お住まいの外廻りで最も劣化しやすい部位をご存知でしょうか。なんとそれは外壁や屋根本体ではないのです。最も劣化しやすい部位は、広さとしてはわずかな屋根の端に設置された、「破風(はふ)」や「鼻隠(はなかくし)」といわれるところです。
お住まいの劣化は破風から起きるとも言われるほどです。屋根の先端部は屋根や外壁と同じように、雨や日光を直接受けていることに加えて、風にもさらされています。破風や鼻隠しが設置されているのはお住まいをダメージから守り、見た目の美しさを維持するために大切な役目があるからです。今回の記事では、破風・鼻隠し・ケラバがお住まいのどこに設置されているのか、そして設置される目的やお手入れの方法について詳しくご紹介してまいります。
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破風や鼻隠しとは、どの部分を指すのでしょう
破風は「切妻(きりつま)」といわれる屋根に存在する部位で、二等辺三角形の斜辺になっている部分を指します。そして、破風の上端に位置する部分がケラバといわれています。また、破風に使用されている部材は破風板(はふいた)と称されることもあります。
屋根が外壁から突き出て、地表と平行になっている部分は軒先といわれています。軒先の端には鼻隠しといわれるパーツが設置されていることが多く、そこに雨樋が設置されています。
破風と鼻隠しはどちらも屋根の端に設置されているため間違いやすいのですが、破風が付いている屋根は切り妻と入母屋です。寄棟屋根であれば4つの面があるため破風はついておらず、屋根の下側は全部鼻隠しとなります。また、破風に雨樋が設置されることはなく、鼻隠しにはほとんどの場合で設置されています。
破風とケラバはどこが違うのか、なんだか非常にわかりづらいですよね。破風と鼻隠しは部材の名称で、ケラバは場所を指しているのです。もちろん違いが分からないという方でも、点検にお伺いさせていてだいた際にはしっかりとご説明させていただきますので、お問い合わせの際には「屋根の端」とお伝えいただければ大丈夫ですよ。
屋根の端に設置されている破風・鼻隠しは、雨樋が設置されているか否かという違いこそありますが、どちらも屋根の端を守ることが目的です。同じ役割を持つのであれば、なぜ異なる名前がつけられているのでしょうか。その理由は、住宅の形状や建築用語と関連があると考えられています。
まず、破風板という名称で、屋根の側面に設置されている部材は、屋根裏に風が入り込まないように取り付けられています。屋根は、雨や日光を遮り上から来る雨や風には強さがあります。ところが、横からの雨や風、また外壁に当たって上向きになった風にはあまり強くはありません。そこで、横や下から吹き上げてくる雨や風を破風板がブロックしているのです。
鼻隠しは、もともと棟木から軒先に取り付けられている垂木の小口を覆うために付けられていました。垂木の先を「鼻先」といっていたことから、鼻先を隠すということで「鼻隠し」といわれるようになりました。
鼻隠しも破風と同じように、屋根の端に設置されていて、雨や風が入り込まないようにする役目がありますが、一番大切な役目としては、雨樋の下地材となることです。
鼻隠しが設置されていない住宅では、化粧垂木に打ち込み金具という部材を使って雨樋を取り付けることがありますが、近年の住宅には通常、鼻隠しが取り付けられています。
破風板と鼻隠しには、それ以外にも同じ役目があります。ひとつは美観性を高めるということです。屋根の内部にある構造部は、すっきりとしたお住まいの外観には似合いません。そこで破風板や鼻隠しを設置することで、入り組んだ構造を見えなくし、見た目をスッキリとさせてくれているのです。
もうひとつの役目は、防火性を高めるということです。住宅で火事が発生した場合、火は下から上に向かっていきます。防火の役目を担う破風板や鼻隠しが設置されていない場合には、窓からの火が軒に燃え移ってしまうためすぐに大きな火災に発展してしまいます。
日頃あまり意識して見ることの少ない破風板や鼻隠しですが、お住まいの安全性と美観性を高めるという大切な役目を果たしているのです。
破風には直接雨が当たることになるため劣化が進行しやすく、「ここまでひどくなるのであれば、気が付いた時に修繕しておくべきだった」と後悔されるお客様も多いです。
鼻隠しは、雨樋で見えないところが多いですが、こちらも直接雨にさらされています。太陽光や風も直接当たることになりますので、お住まいの中でも外的要因の影響を受けやすく、劣化もしやすい部位です。
破風や鼻隠しが劣化し、雨水が沁み込むようになるとその周辺にも被害を及ぼす危険性があります。破風や鼻隠しに水分が含まれるようになると、それは次第に軒天にも伝わり、そのうちに外壁や小屋裏に達し、そのまま雨漏りになってしまうケースも少なくありません。
