折板屋根は、その独特の形状から倉庫やプレハブ、工場などの大規模な建物によく見られます。瓦、スレート、金属製屋根と異なる施工とメンテナンスが必要で、小さな損傷を見落とすと広範囲の修理が必要になることがあります。雨漏りは内部設備や保管品にも被害を与えるため、折板屋根は定期的な塗装や修繕が不可欠です。
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折板屋根とは
まず折板屋根とはどのような屋根材かをご紹介します。折板屋根は厚さ0.6mmから1.2mmの鋼板を大きめの波型に成型した屋根材です。板状の物は紙であれ、鋼板であれ、平らな形状よりは折り曲げた形状の方が強度が高いため薄い鋼板でも建物を守ることができます。折板屋根は時折二等分を意味する「折半」と表記されることもありますが板を折る「折板」が正しい表記となります。
折板屋根に似た形状の大波スレートや小波スレートなども倉庫や工場で使用されていますが、アスベスト含有の屋根が規制されるようになってからはこれらを使用した建物も減少しています。一方で折板屋根はただの鋼材を成型しているだけのため今も倉庫や工場で広く使用されているのです。ここからはそんな折板屋根の具体的な特徴をご紹介していきます。
折板屋根の特徴の1つ目は軽量でありながら耐久性が高いことです。折板屋根に使われる鋼板の多くはアルミニウムと亜鉛合金をメッキ加工したガルバリウム鋼板です。ガルバリウム鋼板は最近では戸建住宅の外壁や屋根材としても使用され注目を集めています。
そんなガルバリウム鋼板はそれまで広く使われていたトタンとりも錆びにくく、重さも軽いため建物にかかる負担を抑えることが可能です。そのため地震による揺れも軽減され、建物の倒壊や破損も防げるため万が一の時の影響が大きい工場や倉庫の屋根材としてガルバリウム鋼板による折板屋根は最適と言えます。
折板屋根の特徴の2つ目は施工の自由度が高い点です。鋼板で作られている折板屋根は加工がしやすいためどのような形状の建物にでも対応できます。例えば長さが100mを超えるような折板屋根が必要なケースでも現場に加工のための機材を持ち込んで現場で成型することで施工が可能です。
また弓のように湾曲した形状に加工することも可能で東京ビックサイトやプロ野球のドーム球場に使われることもあり、折板屋根の自由度の高さがうかがえます。
折板屋根の特徴の3つ目は工期の短縮が期待でき、施工費用を抑えられるという点です。折板屋根は建物の上に直接施工できるためタイトフレームなどの下地材は不要になります。
下地材の施工があるとそれだけ工程も増え、工期も長くかかりますが、折板屋根は下地材が必要ないため工程が短縮でき、下地材の費用や工事費用を抑えることができるためコストパフォーマンス面で優れていると言えるでしょう。
この様に折板屋根には様々なメリットがあるため多くの倉庫や工場で使用されているのです。そんな自由度の高い折板屋根ですが屋根面積や屋根材によって建物との固定方法が3種類あります。ここからはそんな折板屋根の固定方法をご紹介していきますのでそれぞれの特徴を抑えていきましょう。
折板屋根の固定方法
1.重ねタイプ
固定方法の1つ目はタイトフレームから突き出たボルトを折板屋根に貫通させて固定する「重ねタイプ」です。折板屋根に穴を開けて固定するという非常にシンプルな施工方法ですが風の影響を受けにくく駐輪場の屋根や小さい建物など小規模な面積で多く使用される固定方法です。
2.はぜ締めタイプ
固定方法の2つ目は2枚の折板屋根でタイトフレームの上に取り付けた金具を挟み込み、折り曲げた部分を固定する「はぜ締めタイプ」です。はぜ締めタイプは屋根の外側にボルトが出ないため雨水が浸入しにくく見た目も非常に綺麗に仕上がります。このはぜ締めタイプは面積の広い屋根の建物で多く施工されます。
3.嵌合タイプ
固定方法の3つ目は2枚の折板屋根をタイトフレームに金具を使って固定し、ボルトが屋根の外側に出ないようにキャップを取り付ける「嵌合タイプ」です。どの方向からでも施工できるため自由度が高い固定方法になります。
折板屋根は構造的に風雨に強い屋根ですが金属屋根やスレート屋根と同様にメンテナンスが欠かせません。
折板屋根は鋼板でできているため放置すると錆びて劣化します。折板屋根の中でも特に錆びやすく雨漏りの原因になりやすいのがボルトの部分です。屋根材よりもボルトが先に錆びてしまいその錆が折板屋根に移り、折板屋根自体が錆びていくという形で劣化していきます。
