国内に建てられた住宅の大半がスレート(カラーベスト・コロニアル)の屋根です。スレートがここまで普及をした背景にはやはり、屋根材の中でも比較的安価であるという点があります。さらに工期もそれほど必要ありません。スレート屋根は吸水性が高く塗装による防水性の付与が必須となりますが、定期的に塗装リフォームを行うことで屋根材自体の耐久性が維持され、メンテナンスコストを抑えることもできます。今回の記事では、より長くスレート屋根を維持するためにはどのように塗装リフォームを行っていけばいいのかについて、詳しく解説をしていきます!
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- ・スレート屋根を長く維持するためには塗装が不可欠
- -スレート屋根に塗装を行う一番の目的は防水性の向上
- -吸水を防ぐことで凍害への耐性も高まる
- -スレート屋根はいつ塗り替えすればいいの?
- -最適な塗装時期を逃してしまった場合はどうする?
- -スレート屋根の特徴と成分
- ・スレート屋根の正しい塗装方法
- -間違った塗り替えをすると雨漏りが発生します
- -雨漏りを防ぐ工程、縁切り
- -タスペーサーで縁切りして通気性を確保
- ・スレート屋根に最適なおすすめの塗料
- -夏の暑さを防ぐ遮熱塗料
- -色褪せを抑え、塗膜の長寿命化を実現するラジカル制御型塗料
- ・屋根の塗り替えで足場を設置するなら、同時に外壁塗装の検討がオススメ
- ・スレート屋根塗装の実際の施工例
スレート屋根を長く維持するためには塗装が不可欠
街並みを見下ろせるような少し高い場所からは、いろいろなお住まいの屋根を見ることができます。古くからある立派な木造住宅の瓦屋根やモダンな陸屋根など、いくつもの違った種類の屋根があります。地域によって違いはあるかもしれませんが、数ある屋根の中でも最もよく見られるのが、今回ご紹介させていただくスレート(カラーベスト・コロニアル)屋根です
スレートを屋根に使用したお住まいの中には苔や藻が繁殖してしまい色が変わってしまっているような屋根も見られます。この苔や藻の発生は、防水性が劣化しているサインなのです。湿気を好む苔や藻は、スレートの塗膜が劣化して吸水しやすくなることで発生しやすくなるため、これらの症状が見られる前に塗装を行い、スレートに防水性を付与してあげることが適切なメンテナンス方法です。
しかし、リフォーム業者の中には「スレート屋根は塗り替え不要」と言い切っている業者もいます。その理由は「見た目が良くなるだけで、塗装によって耐久性が高まるわけではないから」ということのようです。街の外壁塗装やさんは、そのような考え方は間違っていると、断言することができます。
スレート屋根に塗装を行う一番の目的は防水性の向上
確かに、屋根材自体が大きく損傷しているような状態の場合は塗装リフォームでは耐久性を高めることが難しいケースもあります。このような場合は屋根葺き替え工事や屋根カバー工事など、より全体的な改修工事を行わなければいけません。しかし、屋根の損傷が進行するより前、新築から10年前後を目安に塗装リフォームを行っていただくことで屋根材の損傷を抑制し、工事費用を抑えることが可能になります。
このように、塗装を行う本来の目的はスレートに防水性を与えることで耐蝕性を高め、より長く・安価にスレート屋根を維持することにあります。
金属では塗装によって表面が水と接触しないようにすることでサビを防ぐことができますが、スレート屋根も同様なのです。塗膜によってコーディングをすることで雨水が直接スレートに触れることがなくなり、スレートが吸水してしまうことを防ぐことができます。
スレートは吸水によって膨張が、乾燥によって収縮が起きるのですが、吸水をさせないことでこれらの現象も発生しません。膨張や収縮は屋根材の割れや欠け、反りなどの損傷を招くため、防水性の付与によってこれらの劣化症状の発生も抑えることができるのです。
吸水を防ぐことで凍害への耐性も高まる
寒い地方で発生しやすいのがお住まいへの凍害です。建築部材が水を吸収し、その水分が凍結することで膨張して部材が壊れてしまう現象です。
水分は凍結することで約9%体積が増えます。この際の膨張力はおよそ2000気圧と同程度で、1平方センチの面積に約2トンの圧力がかかることになります。そんな力がかかれば、どんな部材でも容易に破壊されてしまいます。
凍害は、特別寒い地域だけに発生するものではなく、冬場に霜が降りたり水が氷ったりするところであれば、どこでも起きるものです。冬でも暖かな地方以外は、冬期は屋根に霜が付くこともありますし、雪が積もることもあるでしょう。このような凍害を防ぐためにも塗装メンテナンスが有効です。防水性を付与することで、屋根に染み込んだ水分が凍結することを抑制しましょう。
スレート屋根はいつ塗り替えすればいいの?
