お住まいを外から眺めたとき「何だか錆びが気になる」と思ったことはないでしょうか?特に、沿岸にお住まいの方は“外観に存在する錆び”が気になったこともあるかと思います。
また、内陸に住んでいる方の場合であっても、日本は海に囲われた島国。内陸部でも塩害の影響は少なからず受ける環境と言えます。今回は屋根や外壁など、お住まいの多くの箇所で使われている鉄部に劣化をもたらす「塩害」を詳しく解説していきます。
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塩害被害にはどのようなものがある?
塩害とは、塩分を含んだ風や雨が吹きつけることにより、様々な場所に被害をもたらすことを言います。
近年では、台風による塩害の被害も起こっています。沿岸地域では、台風により巻き上げられた海水が電線等に付着、通電・ショートを起こし、停電となった地域が多数ありました。
農地でも野菜に塩が付着し、水分が蒸発した場合、「枯れた」「土壌が悪くなり根腐れを起こした」などの被害が発生します。建物だけにとどまらず、塩害は多くの箇所で被害をもたらす厄介な被害です。
通常の降雨では問題が生じないのに海水では思わぬ被害が生じるのが塩害です。
では住宅への塩害被害はどのようなものがあるのでしょうか?
トタンやアルミといった金属素材に生じる錆
塩害で受けるトラブルのうち、特によくあるのがトタンやアルミなどの金属で引き起こされる「錆」です。沿岸部に住んでいると、お住まいの周辺でも塩害が起こっている金属を見かける機会もあるのではないでしょうか。
お住まいに使われる素材のなかでも、金属は耐久性に優れています。ただ、金属は表面に塗料を塗ることで塗膜を作り身を守っていますが、劣化により錆が発生すると、素材の耐久性を弱めることとなってしまいます。錆びが発生する要因はいくつかありますが、塩害もそのひとつです。
錆はいったん発生すると対処しないかぎり範囲が広がっていく厄介な現象です。塩害が金属素材に起これば段階的に進行して、ひどくなれば腐食により穴があきます。錆の初期には塗装でカバーできても、穴があくほどひどい錆の場合、素材を張替えるなどの大がかりな補修をしなければ直ることがないのです。
現在、お住まいの外観に白い粉が付着していれば、塩害の可能性があるため注意しましょう。
窯業系サイディングやモルタル外壁、破風板・軒天等の付帯部等塗膜の劣化
金属系の素材によく見られる塩害ですが、実際は窯業系サイディングやモルタル外壁、破風板、軒天といった付帯部などにも起こります。
塩害は多くのエリアで起こりますが、進行具合が早いのが沿岸部です。風の影響があまりない内陸部と比べて、塗膜が劣化しやすい環境にあるからです。そのため沿岸部ではチョーキング(白亜化現象)や色あせが起きやすくなります。塗膜が衰えて素地が露出すると水分が浸入するため、構造部も傷んでしまうでしょう。
コンクリートの劣化も塩害の可能性あり
塩害の盲点と言えるのが「コンクリートの劣化」です。住宅の基礎や駐車場に使われているコンクリートも、実は塩害が起こっていることがあります。錆びやすい鉄筋は、通常コンクリート内部にあって保護されています。コンクリートはph12以上のアルカリ性ですし、劣化とは無縁と考えるかもしれません。
しかし、海水や潮風に長年さらされると少しずつコンクリート内部へ浸透し、それが鉄筋を錆びさせて膨張すると、コンクリートのひび割れや剥離を起こすのです。さらに、鉄筋も露出すれば、一層塩害の症状が進むでしょう。
沿岸部のお住まいの場合、どうしても潮風を100%予防することは難しいです。そのため、塩害対策をしっかりと行うことが大切です。
海に囲まれた島国の日本では、どこでも塩害が起こります。そのなかでも、特に塩害を受けやすい住宅の特徴について見ていきましょう。
1. 海に近いお住まい
最も塩害リスクがあるのは、沿岸部のお住まいです。ただ、海からの距離によっても、被害の程度は異なるでしょう。太陽光発電や給湯器などを販売するメーカーでは、屋外に設置する設備に塩害対策を備えた「耐塩害商品」、一般的な「標準品」といった違いがあります。
