ケレンは外壁や屋根の塗装において重要な工程ですが、ほとんどの方はその名称を聞いたことがないのではないでしょうか。ケレンは塗装の耐久性や見た目に影響する作業なので、是非詳しく知っていただくことをおすすめします。ヤスリなどで塗装面の凹凸や汚れを落としてキレイな下地を作る作業をケレンといいます。
他にも、下地の状況によっては薬品や電動工具を使用したケレンも有効です。地道な作業ですがケレンで手を抜くと塗料の密着性が悪くなり、耐用年数よりも早く剥がれることや浮きが生じる可能性があります。
また、下地は塗装すると隠れてしまうことをいいことに、費用削減のため、ケレンを十分にやらない悪質な業者もいるので注意しましょう。街の外壁塗装やさんではケレンを丁寧に施工することで、1日でも外壁がキレイな状態を維持できるように努めておりますのでご安心ください。
この記事では、ケレンの役割と具体的な作業工程について紹介しています。ケレンの種類や費用についても解説しているので、ご参考いただけますと幸いです。
長い文章のページとなっていますので、内容を動画でもまとめています。動画で見たいという方はこちらをご覧ください!
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目次 【表示】 【非表示】
- ・ケレンとはどういう意味?
- ・ケレンはなぜ必要なのか
- 1. 錆を除去するためのケレン
- 2. 下地に細かい傷をつけて下地の表面積を増やすケレン
- 3. 古い塗膜の死膜だけを剥がすケレン
- 4. 薬品で下地面をキレイにするケレン
- ・ケレン作業は種類によってその費用も変わります
- -1. 第1種ケレン ブラスト処理や薬品によるケレン
- -2. 第2種ケレン 電動工具などで錆を落とすケレン
- -3. 第3種ケレン 手工具などで死膜だけを除去するケレン
- -4. 第4種ケレン 手工具などで簡単な清掃や目粗しをするケレン
- -第1~4種ケレンの各費用
- 最近はレーザーによる錆除去も
- ・塗装で隠せるケレンはごまかされやすい作業
- -手抜きされやすい工程だからこそ見積書の確認が大切
- ・ケレン作業の様子と完成後の実例
街の外壁塗装やさんはケレンを一番大切な作業の1つとしています
建築業界以外では、ケレンという言葉はほとんど聞くことはないですよね。塗装する下地面の汚れや錆を落としたり、細かい傷をわざと作って塗料が密着しやすくする作業をケレンといいます。街の外壁塗装やさんはケレンを一番大切な作業の1つとして、塗装の仕事をしています。なぜなら、この作業で塗装の耐久性や仕上がりのよさが決まってしまうと言っても過言ではないからです。
ケレンは塗装の寿命や見た目のよさに影響する大切な作業
ケレンを適切に行えば、キレイな見た目になるだけでなく塗装が長持ちします。一方で、ケレンが十分でないと下地の密着性が悪くなり、見た目も耐久性も塗料本来の性能を発揮できません。
塗装の下地に汚れが残ったままだと、塗料が剥がれやすくなることは容易にイメージできるのではないでしょうか。
建物で実際にケレンが行われる場所 金属の部分
ケレンとはどういう意味?