するとボルトからのもらい錆により折板屋根に穴が開き雨漏りが発生してしまいます。
先ほども記載させていただきましたが、折板屋根は下地材が不要のため屋根の下がそのまま屋内となります。そのため雨漏りを起こすと雨が直接屋内に浸入してしまうため精密機械を使用する工場や水分が厳禁の倉庫の場合、建物の運用に多大な支障をきたす恐れがあります。そのような事態を避けるためにもメンテナンスを施し雨漏りを防止しなければいけません。ここからはそのための折板屋根のメンテナンス方法をご紹介していきます。
1.屋根塗装
メンテナンス方法の1つ目は屋根塗装です。住宅用の金属屋根と同様に折板屋根でも錆を防ぐために塗装によるメンテナンスが効果的になります。特にボルトがそのまま露出する重ねタイプははぜ締めタイプや嵌合タイプに比べて錆が進行しやすいため錆を発見したら早期に塗装によるメンテナンスを行う必要があります。
2.屋根カバー工法
メンテナンス方法の2つ目は屋根カバーによるメンテナンスです。経年劣化が著しく塗装によるメンテナンスでは不十分な屋根には既存の折板屋根の上から新しい屋根を被せる「屋根カバー工法」があります。屋根材が2重になることで断熱性と遮音性の向上も期待でき、既存の屋根材と新規の屋根材の間に断熱材を挟めばその効果はより大きくなります。
3.葺き替え工事
屋根の劣化が酷く、屋根材が破損してしまっている場合は全面的に屋根を葺き替える「葺き替え工事」もご検討ください。葺き替えれば屋根は新品になりますが、葺き替え工事を行っている間は屋根がなくなるため倉庫や工場が機能しなくなることも考えなくてはいけません。そのため葺き替え工事の行う際は工程を綿密に調整の上行いましょう。
折板屋根の耐用年数は一般的に20年から30年ほどです。しかし倉庫や工場といった建物は30年を超えて使用されることは当たり前にあります。むしろ30年で倉庫や工場を建て替える方が珍しいと言っても過言ではないかもしれません。
そのように長期間にわたって使用される大規模な建物だからこそリフォームとなると高額な費用が掛かることは頭に入れておかなければいけません。メンテナンスを行うにしても建物内の業務との調整もあるため容易とは言いづらいです。だからといってメンテナンスを怠り放置すれば雨漏りにつながり、建物内での業務に支障をきたすことも考えられます。
そのため私たち街の外壁塗装やさんでは、折板屋根のメンテナンスとして比較的リーズナブルな価格で行うことのできる屋根塗装をおすすめさせていただいております。定期的に塗装メンテナンスを行うことによって屋根の劣化・被害の悪化を防ぎ、工事費用を最小限に抑えていきましょう。
折板屋根を点検してみて多少錆が発生している程度で雨漏りも起きていないような状態であれば折板屋根を塗装による塗膜で保護することができます。折板屋根に色褪せや錆による赤い変色が見られる、チョーキングで触れると白くなるなどの現象が起きていたら塗膜が劣化していますので塗装メンテナンスを検討しましょう。
ここからは折板屋根の塗装メンテナンスを行う際の具体的な工程をご紹介していきます。工程自体は一般的なご住宅の塗装と変わりはありませんので金属屋根を使用している方は是非ご参考ください。
1.足場仮設・メッシュシート
塗装工事を行う前に足場を仮設しメッシュシートで建物の周囲を覆う作業は戸建住宅でも倉庫や工場でも同様です。倉庫や工場などの屋根は緩い勾配のことも多く足場がなくても作業はできるように見えますが、折板屋根の波型に成型された屋根の上は歩くだけでも神経を使うためやはり足場を組んでメッシュシートで覆った方が安全性と作業性の面で良いでしょう。また工事の際に足場を仮設する場合はその都度費用がかかってしまうため、塗装工事と同時に外壁や雨樋などの不具合箇所を併せて工事すると費用も抑えられるためおすすめです。
2.高圧洗浄
足場を組んだら次は高圧洗浄で汚れを落としていきます。折板屋根の谷の部分はその形状から特にゴミや汚れが溜まりやすいため入念な高圧洗浄が必要です。塗膜の密着性を高めるためにもチョーキングや塗膜の剥がれなどはしっかり洗い流して乾燥させましょう。
3.下地調整
