和風住宅は日本の気候に合った建築様式で建てられているため定期的に点検や補修をおこない、100年以上経った今でも残っている家屋も存在しています。その独特な街並みの美しさで海外の観光客を魅了してきました。
しかし明治維新以降の西洋文化の流入により日本人の生活や価値観は様変わりし、住宅と家づくりもその様相を変化させていくのです。これまで使われていたモルタルはサイディングやタイル、レンガ調の外壁へ置き換わり、瓦屋根はスレートや金属屋根へと変化していきました。ただ、日本の伝統的な様式の住宅も今なお多くの人々に愛され、伝統的な和風住宅の特徴を取り入れた「和モダン」という新しいスタイルの住宅も人気を得ています。
和風住宅、洋風住宅どちらにしても住み続ける中でメンテナンスというのは欠かせません。屋根の葺き替えや外壁の補修など適切にメンテナンスしてこそ長く住み続けられるのです。そこで今回は和風住宅の外壁塗装を行う際のポイントや失敗しないための注意点をご紹介していきたいと思います。
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和風住宅が今も愛される理由と洋風住宅との違い
住宅の多様化、様式の変化が進んだ現在であっても、和風住宅が良いと新築で和風住宅を建てたり古民家を再生させて住んだりするという方もいらっしゃいます。
和風住宅は木材や土から得られる素材を使い、調湿・調音・吸音機能にも優れるという特徴があります。和風住宅で感じられる木の香りや温もりが好きという方もいらっしゃるのではないでしょうか?洋風住宅が多い昨今、和風住宅に目を惹かれたことがある方もいらっしゃると思います。
では洋風住宅と和風住宅にはどのような違いがあるのでしょうか?外観は瓦屋根で中に入れば畳敷きだから和風?外壁がサイディングやタイルでフローリングの床だから洋風?実際のところ、現在の日本の住宅には様々な様式があるため和風か洋風かを判断する際にその見た目で判断している場合が多いです。
家の建て方にしても和風住宅の場合、木造軸組み、いわゆる在来工法で建てられますが洋風の場合、ツーバイフォーやRC,などいくつかの工法があります。しかし洋風でも在来工法で建てられる場合もあり、和風と洋風のはっきりとした境界線はありません。
和風住宅は雨や水に弱く、放っておけば腐食したり虫に喰われたり耐久性の低下が顕著になるという特徴もあります。そのため、日ごろから外壁塗装やメンテナンスを行っていかなければいけません。
和風住宅に多く使用されている建材があります
先ほど和風住宅と洋風住宅にはっきりとした境界線はないとご説明しました。そこでも説明した通り和風か洋風かを決めるのは見た目のイメージです。そこでここからは和風住宅の特徴的な部分ごとにメンテナンス方法をご紹介したいと思います。
1.瓦
和風住宅の象徴とも言えるのが瓦屋根ではないでしょうか?その証拠に和風住宅はほとんどが瓦屋根です。近年では耐震性の向上という観点から軽量屋根材へ葺き替える方もいらっしゃいます。
しかし和風住宅独特の瓦屋根が好きで使い続けるという方も多いです。そんな瓦屋根を支えているのが柱と壁なので定期的に外壁塗装を施すことで住宅の耐久性維持につながります。
最近では金属と瓦を組み合わせた屋根もあり、これにより屋根全体の軽量化を実現できます。金属と瓦の組み合わせは住宅に軽い印象を与えるので外壁には暗めの色を使うことでバランスがとれた和風住宅に見せることができます。
2.漆喰(しっくい)
和風住宅の外観の特徴として外壁に漆喰を使う点があります。漆喰の外壁にすることで格式と柔らかさを兼ね備えた住まいという印象を与えることができるのです。漆喰には二酸化炭素を吸収し強度を上げ、調湿機能や防水・防火性に優れるという特徴があります。一方で漆喰の外壁は汚れが付きやすく、ひび割れたり欠けたりしやすいので塗り替えが必要になる場合もあります。
塗装する際に一般的な塗料を使用すると数年で塗装の剥がれを起こしてしまう恐れがあるため漆喰のメンテナンスは漆喰の特徴をよく知る業者・職人にお願いした方が良いでしょう。定期的にメンテナンスを施せば新築同様の美しい外壁を維持できます。
3.モルタル
外壁をモルタルにしているという和風住宅もあります。モルタルの外壁は仕上げ方やモルタルを塗る職人によって違いが出るため、出来上がったお住まいには自分だけのものという特別感があります。