建築や建設業界でよく聞くケレンは、外連(けれん)とは全く異なるものです。塗装工程のケレンは英語のclean(クリーン)が語源で、清潔にするという意味を持っています。一方で外連(けれん)は歌舞伎に関する用語で、ごまかしやはったりを意味しています。
塗装におけるケレンは、決してごまかしやはったりを意味しているわけではありません。ケレンをかける下地面は塗装によって隠れてしまうので、手抜きをしても施工直後はキレイな状態を保てます。
しかし、ある程度の年数が経過するとボロが出て、塗装の浮きや剥がれが目立ってくるでしょう。
建築業界のケレンは下地をキレイにするという意味で、塗装の耐久性や仕上がりのよさを左右する最も大切な作業です。ごまかしやはったりを意味する外連とは全く異なる言葉なので、勘違いしないように注意しておきましょう。
ケレンは塗装の下地面の汚れや錆を落として、塗料を密着しやすくする役割を持っています。また、塗装面が平滑な場合は塗料の密着性が低いのですが、塗装の下地面をわざと粗く(目粗し)することで塗料が密着する部分を増やすことも可能です。塗装の錆がひどい場合は、薬品や電動工具を使った大掛かりなケレンをする場合もあります。
塗装面をキレイにしたり目粗しをすることで下地を作り、塗料の密着性を高めることがケレンの役割なのです。
1. 錆を除去するためのケレン
金属部分に塗装をする場合は、錆などをケレンで落とします。トタンやガルバリウムの外壁や屋根、金属製の雨戸や戸袋などの塗装でよく行われるケレンです。
錆の中には手で触れるだけでも簡単に剥がれてしまうような、進行が激しいものもありますよね。このような錆の上から塗装をしても、すぐに塗料が剥がれることは容易に想像できることでしょう。金属部分の塗装を長持ちさせるためには、ケレンによって旧塗膜の錆を落とすことが大切です。
建物で実際にケレンが行われる場所 金属の部分
2. 下地に細かい傷をつけて下地の表面積を増やすケレン
ケレンはキレイにするだけではなく、下地に傷を意図的につけることもあります。ヤスリなどで細かな傷を下地につけて表面積を増やし、塗料の密着性を高めることが目的です。この作業は目粗しと呼ばれ、塗装面が平滑な場合に行われます。
樹脂や金属部分に対して行われることが多く、実際の建物では樹脂製の雨どいや金属製のドアなどの旧塗膜に目粗しをします。海底に沈める船のアンカーが海底に食いこむ様子と似ているので、アンカー効果や投錨効果、ファスナー効果などと言われることもあります。
建物で実際にケレンが行われる場所 樹脂や金属の部分
3. 古い塗膜の死膜だけを剥がすケレン
塗装する下地に死膜がある場合は、ケレンにより塗膜を除去するケレンを実施します。死膜とは新しい塗料が付きにくい状態の旧塗膜のことです。
一方で塗料が付きやすい旧塗膜は活膜といい、下地の状態にもよりますがほとんどの場合は除去を行いません。
旧塗膜を剥がすために行うこのケレン作業のとしては、鼻隠しや破風板の木部、劣化の激しいサイディングなどの部位があります。
建物で実際にケレンが行われる場所 木部や樹脂、死膜を残した金属の部分
4. 薬品で下地面をキレイにするケレン
建物で実際にケレンが行われる場所
陸屋根やベランダ・バルコニーの床面など
ケレンは1種~4種に分類され、種類によってかかる費用も異なります。薬品や特殊な工具を使うことで工程が増えるほど、コストも高くなることを理解しておきましょう。
第1種ケレン
ブラスト処理や薬品によるケレン
第1種ケレンは大掛かりで、ブラスト処理や酸洗浄、剥離剤などを使って行う作業です。橋や工場などの大規模な建設物に適したタイプのため、住宅などで見られることは滅多にありません。
ブラスト処理は塗装の下地面に金属の粉を強く吹き付けて、錆を除去する工法です。下地面の状態を考慮して、適した硬さの金属粉を吹き付けます。機械を使って高速で吹き付けるので、錆や金属粉が周囲に飛び散らないようにシートなどで養生しなければなりません。
かなり強い薬品を使うこともあるため、材料の取り扱いには厳重な注意が必要です。
第2種ケレン
