外壁塗装や屋根塗装で使う塗料は、四角い形状の金属容器の“一斗缶”や、円柱状の樹脂製容器の“ペール缶”に入っていることが多いです。これにどのくらいの塗料が入っているかご存知でしょうか?一斗缶は、正式には「18リットル缶」と言い内容量は18ℓで、ペール缶は18~20ℓです。でも、この18リットル缶でどのくらいの面積を塗装できるのかについて分からないものですよね。手抜き工事をされないためにも、ぜひ基礎知識としておさえておきましょう。
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塗料ごとに決められている面積ごとの“規定塗布量”とは?
外壁塗装や屋根塗装で使う塗料には、「規定塗布量」というものがあります。規定塗布量とは、1㎡あたりの面積で使うべき塗料の量です。塗料の仕様書やカタログに記載されている規定塗布量は、本来の性能を発揮するために各メーカーが定めています。
外壁塗装は塗れば終わりではなく、いかに長く機能を発揮できるかが重要ですよね。そのためには、塗料に合わせて適正な量を塗ることもとても大事なこと。ちまちまと少量で塗ったり、逆にベタベタと大量で塗ったり…というように、塗料の量が「多過ぎ・少な過ぎ」では仕上がりも美しくありませんし、性能がしっかり期待できなくなるのです。
規定塗布量は、メーカーによって表記が若干異なります。日本ペイントでは“使用量”、関西ペイントでは“標準所要量”、エスケー化研では“所要量”と表記されています。ただ、いずれも「㎏/㎡」という単位で記載されていることが確認できるでしょう。
実物の塗料缶だけでなく、各塗料メーカーのサイトでもチェックすることが可能です。外壁塗装の段階でも、気になる塗料名があれば、ぜひメーカーのホームページで規定塗布量を確認してみてくださいね。
塗る量だけではない…!希釈率も記載内容に合わせることが大事です
塗料は、塗りやすくするために、水性塗料なら「水」、油性塗料なら「塗料用シンナー」を混ぜて薄めます。これを“希釈”と言いますが、単に水やシンナーを適当に混ぜればいいわけではありません。たくさん薄めれば塗料の量は増えますが、薄まり過ぎて塗料の性能が発揮できないのは当然です。いわゆる「手抜き工事」となってしまいます。希釈率を正しく守ることで、塗料の品質を保てるのです。
希釈率は、塗料ごとに異なります。希釈をせずに0%でもOKのものもあれば、塗る素材や仕上げによって希釈率を違わせているケースもあります。希釈率を遵守すれば塗料の持つ性能を最大限に発揮できますが、規定より薄めれば本来の耐用年数を待たずして劣化する可能性もあります。塗料の希釈率は、とても重要なのです。
規定量より不足しているとどうなる?
規定量を守らず、薄く塗れば、塗った後の見た目は綺麗に塗ったように見えても塗膜はかなり貧弱なものになっています。本来の耐用年数まではもたず、通常よりも早めに剥がれトラブルが起こります。
耐用年数の半分ほどでさまざまな劣化症状が目立つこともあり、「色褪せがひどい」「ひびが入ってきた」など、急速な劣化に悩む可能性もあります。
塗装の工程、「下塗り・中塗り・上塗り」でも塗布量は異なる
外壁塗装や屋根塗装の正しい工程は3回塗りです。
・下塗り…シーラーなどを使って中塗りと上塗りの密着度を高める
・中塗り…仕上げ塗料で塗る(1回目)
・上塗り…仕上げ塗料で塗る(2回目)
というように3回に分けて塗っていきます。これら、3回の工程は、シーラーなどを使う下塗り、仕上げ塗料を使う中塗り・上塗りで使う材料も変わるため、規定塗布量もそれぞれに合わせなければなりません。
それでは、「どのくらいの面積でどのくらいの塗料量を使うか」を具体的に見ていきましょう。検証は、普及率の高い窯業系サイディングの外壁に、人気の塗料パーフェクトトップで塗装したケースを想定してみました。
1.初めに使う塗料「パーフェクトトップ」の規定塗布量をチェック
まずは、パーフェクトトップのメーカーサイトを見てみましょう。窯業系サイディングに塗装する場合、塗布量は0.11~0.17㎏/㎡となっています。この数値をベースとし、次に外壁の面積に合わせた数量を調べてみます。
日本ペイント パーフェクトトップの規定塗布量
※日本ペイントパーフェクトトップカタログ.pdfより引用
2.実際に外壁塗装に必要な塗料の量はどれくらい?