モルタル外壁のお住まいは防水性が低く、ひび割れも入りやすいですが、適切にメンテナンスを施すことで美しい外観を維持することが可能です。
4.化粧垂木(けしょうたるき)
一般的な住宅の軒天(のきてん)は小屋裏の垂木(たるき)や野地板を隠し、美しい外観にするために用いられます。
ただ、和風住宅を建てる際に外観の印象に重厚感が欲しいと考える方もいらっしゃいます。そうした際に、本来隠れるべき垂木を軒天の外側に配置することで木材を惜しみなく使って重厚感を演出することが可能です。
そう言った場合は垂木に合わせて木目調の軒天を使用することで重厚感が増してきます。化粧垂木(けしょうたるき)は軒天と併せて塗装可能です。軽い黒ずみ程度であれば灰汁洗い(あくあらい)で汚れを落とすだけでも十分見た目の美しさの維持することができます。
5.心持ち材(しんもちざい)
和風・洋風を問わず、玄関や庭には雨水を防ぐように突き出した屋根を設けていることがあります。そうした屋根を支える柱を洋風住宅の場合、耐久性の高いアルミを使用し和風住宅では木材を使用します。
和風住宅ではそこに心持ち材(しんもちざい)という太い柱を使用することが多く、これにより重厚感を演出することも可能です。心持ち材は外から見えにくい部分に「背割り」という切れ込みを入れています。これは木材が乾燥して割れないようにあらかじめ入れておくものです。
意味があって割っている部分に塗装をしてもいいものかと思われるかもしれませんが心持ち材への塗装は可能です。玄関の心持ち材の場合は塗装が剥がれる心配のない灰汁洗いで済ませる方も多くいらっしゃいます。
6.銅板
お寺や神社で多く見られますが和風住宅の特徴に銅板など銅でできた建材を使用することもあります。銅は瓦との相性も良く趣きを出したい方におすすめの建材です。
銅は加工性や耐久性に優れ塗装も必要ないためメンテナンス性の高い建材と言えるでしょう。しかし建材としては高額で施工業者が少ないという特徴もあります。メンテナンス性が高いと言っても腐食する恐れはあるため他の建材同様に点検が必要です。
●灰汁洗い
ここまで何度か「灰汁洗い」という言葉が出てきましたが、これは木材の黒ずみや汚れを洗うことで変色や汚れを抜いて元の木材の美しさを取り戻すメンテナンス方法です。寺社仏閣でも使用される手法ですが正しく行わないと中途半端に汚れが落ちるだけでかえって見た目が悪くなる場合もあります。そのため灰汁洗いの知識と経験のある業者・職人にお願いすることが重要です。
灰汁洗い中は作業過程でガスが発生するため作業中は作業者以外立ち入らないようにしましょう。
灰汁洗いで木に残った薬品を洗い落として保護材を塗って灰汁洗いは完了です。街の外壁塗装やさんでは塗装と同時に灰汁洗いも承っております。木材をできるだけ活かしたいという際はお気軽にご相談ください。
和風住宅最大の魅力は木材や漆喰など自然を感じさせる素材を使った外観でしょう。和風住宅が好きな多くの方は木材や漆喰などの建材が持つ特徴や見た目を活かした外壁塗装ができたらいいと考えると思います。そこでここからは和風住宅の外壁の塗装を行う際に、感じたことがあるであろうお悩みとその解決方法をご紹介していきます。
1.木材の持つ味わいや風合いを活かして外壁を塗装したい
和風住宅では破風板や鼻隠し、軒天や化粧垂木など内外を問わず目に見えるところに木材や木目調の建材を使用します。そこに通常の膜を作るタイプの塗料で塗装してしまうと塗膜で木材ならではの味わいや風合いを消すことになり和風住宅の趣きを活かすことができません。
木材の木目を活かす浸透型塗料
和風住宅の趣きを活かすべく木材の塗装には浸透型塗料を使用しましょう。浸透型塗料はその名の通り木材の中まで塗料が浸透し紫外線や雨といった外部からの劣化要因から木材を守ります。木材に浸透するため塗膜を形成しないので木目を活かして塗装する際に最適の塗料と言えるでしょう。ただし塗膜を形成する塗料に比べて耐水性で劣るため定期的な塗り直しが必要です。しかし塗膜の剥がれなども起きないため木材の美しさを損なうことはありません。
木目調の軒天はクリヤー塗装で風合いそのままに塗膜保護が可能
目調の軒天部分はクリヤー塗装を施すだけで木目調の風合いをそのままに塗膜による保護が可能です。ただ、軒天に汚損や腐食がある場合、張替えや増し張りが必要となります。
2.和風住宅を美しく仕上げる色はどれ?
