素地調整とは?
素地調整とは、下地調整ともケレンとも呼ばれる工程で、一言でいうと塗装を行う前の準備です。準備と言っても、道具を用意したり足場を組んだりといった準備ではなく、塗装する場所を塗装に適した状態に整える作業です。素地調整の目的は、塗装の仕上がりや耐久性を向上させるために、素地表面を滑らかにし、古い塗膜や汚れを取り除き、新しく塗る塗料の接着性を向上させることです。また、鉄部への塗装の際には、錆を落とすという重要な役割もあります。錆は、少しでも残っているとそこからまた広がってしまうので、丁寧に取り除いてサビ止めを塗布する必要があります。
素地調整と下地調整の違い
素地調整が下地調整とも呼ばれると説明しました。塗装面を整えることには変わりないのですが、塗装面の状態によって呼び名を分けています。素地調整:これまで塗装がされていなかった場所へ塗装を行う場合
下地調整:過去に塗装されている場所へ塗装を行う場合
ちなみに、別の呼び名である「ケレン」は英語のclean(クリーン)がなまった呼び名と言われています。
素地調整(下地調整)が用いられる部位
素地調整が必要となる部位は、木部や鉄部が多くなります。
鉄部でのケレン
鉄や鋼材などの金属表面から酸化皮膜や錆を取り除く作業を指します。ケレンは、鉄部の表面を清浄化し、塗装や防錆処理のための下地を整えます。酷い錆の場合、触っただけでボロボロと崩れてしまうものもあり、この上から塗装しても錆とともにすぐに剥がれてしまいます。また、表面が滑らかな部位に塗装する際には、かえって塗膜が密着しづらいため、ケレンで細かな傷をつけて(目荒らし)塗料がのりやすいようにすることもあります。
木部でのケレン
木部では主に、古い塗膜や汚れを落とすためにケレンを行います。古い塗膜が残ったまま塗装してしまうと、新しい塗膜の下で古い塗膜が剥がれ、新しい塗膜ごと塗料が剥がれてしまうため、塗装が長持ちしなくなってしまいます。そのため、ウッドデッキや木材が使用された破風板や軒天の塗装を行う際にもケレン作業が欠かせません。
悪質な業者に注意!
これまで、素地調整の重要さを説明しましたが、もしご自身が業者に塗装を依頼される際は、素地調整が丁寧に行われているかを必ず確認してください。なぜならば、素地調整の有無は塗装直後にはあまり影響がなく、やっていてもいなくても見た目で判別がつかないためです。しかし、塗装直後は綺麗に見えても、後から施工不良のツケが回ってきます。近年の塗料は技術の進歩もあり、一般的な塗料であれば概ね10年程の耐用年数があります。しかし、素地調整を怠って塗装していれば耐用年数を待たず、2~3年程度で塗膜の剥がれや錆に悩まされるようになるでしょう。悲しいことですが、見えないところだからと言って手を抜いて施工する悪質な業者がいるのは事実です。ですから、業者に任せっぱなしにするのではなくご自身の目で確認することが重要です。見積り・契約書の項目にケレン作業が含まれているか、施工工程に問題はないかを確認しておきましょう。契約の際、保証期間について詳しく確認しておくと尚良いでしょう。
施工事例を紹介
最
後に、丁寧にケレンがけを行って塗装した施工事例をご紹介します。こちらは千葉県千葉市緑区にある賃貸アパートです。鉄製の外階段に錆が広がってしまったため補修と塗装工事をご用命いただきました。
ケレンがけ
塗装の前に、まずは素地調整(下地調整)としてケレンがけを行っていきます。平坦な部分は皮すきで削り落とし、凹凸のある面はマジックロン(ナイロン不織布に研磨剤を塗布したもの)で錆を落としていきます。
階段の裏側は腐食が進み、錆と塗膜が一体化していました。塗膜ごと錆を削り、削り終わったらマジックロンで表面を均します。これでケレン作業が完了し、ついに塗装できる状態になりました。
塗装の様子
まずは赤茶色の錆止め塗料を鉄骨全体に塗布し、錆予防を行います。その上から仕上げ用の塗料を丁寧に塗り上げ、塗装完了です。錆や塗装剥がれでボロボロになっていた階段が綺麗に見違えました。錆が出ていると衣服に錆が付かないよう気を遣って階段を使用しなければいけませんから、これからは入居者の方にストレスなく生活していただけます。
記事内に記載されている金額は2023年06月06日時点での費用となります。
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