実際に、「屋根の端に少し傷みがある程度だと思っていたら、軒に影響が広がり、家の中まで雨染みが発生した」という方もいらっしゃいます。ダメージが破風や鼻隠しの一部分だけで収まるのであれば、焦って修繕しなくてもいいかもしれませんが、なかなかそうではないことが多いのです。
破風と鼻隠しに劣化が見られた場合には、すぐに修繕するようにしましょう。あるいは、外壁塗装のタイミングで併せて補修をしてもらうこともオススメです。破風や鼻隠しの劣化から雨漏りが発生してしまうようなことがないよう、是非早期の点検をご検討ください。
破風と鼻隠しに使用されている素材についてご紹介します
20年以上前の住宅では広く使用されていたのがこの木製の破風板や鼻隠し。日光や雨、風に晒されているため定期的な補修が必要となる。性能の低下や木材の腐食がなければ、塗装をすることで表面を守り長期で使うことができるが、塗膜の剥がれには注意が必要。
下地にモルタルを塗り、仕上げをしたもの。外壁材にモルタルを使用したお住まいで多く見られる。モルタル外壁は最近少なくなっているため、このような仕上げをされた破風や鼻隠しも少なくなっている。経年劣化や雨樋の支持金具の影響などによって、クラック(ひび割れ)が発生しモルタルが広範囲で剥がれ落ちてしまっている場合もある。
木製の破風や鼻隠しをガルバリウム銅板で覆ったもの。耐久性に優れるため、メンテナンスサイクルを長くすることができる。
外壁の窯業系サイディングと同じ素材で製造されたもの。火に強く、窯業系サイディングと同様に長持ちする。近年に建てられたお住まいでは、窯業系・樹脂系の素材が使われていることが多い。
塗膜が剥がれかけている
軽度
塗装(ケレンで表面を処理してから塗装)
低額
普通
塗膜の剥がれは進行しているが、木材に損傷はない
中程度
板金巻き(破風板や鼻隠しに板金を巻き付ける)
中程度
長期
※鼻隠しに板金巻きを行う場合、
雨樋を一度外して作業を行うため、新品の雨樋に取り替えるとお得です
塗膜の剥がれが進行し、木材に腐食が起きている
重度
部分的な交換、あるいは全交換(破風板や鼻隠しの一部分、あるいは全てを交換する)
高額
普通~長期
瓦屋根のケラバの症状ごとのメンテナンス方法と注意点
ケラバ瓦というケラバに特化した瓦が使用されていますので、素材の状態に適した手法でメンテナンスをしていきます。下記のような症状があれば雨漏り等で住宅に大きな支障をきたす可能性があるため、早めにメンテナンスを行いましょう。
状態に合った対応をすることが大切です。ケラバ瓦がズレていたり、外れていたりするケースでは整然と並んだ状態に戻します。そして破損しているものは、取り替えていきましょう。ケラバ瓦がズレていると鳥が棲み着いてしまうこともあります。鳥の住処になってしまうと、音やにおい、フンなどの被害にあう可能性があります。そこに卵があったりヒナが生まれた場合は、鳥獣保護法によって巣立ちするまで手を加えることができなくなってしまいます。鳥が子どもを育て始める春先から7月ごろまでにケラバ瓦のズレが発生していないかチェックしておくといいでしょう。
またセメント瓦やコンクリート瓦(モニエル瓦)といった、屋根塗装をしなければならない瓦では、屋根に塗装をする際にケラバ瓦も一緒に塗り替えます。しかしセメント瓦やコンクリート瓦は廃版になっているものが多いため、在庫がない場合は代わりの製品を使用します。もし代わりになる製品がなければ、屋根を葺き替える作業をご案内する場合もありますので、予めご了承いただけますと幸いです。
スレート屋根と金属屋根のケラバのメンテナンス方法と注意点
スレート屋根、金属屋根には、ガルバリウムなど板金のケラバが設置されていることが多いので、こうした場合にも素材の状態に応じたメンテナンスと補修をしていきます。
屋根塗装の際には、ケラバ板金も屋根と同じように塗装をしていきます。ケラバ板金がしっかり固定されておらず浮き上がっていたり、外れそうになっていたりする場合は、クギやビスを打って動かないようにします。またサビがひどいようであれば取り替えます。同質役物(屋根材と同じ素材で制作されたケラバ)の場合も、屋根を塗装する際に同じように塗っていきます。
表面に石粒を吹き付けている金属屋根では、同様に表面に石粒を付着させたケラバ用の部材もあります。この場合は通常、メンテナンス不要と考えて問題ありませんが、歪みや変形、サビが発生していないかなど、定期的に点検をご検討いただくといいでしょう。
鼻隠しのメンテナンス作業をする場合には、雨樋を新しくすることがオススメ
鼻隠しを木製から窯業系に取り替えるとすると、部分的な取替えができないので、全て取り替えることになります。もし一部分を取り換えるとしても、材質によっては塗装しなければなりません。当然、色の差異が目立ってしまうようになるので、全てを塗装することをご提案しております。