「スレート屋根は新しく建ててからどのぐらいのタイミングで再塗装すればいいのか」と疑問に思われるかもしれません。これは業者によっていろいろ考えはあると思いますが、先述のとおり10年を目安にしていただけると間違いがありません。もちろん、より早い時期にリフォームをご検討いただいても問題ないのですが、ハウスメーカーによっては「他社が工事を行った場合は保障の対象外とする」としているところもあるため、新築時の保証期間が過ぎたタイミングで塗り替えるのがいいでしょう。
また、環境等によっては塗膜が10年よりも早い段階で劣化をする場合もあります。地上から屋根の状態が確認できる場合は苔や藻、色褪せ、汚れが見られたタイミングで早期にリフォームをご検討されることをオススメします。
最適な塗装時期を逃してしまった場合はどうする?
すでに新築から10年以上が経過しているという方は、なるべく早期に点検を業者に依頼されることをおすすめします。防水性が落ちているため、その分屋根の劣化の進行も早いです。
スレートは非常に多く使われている屋根材ですので、メーカーから様々な塗料が出ています。すでに損傷したスレートを保護し、耐久性を高めてくれるような下塗り材も販売されています。街の外壁塗装やさんでも様々な商品を試してまいりましたが、ベスコロフィラーという下塗り材は最も効果的でした。
通常、傷んだスレートはフィラーによる下塗り、シーラーによる下塗りと2回の下塗り工程を必要としますが、ベスコロフィラーはシーラーレスフィラーです。フィラーとシーラー、両方の機能を持っているので、傷んだスレートであっても下塗りは1回で済むのです。お値段も一般的なシーラーとほとんど変わらないためお勧めできます。
どんな屋根材でも傷めてしまうと次の選択肢が少なくなります。便利な製品があると言っても、早めにメンテナンスするに越したことはないのです。
スレートというと本来は天然の粘板岩を薄く切り出して成型したものでしたが、現在では工場で製造・加工されたものがそう呼ばれるようになりました。昔は天然スレート、人造スレートと区別されていましたが、いつの間にかそれがなくなり、スレートと言えば工場で製造・加工されたものを指すようになりました。
スレートの厚みは約5~6mm程度と薄く、セメントに繊維を混ぜ合わせ、成型したものです。セメントに防水性はありませんから、工場で塗装されてから出荷されます。スレート屋根に塗装するというのは工場出荷時に状態を近づけるという観点からも正しいものなのです。
スレートの他にカラーベストやコロニアルと呼ばれる理由は「カラーベスト」や「コロニアル」が商品名として使われていたからです。呼ばれ方が違っても厚さや主成分はほぼ同じです。
余談ですが、現在の戸建て住宅に最も使用されている外壁は窯業系サイディングです。窯業系サイディングもセメントに繊維を混ぜ合わせ、成型したものですから、現在のお家はセメントと繊維の建物ということになります。
屋根材としての流通量も多く、リフォームとして塗り替えも多く行われているのですが、未だに間違った屋根塗装をされてしまうケースがなくならないのがスレート屋根です。
塗装の基本は「塗る部分を綺麗にして乾燥させる」、「適切な下塗り材を使って中塗りと上塗りの密着率を上げる」、「中塗りと上塗りで仕上げる」の3つで、充分な乾燥時間を経てからこれらを行います。スレート屋根を塗装する際はこれら基本の他、十分な屋根の知識が必要になります。
スレート屋根に間違った塗り替えをすると雨漏りが発生します
建設や建築に詳しい方でないと、ちょっと理解しがたい話だと思うのですが、ほとんどの屋根には意図的に隙間が設けられていることをご存知でしょうか。
これらは通気のための隙間で、結露の原因となる水蒸気や屋根材の下に入り込んでしまった雨水を排出とするためにあります。屋根は密閉されているわけではないのです。