高圧洗浄後、錆を落としていくため電動工具などでケレンを行います。波型の折板屋根はデコボコしているためケレン作業も非常に手間がかかりますがここで手を抜くと塗装した後に塗膜が剥がれてしまったり完全に落とせなかった錆が拡大し、腐食により折板屋根に穴を開けてしまう恐れもあるため手間がかかっても丁寧に行いましょう。
また錆の進行が酷くなりやすいボルト周辺で小さな欠けなどがある場合はシーリングで塞ぐなどの補修をしたうえで塗装を行ってください。
4.屋根塗装
下地調整が終わったら塗装に入ります。塗装は住宅の屋根や外壁と同様に下塗り・中塗り・上塗りの3段階で行い、塗膜を形成します。下塗りには錆止め効果のある塗料を使用し錆の再発と拡大を防ぎましょう。中塗りと上塗りには紫外線や雨水などによる劣化を防ぐために耐久性の高いシリコングレード以上の塗料を使用し、次の塗装までの期間をできるだけ伸ばすと塗装費用を抑えることができます。
屋根の表面というのは建物の中でも太陽光を最も浴びやすい箇所のため暑くなりやすい箇所です。夏場など屋根の熱が屋内に伝わると建物内に様々な悪影響を及ぼす恐れがありますので遮熱塗料や断熱塗料を使用しても良いかもしれません。
5.ボルトキャップ設置
通常のお住まいの屋根塗装であれば塗装の完了で作業は終了ですが折板屋根の場合は最後にボルトキャップを取り付けて作業が完了になります。はぜ締めタイプや嵌合タイプではボルトが外部に露出されないため必要ありません。しかし重ねタイプはボルトが露出するためそこから雨漏りを起こす恐れがあります。
ボルトからの錆による雨漏りを防ぐためにもボルトキャップを設置し折板屋根全体の劣化を予防しましょう。
塗装工事のお見積りを作成するにあたって現地調査を行うのはもちろんのこと、図面による屋根面積の確認も行います。その際に「図面でみた屋根面積と塗装面積が違う」とご質問をいただくことがありますがこれは折板屋根特有の疑問点で、決して計算を間違えているというわけではないのです。
図面上で見れば屋根は平面ですが、折板屋根を断面で見るとデコボコしています。このデコボコの分だけ鋼板が多く使われているため折板屋根の塗装面積は図面で見るよりも広くなります。
折板屋根の塗装費用のお見積りをご覧いただいた際に、塗装面積の計算方法を知らないと次のようなトラブルが発生する恐れもあります。
① 施工面積が狭いと思い、安い業者に頼んだら塗料不足で追加で費用が掛かってしまう。
② 塗装面積を広く計算してしまい高額な見積金額で塗装を依頼してしまう。
一般住宅でも同様ですが工場や倉庫の屋根のメンテナンスを依頼される際には、施工面積の計算方法や施工方法を把握しておいて損はありません。正しく施工を行ってくれる業者を選定するためにもこの機会に折板屋根の塗装面積の計算方法を理解しておきましょう。
1. 屋根面積×塗装係数
スレート屋根やアスファルトシングルのように平坦な屋根材であれば図面上屋根面積と塗装面積はほぼイコールになるため問題ありません。しかし凹凸のある折板屋根ではそうはいきません。折板屋根の塗装面積の計算方法は2種類あります。その1つが図面上の面積に係数をかけて計算する方法です。以下の表をご覧ください。
このように折板屋根だけではなく洋瓦や大波スレートなど平坦ではない形状の屋根材の塗装面積を計算する際は屋根面積に屋根材ごとの係数をかけることで計算ができるのです。もちろん屋根材のメーカーや製品ごとに多少の誤差はありますが大きくずれることはありませんので大体の塗装面積を把握することができます。
2. 計算から塗装面積を求める
係数を用いた計算で得られる塗装面積は図面の面積に係数をかけるため精密に計算しているわけではありません。より正確に塗装面積を計算したい場合は計算対象となる屋根材の凹部の斜辺の長さを計算することで塗装面積を求めることができます。この際に「三平方の定理」を使用し計算をすることで正確な塗装面積が算出できるのです。
三平方の定理はA²+B²=C²(斜辺)です。
例えば長辺が150mm、短編が80mmの場合、
150²+80²=170²
となり斜辺は170mmになります。
屋根の水平の長さが分かれば以下の計算により正確な塗装面積を計算することができます。
耐久性と耐用年数のため、塗料1缶当たりの塗装面積はメーカーにより定められています。塗料が1缶多いか少ないかで塗装費用は変わってきますので塗装メンテナンスを行う上で塗装面積を求めることは非常に重要になってくるのです。
