「築15年目だけど、外壁も、屋根も、まだ何もメンテナンスしていない」という江戸川区東小岩のお客様です。さすがにそろそろしなければということで、ご相談をいただきました。都内の戸建住宅にありがちな「お隣との距離が狭い」ということから、足場の仮設などをできるだけ減らしたいということで、耐用年数の長い無機塗料「スーパーセランフレックス」での外壁塗装、遮熱塗料での屋根塗装となりました。
使用材料
スーパーセランフレックス(外壁),サーモアイSi(屋根)
新築から15年、メンテナンスを行っていないというお家の状態はどのような感じでしょうか。まずは屋根から点検していきます。お客様のお家はスレート屋根でした。おそらく新築時はもっと屋根は黒かったのでしょうが、色褪せてグレーになっています。藻や苔の他、カビも発生していますね。カビは枯れた藻や苔と水分を栄養にして発生します。黒や灰色をしているのが特徴です。
それにしても藻や苔の生命力はすごいものです。ちょっと築年数が経過したスレート屋根のほとんどに見ることができます。藻や苔やカビの話はさておき、ここで大きな問題が発生しました。スレートの一部が割れています。幸いにも割れているのはここだけです。これだけでしたら、差し替えで充分対応できるのですが、お施主様は万全を期したいということで、部分的な葺き替えを行った後、屋根塗装を行うことになりました。
続いて、外壁の点検に入ります。窯業系サイデイングなど目地にシーリングが使われている外壁にありがちな病状がその剥がれやひび割れ、裂けです。こちらのシーリング材も剥がれて外壁との隙間ができてしまっています。ひび割れや裂けがはじまっている部分もありました。打ち替えが必要な状態ですね。
外壁の一部には藻が発生していました。まだうっすらと生えているだけなので、特別に湿気が溜まりやすいという立地ではないようです。外壁にはチョーキング現象(白亜化)が発生しています。これは劣化により塗膜が粉化してきた時に起こる現象で、外壁塗装が必要であるサインでもあります。
窯業系サイデイングにはクラックが発生していました。窯業系サイディングは防水性が落ちてくると雨水などを吸収し、膨張します。乾燥する際には縮みます。このサイクルを繰り返すことで、釘などで固定されている部分は膨張と収縮の動きに追随できませんから、割れてしまうのです。こちらは塗り替え前にシーリング材かパテで補修します。
外壁塗装前に塗り替え後のイメージを知ることができるカラーシミュレーションを行いました。お施主様のご要望では外壁は白を基調とした色ということでしたので、それに合わせてさまざまなパターンをご用意しました。最終的には外壁の塗り分けを目立たない方向でということになりました。どれをお選びになられたかは施工事例の続きをご覧ください。
高さのある建物の外装工事の最初の工程は足場の仮設です。高い位置での安全性と作業性を確保するために足場は必ず必要となります。外壁塗装中もお施主様とそのご家族はこちらのお家で過ごすため、出入口となる玄関周りには安全性のためにパイプの周りにスポンジなどを巻いて養生をします。
化粧スレートが割れていた部分の葺き替えを行います。この部分的な葺き替え工事、結構、大変です。割れているスレートは1枚だけなのですが、そこを交換するためには屋根材が葺かれた時とは逆に屋根材を解体、撤去していかなければなりません。屋根材は軒から棟へと葺かれているので、解体時は棟から軒方向へと所定の位置まで剥がしていかなければなりません。屋根材は重ねられて葺かれている関係上、面単位での解体が必要になります。
棟から所定の位置まで解体し、新しい防水紙を重ね貼りしました。
軒方向に向かって、屋根材を重ねて葺いていきます。棟の近くまで到達しましたら、棟板金を固定する貫板を屋根に取り付けます。その貫板に棟板金を取り付けたら、屋根の部分的な葺き替えは完了です。新しいスレートと色褪せしたスレートでは大きく色が違いますが、この後、屋根塗装しますので、この際は解消されます。
横2列分だけ、色が違う状態となってしまいました。新しい屋根材と従来の部分では防水性も大きく異なるため、このままでは従来の部分は極めて傷みやすいので、屋根塗装でそれを解消いたします。
いよいよ屋根塗装と外壁塗装の工程に入ります。まずは高圧洗浄です。使用しているのはただの水道水ですが、エンジンで高い圧力をかけていますので、1平方センチあたり実に150kgという水圧になります。しつこい汚れも簡単に落とすことが可能です。ちなみに日本ペイントの屋根塗装の資料ではスレート屋根の高圧洗浄は100kg以上の圧力が推奨されています。
剥がれてきたり、ひび割れてしまった目地のシーリングを打ち換えます。目地のシーリングはこの隙間から雨水が内部に染み込むことを防いでいるだけでなく、地震などで外壁が動いた際に隣り合うサイデイングボード同士での緩衝も防いでいます。結構、重要な部分なのです。
遮熱塗料のサーモアイSiで屋根塗装を行います。太陽光を効率よく反射させることにより、屋根とその下の室内の温度上昇を防ぐという塗料です。サーモアイSiには専用の下塗り剤が用意されており、この下塗り剤にも反射機能があり、温度上昇を抑制します。
下塗りが終わりましたら、中塗りを進めながら、スレートの重なり部分にタスペーサーを挿入し、縁切りしていきます。縁切りとはスレートの重なり部分に適切な隙間を設けることです。この隙間がないと屋根材の下に入ってしまった雨水を排出できなくなってしまうので、雨漏りの原因になります。昔は塗料で塞がれてしまった部分を刃物などで切り込みを入れて隙間を作っていましたが、現在では下塗り後にタスペーサーという樹脂製のものを挿入して、雨水や湿気の出口を設けています。
続いて外壁塗装に移ります。まずはスーパーセランフレックスを密着させるための下塗りを行います。下塗りに同じダイフレックス社のワイドシーラーを使用しました。下塗りは基本的に1回塗りですが、外壁の状態が悪い時には2回塗りを行うこともあります。
スーパーセランフレックスで中塗りと上塗りを行います。スーパーセランシリーズには様々ものがございますが、スーパーセランフレックスが従来のものと大きく違うところはフレックスという名前が示すように塗膜の柔軟性が増したところです。目地のシーリングの上に塗装すると、シーリングの柔軟性に塗膜が追従することができず、ひび割れてしまうことが多かったのですが、スーパーセランフレックスは柔らかいので、ひび割れを抑えてくれるのです。
幕板と庇は白い外壁のアクセントとなるよう濃いめのチョコブラウンで塗装しました。雨樋は外壁と同じくホワイトです。幕板などの色に拘る方は多いのですが、雨樋の色に凝る方は少ないですね。雨樋も塗り替えの際はアクセントカラーとして使うことを考えてみましょう。素敵な塗り替えになるはずです。
1階はペールグレー、2階はホワイトという塗り分けになりました。以前は濃いめのグレーだったので、大きなイメージチェンジです。耐用年数が長いスーパーセランシリーズということで外壁の施工保証は15年をお付けしています。末永く、安心してお過ごしできるお家となりました。この後は定期点検に訪れますのでよろしくお願いいたします。
記事内に記載されている金額は2019年03月17日時点での費用となります。
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