ニチハのパミール製品には塗装は適していません!
なぜなら、パミールは塗装ができない問題を抱えた化粧スレート屋根材だからです。その理由は、パミールが、表面の素材が剥がれていくミルフィーユ現象や、釘の腐食を引き起こすことにあります。
パミールに塗装してしまった場合、どのような影響があるでしょうか?最適なメンテナンス方法は?
パミールの屋根はもはやメンテナンスが必要な段階にあります。パミールに関する疑問やニチハの対応について、まとめてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
今回ご紹介する「パミール」は大手の屋根材・外壁材メーカー「ニチハ」が1996年~2006年に販売したスレート屋根材です。パミールが販売されていた時期は、アスベスト(石綿)による健康被害が取りざたされていた時期と重なります。
「労働安全衛生法施行令」によりアスベストの製造・使用・輸入等が全面禁止されたのは2006年ですが、屋根材メーカーはそれより以前の1999年にはすでに「アスベスト含有屋根材の製造中止」を発表していたようです。ちょうど「パミール」が製造されていた期間は、各屋根材メーカーが軽量・耐久性・断熱性に優れたアスベスト(石綿)に代わる屋根材の開発に試行錯誤しており、問題を抱えた屋根材が誕生した時期でもあります。
ニチハのパミールはこのような経緯から生まれた「ノンアスベスト屋根」の先駆け製品です。今回のテーマは「パミール」ですが、この時期には他のメーカーからも塗装ができない問題を抱えた屋根材が誕生しています。
【注意】塗装ができない屋根材
☑ セキスイ かわらU
☑ クボタ アーバニー・コロニアルNEO 等
☑ 松下電工 レサス・シルバス
屋根材の製造方法は各メーカーによって異なるため、劣化の経過や状態もさまざまです。今回はパミールについて解説しますが、屋根材ごとに最適なメンテナンス方法を選択してください。パミールは薄い板を一枚一枚重ね合わせて圧縮する「抄造法(しょうぞうほう)」で製造されています。
2024年現在で考えれば築16~28年程経過していると考えられます。屋根のメンテナンス時期を迎えているため、屋根の破損が見られるお住まいもあるかと思います。ではパミールにはどのような不具合がでるのか、具体的な劣化症状について見ていきましょう。
一般的な化粧スレート屋根材は約10年で塗膜が劣化し、色あせや苔・藻の付着が見られるようになります。通常なら塗装メンテナンスで劣化は改善可能なのですが、パミールには塗装ができません。
パミールは抄造法(しょうぞうほう)で製造されているため、断面がミルフィーユのように層になっています。そのため経年劣化で層が表面から一枚ずつ剥がれる「層間剝離」が起こり、屋根材の素地が露出してしまうのです。
抄造法は層が重なり合っていることで、層の間に水が浸入しやすく剥がれの原因になります。剥がれて表面の白い素地が露出すると、吸水が進み劣化が進行するため放置してしまうと危険です。
パミールで心配なことは層の剥離以外にも「釘の腐食」があります。ニチハではパミールの固定用のラスパート釘に「耐食性表面処理」を施しているのですが、一部めっき層不足の釘が混入していることを発表しています。被膜の薄い釘は通常より錆や腐食を起こしやすいです。実際に屋根材の落下被害が報告されていますので、パミール屋根材をご使用の方は早急に点検・補修を行いましょう。
特に台風や強風の影響を受けやすい急こう配の屋根では注意が必要です。ご自宅の敷地内への落下も心配ですが、落下した屋根材が隣家の外壁や建具廻りに飛散してしまう恐れもあります。万が一隣家に損害が生じた場合、修繕費用を負担しなくてはいけません。ニチハは釘のリコールを発表していますが、お住まいに使用された釘がリコール対象かどうかなどよほど詳しい方ではないと分からないのではないでしょうか。
ニチハのパミールは層間剝離があるため、塗装での補修はできません。街の外壁塗装やさんでは、きちんと見分けて塗装以外のメンテナンス方法をご提案させていただきます。しかし経験の浅い塗装業者や、ただ契約を取りたいだけの悪徳業者はきちんと見極めず、パミールに塗装を勧めるケースがあるため注意しなければいけません。
塗装前には通常表面の汚れを落とすために高圧洗浄を行います。しかしパミール屋根材に高圧洗浄を行うと、層が剥がれ白い素地が表れてしまうため危険です。
高圧洗浄を行ったパミール屋根材は、通常の化粧スレート屋根材とは比べ物にならないくらい素地が露出し、塗装できる状態ではなくなります。実際に街の外壁塗装やさんでは、塗装業者からこのように屋根塗装ができなくなった件での問い合わせ・工事対応について相談を受けることがあります。
見た目では問題がないように思えても、隠れた欠陥を見過ごしてはいけません。街の外壁塗装やさんでは、無料点検の際にニチハのパミールと判断した時点で、お客様に塗装のご提案はいたしませんのでご安心ください。
パミールに対してのメーカー補償ってあるの?
