こちらのお宅は３種類のサイディングが使われていました。
お客様に３種類とお伝えすると「えっそうなの！？知らなかった…」とびっくりされることがあります。普段外壁を気にして見ていないため十数年住んでいても気づかない方がほとんどです。
実は、建物の玄関がある正面と両サイドの外壁のデザインが違うことが多いです。
理由は正面や道路面などの周りから目立つ面は意匠性の高いサイディングが使われていて、あまり見えない面はシンプルなデザインのサイディングが多いためです。
意匠性が高いサイディングが費用が高い傾向にあり、コスト面からみてもすべて意匠性の高いサイディングを使うわけではありません。
あと写真にも写っていますがサイディングによって「縦張り」と「横張り」があります。
「縦張り」の特徴
・水はけが良い
・メンテナンスがしやすい
「横張り」の特徴
・通気性が良い
・デザインが豊富
一般的にはデザインが豊富な「横張り」が多く使われています。
こちらはお隣の家との間で日当たりと雨当たりが少ない面ですが汚れが付着しています。これはコーキングから染み出てくる「可塑剤」と汚れが反応したことが原因です。
「可塑剤」とは
可塑剤（かそざい）はコーキングに柔軟性を与えてくれる成分で、これが染み出てているということは柔軟性が損なわれて固くなってきている証拠です。
コーキングにはサイディングに加わる衝撃を和らげるクッション、緩衝材としての役割があります。
可塑剤の流出→コーキングの硬化→サイディングに直に衝撃が加わりひび割れ、欠損の発生
ひどくなるとサイディングの張替えになってしまい塗装工事の3倍～4倍ほどの超高額工事になってしまいます！！
コーキングは外壁にとってとても重要です。
普段見えない箇所ですがはっきりと状態が見てとれ、所々、色が変色しているのが分かりますね。
これはサイディングを打ち込んでいる釘頭部分の変色です。
新築の際に釘が目立たない様、外壁の色に合わせて釘に色塗りするのですが、その塗料自体の耐久性がそこまで強くないので早めに色褪せしてきます。
色褪せは「チョーキング」と言われます。
「チョーキング」とは
チョーキング現象は白亜化現象とも言われ、建物の塗装が劣化し分解され塗料の顔料（色成分）が粉状になって表面に現れたものです。
分かり易いのは指で壁をこすると手に色が付いてしまうことです。
写真の色が薄くなった箇所はまさに白亜化、元の色が白っぽく変色していることがわかります。
塗料が劣化し防水性が損なわれていることを示しています。
３階の屋根よりさらに高い位置にあるため日当たりが良く劣化が進んだのだと思われます。
同じ建物でも日当たりによって劣化スピードが全然違うことが分かる現象ですね。
雨が降るとコーキングの破断箇所から外壁の内部に雨水が侵入して可能性が高いので雨漏りが起こる前に気づくことができて良かったです。
現場調査全体を通して見た中で最も補修の緊急度が高い箇所でした。
色あせと汚れが目立ちますが、大きく破損している箇所はありませんでした。
表面塗装が劣化すると屋根が吸水と乾燥を繰り返し、反り返りが起こります。
反り返りが激しくなると割れてきますので、出来れば外壁と共にメンテンナスすることを推奨しております。
記事内に記載されている金額は2023年06月22日時点での費用となります。
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