次は、外壁の塗装面積を求めて、塗料の規定量から算出してみましょう。今回は、建坪25坪、外壁の塗装面積120㎡を想定しています。
下塗り・中塗り・上塗りのうち、仕上げ塗料を使うのは2回。つまり、120㎡の外壁を2回分で合計240㎡塗ることになります。
このように、120㎡の外壁の場合、中塗り・上塗りの2回の工程で、26.4~40.8kgの塗料が必要という計算になります。パーフェクトトップの場合、1斗缶には15kgの塗料が入っています。つまり、窯業系サイディング120㎡の外壁をパーフェクトトップで2回塗るためには、一斗缶2~3缶を使うイメージです。
窯業系サイディングはデザイン性の高さが魅力で人気があります。複雑な凸凹で表現された意匠性の高いデザインも多いです。
凹凸があれば溝も生まれ、表面が平らなものより塗装される面積が増えることになります。外壁のデザインによって面積が異なるため、それが規定塗布量の開きになるのです。
ご自身でも求めやすいのは、図面を見て面積を確認する方法です。建築時に、ハウスメーカーや工務店から立面図(建物を横側から見た立体的な図面)が提示されていれば面積を知ることができます。図面により外壁の総面積を割り出し、塗装をしないサッシなどを差し引くことで求めることができるでしょう。
塗装業者にお見積もりをするとき図面を確認してもらうことで、塗装面積について具体的に計算してもらえるでしょう。図面がない場合でも、実測して面積を計算することもできます。
塗料が入っている容器でメジャーなのは一斗缶です。容量は18ℓですが、実際は15kgの塗料が入っています。塗装現場において、スムーズに持ち運べるような重さ設定となっています。
そのほか、ペール缶も近年増えてきました。円筒形で、容量は10~29ℓまでさまざまです。ペール缶はさまざまな用途がありますが、塗料が入っているものは18ℓや20ℓの容器です。
3.下塗り材の規定塗布量と必要量はどのくらい?
外壁塗装における「下塗り」の役割は、中塗り・上塗りの際の塗料を外壁に密着させることです。下塗り材は、外壁材や傷み状況で使い分けられシーラーやフィラーが使われます。
中塗り・上塗りで使う仕上げ材と、下塗り材では規定塗布量も違うことをおさえておきましょう。
窯業系サイディングやALCパネルの外壁塗装の場合、パーフェクトトップを仕上げ塗料にするなら、下塗りはパーフェクトサーフが適しています。パーフェクトサーフは、仕上げ塗りのために表面を整える作用のある「サーフェーサー」ともいう下塗り材です。
120㎡の面積のお住まいの下塗り作業で塗る面積は120㎡です。パーフェクトサーフの規定塗布量をメーカーサイトで確認すると「0.20~0.40㎏/㎡」と記載されています。次に120㎡に下塗りとしてパーフェクトサーフを塗るときの塗布量を計算してみます。
日本ペイント パーフェクトサーフの規定塗布量
※日本ペイントパーフェクトサーフカタログ.pdfより引用
パーフェクトサーフで120㎡の外壁の下塗りする場合、24.0~48.0kgの数量が必要です。パーフェクトトップと同様に、パーフェクトサーフも1斗缶に塗料15kgが入っています。窯業系サイディングの外壁120㎡に塗るなら、2~4缶は必要ということになります。
全体でどれだけ必要かのまとめ
※必要缶数は1缶=15kgで計算
外壁塗装や屋根塗装を依頼すれば、基本的に塗装業者が「外壁面積・塗料の算出」をやってくれます。でも、ご自身でも「うちの外壁の面積はどのくらいか?」「○○の塗料ならどのくらい必要か?」などを知っておくと安心です。
相見積もりをされた際、業者間で外壁の面積や塗料の値段にあまりにも隔たりがある場合はどちらかが間違っている可能性があります。
「どんな塗料が適しているか?」や「希釈量はどのくらいか?」、「下塗り材は何がいいか?」など、外壁塗装や屋根塗装は専門的で難しい点も多いです。専門家に任せることもできますが、ある程度の事前知識を少しでも持っておけば、見積書の内容を把握しやすいでしょう。業者も選びやすく、工事の失敗を防ぐことにもつながります。
