【点検】
屋根にのぼるとすぐに目に入ったのは雨樋の歪みでした。下から見た時にも雨垂れの跡がバッチリ残っておりましたので何となくは想像しておりましたが。歪んで排水が悪いせいか苔が生えてしまっています。
屋根の方は、南面は比較的苔も少ないですが、それでも年月を感じる状態にはなってきています。細かく見ていくと屋根材のところどころは欠けているような部分も見受けられました。また、板金のケラバ水切りには若干の錆も浮き初めています。
南面に対して北面は苔が多く生えています。一般的にもその傾向は強いと言えます。これには陽当たりの関係が影響しているのかと考えられます。
棟板金の部分も点検を行いました。釘で止めている以上は浮きが出てくるのは仕方がない部分かもしれません。棟板金の内側には木材の貫板が入っていて、そこに釘でとまっているのですが、木材は生ものですから収縮をいたします。ましてや棟板金は金属なので冬場など結露を内部で起こしていることも想像できます。そのような現象が長年にわたって続いて行くことで木材の貫板は痩せてきてしまうのです。そこに風などの外的要因が働くことによって釘浮が発生します。海からは比較的離れた地域でも錆は発生します。以前と比べれば大気もキレイになったとは言え、酸性雨などの影響もあるのでしょう。穴が開いてしまっては手遅れになるので早めのケアが必要です。
F様邸が見渡せる高台から全体を見てみました。せっかくの立派なお家ですから長く持たせてもらえるように雨樋交換、棟板金の交換、屋根への塗装の工事をご提案させていただきました。夏場がとても暑いとのお話も有ったので屋根には高日射反射塗料、いわゆる遮熱塗装で塗ることをお勧めいたしました。また棟板金の交換に合わせて、屋根内部の熱を逃がす効果のある換気棟も合わせて設置し、より快適になるご提案をプラスさせていただきました。 【工事(樋・棟板金)】
ご提案を了承いただきまして、工事に入ります。雨樋交換が工事の項目にありますのでもちろん足場架設が必要となります。
まずは雨樋交換、棟板金交換の工事から着工いたしました。雨樋には大量の土が溜まっておりました。既存の雨樋はナショナルのN40Ⅱというものを使用しておりました。この樋はアイアン入りで本来変形に強いタイプですが、逆に曲がってしまうともう収集がつかないという弱点もありました。ちなみに現在は廃版となっているため、途中からのつなぎ合わせなどはできません。後継機として現在はパナソニックに社名変更しておりますが、そちらからPC50という樋が発売されています。
棟板金を撤去した後に、今回換気棟を新たに設置いたしました。F様邸は大手ハウスメーカーのツーバイフォーの建物です。構造上ツーバイフォーの屋根の棟は穴が開いていません。換気棟を付けるにあたり、熱気が逃がすための穴を開けますが、これが一苦労でした。かなりの深い穴を開けなければ小屋裏空間まで通気の穴があきません。換気棟用の穴があけ終わった後は通常通りその他の部分には棟板金を設置して行きます。
雨樋交換の工事の様子です。既存の雨樋、雨樋を吊っている樋吊り金具を撤去して新たな樋吊り金具を設置していきます。この際に気を付けなくてはいけないのが雨樋に勾配を付けてあげることです。勾配が無ければ当然雨水が集水器の方へ流れてくれません。勾配も目安は決まっていますが、屋根が下がっていて勾配を取ったつもりでも取れていない、と言ったこともあるので注意が必要です。あとは水には表面張力があるので流れにくといった現象も起こりえます。そのあたりは経験豊富な施工スタッフによって問題なくクリアできています。 【工事(塗装)】
本題の屋根塗装工事に着手していきます。屋根の洗浄作業から始まります。洗浄作業の日はあいにく風がやや吹いておりましたので、メッシュシートだけでは無く、マスカーと言われる養生のビニールの膜を雨樋と足場の一番上の手摺部分へつけることによって近隣への飛散を極力抑えるようにいたしました。高圧洗浄機はプロ仕様のエンジン駆動式の物を使用します。やはり民生品とは比較にならないパワーを持ち合わせています。一台欲しい所ですが個人ではなかなか手の出しにくい価格の物です。住宅密集地や昨今の生活環境の変化で日中に御安物方もいらっしゃると思われます。無音にはなりませんが、防音型の洗浄機を使用することで少しでも近隣のご迷惑を軽減できれば、と考えております。
屋根面は状態に合わせて洗浄作業を進めていきます。基本的にはトルネードと呼ばれる渦を巻きながら水を勢いよく噴射させるノズルを使用します。実際には体験したことはありませんが、長靴のゴムが切れるほどの威力があるそうです。良いこの皆さんは絶対に手などを差し出さない様にしてくださいね。屋根面に付着した苔などはまさしく一瞬で吹き飛ぶといった表現が適切でしょう。古い塗膜も取れる物は取っていきます。