ニチハのパミールはご紹介したようなトラブルから、使用上のリスクが高く報道番組でも取り上げられていたことがあります。また裁判やクレームに発展したケースもあり、パミールの保証に関する疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ニチハでは無料交換などは行っていません。釘に関してはリコールを発表していますが、パミール屋根材に関してはニチハのアスファルトシングル「アルマ」による「カバー工法」を推奨しています。ニチハが負担するのは屋根面積分の屋根材です。しかしカバー工法に必要なのは屋根材だけではありません。防水紙・棟板金などの副資材、足場仮設には別途費用がかかり、施工費も必要です。屋根材以外の費用はすべてお客様負担になることに注意しましょう。
提供された屋根材を使用してカバー工法を行うには、条件があります。築10年以内にパミールの不具合を発見・報告した事例のみが対象ですから、現状メーカーでの対応や補償がありません。ご自身の出費を抑えるためにも、これからご紹介する「正しいパミール屋根材のメンテナンス方法」をご参考にしてください。
ここまでご紹介させていただいたとおり、パミールには塗装によるメンテナンスができません。それではどのようにメンテナンスを行えばよいのでしょうか?
おすすめするパミール屋根材のメンテナンス方法は「屋根カバー工法」と「屋根葺き替え工事」の2種類です。
続いては、それぞれの施工方法について詳しく見ていきましょう。
屋根カバー工法
屋根カバー工法とは、既存の屋根材の上から新しい屋根材を被せる施工方法です。屋根が二重になるため断熱性・遮音性が向上しますが、重量負担がかかり耐震性が低下するリスクもあります。屋根カバー工法の利点は施工費用を抑えられるという点があり、既存屋根材をそのまま使用することでパミール屋根材を撤去するコストをかけずにメンテナンスを行うことが可能です。
ただし屋根カバー工法ではパミール屋根材を残しておくことになります。カバー工法を行う際には、雨漏りを起こしていないこと、そして下地の野地板が露出していないか必ず確認してください。
屋根葺き替え工事
屋根の葺き替え工事では不要なパミールを撤去し、新しい屋根材を設置します。下地の補修や補強だけでなく屋根の軽量化もできるため、耐震性が上がり地震に強いお住まいに生まれ変わります。屋根カバー工法と違い、屋根の下地に用いられている野地板や防水紙も含めて補修・交換するため屋根が新品同様の状態になり、予算が許す場合は屋根葺き替え工事をご検討いただくことがおすすめです。
既存の屋根材を撤去する際、アスベスト屋根材には別途費用が掛かりますがパミールはノンアスベスト屋根材です。撤去に別途追加費用が加算されることはありません。新しい屋根材には同じ化粧スレート屋根材を選んでも、軽くて耐久性の高い金属屋根材に替えてもよいでしょう。現在販売されている化粧スレート屋根材にはパミールのような問題は見られないためご安心ください。
ただし耐久性が高い金属屋根材や化粧スレート屋根材でも定期的な塗装メンテナンスは必要です。化粧スレートの塗装にはタスペーサーの設置やカッター・皮スキを使用した縁切り、金属屋根材には錆止め塗装など、必要に応じて正しいメンテナンスを行わなければいけません。そのためにも信頼できる専門塗装業者に依頼することが大切です。
問題がある屋根材は、今回ご紹介したニチハのパミールだけとは限りません。屋根の塗装だけ依頼するつもりが、次の例のように想定外の費用がかかることもあります。
☑ 塗装をするつもりだったのに塗装が出来ないと言われ予算内に収まらなかった
☑ 点検を依頼した後に屋根材の割れが更に酷くなってしまった
☑ 屋根材の種類が原因で火災保険が適用されなかった