和風住宅の外壁塗装を検討する際、外壁塗装をしたいけど色選びに失敗して和風住宅の趣きを損ねたくないと考え、無難な白やクリーム色などで仕上げると考える方も多いのではないでしょうか?しかし外壁塗装はお住まいのイメージを変える絶好の機会、無難だからという理由で色選びをしてしまうのはなんだかもったいないですよね?
和風住宅と相性の良い「和色」
そう言われても和風住宅に何色が合うのかわからないという方は多いでしょう。そんな方におすすめなのが「和色」です。例えば、ウグイス色や桜色、煉瓦色などはイメージしやすいのではないでしょうか?和色は通常の色に比べて彩度が低く、くすんだ色味が多いためどの色を選んでも派手になり過ぎません。そのため和風住宅と非常に相性のいい色です。
和色は7つの系統に分かれ、色の種類は400以上と多岐にわたるため皆さんの理想とする色もその中にあることでしょう。塗料の種類によっては色の表現に得意・不得意がありますので「こんな色を使用したい」という希望がございましたらお気軽にご相談ください。
3.塗装を行わない・出来ない箇所はあるの?
お住まいの外壁塗装を行う際に仮設足場を組み立てて行うのであれば全体的にメンテナンスを行いたいと思う方は多いでしょう。しかし和風住宅は建材の特性により塗装ができなかったり、塗装しない方が良いという部分もあります。
粘土を高温で焼いた陶器瓦・いぶし瓦
和風住宅で塗装しない方がいい部分で最も分かりやすいのは粘土を高温で焼いた陶器瓦やいぶし瓦です。和風住宅の象徴とも言える瓦ですが元々非常に耐久性が高く、塗装による保護も必要ありません。瓦の塗り替えに適した専用の塗料もありますが、将来的に塗膜の剥がれが起きるため、塗装しない方が無難です。
銅製の建材
先ほどご紹介した銅製の建材も塗装は不要です。銅は表面が酸化することでそれ以上の劣化を防止する被膜が形成されるため塗膜による保護が必要ないのです。こだわりがあって塗装する方もいらっしゃいますが、銅製建材はその変化を楽しむという趣もあるため瓦と同じくおすすめはしません。
ちなみに銅製建材でよく見られる緑がかった色は被膜が形成されている証で、真新しい銅製建材はオレンジに近い色合いをしています。
ヒノキなど耐水性も高く腐食しにくい木材
塗装が必要と思われがちな木材ですが、全ての木材に塗装が必要というわけではないのです。例えばお住まいや温泉宿などで人気の高いヒノキのお風呂などは木材をふんだんに使用していますが基本的に塗装はされていません。なぜならヒノキは耐水性が高く、腐食もしにくいので塗膜による保護が不要なのです。
もちろんヒノキに塗装を施すことは可能ですがかえってメンテナンスが面倒になるため、こういった木材にどうしても塗装したいという場合は浸透型塗料を中心に塗装した方がメンテナンスも手がかからないためおすすめです。
若者にも人気の和モダン・洋モダン住宅のご紹介
冒頭で和モダンも人気を得ていると説明しましたが、最近では洋風なお住まいでもほとんどの住宅に畳のスペースや和室が設けられています。また洋風住宅なのに和風に用いられる梁仕上げで開放感を出す住宅もあり、洋風住宅の中に和を感じられる住宅も多いです。
そのように最近のトレンドとして洋風、和風という垣根を越えて和モダン、洋モダンというスタイルの住宅も増えています。洋風でありながら和色を使用し、木製外壁材やサイディングを組み合わせて使用するなど住む人の好みに合わせた家が多いのも最近の家づくりの特徴と言えるでしょう。
ここからはそんな和風住宅に洋風を、洋風住宅に和風を取り入れる方法を紹介していきたいと思います。
1.ジョリパッド塗装
ジョリパッドはモルタル外壁の塗り替え用塗料として40年以上の歴史があります。カラーバリエーションも豊富でスタンダードタイプで141色から好みの色を選べるでしょう。カビや汚れに強く、耐候性や柔剛性にも優れるため通常のモルタルよりひび割れが起こりにくいという特徴があります。和風、洋風どちらの雰囲気にも合う仕上がりに施工が可能で、外壁塗装によって他とは違うお住まいにしたいという方におすすめです。
2.金属サイディングによる外壁カバー工法
今は和風住宅の外壁だけど洋風住宅に変えたいという方におすすめするのが金属サイディングによる外壁カバー工法です。
