大通りから海側に1本入った場所にございます2階建ての住宅です。妻壁上部が漆喰かな?と思わせる印象でしたが、全てがサイディングの外壁でした。浴室サッシの工事を1度行った程度でそれ以外はしっかり見るという機会もなかったようです。 お客様のご実家でご両親の為にメンテナンスを検討されたようで…感動します!塗装工事のみで済めば問題はありませんが、一度も補修をしていないとなるとやはり、ところどころガタが来ていてもおかしくはありません。補修箇所を拾っていきましょう!
大きな開口部の雨戸ですが、日差しが照り続けるものですので色褪せを起こしてしまっています。更に海からの潮風は鉄部には天敵のようなものです。塩害は鉄部に限らず物体が急速に劣化を起こす現象です。錆が早く出てしまったり、塩がべったりと付き美観を大きく損ねてしまったりとと海の近くでは悩まされることが多いかと思います。ちなみに雨戸の状態としては思っていたよりもひどい状態ではありません。腐食の進行により、物自体が使えなくなってしまっている現場もありますが、こちらは物自体しっかりしていますので交換なども必要なく塗装工事で充分です。
庭の濡れ縁ですが、木材がだいぶ傷んでいます。断片はボロボロと柔らかくなってしまい、たとえ塗装をしたとしてもすぐに剥がれてしまったり、使用しているうちに抜け落ちてしまう心配も拭えません。こちらは塗装を行わずにいずれ撤去する形で提案させて頂きました。
軒天は塗装工事の際に一緒に塗る細部です。雨風にさらされてしまう場所ですが、蜘蛛等の虫が棲みつくことも多く、塗装が剥がれたり汚れて黒くくすんでしまっていたりと、目立たない場所ではありますが気になると目につく場所でもあります。 軒天は大屋根部分もあり、塗装や補修を行う場合でも足場の架設が必須ですのでまとめてメンテナンスを行った方が良いでしょう!
外壁に合わせて横長に取り付けられているのは幕板と呼ばれる木材です。木材に限らずアルミやケイカル板が使用されている建物もありますが、木材は特に塗料が剥がれ劣化を起こしてしまいます。外壁を切り分ける境界的な役割も持つ幕板ですが、固定が弱く浮いてしまうと周辺の外壁材も浮いてしまいますので浮き等のチェックも行った上で塗装します。 サイディング外壁に必ずといってある目地部分。隙間なく貼り合わせることが困難なサイディングはあえて隙間を作り目地にコーキングを充填し隙間を埋めます。コーキングは防水機能を果たしていますのでヒビや割れが発生すると建物に雨水の侵入を許すことも考えられます。こちらのコーキングはそれほどひどい状態ではありませんが塗り替えを行う際には打替えや増し打ち施工で綺麗にし直した方が後々の事を考えて最善といえます。
屋根に上がって状況確認です。スレート屋根ですが、すっかり塗膜はなくなり、苔の発生が起きています。水分を含むことで苔は発生しやすくなりますが、苔自体には美観以外の問題がありません。しかし、苔は水分を滞留させ屋根材の反りや浮きを起こさせる原因にもなります。高圧洗浄で苔の根絶ちを行い新しく塗装することでしばらく苔の発生も屋根材の劣化を防ぐこともできるでしょう!
こちらの住宅、雨樋の吊金具が多数設置されていて雨樋には全く問題が無かったのですが、竪樋の掴み金具が錆びてしまっていました。塩害も絡みますが、どうしても鉄部は錆びてしまいます。見るだけでは大丈夫だろう。と感じますが、触ってみるとボロボロ崩れる場合もあります。今回は足場も掛けますのでせっかくのメンテナンス!全て交換してしまいましょう! サッシ廻りは木枠ですので水分を含む状態ですと腐食が起こってしまいます。特に塗膜の剥がれは傷みやすくなる原因でもありますので、旧塗膜は洗い流し、改めて綺麗に塗膜を作ってあげましょう!