現実的にパミールでは火災保険の適用は難しいといえます。特に2018年、2019年の大型台風以降はさらに審査が厳しくなっているようです。また上記の例のようなことが原因で塗装業者とのトラブルに発展したというケースもよくあります。なるべく経験豊富な業者を選び、トラブルを回避しましょう。
街の外壁塗装やさんでは無料で現地調査を行っております。お問い合わせいただいた箇所だけでなく屋根・外壁を細かくチェックし、契約後に追加工事が発生することや、追加費用が発生することのないよう街の外壁塗装やさんでは努めております。
パミール屋根材の点検にあたっては、劣化したパミール屋根材に上がるとかえって割れが発生することがあります。そのため代わりに行うのは目視点検です。そのうえでパミール屋根材では塗装で対応できないことをお客様にご説明のうえ、最適なメンテナンス方法をご提案させていただきます。
街の外壁塗装やさんでは20,000棟を超える施工実績があります。
☑ 使用している屋根材の種類が分からない
☑ 塗装を検討しているが屋根の状況が分からない
☑ 屋根材を長く使い続けるために適切なメンテナンス方法を知りたい
このようなお悩みをお持ちの方はぜひ私たち街の外壁塗装やさんにご相談ください。点検・お見積りは無料で行っております。また新型コロナウイルス感染対策もしっかりと行ったうえでお伺いいたしますので、そちらもご安心ください。また対面の前にオンラインでもご相談を受け付けておりますので、こちらも合わせてご利用いただければと思います。
その理由と正しいメンテナンス方法まとめ
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パミール屋根材はニチハが1996~2008年まで販売していた化粧スレート屋根材です。アスベストが問題になったことをきっかけにパミールはノンアスベスト屋根材として抄造法で製造されましたが、塗装できないという大きな問題を抱えています。
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屋根材がパミールである場合は、決して塗装によるメンテナンスを行ってはいけません。パミール以外にも塗装ができない・補修の意味がないという屋根材があるためご注意ください。
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パミール屋根材の問題点は大きく2つです。層間剥離を起こして下地が露出してしまうリスクがある点と、ラスパート釘の一部に被膜厚不足がある場合、錆によって釘が腐食し屋根材が落下してしまうという点が挙げられます。
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ニチハはパミールが使用された築10年以内のお住まいに対して屋根材支給等の対応を発表しています。しかし現在では製造時期よりすでに10年以上が経過しているため、メーカーでの対応や補償は望めません。
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塗装を行えないパミールのメンテナンスは、屋根カバー工法か屋根葺き替え工事の二択です。化粧スレート屋根や金属屋根など、施工後の新規屋根材には定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。屋根カバー工法や屋根葺き替え工事を行った後は、新しい屋根材の正しい塗装やメンテナンス方法を把握しておきましょう。
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経験豊富な塗装業者であればパミールの見極めは簡単です。街の外壁塗装やさんでは施工実績が20,000棟を超えるため、契約後のトラブルや屋根材に関するご不安などもぜひお気軽にご相談ください。