外壁とお部屋の壁、その内部の構造とは?
普段の暮らしの中で、目に入る箇所は汚れや劣化にも気づきやすいですが、目に見えない箇所となるとあまり意識することも多くはありませんよね。「この外壁の中は、どんな構造になっているんだろう」と考えたことのある方はあまり多くはいないのではないでしょうか。外壁の内部にまでご興味を持たれるのは光熱費節約や快適性を高めるために断熱材等をご検討されるような場合くらいかと思います。
街の外壁塗装やさんは、その名のとおり、外壁塗装を主軸に屋根・室内等の塗装に特化したお店ですが、お客様にも是非外壁のことをよりよく知っていただきたいと思っております。外壁の構造について知ることは、外壁塗装の重要性についてもより深くご理解いただくことに繋がりますので是非最後までご覧くださいますと幸いです。
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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2種類の外壁構法とは?
2000年以前は直張り、以降は通気構法が主流
住宅の外壁に使用される建材は、時代によって変わってきています。1990年ごろまでは、モルタルが使われることがほとんどでした。その後からは窯業系のサイディングがメインとなり、近年では金属サイディングを使った住宅も増えています。
そして、構法もかなり変化しました。2000年ごろまでは、直張りといわれる防水紙の上から直接外壁材を取り付けるという工事が行われていました。2000年より後は、防水紙と外壁材の間に通気用の層を取り付ける通気構法がメインとなっています。
日本国内での通気構法は、1980年ごろに北海道で誕生したということですので、2000年より前に建てられたご住宅でも通気構法を取り入れられているケースもあります。
直張りのメリット・デメリット
現在はプレカットやユニット化といった技術が採用されており、建築用の資材をあらかじめ工場で加工することで現場での作業が大幅に削減されています。そのため通気構法であっても、コストを抑えて施工をすることが可能になりました。
直張りでは、外壁塗装の重要性が高くなります
外壁塗装は、どのような外壁材に対しても、雨水の侵入、浸透を防ぎ、外壁に水分による劣化が起きないよう食い止めることが一番の役割となります。
もし雨水が侵入してしまった場合、直張りは通気層を設けていないためより被害が大きくなってしまいます。外壁塗装は表面を保護することで、雨水による内部への浸食も防いでくれているのです。
通気構法(工法)のメリット・デメリット
現在はプレカットやユニット化といった技術が採用されており、建築用の資材をあらかじめ工場で加工することで現場での作業が大幅に削減されています。そのため通気構法であっても、コストを抑えて施工をすることが可能になりました。
直張りと通気構法を判断する方法
1.建築された時期を確認する
施工不良等によって新築住宅になんらかの不具合が生じた場合に保険金が支払われる、住宅瑕疵担保責任保険という制度があります。新築住宅を供給する事業者はこの住宅瑕疵担保責任保険への加入を義務付けられているのですが、設計施工基準には平成21年7月以降、「外壁を乾式仕上げとする場合は通気構法とする」と定められています。そのため、平成21年7月以降に建てられたお住まいであれば直貼りではなく、通気構法が用いられていると考えることができます。
2.住宅の構造を確認する
通気層にある程度の空気の出入りがあるようにするには、ある程度の隙間がなければなりません。そのため、土台や水切り金具と外壁材の間にドライバーの柄の部分(7㎜ぐらい)が入るようであれば通気構法である可能性が高まります。
それ以外にも、通気構法の場合は通気層を設置するため外壁からお部屋側の壁までの厚みが広がるという特徴もあります。外壁からお部屋側の壁にかけて、厚さが薄ければ直張り、厚ければ通気構法であるかと思われます。
直張りサイディングの構造と各部位の名称(2000年ごろまでのご住宅)
通気構法のサイディングの構造と各部位の名称((2001年より後のご住宅)
従来構法(工法)(直張り)のモルタル外壁の構造と各部位の名称
通気構法(工法)のモルタル外壁の構造と各部位の名称
外壁を構成する各部位の名称とその役割
①外壁材(窯業系サイディング・金属サイディング)
建物の一番外側に設置され壁となる部分。窯業系サイディングはセメントに木質系繊維を混ぜることで作られ、金属サイディングはメッキ鋼板やアルミ・ステンレスから作られています。そして出荷される前に工場で塗装をすることで表面をコーティングし、耐久性を高めます。
②透湿性の防水シート
気体の粒子が液体よりも小さいことを利用し、水を通さずに湿気(水蒸気)だけを通過させることのできるシート。
③構造用合板
薄い板を木目の向きを互い違いにしながら貼り合わせた板。どんな向きから力がかかっても高い抵抗力を発揮することができるため、木造の建物に使うことで地震や強風への耐性を向上させることができる。
④間柱
柱と柱の間に設置されるため「間柱」という。構造用合板などが動かないようにしたり、ご住宅の強度を高めるための下地材。壁の厚さによって太さが違ってくる。
⑤断熱材(この図では間柱の間に隠れています)
室外の熱をお部屋の中へ伝えないようにしながら、室内の暖かい空気を室外へ出さないようにするための資材。ガラス繊維や発泡樹脂を使って空気を閉じ込め、動かないようにすることで、熱が移動しないようにしている。
⑥防湿シート
湿気を遮断するシート。壁の中に湿気が入り込まないようにし、壁の中に結露ができないようにするためのもの。築年数が長いお住まいだと設置されていないケースもある。
⑦室内下地(合板・石膏ボード)
建物内の壁の下地になるもので、最近は火事を防ぐために石膏ボードが使われるケースが多い。昔の建物では下地をつけずに化粧合板が取り付けられて室内の壁にしていることもある。
⑧クロス(壁紙、または化粧合板)
近年では、石膏ボードにクロスを貼るのが通常の工事手法。部屋の中の壁に天然の木材が使われているケースでは室内下地と両方の目的で使われることもある。
⑨通気層
通気構法の最大の特徴とも言える部材。窯業系サイディングや金属サイディングの内側にスペースを作り空気の流れで湿度が高くならないようにする。カビや結露の発生を防ぎ、お住まいを長く維持させることができるという利点がある。
⑩胴縁(通気胴縁)
窯業系サイディング・金属サイディングを固定するための下地材。壁材を取り付ける向きによって縦胴縁と横胴縁がある。通気層を取り付けるために設置されるものは通気胴縁とも呼ばれ、固定用の下地材としての働きと、外壁内の通気性を向上させる働きの双方を兼ねている。
⑪モルタル(表面の塗装を含む)
セメント・砂・水を合わせて練った建築資材。吸水性が高いため、外壁材として使用するには塗装をして防水性能を高めなければならない。
⑫ラス網
モルタルを付着させるための金網。接する面積をなるべく広くするため、ワイヤーそれぞれが波状になっている。
⑬アスファルトフェルト(防水紙)
古紙と繊維を合わせたフェルト(フェルト紙)にアスファルトを含ませることで、防水性を付与させたもの。
⑭木ずり(ラス網と防水紙を固定)
30㎜ほどの幅の板、あるいは、それらをスノコのようにして間柱に取り付けた下地のこと。ラス網と防水紙を固定する。
⑮木ずり、もしくはモルタル仕上げ用の合板や建材
近年では通気構法のためにモルタル外壁用にラス網から防水紙、木ずりまでが全て一つになった建設資材が使用されるケースも多い。