これらの隙間はもちろん、雨が入り込まないような開け方をされているのですが、横殴りの雨や豪雨の場合、屋根材の下に雨が入り込んでしまうこともあります。屋根材の下には防水紙が敷かれており、室内側に雨水を浸入させることなく、排出できるようになっているのです。室内で雨漏りが起こっているという場合は、屋根や外壁の不具合の他、この防水紙にも不具合が発生していることが多いです。
スレート屋根も屋根材と屋根材の重なり部分は全て屋根材の下に通じる隙間です。この隙間は非常に狭く、屋根塗装をしてしまうと塞がってしまうこともあります。塞がったままにしておくと、水蒸気や入り込んだ雨水を排出できなくなり、雨漏りしてしまうのです。
また、隙間が非常に狭くなってしまうと、毛細管現象が発生し、雨水を吸い上げてしまうこともあります。吸い上げられた雨水は排出されないことがほとんどなので、これも雨漏りの原因となるのです。
事実、街の外壁塗装やさんでは「屋根塗装してから何かお部屋がジメジメするようになり、かび臭く感じるようになったと思ったら、雨漏りしてきた」というご相談を何回も受けています。
点検してみると、通気や雨水排出のための適切な隙間が塗料で覆われてしまっていることが多いのです。スレート屋根を塗装した場合、適切な隙間を人為的に設けてあげなければいけません。
狭い隙間や細い管の中の液面が周囲と較べて上昇してしまう現象。液体の表面張力と隙間や管の中の濡れやすさによって発生し、液体によっては下降するという現象も見られる。日常的に見られる現象で、飲料水のストローの液面が容器の液面より高くなっているのも毛細管現象の一つである。
スレート屋根塗装後の雨漏りを防ぐための工程、縁切り
スレート屋根を塗装した後、適切な隙間を人為的に設けてあげる工程を縁切りと言います。昔はスレート屋根の屋根材と屋根材の重なり部分に革すきやカッターで切り込みを入れて、塗料で覆われてしまった隙間を再度、確保していました。かなり作業時間がかかる工程で80㎡程度の屋根の場合、2人がかりで約8時間もかかってしまいます。関係ない部分の塗膜が傷ついたり、重なり部分の塗膜の乾きが遅く、剥がれてしまったりといろいろと苦労の絶えない作業だったため、現在では違う方法で縁切りが行われるようになりました。
タスペーサーで縁切りして通気性を確保
最近では、タスペーサーという製品を使って縁切り作業が行われています。下塗りをした後に、ポリカーボネイトでできたタスペーサーを、屋根の資材が重なっているところに差し込み、中塗りをする前にしっかりとスペースを設けます。タスペーサーにはバネが内蔵されていて、誤って踏んだ場合でも割れないようになっています。さらに、下塗り材や塗料、それらを薄めるためのシンナー等で溶けてしまうこともないのです。それでも、工事をする際には万が一希釈用のシンナーや下塗り用塗料で溶けてしまうことがないように、下塗りが渇いてから差し込みます。
一般によく使用されているスレート用の屋根材、約910㎜幅に対して、シングル工法では中央に、ダブル工法では右と左の150㎜の場所に差し込みます。街の外壁塗装やさんでは、より雨漏りへの耐性が高いダブル工法を基本としています。1平方メートルに対して使うタスペーサーは10個です。タスペーサーは最初に屋根塗装をするときだけに使用され、2回目以降の塗装では最初に取り付けたタスペーサーがあるため新たに設置する必要はありません。
スレート屋根に最適なおすすめの塗料
スレート屋根は非常に普及しているので、メンテナンスのために使用される塗料も数多くのものが出回っています。真夏の太陽に照らされて室内が高温になることを抑える遮熱塗料や、長く色持ちするラジカル制御型塗料といったものもあります。こうした機能性の高い塗料には専用の下塗り材がある場合が多く、ひどくダメージを受けていると塗ることができない(塗ったとしても数年しか維持ができない)場合があります。
塗装リフォームによって屋根に新たな機能性を付与することができるのも、スレート屋根ならではのメリットですね。
夏の暑さを防ぐ遮熱塗料
自治体や環境省もその効果を認めているのがこの遮熱塗料です。東京都などには、ヒートアイランド現象防止のために助成金制度が用意されている区がいくつもあります。例年の夏の灼熱を考えれば、助成金制度がない地域にお住まいの方であっても遮熱塗料で再塗装したくなるかもしれません。遮熱塗料はどの塗料でも、お部屋の中の温度を約3度下げるという結果が出ています。