どこまでが塩害対策が必要かについては各メーカーによって異なり、「海岸から300m以内」としていることもあれば、「海岸から500m」をひとつのラインとして考えていることもあります。
ただ、実際には風向きや風力では塩害が及ぶ範囲が変わります。地域によっては、海岸から7㎞近く離れたところでも潮風の影響を受けると考えられています。一概に「沿岸からの距離」で言えない部分があります。感覚としては、「風に潮の香りがする」「風が吹いたときベタベタする感じ」などでなければ、一般的には塩害の可能性は低いと言えるでしょう。
2. 高階層住宅
海岸から距離があれば塩害は基本的に受けにくいですが、「階層が高い」「高台にあって目の前が開けている」場合はその限りではありません。高さがあれば周辺に建物がなく、平屋住宅や低層地よりも潮が付着する可能性があるからです。
見晴らしの良いバルコニーやテラスには、サッシ回りに砂が入ってしまうことが多いです。海の景色が素晴らしいバルコニーがあるお住まいは、もちろん屋根や外壁などへの影響もあるでしょう。錆や色あせ、チョーキング現象などが起こっていないか定期的にチェックしてみてくださいね
3. 金属素材を使用している
お住まいにアルミやトタンなどの錆びやすい金属素材を使っていると塩害を受けやすいです。最近注目度の高いガルバリウムは錆びにくいと言われるものの、塩害で塗膜が弱って素地が露出すると錆はまぬがれないのです。
沿岸部においては、更に錆びにくいステンレスを導入するケースもあります。
アイジー工業では、従来は補償対象を海岸から5㎞以上としていましたが、現在は「500m以上」と切り替えています。つまり「沿岸部には金属素材が絶対NG」という訳ではありません。むしろ、金属素材が使われているケースも多いですが、そこで重要なのは「錆への対策が施された金属素材を使う」という点です。
すでに建物が建っている以上、移動することはできません。そのため、沿岸部などにお住まいの場合は「塩害が起こるかもしれない可能性」はゼロにはできないのが現状です。ただ、塩害を受けても「悪化させない」、「被害を最小限に抑える」など、何らかの対策はとることができます。そこで、ご自身でもできる塩害対策を簡単に見ていきましょう。
1. こまめに清掃して塩分を取り除く
潮が付着したままだと錆も悪化するため、水洗いをすることが塩害をおさえる方法のひとつです。
ここで気をつけたいのが、「潮がこびりついた」と言って、硬いブラシでゴシゴシとこすり、外壁材などに傷をつけることです。素材を守っている塗膜に傷がつけば、さらに内部へと潮が入り込みやすい状況をつくり出してしまいます。塩害を防ごうとやった行動が逆効果となっては大変ですから、潮を洗うときには素材を傷つけないような柔らかいブラシを使いましょう。
2. 屋根や外壁材を錆びにくい素材へ交換する
同じ沿岸部なのに「錆がひどい家」「それほど錆が見られない家」があります。これは、お住まいに使っている素材の違いでもあります。
そもそも錆びやすい素材で、しかも塗膜の耐用年数が過ぎている場合は、塩害の影響が大きく錆びがひどくなっていることも多いです。特に、築年数が相当古い建物には、錆びやすいトタンやブリキを使っているケースもあります。一見して「錆がひどい」と分かる状況では、塗装だけでは改善しきれません。そこで、錆びにくい屋根・外壁へと交換するなど、根本的な対策を考えた方がいいでしょう。
錆びにくい素材への交換がお住まい全体に及ぶと、ある程度の支出を覚悟しなければいけないかもしれません。ただ、メンテナンスを行い錆びにくい状態にすることでメンテナンス頻度を抑えられ、今後の安心感にもつながります。
また、新しい素材になったからと言って、塩害がまったく起こらないということではありません。既存の金属素材に発生している錆が“もらい錆”となって新しい素材へと広がる可能性もあります。もらい錆とは、通常であれば錆びない素材にも錆を付着させてしまう現象です。美観も悪くなるばかりか、素材が急速に劣化するので適切にメンテナンスをしなければなりません。
塩化ビニル(プラスチック)などの樹脂系サイディングは塩害を受けにくい素材です。日本では1~2%程度のシェア率のため、あまり見かけない素材かもしれませんね。ただ、この樹脂系サイディングは「腐りにくい・割れにくい」という特徴はもちろん、凍害や塩害の影響も少ないことから注目されつつあります。
