住宅に使用する外壁材は、デザイン性が高くおしゃれな窯業系サイディングやモルタル外壁などがよく使用されています。一方工場や倉庫など企業が所有する建物に使用される外壁材はALCや金属サイディング、波スレートです。これには耐久性やコスト、メンテナンス性が大きく関わっています。しかし耐久性が高いとはいえ、完全にメンテナンスフリーと言うわけにはいきません。台風、洪水、竜巻、ゲリラ豪雨…。近年自然災害による被害が増加しています。それに伴い今までは問題がなかった工場や倉庫も、被害を受ける可能性が十分あるのです。万が一倉庫や工場にダメージが発生した場合、被害は建物だけではなく中の高額な機械や商品、大切な書類にまで及びます。企業の財産を守るためにも屋根や外壁の点検・補修・メンテナンスは非常に重要なのです。
そこで今回は工場や倉庫に使用されることの多い小波スレートや大波スレートのメンテナンス方法をご紹介します。一般住宅ではほぼ使うことがないため、ご不明な点も多いのではないでしょうか。この機会にぜひ波スレートの特徴やメンテナンス方法をご確認いただき、ご経営にお役立てくださいますと幸いです。なおALC外壁や金属サイディングのメンテナンス方法は一般住宅と変わりません。詳しくは下記リンクの記事で解説していますので、こちらも一緒にご覧ください。
【動画で確認「小波スレート・大波スレート」】
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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動画で見たいという方は是非ご覧ください!
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工場や倉庫に求められるものは作業性や耐久性です。また企業様によっては工場や倉庫の規模も重要になることでしょう。当然ながら一般住宅と倉庫・工場では使用する屋根材や外壁材が異なります。では工場や倉庫の外壁材・屋根材にはどのようなものが向いているのでしょうか?
工場や倉庫でよく使用される屋根材一覧
工場や倉庫によく用いられる屋根材には次のようなものがあります。
工場や倉庫でよく使用される外壁材一覧
工場や倉庫によく用いられる外壁材には次のようなものがあります。
倉庫や工場に使用する外壁材や屋根材にはより高い耐久性・断熱性・遮音性・耐火性が求められます。外観のデザイン性を重視する企業様では「金属素材」のものを選ぶケースもありますが、やはり作業性や耐久性、コスト面に優れている素材は非常に重宝されるものです。
さまざまな外壁材・屋根材がある中で、大波スレートや小波スレートが採用される理由は性能の良さと優秀なコストパフォーマンスにあります。一般住宅と違い規模の大きな倉庫や工場は外壁材・屋根材も大量に必要です。そのため耐久性が高くコストを比較的安価に抑えられる素材が、多くの企業様に選ばれています。
もう一つのメリットとして、波スレートを同じ波スレートで張り替えると税制面で優遇されることがあります。この場合「一括損金」で処理できるので税金対策としても有効なのです。
ちなみに小波スレートは外壁専用、大波スレートは屋根にも外壁にも使用できます。ただし昔ながらの建物の中には、屋根に小波スレートを使用しているものもあります。ここから解説するのは小波スレートと大波スレートの違いと施工時期別の注意点です。倉庫や工場の外壁・屋根の張り替え時期にきている企業様はぜひご参考にしてください。
なお波スレートには「中波」と呼ばれるものもありますが、今回の記事では中波も小波スレートに含めて説明させていただきます。
小波スレートと大波スレートの違いは、波の大きと幅、そして高さです。
小波スレートの特徴
小波スレートは波の幅が63.5㎜、高さが18㎜程の波板スレートと定められています。大波スレートの約半分の幅・高さが小波スレートとなります。大波スレートの特徴
大波スレートにも基準が設けられており、幅が130㎜、高さが38㎜程の波板スレートを指します。大波スレートは波の高さや幅が小波スレートと比較すると約2倍です。費用は小波スレートよりもやや割高ですが、形成時に骨材とセメントを圧縮しているため強度が増しています。
波スレートは主原料がセメントと繊維質でできており、一般住宅の化粧スレートと比べても遜色がないうえ、非常に耐久性に優れています。しかしその耐久性のために、昔のものにはアスベスト(石綿)が含まれており、現在でもまだ数多く残っています。
アスベスト(石綿)は2004年から政府によって制限されたため、以降に施工された波スレートにはほとんど含まれていません。しかし2004年以前のものになると、高い確率でアスベスト(石綿)が含まれています。施工時期以外にも、表面の状態からアスベストの有無を見分けることができます。
細かな繊維のようなアスベストの見た目は綿状で、表面は毛羽だったように見えることがあります。毛羽だっていると飛散しそうに見えて不安になるかもしれません。しかしアスベストの飛散危険度はレベル3、最も安全性が高いレベルですからご安心ください。解体時には飛散の恐れがありますが、特別教育を受けた作業員が防塵マスクを装着し、飛散しにくい「湿式作業」での解体を行うためご心配はいりません。解体したものは産業廃棄物として処分いたしますので、アスベスト含有建材の中では比較的安く処分費用を抑えることができます。