補修前点検ですが大屋根の軒天が剥がれ大きな穴が出来ていました。下屋であれば害獣、大屋根なら鳥と動物の住処にされてしまいます。異臭の発生源や配線を噛んでしまったりと大きな事故にも繋がりますので塗装工事よりも先に補修に入らせて頂きました。まず軒裏のゴミを取り除いてからケイカル板の張り直しを行いました。
補修内容と費用が出たところで今度は屋根外壁の色を決めていきます。弊社ではカラーシュミレーションでお客様の要望やこんな感じでも出来ますと何パターンかお作り致します。 その中で気に入った色やアレンジを加えて頂ければと思います。左写真は元の色です。比較しながらのご紹介です。右写真はホワイト系、ベーシックではありますが、上品な雰囲気に仕上がります。
左写真はグレー系、最近グレー人気ですね!幕板がありますので妻壁で明るくするだけで暗くなりすぎない仕上がりになります。右写真がお客様が気に入られた色ですが、下段が赤茶、上段がベージュとグラデーションカラーですね! 上段が濃い色ですのでバランスが取れていますし、元の外壁と比べてみると大きくイメージチェンジします。カラーシュミレーション通りにという事で、屋根、幕板、雨樋は黒、妻壁は白でという事で早速施工に向けて準備をしていきます。
まずは足場の架設です。水や汚れの飛散防止の為に足場にメッシュシートを取り付け高圧洗浄を行います。今回雨天だった為高圧洗浄の撮影が困難でしたので、洗浄後を見ていきましょう! 屋根は苔がすっかりなくなり屋根材の素地が出ています。本来でしたら新築時の色が残るはずですが塗料が劣化で剥がれていたので高圧洗浄で全て洗い流されました。
外壁の洗浄で傷んでしまった軒天です。洗浄でここまで傷みませんが、やはり劣化している場所は水分を多く含みボロボロになってしまいます。塗装だけでは仕上がりませんので軒天の張替が部分的に必要になりますのでお客様にご説明して補修にあたります。鉄部も洗浄を行いましたが、やはり錆は簡単に落ちないものです。塗装の際に下地処理を行いますので後ほど紹介いたします。
屋根塗装の下塗り剤はエスケー化研のマイルドシーラーEPOです。クリアー色ですので目立ちませんが、透湿・固着性が高く下地の補強効果に優れています。スレートに限らず屋根材の多くは経年劣化により屋根材自体の強度が弱くなり割れやすくなってしまいます。塗装をしたとしても屋根材表面の保護のみですので下塗りを吸い込ませて補強をする必要があります。下塗り乾燥後はタスペーサーで屋根材同士の密着を防ぎます。
続いては軒天塗装です。おなじみの日本ペイント「ケンエース」で塗装していきますが、気になるのはケイカル板の状態です。途中まで順調に塗っていたものの、高圧洗浄でぐずついてしまった有孔板がちらほら… 塗装では仕上がりませんので足場があるうちに張り替えてしまいましょう!
一度既存のケイカル板を剥がし新しく取り付けていきます。どうしても水分を多く含みぐずぐずになってしまった軒天に塗装をしても剥離を起こしてしまい見栄えがとても悪くなってしまいます。少しでも気になる箇所はまとめて補修することで足場費用の節約、心配事の解決に繋がります。
有孔板計4箇所の補修をし、ケンエースで綺麗に仕上げていきます。しばらくは鳥の侵入も気にせず生活することが出来ますね!
