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建物の防水性能が低下すると、雨水が容易に浸入し、雨漏りが発生するだけでなく、建物の寿命も短縮されます。
しかし、防水工事は外壁塗装と比較して、広告や宣伝が少ない傾向にあります。そのため、防水工事の重要性がまだ充分に理解されていない状況です。
今回は、防水工事の重要性、その種類や工程について紹介いたします。
建築の多様化による防水工事の必要性
現在、ほとんどの住宅がプレカット(工場で予め材料を加工すること)された建材を用いて建てられています。そして、これらの住宅にはほとんどベランダやバルコニーが組み込まれています。
さらには、平らな屋根が屋上として利用できる設計であったり、ガーデニングや家庭菜園のための広々としたベランダ、環境や光熱費を考慮してソーラーパネルを設置することもあります。
雨漏りをはじめとする、住宅内部への漏水の原因といえば『老朽化』と決め付けてしまいがちです。しかし、現在の住宅は前述したように様々な設計が採用されており、これらが雨漏りの原因になることは少なくありません。
『屋根』といえば、三角の形状を思い浮かべませんか?昔から現在まで、標準的な住宅の屋根の形は大きく変化していません。その理由は、雨水がスムーズ流れるようにするためです。意図的に勾配を設けることで、建物を雨から守っているのです。
雨漏りを防ぐため、防水工事が必要な様々な箇所
平らな屋根(陸屋根)
屋上として利用されたり、デザイン性を重視して用いられるのが陸屋根です。陸屋根は、勾配がなく真っ平な屋根を指します。水が溜まらないように微妙な勾配こそ付けられていますが、一般的な三角屋根と比較すると水はけは優れません。そのため、水が溜まる可能性が高く雨漏りのリスクは一般的な屋根に比べて高いと言えます。
ベランダ・バルコニーの床
ベランダやバルコニーの床は、一般的に四方が壁に囲まれています。さらに、勾配がほとんど付けられていません。
さらに、内側に関しては日当たりも悪く、一度水が溜まってしまうとなかなか乾きにくいという難点もあります。面積が広いベランダ・バルコニーほど、雨漏りのリスクも高くなります。
② ソーラーパネルを設置している屋根
ソーラーパネルは、陸屋根・三角屋根をはじめとして、住宅のあらゆる部分に設置することができます。後付けで簡単に設置できてしまうのですが、問題が起こりやすいという難点も挙げられます。
ソーラーパネルの設置を行うのは、塗装屋さんでも防水屋さんでもありません。ソーラーパネルの設置業者です。防水工事や屋根工事についての専門業者ではないため、防水や屋根の構造についてあまり詳しくないというケースがあるのです。
設置の際に、屋根に傷を付けてしまっていた、スレートや瓦が剥がれてしまっていたなどのトラブルが後から発覚することもあります。
実際に、街の外壁塗装やさんでは、お客様やソーラーパネルの設置業者様から雨漏りの防水工事のご相談をいただくこともございます。
屋根の勾配と排水性の関係
屋根の勾配が急な建物の例です。屋根材に植物(茅)が使用されているため、雨水が染み込みやすいことが問題です。そのため、屋根勾配を急にして、雨水が流れやすく設計されています。
屋根の勾配が少ない建物の例です。前述の合掌造りに比べると、勾配はなだらかです。建築基準法でも、使用する屋根材の種類によって勾配の基準値や最小値が定められています。
屋根の勾配がほとんどない建物の例です。肉眼では水平に見えますが、実際には微妙に勾配がつけられています。
防水の経年劣化は避けられません
いくら新築時にしっかりと防水処理がされていても、年月と共に効果が薄れていってしまうのは仕方のないことです。耐久性があると謳われている高性能な防水処理でも、次第に経年劣化は起きてしまいます。劣化した塗膜はひび割れや剥がれを生じ、雨漏りの原因となってしまいます。
外壁や屋根と同様に、防水処理にも定期的なお手入れが必要です。お住まいを雨から守るために必要不可欠な要素であり、メンテナンスを怠ってしまうと大きな問題を引き起こす引き金になってしまいます。