外壁カバーという名前の通り、モルタルやタイルなどの既存の外壁の上からカバーのように新しい外壁材をそのまま張り重ねます。これにより既存外壁の撤去と処分が不要なため手間と費用の節約が可能です。外壁材が2重になるため断熱性と遮音性が向上するなど見た目の変化だけでなく快適性の向上にもつながるメリットがあります。
新しい外壁材を追加することになるため住宅の重量が増えることになりますが、ガルバリウム鋼板自体が軽量なため住宅への負担も少なく大きな影響は出ません。
外壁カバー工事を行った和風住宅の施工事例
【使用材料】センターサイディング:レフィーナウォール
こちらのご住宅は新築から年数が経過したため外観の劣化が気になりリフォームを検討されていました。今後、あまりメンテナンスをしなくてもいいようにしたいとのご要望だったため、金属サイディングによる外壁カバー工法をご提案させていただきました。
点検の様子
モルタル外壁の場合、その性質上クラックや塗膜の経年劣化などが必ず発生します。そのため概ね10年から15年での外壁塗装工事が必要不可欠です。外観を大きく変えてイメージチェンジをしたり先ほどご紹介した通り和風から洋風に外観を変えたりしたいという方に金属サイディングによる外壁カバー工法をおすすめします。
既存外壁材の上にそのまま新たな外壁材を被せていく外壁カバー工法
外壁カバー工法は既存の外壁材の上から新しい外壁材を被せる工法ですが、そのまま外壁を被せるのではなく胴縁木材を取り付けその上から新しい外壁材を張っていきます。金属サイディングが横張りの場合は下地材を縦に、縦張りの場合は下地材を横向けに取り付けるため向きに注意しましょう。サッシ等の付属物と外壁との間は雨水が浸入する恐れがあるため専用の金物を取り付け、透湿防水シートを胴縁周りに張ることで雨漏りを防ぎます。
金属サイディングは屋根材にも使用されるほど耐久性の高いガルバリウム鋼板を使用するため、次のメンテナンスは20年ほど先となり当面のメンテナンスは不要になります。外壁カバー工法は費用面で外壁塗装より高くなりますがランニングコストの軽減が期待でき、豊富なデザインやカラーバリエーションから選択できるので自分の好きなイメージの洋風住宅へ変更が可能です。
和風住宅の外壁カバー工法竣工
ツートンカラーにすることで洋風住宅の印象を強めることができました。雨戸や破風板の素材を変更されたい方は仕上がりが綺麗になる外壁カバー工法の施工前にご検討ください。
3.外壁材の張替
メリットも大きい外壁カバー工法ですが全ての外壁に施工できるわけではありません。既存の外壁が経年劣化等により著しく強度が低下している場合上から新たな外壁材を張ることはできないのです。
その場合は補修も兼ねて外壁材を張り替えてイメージチェンジを行いましょう。既存の外壁を撤去してから新しい外壁材を取り付けるため費用面では高くなります。しかし透湿防水シートの張り替えや胴縁の交換など内部構造の不具合も併せて補修できるというメリットもあります。
また外壁カバー工法だと補修しないサッシ等の付属物の納まりに合わせて外壁材の厚みを検討しなければいけませんが張り替えの場合、柔軟な対応が可能です。
和風住宅の外壁塗装は仕上がり後のイメージを持つことが重要です
和風住宅は昔ながらの寺社仏閣や伝統的な日本家屋のイメージが強く、色を選ぶ際の選択肢を無意識に狭めることがあります。お住まい全てを塗装するなら問題ありませんが部分塗装の場合、塗装を行わない箇所の確認を怠ると仕上がり後に後悔する可能性も出てきます。
和風住宅の外壁を塗装する際はあらかじめ「塗装後のイメージ」を持っておきましょう。洋風住宅であれば形状や仕様から似合わないということはあまりありませんが、自然素材の良さを活かし調和のとれた和風住宅は外壁塗装後のイメージを事前にしっかりしておくことで綺麗にまとまります。
外壁塗装の工事を検討する段階で、カラーシミュレーションで塗装後のお住まいのイメージを確認し使用する色を決めましょう。塗装面積の大小により色の見え方が違ってくる場合もありますので1~2トーン暗めの色を使用するなど塗装色を決める前に入念に検討することが重要です。