こちらは屋根の中塗りの状態です。ヤネフレッシュSiのRC-110黒ですね。隠ぺい力が高く下地の透けがありません。また酸性雨や熱。紫外線に対し優れた抵抗性を持つため、陽当たり良好な場所でも耐久性を十分に発揮してくれます。
外壁も下塗り作業に入ります。パーフェクトサーフで全面的に白く仕上がっています。キメが細かく上塗りの吸い込みが少なく、仕上がりがとても綺麗になります。特に経年により傷んでしまったサイディングは想像以上に塗料を吸いこんでしまいます。 塗料の節約は費用削減に繋がりますので下塗りはケチをせずしっかり満遍なく塗布していきます。
幕板の下塗り状況です。破風板は妻側の継ぎ目に隙間があったためにコーキングで補修し、仕上がりが綺麗になるよう施工していきます。木材も傷んでいると塗料を吸いこんでしまうので場合によっては2回3回では仕上がりません。
外壁の中塗り作業です。中塗りからパーフェクトトップで着色ですが、1階部分は赤茶のH07-20Hです。塗り始めは赤めに見えるので少々不安を感じますね。隠ぺい性も高いのですが、やはり2回塗ってこその見本帳通りの色に仕上がります。 パーフェクトトップは艶消しから3分艶・5分艶・艶有と様々な仕上げパターンからお選びいただけます。艶有は車にワックスを掛けたような印象であり、一方艶消しはマットな新築のような仕上がりです。3分艶・5分艶はその中間ですが、艶有に近いイメージと考えて頂ければと思います。
2階部分は同じ艶消しのH05-70Bです。赤みがかったベージュで1階部分のサイディングとバランスが取れます。1階と違い下塗りと近い色で塗装をしているのでムラや塗り残しが無いようしっかり塗っていきます。
破風板と雨樋も黒に塗装していきます。雨樋のようなつるつるした材質は一度サンドペーパーで傷を作り塗料が乗りやすくしておきます。木材などは付着している汚れもあるのでケレン清掃を行い塗装をしますので様々な部位で細かな作業が組み込まれています。
乾燥し次第上塗り作業を行い、外壁に完了に近づきました。養生はまだ付いている状態ですが、カラーシュミレーション通りに屋根、破風、雨樋、幕板が黒に仕上がり、外壁は3色です。 破風板等の付帯部は通常2回塗りですが、吸い込みが激しかったりしましたので3回、4回塗りを行いました。
鉄部塗装の様子です。錆は洗浄でも落ちませんのでサンドペーパー、ヘラを使って表面を綺麗にしてからの塗装です。
また鉄部の酸化、錆の抑止の為に錆止め塗料を塗ってからシリコン系塗料を塗ります。狭い範囲であっても錆がすぐに出てきてしまっては美観を損ねますし鉄部の機能性が落ちてしまいます。下地処理の重要さが分かっていただけると思います。
外壁上部の塗装後の状態です。幕板で分けられている分白とベージュもメリハリがあり綺麗な色ですね!足場がかかった状態で見えにくくはありますが、まさにカラーシュミレーション通りですね!
ところで塗装を行わなかった部位があります。屋根の棟板金ですがステンレスの為塗装を行いませんでした。ステンレスの塗装は可能ですが、密着性が悪いと剥がれ見栄えが悪くなります。また腐食しにくい材質の為塗らない方が良いと判断いたします。 浴室のシャッターはアルミです。アルミサッシの枠もそうですが塗ることは不可能ではありませんがやはり塗料が付きにくい材質ですので塗装は行いません。
アルミ枠ですね!雨戸は鉄部でしたのでファインSi黒を吹付で塗装致しました。こちらも塩が多少ついていたのでケレンで綺麗に落としてからの塗装です。1階のサイディングの状態です。目が若干粗いサイディングですが、隅までしっかり入っています。
塗り残しやムラが無いか一度しっかり確認をし、細かくタッチアップを行っていきます。細かい箇所や塗膜の浮きが無いかを確認し塗装の完了検査を行います。
弊社で施工スタッフとの完了検査を行ってからお客様の立ち合いの元検査を一緒に行いました。滅多に上る事のない足場に乗る事に楽しみを覚える方も多いですが、当日は風が強かった為、やはり不安定になりがちでした。それでも貴重な体験だと最後までお付き合いいただきました、ありがとうございました!
記事内に記載されている金額は2021年06月24日時点での費用となります。
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