヒートショックの因となる家の中の温度差は、家全体の断熱性能が低いために起こります。断熱リフォームで断熱性能を上げて、家全体の室温低下を防ぐ事で、ヒートショックも改善する事が出来るという事です。
アレルギーと断熱性能の関係とは・・・
冬場は、乾燥していますが、ただ室温を上げるだけでは、湿度が下がってしまいます。湿度が低い「過乾燥」状態になると、ドライアイやアトピー性皮膚炎の悪化を招き、風邪やインフルエンザにもかかりやすくなってしまいます。健康のために最適な湿度は50~60%と言われていますので、加湿して整えようと思うと、今度はこれが新たな問題の入り口となってしまう場合があるのです。
暖房+加湿を行うと、窓などの断熱性の低い部分から「結露水」がどんどん発生してしまうためです。断熱性の一枚ガラスの窓で、朝起きた窓廻りがビッショリ濡れているなんて言う事はありませんか?例えば室内が気温20℃で湿度50%の時、一枚ガラスの窓は外気温が4℃を下回ると結露が発生します。
このように断熱性の低い家で快適な空間を作ろうとするほど、結露に悩まされることになってしまいます。なぜ結露が悪いのかというと、放っておくとカビが発生するからです。カビはアレルギーを引き起こすリスクが高く、人体には有害な物質です。この結露水が引き起こすカビの繁殖が、健康への被害に繋がってしまうのです。
更にカビが繁殖している場所にはダニも繁殖しやすくなります。近年ハウスダストやカビなどのアレルギー性疾患にかかるかたは増えていますが、このような住環境からくる悪影響と関係あることが、最近では様々な研究で明らかになってきています。
我が家の断熱性能は??
住宅の断熱性能は目安となる基準が法律で定められており、これまで改正を重ねるたびに基準が引き上げられてきたという歴史があります。つまり、建てられた年代によっておおよその断熱性能を推測する事が出来るのです。まずは、断熱基準を定めた法律の変遷です。
住宅の断熱性能は「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)によって1980年(昭和55年)に初めて基準が示されました。これにより、まずは床・壁・天井に断熱材を入れるという概念が生まれました。1992年(平成4年)の法改正では、断熱性能の強化だけではなく、家全体の隙間を塞ぐ気密という概念も新しく生まれました。そして1999年(平成11年)には断熱性能の強化、気密住宅を前提、計画換気や暖房設備などに関する規定も加わりました。その後にも一部改正などを重ねていますが、この平成11年基準は「次世代省エネ基準」とよばれ、現行の断熱性能の基準となっています。しかしながら、これらの断熱基準には達成の義務はありませんでした。つまり、皆さんの家が建てられた年代の基準の断熱性能が、皆さんの家に備わっているとは限らないという事です。しかし断熱性能が引き上げられてきたのも事実なのでそれぞれの時代の断熱性能の目安として、見ていきましょう。
下の図は、昭和55年基準を1とした場合の断熱性能の推移を表したものです。こうしてみると、55年基準から平成4年基準への変更時は大きく変わってない印象ですね。平成11年基準への変更時に数値が大幅に引き上げられたのが分かります。この平成11年基準が現行の断熱基準ですからまずはここまで性能を引き上げることが目標と言えます。
では、皆さんの家はどうかというと、昭和56年以降に建てられた家の90%以上は平成11年基準を満たさな水準となっています。それだけではなく、平成11年基準を更に上回る断熱性能の家に住むことで一層の健康改善が見られたとされています。11年基準であっても、実は窓がその他の部位に比較して弱点となっている場合があるのです。
室温20℃、湿度50%の時外気温が何度になると結露が発生するか・・・
下の図では4種類のガラスの性能を感覚的に分かり易いよう、「結露」が発生する温度で比較した図です。室内気温が20℃で湿度50%のとき、窓などのガラス表面が9.3℃を下回ると結露が発生します。つまり、湿度が20℃の時に外気温が何℃になるとガラスの表面が9.3℃になるのかという比較です。
①の一枚ガラスは外気温が4℃で結露を生じます。②のペアガラスならマイナス7度になるまで結露せず、更に③の遮熱ペアガラスではマイナス20℃になるまで、④の真空ペアガラスではマイナス45℃になるまで結露が生じません。ガラスの種類によって断熱性能に大きな違いがあることが分かりますよね。
窓の大きさによっては、②でのペアガラスでも基準をクリアさせることもできます。しかしサッシ(フレーム部分)に使われているアルミはガラスよりも熱を伝えやすく、断熱性能が低い材質です(一般的に断熱サッシと呼ばれるものには、熱を伝えにくい樹脂が使用されています)また②のペアガラスは③の遮熱ペアガラスや④の真空ペアガラスなどと比較すれば、断熱性能は大きく劣ります。このような場合平成11年基準をクリアしていても、窓に関しては決して「それで十分」といえ仕様ではないのです。
平成11年基準を満たす家でさえも、窓廻りを断熱リフォームする事で更に暮らしを改善できる可能性があるという事です。このように、断熱不足の建てた年代に関わらず皆さんが考える問題と言えます。
今からでも断熱性能は上げられる
まず断熱性能はどこにあるかというと、壁の中や床下、天井裏など室内と室外の境界部分の通常仕上げ材に隠れて見えない場所に入っています。という事は、新築と同じ仕様に作り直そうとすれば、仕上げ材を剥がしてまた元に戻すなどの工事も必要になり、断熱工事以外の余計な費用が掛かってしまいます。リフォームと言ってもいくらでもお金をかけられる訳ではありませんので、費用対効果も考えなければなりません。幸い、断熱性能は全部を完璧にしなければ性能を発揮できないという事ではなく、部分的な断熱補強工事でも、ある程度全体の性能を引き上げていくことは可能です。
記事内に記載されている金額は2021年01月29日時点での費用となります。
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