お住まいのさまざまなところに使われている木材。内部の構造部分はもちろんですが、破風や鼻隠し、庇、サッシ回り、ウッドデッキにも木材が使われています。
あまりメンテナンスがされていない木材は劣化しやすく、そのまま放置をしてしまうと腐食が起きるようになります。このような劣化・腐食を防ぐには塗装が効果的ですが、木材の塗装は金属やセメントの塗装と注意点が異なるという点にも注意が必要です。
木部の塗装を定期的に行うことで、お住まいの見た目を綺麗に保つことができます。木部のメンテナンスに疑問やお悩みを抱えている方は、ぜひ今回の記事をご参考ください。定期的な塗装メンテナンスでお住まいの耐久性を高め、効率よくお住まいを維持していきましょう。
住宅で塗装が必要な“木部”とは?
一般的に、お住まいにおける“外装”といってまずイメージするのは、やはり屋根や外壁ですよね。屋根材であればスレートや金属、瓦などが、外壁材であればサイディングやモルタルなどが素材として多く使用されています。しかし、屋根や外壁と比較すると面積は大きくないものの、破風や鼻隠し、軒天、化粧垂木、ウッドデッキなど、住宅の様々な箇所に木材は使われています。意識をして見ないとあまり目につくことのない部分ですが、実はお住まいにとってとても重要な意味を持つ部位に木材が使われているのです。
ただ、これらの部位にも木材以外の素材が使われているケースもあります。
例えば横や下から潜り込んでくるような風雨が屋根内部へ侵入しないよう防いでくれる「破風」。昔のお住まいでは木材が使われているのが一般的でしたが、最近は金属系や窯業系が主流です。
また、ウッドデッキは“ウッド”と言うからには木材を使っていそうですが、天然木に似せた人工木材や樹脂製の素材が使用されていることもあります。とは言え、天然木材も負けておらず現在でもウッドデッキの素材として人気が高いです。
木部はどんなメリットがあるの?
木部塗装メンテナンスは絶対必要なの?メンテナンス不足ではどんな問題がある?
木材をより長く維持するためにはご自身でも定期的に木材の状態を確認していただき、木材や塗膜の劣化を早期に発見することが大切です。金属素材と比べると、木の表面に塗った塗膜は剥がれるリスクがあります。なぜなら、木には調湿作用による「膨張・収縮」の性質あるからです。
塗膜の劣化にいち早く気づき、適度なタイミングで塗装をしていれば剥がれは起こりにくいです。しかし、塗装が剥げているのにもかかわらず放置していると、見た目が悪いばかりか、お住まい全体の耐久性をも脅かしてしまうことになりかねません。
適切なタイミングはいつ?!木部の塗装で知っておきたい塗装の適切なタイミング
しかし、膨張や収縮を繰り返す性質のある木材の場合、外壁よりも早い段階で塗膜の劣化が起こります。
環境や使用塗料などによっても最適なタイミングは左右されますが、おおよそ3~5年程度を目途に塗装をすると良いと考えられています。「劣化が早い木部」は、劣化のサインを見逃さず、塗装のタイミングを間違わないことがなにより大切です。
☑ 色あせしてきたように見える
☑ 塗膜に剥がれがおきている
☑ 塗装面に毛羽立ちが見られる
「木部の塗膜は寿命が短い」という点について覚えておくことはもちろん、上記のような症状の変化を見逃さないようにしましょう。
また、塗装の適切なタイミングはお住まいの状況・状態ごとに異なります。「我が家の木部は大丈夫かな」と木部の塗装でお悩みをお持ちの方は、よろしければ街の外壁塗装やさんの無料点検をご利用ください。
木部塗装の塗料には、☑ 木材の表面で塗膜を作る「造膜型」
☑ 木材内部に塗料を浸透させてお住まいを守る「浸透型」
という2つのパターンがあります。
造膜型塗料にはどんな特徴があるの?