令和4年4月1日より、建築物等の解体・改修工事を行う施工業者は、大気汚染防止法に基づき石綿(アスベスト)含有建材有無の事前調査結果を都道府県等に報告することが義務づけられています。
街の外壁塗装やさんでは、基準に則った正しい調査・報告を実施しております。
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ここからは小波スレート・大波スレートのメンテナンス方法を解説します。補修・メンテナンスは資産価値を維持するために非常に重要ですから、状態に合わせて最適なメンテナンス方法を選んでください。
※なお工場や倉庫のメンテナンス時には、施工時に「落下防止ネット」が必要なケースがあります。工場や倉庫は高さがあるうえ、天井裏がないため施工時には屋根から1階が丸見えになるため落下防止策をとらなければいけないのです。その場合は別途費用がかかりますから、お見積りの際によくご確認ください。
メンテナンス方法1.フックボルトの補修・交換
屋根スレートはセメント素材ですから経年劣化による錆びの心配はありません。しかし固定する金属製のフックボルトは経年によって必ず錆が発生します。フックボルトの錆はわずかながら屋根材との間に隙間を作ってしまいます。雨漏りの原因になるため、早めの対処が必要です。
フックボルトの錆が進行すると、切断することになります。屋根材の補修や張り替え時には、雨水の侵入を防ぐボルトキャップを設置すると錆びにくくなります。ボルトキャップの内部にシーリング剤を充填しておくと、より錆に強くなるのでおすすめです。
メンテナンス方法2.波スレートの部分張替
耐久性の高い波スレートでも、飛来物や強風によって割れてしまうことがあります。割れが一部分のみでもそこから雨漏りを起こしてしまいますので、張り替えが必要です。
波スレートには重なり部分があるため、張り替え時には割れや穴のある周囲の数枚も剥がさなければいけません。しかし張り替えを最小限に抑えて補修することは可能です。
メンテナンス方法3.塗装
波スレートの色あせや汚れが目立ってきたら塗装メンテナンスを検討しましょう。大波スレート・小波スレートはセメント素材ですから、表面がザラザラしているため汚れが付着しやすい特徴があります。特に凹部には汚れがたまってしまうので、早めの塗装をおすすめします。
波スレートの表面についた汚れには高圧洗浄を使います。高圧洗浄で被害が広がるのを防ぐため、穴や割れの部分は先に補修してから行います。ただし屋根材にアスベストが含まれている場合、高圧洗浄により経年劣化したアスベストが流水に混じって流れ出るリスクが心配です。そのためアスベスト屋根に関しては、塗装以外での補修を行います。
塗装の際には塗装面積・必要塗料の量に気を付けなければいけません。小波スレート・大波スレートはどちらも屋根面が平らではないため、真上からみた面積に対する必要な塗料が異なります。スレート屋根の塗装面積を計算する場合は、「屋根係数」と呼ばれる凹凸の高さ分も考慮する必要があるため、次の計算式を使用します。
【屋根係数】
大波スレート | 1.154 |
小波スレート | 1.144 |
ちなみに波型状の屋根材には金属波板のほか、折板屋根などがあります。ピッチ(幅)が屋根材ごとに異なるので、それぞれに合わせた屋根係数を使用することが重要です。
【屋根係数】
金属大波 | 1.15 |
金属小波 | 1.20 |
折板屋根 | 1.44 |
ただし屋根材のピッチ(幅)によって多少誤差が生じますので、こちらの係数はあくまでおおよそのものだと理解したうえでご参考にしてください。
メンテナンス方法4.カバー工法
既存スレートの傷み具合によっては、塗装では改善できないケースもあります。その場合は、既存屋根の上から新しく屋根材を重ねる「屋根カバー工法」をおすすめします。屋根カバー工法は屋根を葺き替えないため工期が短く、廃材処分費も必要ありません。また屋根を重ねるためコストカット以外にも、遮音性や断熱性が向上することがメリットです。ただ屋根材が二重に重なり荷重がかかるため、一般的に軽量で耐久性に優れたガルバリウム鋼板屋根材を採用しています。
屋根カバー工法のもう一つのメリットはアスベストの飛散がないことです。屋根材を剥がす必要がないため、その点では安全性に優れています。どのメンテナンス方法にもそれぞれメリット・デメリットがありますから、今後の予定や予算も含めてよくご検討ください。
私たち街の外壁塗装やさんでは、無料で点検・お見積りを行っております。屋根や外壁の塗装だけでなく、屋根カバー・外壁カバー工事も承っております。ご状況に合わせてぜひお気軽にお問い合わせください。
倉庫や工場の点検にあたって次のようなケースは、安全面から屋根に上っての調査ができないことがあります。
・高い建物で梯子が届かない
・劣化で屋根材が割れやすくなっている など
屋根に上って調査できない建物は、ドローン調査で対応することが可能です。対象の建物がドローン飛行禁止区域にある場合はお電話またはメールでご相談ください。
・高い建物で梯子が届かない
・劣化で屋根材が割れやすくなっている など
屋根に上って調査できない建物は、ドローン調査で対応することが可能です。対象の建物がドローン飛行禁止区域にある場合はお電話またはメールでご相談ください。
波スレートのメンテナンス施工事例をご紹介
使用材料 | 屋根:MSリフレアリーフⅡ 外壁:ファインパーフェクトトップ(ND-372) |
築年数 | 築20年以上 |
施工期間 | 14日間 |
保証 | 10年 |