窯業系サイディングと比べると初期費用は高いものの、顔料がボード自体に含まれることから色あせはあまり起こりません。しかも、30年近くの耐用年数を持ち、メンテナンス性にも優れた素材です。
塩化ビニルの樹脂系サイディングの施工は、特に難しいものではありません。ただ、「施工費用は妥当かどうか」「樹脂系サイディングの特徴を把握したうえで施工をしてくれるか」などを見極めて工事を依頼しましょう。
3. 塗装メンテナンスを定期的に行う
塩害を防ぐには、塗装メンテナンスを定期的に行うことが大切です。
一般的に、お住まいの塗装は築10年ほどを目安に考えられています。ただ、沿岸部は潮風の影響が内陸部よりも格段に大きいです。新築や築浅のお住まいでも、塩害の影響を受けやすい状態は変わりません。
そのため、通常の塗装周期が築10年前後なら、2~3年程前倒しで塗装計画を進めましょう。
新築時は、安価なアクリル塗料で塗装されていることが多いです。アクリル塗料は近年塗装メンテナンス時に検討される方の多い[アクリル塗料は近年塗装メンテナンス時に検討される方の多い]シリコン塗料やフッ素塗料のような高耐久塗料ではないため、耐用年数は5~8年ほどと短めです。そのため新築後、5年ほどで汚れや色あせ、チョーキング現象が著しく発生しているようなお住まいも少なくありません。
現在塗装メンテナンスを躊躇されている方の理由としては、「費用の捻出が難しい」というものがあるかもしれません。確かに、屋根塗装や外壁塗装には足場の設置も必要であり高額な工事です。ただ、耐久性の高い塗料を選び塗装を行うことで、その後のメンテナンス性は高まります。常に塩害を気にせずともよくなりますから、頻繁に清掃する必要もなくなるでしょう。
屋根塗装や外壁塗装メンテナンスによって、お住まいの美観性や耐久性を高めることができます。塗装メンテナンスは外装リフォームの中では比較的安価で、正しい時期に正しい方法で行えば、コストパフォーマンスの良いメンテナンスです。しかし、塗装方法が間違っているとその後に塗膜の剥がれや膨れなどが起こり、せっかくの塗装が意味のないものとなってしまう可能性もあります。
そこで、ここからはすでに塩害が起こっているお住まいの塗装で気をつけるべきポイントを3つお伝えしていきます。
1. 塩害に強い塗料を選ぶ
塩による錆の発生を長く防げる“耐塩害塗料”は塗料メーカーから発売されています。ただ、この種の塗料は沿岸地域にある工場や倉庫の焼付塗装で皮膜を硬化させることを想定しているので、一般住宅には向いていません。
一般住宅に使用する塩害に適切な塗料というとフッ素塗料や無機塗料が塩害対策として使われます。
ウレタン塗料やシリコン塗料と比べると塗膜が緻密で耐候性に優れるため、塩害はもちろん、紫外線での劣化も防ぐことが可能です。
また、無機塗料にはセルフクリーニング機能による低汚染性が期待できます。お住まいの外壁は次第に汚れが付着していくものですが、親和性の高い無機塗料であれば軽度の汚れや塩を洗い流してくれるため、“汚れや塩がつきにくい”状態を保つことができるでしょう。
もちろん、同じ塗料を塗っても家の形や建物の向きなどの諸条件で効果の感じ方に差が表れるケースもございます。ただ、通常の塗料を使用するよりもずっと高い耐久性を持つため、塩害への耐性を高めることができるでしょう。
2. 下地処理を適切に行う
塗装前には下地処理をしっかりと行うことが重要です。実は、塗装前の下地処理は、“塩害が起こっているかどうか”に関わらず、塗装の完成度に深く関わる工程です。塩害が起こっていない状態でも、屋根や外壁には年数とともに相当の汚れが溜まっています。汚れの上には塗料は密着しませんから、すぐに剥がれる可能性が高まります。正しく下地処理を行っていないと、せっかく塗装を行っても「剥がれた・膨れた」とトラブルを起こしてしまうのです。
高圧洗浄で屋根や外壁の汚れ、古い塗膜、カビや塩などをじゅうぶんに洗い流し、塗料を塗るためのベースを作ってから塗装をすることで、塗膜もしっかりと形成されるでしょう。
