広い敷地いっぱいにとても立派な2階建て住宅が建っています。1階部分はタイル調、2階部分が明るいサイディングの2種類で作られていますので例え同色で塗装したとしても違った仕上がりになると思います。築年数を基準にしてはいるようですが、パッと見た感じだけでは少しの色褪せ程度で問題が無いように見えますよね。実際1階部分のサイディングはチョーキング(白亜化)が発生しにくい素材ですので外壁の劣化が感じにくいということもあります。
しっかり見てみると築年数並みの劣化が見られます。まずは外壁の割れ、新築時に釘を打ち込んで固定しますが、打ち付けが強かった場合釘の周りにヒビが入ります。経年の建物の揺れによってひび割れがだんだんと大きくなっていきます。サイディングの欠落にも繋がりますので釘の打ち付けで再固定をするか、最悪の場合サイディング自体の張替が必要になります。 また外壁に苔の付着が見られます。陽当たりが悪い北側等に発生しやすいのですが、美観を損ねるだけでなく外壁に水分が残りやすい状況になってしまいます。あまりに危険な状態にもかかわらず放置する時間が長くなりますと、サイディングに腐食が見られるようになっていきますのでたかが苔と決めつけるのも良くありません。
バルコニーの笠木からの汚れが目立ちます。汚れが溜まりやすい場所を水が通ると当然汚れと流れてしまいます。また、落ちにくい黒染みや赤い水は笠木が錆びているかもしれません。一度洗い流してみて落ちない場合は塗装だけでなく、他の補修も考える必要があります。2階部分を見てみると風で舞い上がったであろう汚れの付着と、幕板や雨樋の色褪せが見られます。全て塗装しますので綺麗に色は蘇りますが、破損もなく塗り替えで済むのは築年数がまだまだ浅いお陰です。
バルコニーのトップコート、何やら補修跡があるようですが、継ぎ目とみられる部分に細い隙間が出来てしまったようです。心配になりテープのようなものを張ったようですが防水面の劣化は防水の再施工でしか改善しません。テープを貼ることによって、剥がした際にテープと防水が剥がれる、隙間に水が入り蒸発しにくくなるといったことに繋がりますので、もし防水に不安があるようでしたら一度お声がけください。W様邸は防水面には何も異常が見られなかったため今回はトップコートで表面を保護するだけで大丈夫そうです。 屋根は瓦ですので塗装はしませんが、雨漏りも一度は確認しておきましょう。気づかぬうちに防水紙が破れ雨漏りを起こしているのは意外と多いです。屋根裏の高さがある場合は天井に達するまでにも時間がかかりますので尚更です。屋根裏を確認したところ雨漏りも無く、垂木や梁に染みは一切ありませんでしたが、夏にコウモリが棲みついているようです。換気口のあたりに糞が付いていました。
今回は外壁のみ、屋根は葺き替えない限り変わることはありませんので外壁でも塗り分けをしっかり行って好みの仕上がりにしていきましょう!塗装前には弊社でカラーシミュレーションを作成させて頂きます。2トーンでのカラーチェンジをご希望でしたので濃いブルー系、グリーン系で1階部分を重厚感溢れる住宅に作成してみました。全体的に濃い色にしてしまうと印象が暗くなってしまうので2階部分はしっかり明るくメリハリをつけた方が恰好いいです。
左写真は1階はあまり色も変えずお気に入りの色で固定、2階をホワイト系でさわやかにするといった塗り替えもいいですよね!右写真は多彩模様塗料ダイヤカレイドでシミュレーションを作成してみました。通常の塗料とは工程から仕上がりまで違い、重厚感・高級感あふれる仕上がりです。カラーフレークの配合により1色での塗りつぶしではなく、吹き付けによって石調風仕上げになります。耐久性に劣ると言われていましたが、最近はシリコン塗料ベースで作られていたり、低汚染、退色を起こしにくいクリアー塗料配合であったりとなかなか進歩しています。お客様の好みによって求める仕上がりは全く違いますのでこのようなデザイン性重視の塗料も一緒にご提案させて頂きます!(塗料を大変多く使用しますので費用が高くなりますが…気になる方はお問い合わせください!) こちらの住宅はどのような色に塗り替えるか見ていきましょう!