メンテナンスの検討理由
築20年以上の倉庫兼作業場のメンテナンスに関するご相談です。これまで屋根や外壁に軽微な補修は行っていたようですが、屋根カバー工法・外壁塗装を含む本格的なリフォームメンテナンスをご検討中とのことでした。
街の屋根やさんの無料点検をご利用いただき、現在の屋根・外壁の状態を確認し、お客様のご要望と照らし合わせご提案をさせていただいたところ、工事のご用命をいただきました。
屋根・外壁点検の様子
まずはじめに屋根の状態を調査しました。現在では小波スレートは外壁に使用しますが、築20年以上ということで倉庫の屋根は小波スレートで施工されています。スレートの表面には、塗膜の劣化から苔や藻の付着が見られました。
接合部分のフックボルトも錆ついていますが、雨漏りをするほどの進行はしていないようです。倉庫の保全には屋根が丈夫でなければいけません。そこで今回は屋根カバー工法を採用し、新たな屋根材を重ね葺きしていきます。
外壁にも小波スレートを使用しており、いくつか割れがあります。外壁の穴や割れに関してはその都度補修を行っていたようで、部分的に張り替えた跡が確認できます。
外壁のフックボルトにも錆が進行していますが、こちらは塗装で保護することが可能です。外壁塗装をご希望ということもあるので、割れを補修したあとご希望の色で塗り替えを行います。
実際の施工の様子
実際に作業に入る前には、作業性・安全性の確保のため足場の架設を行います。また塗料や水の飛散防止用のメッシュシートを取り付けて施工の準備を進めます。屋根のフックボルトは取り外せないのでサンダーで切断しますが、既存屋根は残すのでアスベスト飛散の恐れはありません。
フックボルトを切断したら、軒から波型のリフレアリーフⅡを貼り付けていきます。屋根カバー工法は、雨水侵入防止用の面戸・棟板金を設置すれば完了です。もしも既存の屋根材の劣化が激しい場合は、落下の予防策を取らなければいけません。屋根の上に捨てネットや落下防止ネットを張る場合は、ご予算を多くお考えいただく必要があります。
屋根に続いて外壁塗装のメンテナンスに移ります。塗装前に割れを補修し、雨漏りの恐れがないことを確認してから、まずは高圧洗浄で表面に付着した頑固な汚れを洗い流す作業です。塗膜が劣化し水分を吸収しているので、塗料の吸い込みが激しいと考えられます。浸透シーラーを満遍なく塗り込み、表面に色ムラができないよう仕上げていきます。
金属素材で水に弱いフックボルトは、先に防錆塗料を使って塗装し保護します。続いて中塗り・上塗りの際にも小波スレートの重なり部分やフックボルトのような細かい部分は先に塗装し美しく仕上げます。
最後にラジカル制御型塗料、ファインパーフェクトトップ(ND-372)で中塗り・上塗りを行えば今回のメンテナンスは完了です。
※ラジカル制御型塗料は人気のシリコングレード以上で、劣化しにくく耐候性に優れています。
メンテナンスがもたらす副効果
「工場や倉庫は美観を気にするものではない」というご意見もあるかと思うのですが、建物がきれいだと自然的に「きれいに使おう」という心理が生まれます。整理整頓や掃除が行き届くようになり、結果的に無理な支出をせずとも建物をより大事に管理するようになるのです。
倉庫や工場は簡単に建て替えられるような建物ではありません。所有されている倉庫や工場は会社の財産ですから、より長く安全に使い続けるためにも定期的なメンテナンスが欠かせないのです。
小波スレート・大波スレートのメンテナンス方法まとめ
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工場や倉庫など大きな規模の建物には耐久性に優れ、比較的安価な小波スレートや大波スレートが多く採用されています。
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小波スレートと大波スレートの違いはピッチ(幅)と凹凸の高さです。
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現在の小波スレートは外壁専用ですが、昔からある建物には屋根材として使用されていることがあります。
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2004年より前の小波スレート・大波スレートにはアスベストが含有されている可能性があります。健全な状態であれば被害の心配はありませんが、破損等が確認された場合は必ず専門業者に修理を依頼しましょう。
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波スレートではフックボルトの錆に注意が必要です。錆による腐食や隙間がおこらないよう、ボルトキャップを取り付けて予防します。
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一部分の割れは張替補修、全体的なメンテナンスは塗装かカバー工法をおすすめします。メンテナンスには施工年数や状態を見極めることが重要です。
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私たち街の外壁塗装やさんでは無料で工場や倉庫の点検調査を行っております。今後のご予定に合わせたメンテナンス方法をご提案させていただきますので、建築物の状態を確認したい、メンテナンスを検討しているという企業のご担当者様はお気軽に無料調査をご利用ください。