塗料としての使用率 国内ナンバーワン
日本ペイントが手掛けるサーモアイシリーズ
仕上げ塗料だけでなく、下塗りのシーラーにも赤外線を反射する性能が付与されたシリーズです。スレート屋根だけでなく、別の屋根材や外壁、路面に使用できる遮熱塗料も取り揃えています。
25年間の超耐久!驚くほど長期間性能を発揮する遮熱塗料
スーパーセランマイルドIR
どの商品も25年間性能が長持ちするという驚くほどの耐久性を持ったスーパーセランシリーズ。そのシリーズの遮熱塗料がスーパーセランマイルドIRです。熱の要因となる顔料であるカーボンブラックを使用しない塗料の開発によって遮熱を実現しました。
色褪せを抑え、塗膜の長寿命化を実現するラジカル制御型塗料
昨今、注目されているのがこのラジカル制御技術。屋根の塗り替えに使用される塗料にもラジカル制御技術を活用したものが出現しています。シリコン塗料を上回る長期間に渡る耐用年数を誇りながら、価格は同程度です。色褪せが少なく、耐久性に優れた塗料をお求めの方にオススメです。
綺麗な屋根を長期間維持したい
ファインパーフェクトベスト
多くの塗料に白色顔料として含まれているのが酸化チタンですが、ここに紫外線が当たることによって塗膜を壊すラジカルが生じてしまい、塗装が長持ちできなくなる原因となります。そこで酸化チタンをコーティングすることで紫外線を防ぎ、ラジカルの吸収材を用いることで塗膜が長持ちする性能を得たのがこのファインパーフェクトベストです。
屋根の塗り替えで足場を設置するなら、同時に外壁塗装の検討がオススメ
屋根を塗装する際には足場の仮設が必要になります。屋根の塗り替えをお考えということであれば、新築からだいぶ年月が経っているということが考えられますので、外壁についてもリフォームをご検討いただいた方がよい頃合いかもしれません。
最近では、多くの一戸建ての住宅で外壁材として窯業系サイディングが使用されています。窯業系サイディングは、ボードとボードのつなぎ目にシーリング(コーキング)材が注入されていますが、このシーリング材は屋根や外壁よりも耐用年数が短く、早く性能が衰えてきます。
窯業系サイディングの外壁も10年ほどで再塗装のタイミングになります。金属系サイディングやALCについても同じことが言えます。屋根の防水性が低下しているということであれば、外壁の防水性も低下していてもおかしくはないのです。
外壁をご確認いただいた際に汚れや色褪せ、チョーキング現象などが発生している場合は、お気軽に街の外壁塗装やさんにご相談ください。無料点検を実施させていただき、入念に調査をさせていただいたあとお住まいの状態や適切なメンテナンス方法についてご説明をさせていただきます。
また、外壁と屋根の塗り替えを同じタイミングで行うことをオススメさせていただく理由は他にもあります。それは足場の仮設費用を節約することができるという点です。足場を組むには少なくないお金がかかります。お住まいの大きさにもよりますが、15万円から25万円ほどが必要となる場合が多いです。屋根と外壁の塗り替えをそれぞれ別途でやるとすると、その度に足場を組むことになりますので、メンテナンスの度に15万円~25万円が必要になります。そこで屋根と外壁の塗装を同じタイミングでご検討いただくことで、15万円~25万円の足場代が浮くことになるのです。
一般的な大きさのお住まいであれば、実は25万円もかければ屋根全体の塗装ができてしまいます。つまり、屋根と外壁の塗り替えを同時に行うことで、実質的に屋根塗装にかかる費用を1回分用意することができるのです。その他にも前述のシーリング材の打ち替えや雨樋工事など足場が必要になる工事は複数ありますので、できるだけまとめて工事を行うことがオススメです。
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スレート屋根塗装のまとめ