造膜型の仕上がりについて
造膜型の塗料で木の表面を塗装すると、木材が隠れて見えなくなります。「木材の質感がない」「木目が見えない」といった点がデメリットであると考えられがちですが、浸透型の塗料と比べてカラーバリエーションが多い点はメリットです。
カラーを多数のバリエーションから選べるほか、艶の調整もすることができます。「たっぷり艶感を出して光沢を演出したい」と艶を多めにしたり、「艶をなるべく消してマットな印象に」と艶を抑えて施工することができます。
造膜型塗料がもたらす効果
耐久性や耐水性が高いため、次の塗装までの期間も長めとなる特徴があります。
造膜型はどんな箇所に向いた塗料?
通常、破風や鼻隠し、軒天などの外装部分に造膜型を使います。これらの部分は、ふだんは目立つことがありませんが、お住まいの寿命とも関係している重要な箇所です。雨や風の影響も強く受け、外壁や屋根の機能をサポートする役割もあります。見栄えを重視するのではなく、どちらかと言うと機能性を高めることが必要です。これらの部分の木部塗装は、造膜型を使ってしっかりと保護しましょう。
造膜型はどんなメンテナンスをするべきか
施工事例
木製破風の塗膜が剥がれてしまったということで、塗装工事をご依頼いただきました。下地処理として、研磨たわしをつかって古い塗膜を取り除きます。剥がれを起こしている旧塗膜がそのままの状態で塗装を施しても、新しい塗膜もどちらも剥がれることになります。せっかくの塗装が意味のないものとなっては大変です。丁寧に除去作業をしてから、塗装をしていきましょう。
また、木材が傷むと水分が浸透しやすくなります。塗料を吸収してしまう恐れがあるため、まずは下塗りを行い塗料の吸い込みを防ぎ、新しい塗料の密着力も高めます。
次は、溶剤系の造膜塗料を使って塗っていきます。中塗り、上塗りと重ねて塗ることで厚みをもたせた塗膜が完成します。
造膜型の塗料はカラーバリエーションが多いです。ただ、色がついたもので塗装すれば木目が隠れてしまいます。そこで、“無色”の塗料を使用したクリア塗装を行うという選択をすることも可能です。無色の塗料を使用することで木目が隠れず、木材本来の美しさを活かすことができるでしょう。
浸透型塗料はどんな特徴があるの?
浸透型の仕上がりについて
ただ、造膜型のような艶の調整はできません。
浸透型塗料がもたらす効果
木材に染み込んだ液剤が防腐や防カビなどの働きをしてくれます。ただ、内部へ染み込んで機能性を持たせるため、表面に塗膜ができない塗料です。そのため、造膜型と比べると耐久性・耐水性は劣ります。しかしこれはメリットでもあり、木部表面に膜を作らないため「塗膜の剥がれ・膨れ」などが発生しません。定期的にメンテナンスを続けていくことで、木材を長く維持していきましょう。
浸透型はどんな箇所に向いた塗料?
浸透型の塗料は、木目を活かすことができます。「木の雰囲気のある外観にしたい」という箇所にぴったりです。
化粧垂木や縁側、庇を支える柱などのように、木目を表現したい箇所で浸透型塗料を使用することで、木材を保護しながら和風住宅の伝統的な装いを維持していきましょう。
浸透型はどんなメンテナンスをするべきか
木材保護塗料実績50年以上!キシラデコール
耐候性が高く雨や紫外線があたる環境でも木材を保護してくれるため、より長く鮮やかに木材を維持することが可能です。
施工事例
とても立派な化粧垂木の軒天です。これまで、定期的なメンテナンスをされていたとのことで、特別大きなダメージはありませんでした。今回は、キシラデコールにて塗装メンテナンスをさせていただきます。表面に塗膜ができない浸透型です。
まず、軒天には黒染みやヤニ汚れなどが見られたため、サンドペーパーを使って取り除きます。綺麗な塗装をするために、丁寧な下地処理は欠かせません。
塗料の色には「ピニー」という明るい色味を選びました。複雑な構造の軒天でしたが、刷毛を使用して細やかに塗装します。
1回目、2回目と塗り上げて、塗装は完成しました。塗装する前の白みがかった箇所も、くっきりと綺麗になりました。
室内の木部も塗装可能?