雨漏りの原因は特定が非常に困難
雨漏りが一度起こってしまうと、原因を突き止めるのが非常に困難です。建物を全体的に調査し、総合的な診断をした上で原因を追求します。『怪しい』と感じる部分があっても無闇に補修するのは避けましょう。水や水蒸気の通り道が密封され、余計に問題が悪化してしまう恐れがあるからです。
防水工事は4種類
防水方法 | 主な用途 |
|
シート防水 | ゴム・塩化ビニルなど、防水性のあるシートを貼っていく。 | 一般的な住宅の陸屋根や屋上 |
ウレタン防水 | 液状のウレタン樹脂を塗布し、防水膜を形成する | 一般的な住宅の陸屋根や屋上 |
FRP防水 | プラスチックをガラス繊維などに含ませた複合素材を用いる | 一般的なお住まいのベランダやバルコニー |
アスファルト防水 | アスファルトをコーティングしたり、含ませたシートを重ねていく | 大型ビルやマンションなどの広い陸屋根や屋上 |
防水工事のタイミングがわかる劣化サイン
①排水不良が起こっている
基本的には、微妙な勾配で水が流れるような作りになっています。そのため、水が溜まっているということはかなりの危険信号と言えるでしょう。水が正しく排水されないと様々な不具合を引き起こしやすくなり、建物内に水が漏れ出してしまいます。漏水が起こるようになると、各部の腐食・腐朽・劣化を引き起こします。
②表面の浮き・波打ちが見られる
主にシート防水に見受けられる問題です。表面はまだまだ綺麗で一見問題なさそうでも、膨らみ・波打ちなどが見られ踏むとぶよぶよと変形する場合、シートが弱まっている可能性が高いです。
③ひび・割れ・裂けが見られる
防水シートや防水層がひび割れや裂けを起こすと、その隙間から雨水が侵入してしまいます。
植物が生えてきた
アスファルトやコンクリートの隙間から、雑草が生えているのを見たことがある方は多いでしょう。このように植物の成長する力は非常に強く、アスファルトやコンクリートまでも突き破ってしまうほどです。
表面や外壁など目に見える部分の影響だけなく、躯体そのものに影響が出るほど繁殖してしまう可能性も否めません。
⑤色褪せや表面の荒れが生じている
防水層を保護している表面の塗膜が劣化してきたと判断できます。劣化によって保護機能の低下が疑われるため、そのまま放置すると防水層の劣化を招きます。
⑥表面が傷ついている
表面を見てわかる傷は、内部まで届いている可能性が高いです。防水層を傷つけ、防水シートなどが破れてしまっている場合もあります。原因として、日常生活による摩耗や強風による飛来物が挙げられます。また、重い植木鉢やエアコンの室外機などをずらした際にも傷がつく可能性があります。傷の大きさ・深さによって補修方法が大きく異なるため、注意が必要です。
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一般的なお住まいに施す、ベランダ・バルコニーのFRP防水と通気緩衝工法を用いたウレタン防水の手順をご紹介します。
ベランダの下に位置するお部屋を中心に、雨漏りが始まっているとのことです。お部屋の天井などに、大きめの雨染みができてしまっていました。
建物を全体的に調査し、原因はベランダにあると推定できました。ベランダを念入りにチェックし、お客様にご許可をいただき設置されている人工芝を移動させます。
ベランダにはシート防水が施されていましたが、経年劣化が起こっている状態です。所々に傷・穴が見受けられ、裂けている部分も数箇所ありました。
これらの傷・穴・裂けから雨水が侵入しているのでしょう。室内まで雨漏りしているので、防水層を作り直す必要がありそうです。
既存の防水層の撤去を行います。シート防水の場合は、シート自体が防水層になっており、その上に紫外線による劣化を防ぐためのトップコートが施されています。
防水層を剥がすと、下地にも穴が見つかりました。これでは雨水が穴から入り込み、雨漏りが起きてしまいます。このように、表面だけをチェックしても見つけられない問題が生じていることもあります。
構造用合板を採寸した通りにカットして敷き詰め、下地を作ります。頑丈な防水層を作るためにも、隙間なくきっちりした下地を作らなければなりません。