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塗装リフォームによって防水性を付与させることで、スレート屋根をより長持ちさせることができます
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最近のスレートといわれる屋根用資材は、工場で生産されたものを指しています
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スレート屋根の塗装には、屋根に関する深い知識を持っていなければなりません
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誤った方法でスレート屋根の塗装を行ってしまうと雨漏りの原因になります
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スレート屋根を塗装する際には、雨漏りが発生しないよう縁切りが必須です
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縁切りにはタススペーサーを使用することで工期・人件費を削減できます
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新築から10年ほどがスレート屋根の塗装リフォームを行う目安です
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すでに損傷してしまったスレート屋根を保護し耐久性を高めることのできる下塗り材があります
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スレート屋根を塗り替えるには遮熱塗料などの高機能塗料がオススメです
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耐久性の高いラジカル制御塗料で屋根の塗り替えすることも可能です
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屋根と外壁の塗装を同時に行うことで、足場の仮設費用を一度にまとめることができ節約に繋がります
スレート屋根塗装の実際の施工例
サーモアイを使用したスレート屋根塗装
外壁塗装にはパーフェクトトップを使用しておしゃれな外観に
お住まいで雨漏りが起きてしまったというお客様から、別の業者に依頼をした際のことについてご相談をいただきました。スレート屋根を金属材の屋根に葺き替えようと考え、リフォーム会社の担当者に来てもらったが、その担当者の方からは『これなら屋根塗装で対応が可能なので、屋根葺き替えではなく屋根塗装と外壁塗装をするとよい』と説明をいただいたそうです。そこで塗装の専門業者に一度状態を確認していただき、本当に屋根葺き替えではなく塗装によるメンテナンスが適切であるのか、外壁塗装が必要であるのか判断をしてほしいとご依頼をいただきました。
【点検の様子】スレート屋根の状態を確認
スレート屋根の色褪せが目立っています。さらにスレート材が重なっている箇所が変色しており、防水性が低下していることが分かります。ここだけではまだ結論づけられないので、続いて別の箇所も調査していきましょう。
ここまで色褪せが進行しているので、チョーキング現象が目立つ状態になっているかと思っていましたが、それほど手袋には付着がありませんでした。これは塗膜がほぼなくなっているということです。他には、下屋(1回の屋根)の確認もさせていただきましたが目立った損傷はありませんでした。
スレート屋根全体を確認させていただいたところ、スレートに変形や割れ、欠けが見られず、スレートの素地が露出していることもなかったので、屋根塗装によるメンテナンスによって状態を回復させることが可能です。
【点検の様子】モルタル外壁の状態を確認