洗浄前、洗浄後の屋根です。主にコケの生えていた部分は塗膜も取れて白っぽくなっています。そもそも苔の生えていく部分は塗膜が弱まっているようなところが多いように感じます。いろいろなお客様の屋根にのぼらせていただいておりますので実感です。
屋根からの汚れた水が外壁にも流れてしまうのは致し方ない所はありますが、ほんのひと手間、外壁も軒天なども洗浄を行いました。モルタル仕上げの外壁は模様が複雑なため埃や汚れが溜まりやすい物です。塗装を行う前ほどの強力な水圧では既存の塗膜を痛めてしまう恐れがあるため汚れが落ちる程度の圧力で洗浄を行いました。
洗浄が終わった後は、しっかりと乾燥をさせます。その後、塗装前の下処理作業に入ります。屋根材にはどうしても割れやヒビが入っている物です。アンテナの工事などで屋根に上がった際や、もちろん経年にょる現象もあります。そのような部分にはコーキングを埋め込みしっかりなすって埋めて補修を行います。
下処理の作業では板金系の金物、写真ではケラバ水切りや新しく変えたばかりですが棟板金にもケレンや目荒らしといった作業を行っていきます。ケラバ水切りに関しては主に錆落としのケレン、棟板金には塗装の密着をよくするための目荒らし作業です。
今回の屋根塗装工事では、玄関上のかわいらしい下屋根にも同じ高日射反射塗料を塗装いたします。新規に変えた棟板金ほどのツルツル感ではありませんが表面の目荒らしをおこなっていきます。
錆が出ている様子もないため、下塗りは錆止めでは無くプライマーを使って行きました。金属部分にはなくてはならない工程です。
錆の出ていたケラバ水切り部分にはニッペの一液ハイポンファインデグロというターペン可溶一液速乾変性エポキシ錆止め塗料を使用しています。真っ赤に見えるのは、色が赤錆色を使用しているためです。このほかにも黒や白と言ったレパートリーが存在いたします。これから塗る上塗りの色に合わせてセレクトしています。
棟板金の部分には、一液ハイポンデグロで下塗りを行いました。棟の部分は玄関下屋よりも直接雨などの影響を受けやすい事を考慮しています。
一連の下処理作業が終了いたしました。いよいよ屋根面に塗料を塗っていくのですが、屋根面にももちろん下塗りが存在いたします。今回の屋根塗装工事では築年数、屋根材の状態、仕上がりの美しさを求めて、スズカファインの下塗り塗料であるカチオン系シーラーレスフィラー、ベスコロフィラーHGを使用いたしました。傷んだ屋根材には非常に効果のある下塗りフィラーです。フィラーというぐらいですのでやや粘度があるのですが、通常のフィラーと施工具合は遜色はありません。このフィラーを使用することで仕上がりが非常にツルツルスベスベピカピカの三拍子そろったものになりますのでご期待ください。屋根の棟側より塗り始めて軒先側へおりていきます。もちろん塗ったところを踏まない様にです。
ベスコロフィラーHGには白とグレー色があります。今回は白を用いております。下塗りが終了いたしました。中塗りに入ります。中塗りからは実際に仕上がる色が屋根に塗られていきます。使用塗料は高日射反射率塗料、スズカファイン一液ワイドシリコン遮熱αです。
色は品番CS2776、色味としてはピンク系の色です。まずはダメ込といってローラーで施工しにくい部分より刷毛を使っての中塗り作業です。
ただ単に色付けをするわけでは無いのが塗装です。シッカリと屋根に塗りこんでいくイメージとでもいうのでしょうか?塗料をローラーにつけすぎれば、ダレが出てしまいます。少なければ擦れたようになってしまいます。化粧スレートの屋根材で縁と呼ばれる木口を塞がない様にするためにも塗料の量は適当では済まされないのです。この辺りにも施工スタッフの経験が生かされています。
乾燥の合間を見ながら下屋根への塗装も行って行きます。使っているローラーに注目です。塗る場所や塗る面に対して適切なサイズ、適切な毛の長さのローラーを使用しています。ローラーの毛の長さによっても仕上がり面の模様に変化を付けることが出来ます。塗装は奥が深い仕事ですね。
いよいよ仕上げの上塗りに入ります。下塗りに使ったベスコロフィラーHGの効果もあり、非常にスベスベ感のある仕上がりになっています。上塗りの一液ワイドシリコン遮熱αはツヤ有で使用いたしておりますが、洗浄後の屋根の状態から考えると素晴らしい出来栄えと言えそうです。
記事内に記載されている金額は2021年06月24日時点での費用となります。
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