立ち上がり(床から垂直に立ち上がった低い壁)にも構造用合板を貼ります。この後、防水性を高める目的で内角部分に面木と呼ばれる当て木を取り付けます。
下地の構造用合板の継ぎ目にシーリングを充填し、隙間を埋めていきます。その後、プライマーを塗布することで下地とガラスマットとポリエステル樹脂の密着性を高めます。
プライマーを全体に塗布したあと、ガラスマットを敷きます。立ち上がりにも入念に密着させ、構造用合板を貼った部分全体に行き渡るように注意します。
ガラスマットの上にポリエステル樹脂を浸透させ、防水層を作っていきます。この時注意することは、気泡が入らないようにすることです。気泡は、樹脂が硬化した際の強度を落としてしまうからです。
気泡に注意しながら、ポリエステル樹脂を浸透させていきましょう。慎重に、根気強く気泡の処理を行い、強度を落とさないように細心の注意を払って施工します。
防水層を厚く頑丈なものにするため、トナーの入ったポリエステル樹脂を塗布します。トナーの言語は英語のトーンからきており、粉末状のインクという意味です。
まだガラス繊維が目に見えて確認できます。繊維が目立たなくなるまで塗り重ね、防水層を厚くします。同時に、表面をなめらかにすることができます。
ベランダ・バルコニーは歩行時の摩耗や紫外線による劣化が考えられるため、防水層の保護のためにもトップコートを数回に分けて塗布します。
最後に、排水口にカバーをつけてFRP防水工事は完了です。今回の工事によって、雨漏りの心配なく安心してお使いいただけるベランダに生まれ変わりました。
ここからはウレタン防水による通気緩衝工法のご紹介になります。通気緩衝工法ではまず、通気性のあるシートを用いて、その上に湿気を逃す脱気筒を取り付けます。この上からウレタンを塗布していくことで、防水層のウレタンが閉じ込めた湿気を逃すことができるため、防水層の剥がれ・膨れを防止するのに効果的です。
防水シートと重石として使われていたブロック、ロープを全て撤去し、溜まっていた泥を清掃します。
清掃が一通り終わったら、高圧洗浄を行います。床だけではなく、立ち上がり部分も入念に洗浄します。高圧洗浄を行うと、みるみるうちに汚れが落ちていきますよ。
目地に充填されていたシーリングを除去します。その後、モルタルで下地を整えます。表面がざらざらしていましたが、平滑で綺麗な見た目になりました。
バックアップ材を目地に充填します。プライマーの塗布を行ったらコーキング材を充填し、さらに平らに均します。これで下地の形成は完了です。
排水溝の位置はそのままですが、より雨水が流れやすいように微調整します。穴とドレンの隙間は、特に漏水しやすい箇所でもあるので、注意して作業します。
専用のボンドを塗布し、通気緩衝シートを張り付けていきます。
これが、通気緩衝工法の肝となる脱気筒です。防水層と下地の間に溜まった水蒸気を排出し、防水層の剥がれ・膨れを防ぎます。屋上には排水のための微妙な勾配がつけられており、この勾配の頂点に脱気筒を設置します。理由は、水蒸気は上へ上へと移動するためです。勾配や面積との兼ね合いで、脱気筒は複数必要な場合もあります。
ウレタンの一層目を塗布します。継ぎ目ができてしまうと、そこから雨漏りが生じることがあるので、スピードと正確さが求められる作業です。
立ち上がり部分も目地・クラックの補修といった下地処理を行い、プライマーを塗布します。この部分にも二層目のウレタンを塗布し、防水性を高めていきます。
床にも二層目のウレタンを塗布します。塗り重ねは最低2回以上行い、漏水しない防水層を作り上げましょう。
ウレタン防水層を保護するため、トップコートを塗布します。これで、通気緩衝工法を用いたしたウレタン防水工事の全ての工程が終了しました。
弊社スタッフが完了後の点検と確認を行います。その後、お客様にもご一緒に最終点検を行い、問題がなければ工事終了です。現場とその周辺を清掃し、保証書をお渡ししてお引き渡しとなります。通気緩衝工法を用いたウレタン防水工事によって、内部の湿気にも強く雨漏りの心配もない屋上へと生まれ変わりました。