和風住宅の外壁塗装について困っている方や木材の趣きを活かして塗装したいという方、色の決め方が分からないという方はお気軽に街の外壁塗装やさんへご相談ください。点検・お見積りは無料で承っております。
外壁塗装工事を行った和風住宅の施工事例
【使用材料】外壁:エラストコート(A-13) 木部:ニューボンデンDX(ウォルナット)
こちらは築21年の和風住宅です。最初の外壁塗装から15年経過し、外壁や塀にもクラックが目立ってきたため2回目の外壁塗装を行うことになりました。
費用の比較のために3社から相見積もりをとって工事が行われた模様です。
点検の様子
施工前の様子です。こちらの住宅はザラザラとした手触りが特徴のリシン外壁になります。モルタル外壁の吹き付け仕上げで最もポピュラーなのがリシンとスタッコになりますが、塗料と砂を混ぜて吹き付けて薄い塗膜に仕上げリシンに対してスタッコはセメントと塗料を混ぜ合わせたものに骨材を混ぜることで塗膜を厚く仕上げます。細やかな表面の凹凸によって雨水が流れにくい場合もあり、外壁に吸収された水分でモルタル外壁自体が傷んでしまうためしっかり塗装メンテナンスを行う必要があります。
木目調の軒天が使用されている他、木材がふんだんに使用されているため和風住宅の温かみが感じられます。
木材は吸水によって腐食してしまいますが空気中の水分を吸い取る吸湿機能も兼ね備えているため適切にメンテナンスを行うことで長期間にわたって使用可能です。木目調を活かした塗装保護を行いたい場合や今後そういった塗装を行いたいという方は、浸透型塗料や保護材による塗装を行ってください。万が一造膜型塗料を使用してしまうと浸透型塗料は使用できなくなってしまうためです。
こちらの住宅の屋根材は和瓦のため塗装メンテナンスは必要ありません。日当たりの良し悪しがあるため苔が付着している部分もありますが高圧洗浄により綺麗に仕上げることが可能です。瓦は一度施工してしまえば基本的には半永久的にメンテナンスフリーの建材になります。日本独特の知恵が生み出した和風住宅は様々な部分に耐久性の高い建材を使用しているため、メンテナンスを適切に行うことでコストを抑えて維持することが可能です。
外壁塗装工事の様子
下屋部分は銅板が使用されていました。銅は腐食に強く経年による色の変化を楽しめる建材のため、損傷さえなければ基本的に塗り替えの必要はありません。60年以上経過しても問題なく使用できる模様です。しかし酸性雨や施工不良などにより雨漏りが起きてしまった場合は交換等で改善しましょう。その際は新しい銅板屋根でオレンジがかった色から緑がかった色への変化を再び楽しむこともできるでしょう。
和風住宅で塗装を行わない部分があったとしても外壁塗装の作業工程は同じです。最初に汚れや古い塗膜を高圧洗浄で洗い落とすところから始まります。
木材は施工する時の状態によって下地処理が変わってきます。木材からヤニが染み出ているようだと一度シンナーでヤニを丁寧に拭きとらなければいけません。節が目立って美観に影響を及ぼす場合は木部用パテで埋めていきましょう。表面のザラつきは塗装では改善できません。塗装前にサンディングを行い、滑らかに仕上げてから塗装を行うと良いでしょう。経年劣化による傷みが激しいと塗料を多く吸い込む場合があります。その際はシーラーやとの粉で目止めを行いましょう。
今回の外壁塗装では木目を活かしたままの塗装を希望されたため、浸透型塗料ニューボンデンDXのウォルナットを使用します。浸透型塗料は木目を活かした塗装ができますが仕上がりは木材そのものの質感に依存することになるので明るい色を使うと黒ずみが目立つかもしれません。そこで木材より少し濃い色の塗料を使用することで木材そのものの色に影響されにくくできます。
下地処理を行った部分に塗料を刷り込むように塗っていきます。浸透型塗料はここまでご説明している通りどれだけ厚塗りとなっても木目を活かせますので問題ありません。
浸透型塗料は造膜型塗料より耐用年数が劣るため、定期的に塗装時期を決めて塗り替えを行いましょう。
モルタル外壁に発生したクラックはその太さによって補修方法が変わってきます。0.3mm未満の細いクラックは塗料で埋めることができるため下塗りフィラーで平坦に仕上げましょう。太さ0.3mm以上の構造クラックはそこから雨水が浸入する可能性があるので補修材で埋めて雨水の浸入を防ぎます。