塗装面積との兼ね合いで塗料が多少余ってしまう分には問題ありません。逆に塗料が足りず塗装回数を減らさる、色ムラが生じてしまうなどの問題が起きると塗装業者とトラブルになってしまいます。後からそういったトラブルが生じる危険性を避けるためにも見積もりの段階で塗装面積は正しいかを把握し塗装業者の計算に問題がないかをチェックしておきましょう。塗装業者としても後からトラブルが発生しクレームに繋がるよりも事前に細かく打ち合わせをしてトラブルを避けた方が良いと考える業者が多く、事前にそういった点を細かく打ち合わせできない業者には注意した方が良いです。
ここまで折板屋根のメンテナンスについてご紹介してきましたが折板屋根はそもそも耐久性に優れるためそれほど頻繁にメンテナンスが必要というわけではありません。またメンテナンス時期には折板屋根の状態に適したメンテナンスを行い、必要のない工事を行わないように注意することで工事費用を抑えることにもつながります。
耐久性の高い折板屋根だからこそ正しい塗装メンテナンスを行うことで通常よりも長く健全な状態を維持できます。そのためにも折板屋根のメンテナンス時期を見極めることが重要なのです。
折板屋根に錆が発生していないか、塗膜の劣化がないかを10年から15年の周期でチェックしましょう。
チェックを踏まえて塗装メンテナンスを行う際は塗装業者任せにするのではなく、下地調整でしっかり錆を除去しているか、下塗りで錆止めをムラなく塗っているか、ボトルキャップの設置漏れはないかなどをお客様自身でもご確認いただき、塗装後の劣化を防ぎましょう。お客様自身による確認が難しい場合は打ち合わせ段階での作業が間違いなく行われたかを確認するために工程ごとに施工写真を撮影してもらい写真によって確認しても良いですね。
私たち街の外壁塗装やさんでは工事に関する打ち合わせの内容を打ち合わせシートに記録し、お客様とのやりとりを相互に確認できる体制を整えています。また点検から施工管理までを1人の担当者が責任を持って行いますので「誰に説明すればいいかわからない」「担当者が違うから情報に食い違いがある」などの問題も起きません。
「折板屋根のメンテナンスをした方が良いか見てほしい」「だいたいどれくらいの費用が掛かるかを知りたい」など具体的な塗装のご相談でなくても構いません。折半屋根から雨漏りが起こってしまう前にメンテナンスを行うためにもぜひ私たち街の外壁塗装やさんにご相談ください。点検・相談は無料で承っております!
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折板屋根は鋼板を波型に成型し高い強度と自由度を持たせた屋根材です。固定方法は屋根材の種類や面積によって異なるのでそれぞれの特徴を把握しておきましょう。
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折板屋根のメンテナンスには塗装・屋根カバー・葺き替えの3つの方法がありますが葺き替え工事は工事中、建物が使用できなくなってしまうため現実的ではありません。葺き替えが必要になる前に塗装メンテナンスで錆による腐食・穴あきを防ぎましょう。
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折板屋根の塗装メンテナンスは通常の金属屋根材と同様ですが重ねタイプの場合はボルトの劣化を防ぐボルトキャップの設置が見積書に記載されているかを確認しましょう。夏場の熱が屋内へ伝わることを防ぐために遮熱・断熱塗料の使用もおすすめです。
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折板屋根は凹凸があるため図面上の屋根面積=塗装面積ではありません。詳細な塗装面積を知りたい場合は屋根面積に係数をかけるか三平方の定理を利用した計算により求めて下さい。
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折板屋根は耐久性が高く、頻繁なメンテナンスは必要ありません。だからこそメンテナンスは適切な時期に適切な方法で行う必要があります。折板屋根のメンテナンスの時期や方法を相談したい、具体的にどれくらいの費用が掛かるのかを知りたいなどの疑問・ご質問がございましたら私たち街の外壁塗装やさんにご相談ください。無料で点検・お見積りをさせていただきます。