塗装をすれば、木材の劣化を防ぐことはもちろん、塗料の色を変えればイメージチェンジも可能です。木目を生かしたい屋内での木部塗装では、浸透型塗料が選ばれるケースが多いです。
室内での塗装ということで、「塗料のニオイがしそう」「手に触れたときに安全なのかな?」というご不安もありますよね。安全面を考えると、油性塗料を使った室内塗装は難しいため、室内の木部塗装では水性塗料の使用が安心です。
木部塗装はDIYでもできる?
屋根塗装や外壁塗装と異なり小範囲での施工となる木材塗装は、DIYでの塗装をご検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、木材の状態・性質を考えた塗装を行わないと、「ほとんど意味のない塗装」となってしまうことがあります。木部の塗装の主な目的は、「劣化した部分を復活させること」と「今後の寿命を高めて美観を保つこと」です。木材の性質をきちんと考えながら、「塗料の選び方」「丁寧な下地処理」「安全を保った作業」などに注意することがポイントです。木部の塗装には「木部用」の塗料を使わなければいけません。ほかの素材用の塗料を使用した場合はせっかく塗装を行っても木部が保護されず、少しすると「塗装をしたのに剥がれてきた」ということになりかねません。
また、DIYで特に注意したいのが安全性です。高い場所で行う作業には危険がつきまといます。道具を持ってハシゴにあがり、丁寧な作業を行うことは難しく、ちょっとした油断で、落下やケガをするかもしれません。塗装後の仕上がりや耐久性、作業時の安全性などを考慮すると、付帯部の塗装であってもDIYではなく専門業者に依頼することをおすすめします。
破風や軒天といったお住まいの付帯部には、木材をそのまま露出させているケースが多々あります。しかし、屋外にある時点で紫外線や雨風の影響があるため、メンテナンスを怠ると劣化して腐食してしまいます。腐食は雨漏りの原因にもなり、腐食が進んだ木材は強度も低下するためお住まい全体の耐久性にも関わるでしょう。
また、人工的な素材とは異なり、木材は自然素材ならではの美しさや温かみがあります。ただ、メンテナンスが正しいタイミングで行われないと木材は腐食しボロボロとなり、とても“美しい”とは言えない見た目になります。腐食が進めば修繕も大掛かりとなります。費用を抑えて効率よく木部を綺麗な状態で保つため、しばらく木材のメンテナンスをしていないという方は是非塗装メンテナンスをご検討ください。
街の外壁塗装やさんでは、外壁塗装はもちろん、付帯部の木部塗装のご相談も承っております。現地調査やお見積もりも無料で実施しておりますので、お住まいのメンテナンスでご不安な点があればお気軽にご活用ください。
木部用の塗料の種類と下地処理について解説 まとめ
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屋外にある木材は、劣化で腐食すると雨が浸透しやすくなります。腐食を防ぐには、定期的に塗装メンテナンスをすることが大切です。
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木材には調湿機能があるため、膨張・収縮しやすく塗装が長持ちしにくいという性質があります。塗装をするときは、古い塗膜を取り除く下地処理を丁寧に行いましょう。
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木部の塗装に使う塗料には「造膜型」と「浸透型」という2つのタイプがあります。
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塗膜で保護する「造膜型」は、木目は塗料で覆われますが、耐久性、耐水性が高いです。
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内部に浸透して木材を保護する「浸透型」は、木目の美しさを活かした塗装が可能です。ただ、造膜型と比較すると耐久性はやや劣るため、早いタイミングでメンテナンスを行う必要があります。
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室内の木部も、もちろん塗装が可能です。ただ、室内はニオイや人の手に触れるという点から、水性塗料を選んだほうがいいでしょう
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DIYで塗装を行うことは塗料選びや下地処理を間違ってしまう恐れがあるばかりか、危険性も伴います。安全かつ美しく長持ちする塗装をするためには、やはり専門業者への依頼をおすすめしています