中塗りと上塗り塗料にはエラストコート((A-13)を使用しました。この塗料は360%という弾性力により経年劣化によるクラックを防ぐだけでなく、雨水の浸入を確実に防ぎます。その上、透湿性が非常に高いため塗膜に膨れやしわを起こす心配もありません。骨材が含まれない艶なしタイプの塗料のため既存の風合いや手触りを残したままで塗り替えが可能となります。モルタル外壁を落ち着いた仕上がりにしたいという方は多いのでエラストコートによる塗り替えは有力な選択肢となるでしょう。
エラストコートは製品の特性上黒に近い暗い色の調色を苦手としています。そのため彩度がやや高い傾向にある塗料です。カラーサンプルを確認し、気に入った色を見つけたらその色より1トーン暗い色で塗ると希望したイメージに近い仕上がりになります。和風住宅の塗り替え塗料としてナノコンポジットW(防藻+)も人気です。落ち着いた仕上がりになりセルフクリーニング効果もあるため長期にわたって美しさを維持できます。明るい色に仕上げたい方にはナノコンポジットW(防藻+)、暗い色に仕上げたい方にはナノコンポジットWをおすすめします。
鉄部はケレンするかペーパー掛けで目を粗ししてから吹き付け塗装で均等に塗り仕上げます。和風住宅の場合、付帯部を茶や黒などで統一して住宅に重厚感を持たせる方もいらっしゃるようです。何色に仕上げるかは色を決める人の自由ですが家全体の印象は重要なのでカラーシミュレーションで確認した上で仕上がりを検討してください。
工事を終えて
これにてモルタル外壁の塗り替えは完了になります。今回は和色で当てはめるとすれば丁子色(ちょうじいろ)・香色(こういろ)・薄香(うすこう)に近い色を使用し塗り替えました。エラストコートは塗装後の水洗いが可能なためメンテナンスも容易で使いやすい塗料と言えます。
「こんな色を使用してみたい」「どんな色が合うのかを確認したい」など外壁塗装の仕上がりに関するご相談は街の外壁塗装やさんへお気軽にお問い合わせください。カラーシミュレーションを数パターン作成させていただきますので、お気に入りの仕上がりをイメージしていきましょう。
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日本の風土に合わせて建てられている和風住宅は風通しや日当たりが心地よく、温かみのある佇まいが人気の理由です
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和風住宅は昔から親しまれている素材を多く使用し、その魅力を引き立てています
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木材が持つ本来の風合いを活かすには塗装に浸透型塗料かクリヤー塗料を使用しましょう。
耐久性を向上させたい場合は造膜型塗料を使用しましょう -
400色以上ある和色の中からお好きな色を探して塗装してみましょう
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和風住宅には塗装できない箇所や建材があります。それらを踏まえて必ず塗装後のイメージをすり合わせてから色を決めましょう
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近年は和モダン・洋モダンのような和風と洋風の良いところをあわせた住宅も増えています
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外壁塗装や外壁カバー、外壁張替によって和風洋風問わずに住まいのイメージチェンジが図れます
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和風住宅の外壁塗装では多くのお客様が何色にするかで悩みます。
使用建材や塗装後のイメージをカラーシミュレーション等で
工事後に後悔しないためにも塗装後のイメージをカラーシミュレーション等で明確にし、お住まいにご希望の色を試してみましょう