2階建て住宅であれば、1階よりも雨や風の影響を受けやすい2階側でダメージが発生しやすい傾向があります。2階での作業には安全性と効率から足場の仮設が必要となるため、足場の設置が必要になる工事を併せて行っていただくことで足場代がお得になります。そのため板金巻きや取替え作業をする際には、足場の設置が必要になる雨樋工事をご検討いただくことがおすすめです。
鼻隠し工事のためには雨樋を一度取り外してから工事後に再度取り付けることになるため、新しい雨樋に交換をする場合でも脱着の手間は変わらず一回です。このときに雨樋の支持金具や雨樋の形状を再考いただくのもいいかもしれません。雨樋の支持金具は、下から支えるタイプの受け金具よりも、上から吊るすように設置される吊り金具のほうが長持ちしますよ。
また、形状が半円上の雨樋よりも角形の雨樋の方が多くの水を流せるため、雨樋が溢れたり壊れたりしにくくなります。以前よりも雨が増えたと思われる地域にお住まいの方は、風が強く当たる位置に設置されている雨樋をしっかりチェックしておくといいでしょう。
破風板や鼻隠しの修繕だけをした場合、その後、雨樋を取り替えなければならなくなったときには、足場の設置と雨樋の取り外しと取り付け作業を、もう一度やらなければなりません。費用や業者を選定する手間もかかりますし、なにより工事中というのはなんだか自宅にいても落ち着きませんよね。
また、メンテナンスを複数回に分けて行う際に気をつけなければならないことは、メンテナンスの時期と配色のバランスです。たとえ範囲が狭い場合であっても、破風や鼻隠しだけをきれいにすると、そこだけが目立ってしまい浮いた印象を感じるようになってしまいます。
このようにメンテナンスはなるべく一度にまとめて行うことで支出や時間、ストレスなどを低減することができます。初期コストには少なくない金額が必要になってしまうかと思いますが、長期的に考えれば間違いなく節約になるのです。
私たち街の外壁塗装やさんは、外壁塗装や屋根塗装以外にも、破風・鼻隠しの修繕や取替え、雨樋の取替えといった工事も承っております。外装リフォーム全般の施工が可能となっていますので、お住まいのことならどんなことでもご相談ください。
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破風とは、雨樋が設置されていない妻側屋根の端に取り付けられている部材を指し、鼻隠しは雨樋が設置されている軒先屋根の端に取り付けられている部材です
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破風の上端をケラバと呼びますが、お問い合わせいただく際には「屋根の端」とだけお伝えいただければ大丈夫です
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破風や鼻隠しには、屋根の弱点である横や下側から入り込む雨風を防ぎ、外観を整え、さらには火事が広がらないようにするなど、多くの重要な役目があります
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破風や鼻隠しにダメージがあるまま放っておくと、軒天や垂木まで腐ってしまい部屋の中に雨水が沁み込んでしまう可能性があります
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かつては木製のものが多かったのですが、昨今ではより耐久性の高い窯業系・樹脂系・ガルバリウム鋼板製の破風・鼻隠しが取り付けられている住宅が増えています
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破風・鼻隠しは塗装メンテナンスを行い塗膜によって保護をすることが大切です。塗装によるメンテナンスが困難なほど劣化が進行した場合は、板金カバーの取付けや取替えを検討したほうがいいでしょう
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鼻隠しに板金カバーを取り付けたり、鼻隠しを交換したりする場合には、雨樋を外さなければなりません。足場の仮設費用も考慮し、雨樋形状や金具のタイプを検討し新しく交換することを考えてもいいかもしれません
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私たち街の外壁塗装やさんは、外壁塗装のみならず、破風・鼻隠しの修繕や交換、さらには雨樋工事にも対応しています。お住まいのことでお悩みのことがございましたら、お気軽に無料点検をご活用ください