外壁にはモルタルが使用されていました。誘発目地が設けられており、しっかりとした施工がされていることがわかります。誘発目地は、特定の部分のみを薄くすることで、力が加わったときその場所に割れを発生させる目的で作られています。モルタルのウイークポイントである割れを、その場所に誘発するようにしてあるため補修も簡単になります。このような誘発目地の作業は手間がかかるため、施工されてないことも多いです。屋根材の葺き替えではなく、なぜ外壁塗装を勧めたのか、そのわけはここにあるのかもしれません。
割れが発生しやすいサッシの周辺部もきれいな状態でした。ただし、雨樋のつなぎ目からは漏水している様子が確認できました。ただ、漏水は非常に軽度なものだったため、高圧洗浄を行う際に確認をし、問題があるようなら交換をしていきましょう。
【カラーシミュレーション】
お客様にお住まいの状態についてご説明させていただき、確かに屋根葺き替え工事ではなく屋根塗装工事によるメンテナンスが可能であることと、外壁塗装工事の必要があることをお伝えさせていただきました。そして、他のどの業者よりも入念に調査をしてくれたということで、私たち街の外壁塗装やさんに工事のご依頼をいただきました。続いてお客様からお話を伺い、カラーシミュレーションをしていきます。一つ目が、上と下で色を変えるパターン、二つ目が上下階で色を同じにした黒に近い茶色のパターンです。お客様がご選択されたのは黒に近い茶色のパターンでした。
【足場の仮設】
まずは足場を仮設していきます。工期が終了すれば取り外してしまうので、足場を組むのにかかる費用がもったいないと思われるかもしれませんが、足場がなければ品質の高い作業はできません。効率よく、安全性と品質の高い施工を行うために足場はなくてはならないものなのです。
【高圧洗浄】
屋根と壁を、高圧の水流で洗浄します。1平方センチ当たり160㎏という非常に高い圧力で水を噴射することができます。高圧力の水で洗浄するのでそれほど大量の水を使わず、水道代もそれほどかかりません。
【屋根塗装】
棟板金の下地処理をした後、屋根の下塗りをしていきます。この工事で使った塗料は遮熱塗料、サーモアイSiです。太陽の光と熱を反射する下塗り材、サーモアイシーラーを塗っていきます。
サーモアイシーラーは、太陽の光を効率よく反射するため白色となっています。下塗りが完了したら、タスペーサーを屋根材が重なっているところに挿入し、縁切りをしていきます。この縁切りによって屋根材と屋根材の間に隙間を設け、雨水が排水されるようスペースを作っていきます。
【外壁塗装】
今回外壁塗装に使用するのはパーフェクトトップという塗料です。全体に下塗りを施したあと中塗りをしていきます。H09-20Bという色で、濃いブラウンのカラーです。
【付帯部塗装と仕上げ】
様々な付帯部の補修を行っていきます。幕板の接続部分に隙間が生じていたため、シーリング材を注入します。写真では目立っていますが、この上から塗装をしていくため問題ありません。
軒や雨樋も塗装していきます。N-20というマット調の濃いグレーの色です。
庇と幕板もN-20でマット調の濃いグレーにしていきます。シックな雰囲気に様変わりしました。
雨戸にもN-20を使用し、マット調の濃いグレーに塗装していきます。雨戸の下地処理をしてサビ止め(写真の赤い塗料)を塗った後、2回仕上げ塗りを行います。
外壁全体は、このような仕上がりです。ドアやサッシ、軒天に白を入れたことでアクセントになり、シックな雰囲気の中に軽い感じもあります。部分的にホコリがついていたので、洗浄してお客様にお引き渡しとなります。
【竣工】
屋根塗装と外壁塗装が竣工となりました。雰囲気がガラッと変わって、お客様も驚かれていました。屋根材の葺き替えではなく、屋根塗装と外壁塗装によってお住まいの状態を回復させることができ、外観もグッと綺麗になりました。次回リフォームをご検討いただく際は屋根は耐用年数いっぱいぐらいですから、改めて屋根葺き替え工事や屋根カバー工法による工事が必要となるはずです。この度は街の外壁塗装やさんに工事をご依頼いただき、誠にありがとうございました!