まずは足場の架設です。2面を敷地いっぱいに建てていますのでぎりぎりに足場が敷地からはみ出してしまいそうです。近隣の方には説明をしメッシュシートをかけての施工が必須になります。注文住宅は建売住宅とは作りも大きく異なりますので、足場のかけ方も大きく変わります。塗装が出来るようにしっかり高さを見ながら、植栽を分けながらかけていきます。
高圧洗浄です。本来屋根は塗装も行いませんので洗浄はしませんが今回はお客様のご希望でサービスです。屋根で滑らないよう足元に充分注意しながら流れてくる汚れもまとめて流していきます。洗浄は外壁に付着している汚れ・苔・チョーキングも全て洗い落として下地を綺麗にするために行います。洗浄し忘れがある、洗浄をしない場合、汚れと塗膜が一緒に剥がれてしまう事があります。またこの場合、仕上がりは綺麗になりますが、下地の状態に気づくのは数年後の話です。後で後悔はしないように高圧洗浄は必ず行う事、また施工写真などの状況も確認することが大切です。
上階から下りながら洗浄していくに従い、流れる水も黒くなっていきます。敷地に汚れが溜まって終わり!とならないように排水溝にまで流していきます。擁壁の洗浄もお客様のご希望でサービスです。せっかくなので全体を綺麗にしていきます! 洗浄後の屋根です。電線が近い部分に関しては鳥の糞がつくという事でしたが全て洗い流しました。ちなみに鳥の糞は強度の酸性です。瓦は大変頑丈ですので大きな影響はないにしても、外壁の塗膜に付いた場合はその部分だけ傷み変色を起こす可能性もあります。自動車がいい例ではありますが、特に電線が近い場合は注意しましょう! サイディングの状況です。洗浄前に剥がれが見られた部分は周りも傷んでいるケースが多数です。広範囲に渡って剥がれる可能性が高いですが、塗装の為にも落とせる箇所は落とし下地を補修した上で塗装に向かいます。
洗浄後は水を使っているのでしっかり乾燥させてから次の工程に入ります。すぐに作業に入ったとしても密着力が悪く、塗膜やコーキングが浮いたり剥がれる可能性がある為です。 外壁の下地処理としてますは目地の打替えと外壁の浮き・欠け補修です。サイディング外壁はパネルとパネルの隙間に目地が設けられていることが多いです。建物の揺れによってパネルが割れないように目地で力を受けていますのでメンテナンスが必要になります。外壁の塗り替えが新築で8年程度と言われているのに対し、目地の耐用年数は3~5年とも言われています。つまりどれだけ良い塗料を使ったとしてもサイクルをずらして目地の打替えをしなければならないという事になります。そんなことをこまめに守りながら補修している方を見たことはありませんが… シーリング材も塗料も日々進化しています。オート化学工業のオートンイクシード15+はノーメンテナンス「20年」を実現し、その間しっかりと防水機能を果たします。シーリング材に必要な耐久性・耐候性を特殊高耐久ポリマー『LSポリマー』を配合することにより高い性能を満たしています。20年打替えの心配がないという事は次の塗装での目地補修は必要なくなり、費用としても大きく抑えることが出来ます。
目地の仕上がりを綺麗にするためにマスキングテープで養生、シーリングの密着性を高めるためにプライマーの塗布、オートンイクシード15+を充填していきます。養生を剥がすと綺麗に仕上がっているのが確認できます。クリアー塗装の場合は目地の色にも注意しながら選択していきますが、塗りつぶしの場合は多少の色違いは塗料が被りますので問題ありません。
シーリング材も硬化するまで時間がかかりますので他の部分の塗装を行っていきます。まずは他の作業と被りのない軒天の塗装です。通気性・透湿性の良い軒天専用塗料で2回塗りを行います。日ごろあまり気にしてみるところではないかもしれませんが、雨にもさらされやすく、舞い上がる汚れが付着しやすい場所でもあります。塗り直すだけで住宅全体が綺麗になったかのようです。
続いて破風板を黒色で2回塗りです。下地の目粗しにケレン後、シリコン系塗料で塗ることによって外壁と同じメンテナンスサイクルで維持することが出来ます。
シーリング材を触ってみて硬化していることを確認してから外壁の塗装に入ります。今回使用するのは水谷ペイントの低汚染塗料ナノコンポジットWです。下塗りはクリアー色ですので色見は全く変わりませんが、外壁に艶が加わっています。 低汚染塗料とは塗膜表面の密度を高め、親水性(撥水生とは対義語になり水に溶解しやすいか水に混ざりやすい性質になること)にすることで、油成分を含んだ汚れ物質が雨水によって浮き流して汚れを落とす仕組みになっています。
ナノコンポジットWは名前の通り、1nmレベルの細かいシリカ粒子を緻密に分散し、親水性塗膜にすることで降雨で汚れを洗い流してくれます。シリコンと同等、もしくはそれ以上の耐久性をもち、低汚染塗料だけあり防カビ・防藻性は大変優れています。
下塗り・中塗り・上塗りと3工程で塗り替えていきますが、細かい部分は毎回ハケでダメ込みをしていきます。全体をローラーでムラなく仕上げて塗装完了になります。1階部分はNC-21の濃いグレーです。ナノコンポジットは1.2部艶程度の艶無し塗料ですので新築のようなマットな仕上がりをご希望の方には最適です! 但し、塗料の性質上、彩度の高い色に調色することが難しく、鮮やかな色をご希望の方には向いていないかもしれません。塗料によって得意な色も違ってきますのでイメージに合わせ塗料の特徴を考えながら決めていきましょう!
付帯部は全て黒色に統一するようです。塗装前には汚れの除去、ケレンで表面に少し傷を付けてから塗装していきます。雨樋のようなツルツルした材質は特に、あえて傷を付けて塗料と密着する表面積を広くしていきます。ケレンを省いてしまうと、その場では綺麗に仕上がりますが、数年後に剥がれが目立ち始めてしまいます。 幕板は1階2階の区切りです。2階部分はNC-5の明るめのグレーでツートンに仕上げています。幕板でハッキリと色を分けることでメリハリがあり引き締まった印象にもなりますよね。
バルコニーのトップコートです。防水層が劣化し、剥がれや破断が見られる際にはトップコートは応急措置にしかならない可能性がありますので本格的にFRP防水の再施工が必要になります。トップコートの表面のみのひび割れでしたらトップコートの塗り直しで充分保護になります。表面を綺麗になっている事と、水分が付着していないことを確認してから3回塗りで仕上げていきます。バルコニーは水が溜まり足元が滑る場合がありますので骨材入りの滑りにくい塗料もございます。
塗装が終わってからも確認することは多々あります。屋根裏の換気口からコウモリが侵入しているということで、清掃をして隙間を塞いで設置し直しました。コウモリは多くのウイルスを持っていることがありますのでしっかり清掃をして屋根裏に簡単に入れないように対策をしましょう!また清掃後にはしっかり手を洗いましょう!
点検前にチェックした項目、玄関のシーリングの劣化も施工後、踏まないことを確認し補修致しました。ちなみに弊社では塗装可能な部分は全て塗装致します。水切りも黒く塗り直し全てぴかぴかな状態です。
記事内に記載されている金額は2021年06月24日時点での費用となります。
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