また、付帯部に使われている鉄部の塗装も重要です。錆の広がりは「酸素と水に触れる」ことで進みます。下塗りには、必ず錆止め塗料を塗って外気との接触を遮断させます。そして、塩害対策のため高耐久の塗料を中塗りと上塗りに使いましょう。
塗装業者によっては付帯部を重要視せずに「安い塗料でもいい」と考えるケースがあります。しかし、金属が露出している付帯部は、劣化や腐食が起こりやすい部分ですから、屋根や外壁と同等の高耐久な塗料を選ぶことが塩害対策ではポイントとなるのです。
3. 塩害で劣化・腐食が酷い場合の塗装について
塩害レベルがそれほどひどくなければ塗装によるメンテナンスで解決することができます。しかし、すでに「腐食がひどくて穴あきがひどい」という状態の場合、塗装をしたところで素材が復活することはありません。仮に塗装しても、すぐに塗膜が剥がれてしまうのです。錆びによる腐食が著しく進んだ場合は、屋根や外壁の素材の交換、溶接作業による補修を検討しなければなりません。
塩害が起こった場合、何らかの対策を速やかに行うことが大切です。そして同時に「塩害がこれほどまでに進んだ理由」を改めて思い起こすことも必要です。
「塗装による塗膜保護で今後塩害を防ぐことが出来るのか」、それとも「素材の変更を行うべきか」、どちらがより適切なメンテナンスであるのか慎重に検討していきましょう。
お住まいを守るために重要なのは塩害が進行する前に適切なメンテナンスをすること
マイホーム購入の決め手として、「海に近い」ことを条件にあげる方もいらっしゃるかと思います。天気の良い日には海辺までお散歩したり、夕暮れ時にはお住まいのベランダから見える景色を堪能したりなど、見晴らしの良さや開放感などメリットも多い沿岸部。海に近いからこそ叶えられる暮らしがありますよね。しかし、現実的な面で「海水や潮風による塩害」は避けて通れません
どれだけこまめなメンテナンス計画を立てられるかによって、お住まいの塩害やそれにかかる費用を最小限に抑えることにも繋がります。メンテナンスを怠っていたばかりに、いつしか錆にまみれた家となってしまうのは悲しいことですよね。
また、錆が現われ始めた初期なら、高耐久の塗料を選んで塗装すれば、錆による腐食や劣化を大きく遅らせることが可能です。
街の外壁塗装やさんでは無料点検を行っており、客様のお住まいを入念に調査し、適切な屋根塗装や外壁塗装のご提案をいたします。
「沿岸部に住んでいるからか錆びが気になる」「今後は塩害をおさえたい」「塩害と上手に付き合うためのメンテナンス方法を教えて欲しい」「塗装費用や塗装方法に不安を感じている」など、さまざまな不安や疑問があるかと思います。そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください。街の外壁塗装やさんのスタッフが無料調査にお伺いし、お住まいがどのような状態で、どのようなメンテナンスが必要であるか、ご提案をさせていただきます。
塩害が起こるのは沿岸部だけとは限りません。沿岸から少し離れていても、立地環境によっては塩害が起こるケースもあります。
特に塩害が起こりやすいのはトタンやアルミなどの鉄部です。塩害が起きる前提で、適切な対策を講じることが大切です。
海に近いことはもちろん、階層が高い建物、金属素材を外装に使っているお住まいは、特に塩害が起こりやすいです。
現在は、錆びにくいガルバリウム鋼板が使われることも多いです。「錆びにくさ」を向上させるべく、素材の改良が進んでいるため、ガルバリウム鋼板は今後ますます使われることでしょう。
ご自身でできる塩害対策は水洗いです。また、定期的に塗装をすることは、長期的な観点で言えばコストパフォーマンスに優れたメンテナンス方法です。美観を復活させること、そして塗膜の保護力も高まるので、塩害が起こりづらくなるでしょう。
高耐久のフッ素塗料や無機塗料なら、劣化や腐食を防げるので塩害対策にもおすすめです。
塗装時には、正しい下地処理ができる業者を選びましょう。
こまめなお手入れやメンテナンスで大事なお住まいを塩害から守りましょう。「塩害を防げる塗料を知りたい」「費用を詳しく知ってから考えたい」「現在の塩害状況を点検して欲しい」など、ご質問やご要望がございましたら街の外壁塗装やさんにお気軽にご相談ください。