電動工具などで錆を落とすケレン
第3種ケレン
手工具などで死膜だけを除去するケレン
第4種ケレン
手工具などで簡単な清掃や目粗しをするケレン
1~4種のケレンにかかる費用は、薬品や特殊な工具を使うほど高くなります。1種が一番高額なケレンですが、一般的な住宅に用いられることはほとんどありません。2種ケレンの1㎡当たりの施工費用は、最も安い4種ケレンの約4~5倍もかかります。一般的な住宅で電動工具や薬品が必要なケレンはめったにありませんが、工法の違いで約10万円の価格差がでる可能性もあるのです。錆や汚れの状態が深刻になるほどケレンの費用は高額になるので、メンテナンスはこまめに行うことをおすすめします。特に金属屋根などの住宅はケレンの施工範囲が広いので、定期的に錆や汚れの状態を確認しておきましょう。
塗装で隠せるケレンはごまかされやすい作業
古い建物であっても新しく塗装をし直せば、新築のような見た目にもできるほど塗料は優れた材料です。色や柄の選択肢は豊富で、適切に施工すれば錆や落書をキレイすることも難しくありません。
塗料が優れた材料だからこそ下地が簡単に隠れてしまうので、ケレンは手抜きされやすい作業なのです。軽度な錆や汚れであれば、その上から塗装してもほとんどの人は手抜きに気付かないでしょう。塗料の剥がれや浮きはすぐには発生しないので、施工から数年後に手抜きが判明することもあります。
手抜きが発覚した時点で施工業者のメンテナンス期間が終了していると、自費で補修工事をしなければいけません。塗装工事は業者によって仕上がりの良さや耐久性が大きく左右されます。そのため悪質な業者を見分け、施工実績が豊富な塗装業者に依頼をすることが大切です。
手抜きされやすい工程だからこそ見積書の確認が大切
ケレンは手抜きされやすい工程なので、見積書の内容を確認することが大切です。業者の施工状況を全て確認するのは難しく、現実的ではありません。また、作業中の現場に近づくことは危険な上に職人の手を止めることにもなります。
現場での確認は難しいので、見積書でケレンをする場所や方法を把握しておきましょう。また、工事写真の記録方法や保証期間は業者によって異なるので、詳しく聞いておくことをおすすめします。
街の外壁塗装やさんでは、塗装の工程ごとに作業状況を撮影して工事写真としてまとめています。まとめた工事写真はお客様にお渡しして、ご不明な点がないようお見積りの各工程についてもご説明をさせていただいております。また、塗装箇所ごとに保証があるので、施工後のアフターフォローもお任せください。
塗装工事は施工が終われば下地の確認が難しい工事です。工事にかかる費用も気になりますが、施工後に隠れてしまう部位に対する保証を重視している業者であるかを必ず確認しておきましょう。
- ●ケレンは英語のcleanが訛ってできた言葉で、塗装の下地を整える作業のことです。
- ●ケレンの役割は塗装の下地を整えることで、錆落としや旧塗膜の撤去や目粗しなどを行います。
- ●ケレンは第1~4種に分類され、使用する道具・薬品やコストに違いがあります。
- ●ケレンは塗装により隠れる部分に行うので、手抜きされやすく業者選びには注意しましょう。
- ●見積書でケレンをする場所や種類を見て、不明点があれば施工前に確認しておく必要があります。
ケレン作業の様子と完成後の実例
バルコニーに使われている木製柵への施工
表面がささくれているバルコニーの落下防止柵へのケレンです。塗装が剥がれているのか内部まで腐っているのか、見ただけでは判断できないほど傷んでいます。サンダーで表面を平滑に削り、塗装の下地作りをしていきます。
がんこな錆がついた金属屋根への施工
劣化の激しい窯業系サイディングへの施工
窯業系サイディングのケレンでも、マジックロンとスクレーパーを使って下地処理を行います。塗料の劣化が激しい状態なので、スクレーパーで活膜以外の旧塗膜を除去しなければなりません。
ケレンを丁寧に行うことで、下地を残したまま新築のような仕上がりになりました。汚れが付着しにくい低汚染塗料を使っているので、キレイな状態が長く続くことでしょう。