2023年の労働安全衛生規則の改正は、建設業界にとって画期的な変化をもたらしました。特に足場の使用に関しては、安全基準が大幅に見直され、2024年4月からは新しい規定が施行されます。…ということは、4月以降に新しい法に則って工事をしていない業者は、違法な業者となってしまうわけです。
本記事では、違法業者に依頼しないために見るべきポイントや、足場に関する法改正の内容、工事をお考えの方にとってどんな影響があるのかについて深掘りしていきます。
より安心できる業者選びのために、是非参考にしてみてください。
法改正に適用している業者を選びましょう!
屋根や外壁のリフォームなど、足場を必要とするような工事を依頼する際には、このような法改正に適用しているかどうかを確認することが重要です。業者がこれらの法改正を理解して守っているかという点を考慮に入れた上で業者選びを行うようにしましょう!
法改正に適用しているかどうかはどう判断する?
法改正を適切に理解し、それを自社の作業態勢に組み込んでいる業者は信頼できるということがおわかりいただけたかと思いますが…実際に法改正に適用しているかどうかはどのように判断すればいいのでしょうか?
☑ 法改正について提示しているか
☑ 見積もりに記載・説明があるか
この二つが特に重要なチェックポイントとなります。
法改正に適用できる業者は、現代の建設業界における安全基準に精通しており、作業員の安全とリフォーム工事の品質を重視していることがわかります。
また、法改正の要点を把握し、その内容をお客様に対して明確に提示ができるということは、法律遵守に対する深い理解を持っているという証拠ですので、より信頼できる業者であるといえます。
単に法的要件を満たすだけでなく、お客様への責任を果たし、信頼関係を築くことにも繋がるのです!
依頼を検討している業者のホームページや貰った書類に目を通したり、担当に直接聞いて確認してみましょう。信頼できる業者であれば、しっかりと答えてくれるはずです。
依頼前に確認するのが安心!業者選びのチェックポイント
法改正への適用を含め、以下の点をしっかりとチェックすることでより良い業者選びに繋がります。是非参考にしてみてください!
☑ 法改正への適用
特に、足場の安全に関する新しい規則(一側足場の使用制限、足場の点検者の指名義務化、点検記録の保持)を理解し遵守している業者を選ぶことが重要です。
適切な足場の設置と定期的な安全点検、専門知識を持った作業員による適切な作業が実施されているということは、教育が行き届いており安全意識があるという証拠です。
施工事例などといった実績や顧客のレビュー、口コミなどを確認すると良いでしょう。
安全で信頼できる業者選びがリフォーム工事の成功の鍵となるのです。
では、なぜ足場に関する法が改正されることとなったのでしょうか?
建設業界では足場からの墜落・転落事故が多発しており、これに対する効果的な対策が長年求められていました。
特に、一側足場はその構造上転落のリスクが高く、死亡事故の原因となっていることが多々ありました。労働災害の統計を見ると、建設業において墜落・転落事故は死亡災害の事故のうちの約40%を占めています。
2023年の労働安全衛生規則の改正は、建設業界における足場からの墜落・転落事故を減少させるために実施されることとなったのです。
この改正の背景には、墜落・転落事故の削減だけでなく、作業員の安全意識の向上や安全教育の強化も含まれています。安全な作業環境の確保は、労働者の生命と健康を守る上で非常に重要です。
また、この法改正は、建設業における安全対策の充実を通じて、業界全体の品質向上を目指しています。
法改正の主なポイントは以下の3つです。
① 一側足場の使用範囲の明確化
② 足場の点検者の指名を義務化
③ 指名した点検者の氏名の記録及び保存を義務化
■労働安全衛生規則(安衛則)より引用
第561条
事業者は、足場については、丈夫な構造のものでなければ、使用してはならない。
2024年4月1日から施行される法改正により、一側足場の使用範囲が大幅に制限されます。
新たな規定では、建築物外面からの幅が1メートル以上の場所では基本的に二側足場(本足場)の使用が義務付けられます。これにより、一側足場は、その使用が限定的になり、主に幅が1メートル未満の場所や、つり足場を使用する際、または障害物などにより本足場の設置が困難な場合に限定されることになりました。
本足場は作業床に手すりが設置されるため一側足場に比べて安全性が高くなります。
より多くの現場で本足場の使用が促されることで、今後の足場からの墜落・転落事故の減少へと繋がります。
一側足場とは?
一側足場(ひとかわあしば・いっそくあしば)は、狭小な場所や建築物と密接に関連する箇所で主に使用される足場の一種です。
その構造は、建築物の一側にのみ建地(支柱)を設置し、その上に作業板やブラケットを配置する形式です。この種類の足場は、限られたスペースでの作業や、通常の足場設置が困難な場所に適しており、設置が比較的容易であるという利点があります。
一方で、一側足場は構造上の安全性に課題を持ちます。
通常、手すりやその他の安全設備の設置が難しいため、墜落や転落のリスクが高まってしまうのです。実際に過去の労働災害の中には、一側足場からの墜落による事故が少なからず報告されています。
一側足場使用の制限とその影響
最も直接的な影響は、足場の設置にかかるコストと時間の増加です。本足場は一側足場に比べて部材が多く、設置にも時間がかかるため、工事のコストと工期に影響を及ぼすことが予想されます。
また、これまで一側足場を使用していた職人や作業員にとっては、新しい安全基準に沿った作業方法への適用が求められます。これに伴う研修や教育の必要性も高まるでしょう。
一方で、これらの変更は作業の安全性を大きく向上させ、作業員の健康と安全を守る上で大きなメリットをもたらしてくれます。
■労働安全衛生規則(安衛則)より引用
第567条
事業者は、足場(つり足場を除く。)における作業を行うときは、点検者を指名して、その日の作業を開始する前に、作業を行う箇所に設けた足場用墜落防止設備の取り外し及び脱落の有無について点検させ、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。
第567条第2項柱書
事業者は、強風、大雨、大雪等の悪天候若しくは中震以上の地震又は足場の組立て、一部解体若しくは変更の後において、足場における作業を行うときは、点検者を指名して、作業を開始する前に、次の事項について点検させ、異常を認めたときは、直ちに補修しなければならない。
点検者の指名義務化は、建設現場での日々の作業前や悪天候、地震などの特別な状況後の点検において、その責任を明確にすることを目的としています。
■労働安全衛生規則(安衛則)より引用
第567条第3項柱書
事業者は、前項の点検を行つたときは、次の事項を記録し、足場を使用する作業を行う仕事が終了するまでの間、これを保存しなければならない。
これにより、点検内容とともに点検者の氏名を記録し、保存することが要求されます。この措置は、点検者が自らの責任をより明確に認識し、責任感を持って点検を行うことを促進する目的があります。
点検記録は、万が一の事故発生時に重要な資料となり得ます。記録は足場の安全性を検証するための重要な証拠となり、事故調査や安全管理の改善に役立てられるのです。
足場の法改正が行われたことで、労働者が安全な環境で働けるようになり、同時に業界全体の安全意識が高まることが期待されています!
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