塗布量は外壁材の種類で異なる
今回の記事では、普及率の高い「窯業系サイディング」を例に規定塗布量をお伝えしました。しかし、塗布量は外壁材の種類で変わります。イメージ的には「外壁の面積」だけで、適正な塗布量が分かりそうに感じるかもしれません。ただ、同じ外壁材で仕上げ方法によって塗布量は変わります。モルタル外壁、金属系サイディングは、刷毛やローラーなど仕上げによって塗料を塗ったときの量が異なるのです。そのため、図面や実測で外壁のだいたいの面積は把握できても、実際に塗ってみなければ塗料の使用量の正確なところが分からないもどかしさもあるでしょう。
塗装工事において、ご近所やご友人の方のお住まいの費用を比較検討の対象とする方も多いです。しかし、外壁塗装は一見同条件に見えるお住まいでも、費用は異なるのが普通です。「同じ時期に建てた」「家の規模が同じくらい」だとしても、外壁の種類や使う塗料、仕上げなどの背景によっては、片方が高額となるケースも珍しくありません。
塗装業者から見積書をもらって、何かしらの疑問を感じることもありますよね。そんなときは、ぜひ街の外壁塗装やさんにお気軽にご相談ください。疑問に感じる点はもちろん、お客様がご不安になりそうな点まで想定して、詳しく分かりやすくご説明させていただきます。
【代表的な塗料を例にご紹介】外壁塗装と屋根塗装、1缶で塗装できる面積は?
パーフェクトトップ
弾性塗料エラストコート
遮熱塗料サーモアイSi(屋根用)
ファインパーフェクトベスト(屋根用)
見積書や契約書内容で疑問に思ったことは、遠慮なく聞くことが大事
家の形状にもよりますが、1階と2階を合わせて25坪ほどなら外壁全体の面積は120㎡前後が目安です。
パーフェクトトップを例にとって見ると、塗装で必要な量は計算上2缶程度です。ただ、「乾燥させているときにゴミが付着して塗り直し」などの事態もないわけではありません。通常、そのような万が一のケースを想定して余裕を持って塗料を準備します。この場合、15kgを3缶、あるいは15kgを2缶と4kg缶を数缶というパターンが多いでしょう。
塗装前に見積書を見たとき、塗装面積や塗料の缶数など「これで大丈夫?」というご不安もあるかと思います。専門家に小さな疑問をぶつけることには抵抗があるかもしれませんが、お客様のご安心のためには遠慮せずにお聞きすることをおすすめします。「お客様を不安にさせないように」という姿勢をモットーにしている業者なら、きちんと誠実に答えてくれるはずです。
街の外壁塗装やさんは、お客様のご不安や疑問に丁寧にお答えしています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
また、契約を渋っているお客様に対して大幅値引きを簡単に行う塗装業者はおすすめできません。大幅値引きの背景に「規定の塗布量を無視する」「塗料の適正な希釈率を守らず薄め過ぎる」「必要な工程をカットする」など、必要なものを省き品質を下げられる可能性もあります。しかも、規定塗布量で塗ったかどうかは施工した業者にしか分からず、お客様側ではなかなか判断ができないため、結果的に「質を落とされた分、安くなった」ことになるでしょう。
外壁塗装や屋根塗装を行う場合は、現塗料や工具などの現場管理をしっかりと行っている業者を選ぶことをおすすめします。
外壁塗装や屋根塗装において、塗装後の見た目の美しさや耐久性の向上のため、塗装面積に対する塗料の規定量を守ることが大事です
外壁の種類や素材、外壁の仕上げ方法、使用する塗料、下塗りや仕上げ塗りなどの工程などでも規定塗布量は変わります
規定塗布量は、弾性塗料、機能性塗料などでも異なります
一般的な一軒家における塗料の缶数をだいたいイメージしておけば、手抜き工事を見抜くポイントにもなります
見積書を受け取ったときはもちろん、工事が始まってからでも疑問や不安は遠慮なく業者に尋ねましょう
後悔のない塗装工事のためには、ご自身が納得できるまで聞いてみることが大事です