窯業系サイディングとは、主にセメントと繊維から構成されている外壁材です。厚みも12mm以上と、非常に頑丈な建材です。しかし、経年劣化による反り返りや、その変形に耐えられず割れてしまう事があります。現在お住まいの住宅の外壁に不具合があると不安に感じますよね。
結論から言うと、窯業系サイディングの不具合の原因はメンテナンス不良によるものがほとんどです。こちらの記事では、窯業系サイディングの反り・浮き・ひび・割れを防ぐメンテナンスをはじめとし、それらによって起こる原因や起こった場合の補修方法までを解説します!
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目次 【表示】 【非表示】
- ・実は経年によって変形をする窯業系サイディング
- ・実際に起こった窯業系サイディングの反りや浮き、ひび、割れ
- -第1段階 窯業系サイディングの反り
- -第2段階 窯業系サイディングの浮き
- -第3段階 窯業系サイディングのひび
- -第4段階 窯業系サイディングの割れ
- ・窯業系サイディングが変形してしまう理由
- -雨水の吸収による膨張と乾燥時の収縮
- ●雨水が吸収されてしまう原因
- -吸収された水が凍ることによって起こる凍害
- ・窯業系サイディングが変形してしまった場合の補修方法
- -釘やビスによる固定
- -部分的な張替え
- ・反りや浮き、ひび、割れの予防方法
- -外壁塗装による防水性の保持
- -シーリングによる断面の保護
- ・結局どれが最適?窯業系サイディングの修理方法に迷った時
- ・窯業系サイディングが変形してしまう原因と予防・補修方法のまとめ
現在、窯業系サイディングは約8割の住宅に外壁材として使用されています。理由は、工場生産で品質が安定している、デザインのバリエーションが豊か、といったところです。ご自身のお住まいの外壁に窯業系サイディングが使われているという方も多いでしょう。
この窯業系サイディングですが、経年劣化によって変形してしまうことがあるのはご存じでしょうか?「窯業系サイディングの外壁が変形している家なんて見たことがない!」という方ばかりだと思います。
しかし、ふと自宅の外壁を見上げた時に、サイディングが歪んでいる、浮いている、などの不具合を見つけてしまったら…このままで大丈夫かと不安になられる方がほとんどでしょう。
窯業系サイディングの不具合を見つけたら?
窯業系サイディングの不具合を見つけたら、できるだけ早くリフォームや補修をすべきです。じっくり確認しないとわからない軽微な反りであれば、すぐに大きな影響が出ることはないでしょう。かといって放っておいても元に戻る訳ではありません。時間が経過するにつれて症状は悪くなるばかりです。
窯業系サイディングの外壁に、浮きや割れなどによって隙間ができてしまうと、その隙間から雨風が入り込んでしまいます。その結果、下地やその他の建材に悪影響が出てしまいます。さらに、最悪の場合は雨漏りも起こりうるでしょう。外壁からの雨漏りは、室内から異常を察知するのが難しいです。気づかないうちに水が建材を侵食して、内部が腐朽してしまう可能性があります。
不具合を放っておけばおくほど、被害も大きくなります。その結果、補修工事も大規模なものに。なるべく早めに異常を察知して、補修することで被害を最小限に抑えられます。
→ 【実例はこちら】窯業系サイディングの補修方法
窯業系サイディングは、主にセメントと木質繊維から構成されています。これを外壁材に用いるために板状に成形し、工場で塗装して出荷されます。
窯業系サイディングの変形を4段階で表すと、以下のようになります。
①長い板材であるサイディングが弓状になる”反り”
②反りを放置することで他のサイディングとの間に隙間ができる”浮き”
③サイディングが変形に耐えられず釘やビスが打ち込まれた部分にできる”ひび”
④さらに変形が進みひびが拡大してできる”割れ”
窯業系サイディングの外壁材は、表面こそデザイン性を確保するための模様がついていますが、基本的には平らです。他の部分と見比べて盛り上がっているなど不自然に見える場合、反りが発生していると判断できます。
反りを放置していると、継ぎ目の部分が浮いてきます。目地を埋めているシーリング剤が剥がれ、隣のボードとの隙間ができることもあります。この隙間から、雨水などが内部に侵入し、内部の下地や隣のボードにも影響が出てしまいます。
窯業系サイディングは、下地の木材に釘・ビス・金具などで留められています。反りなどの変形が時間の経過とともに大きくなると、固定している部分に負荷がかかります。負荷がサイディングの強度を超えてしまうと、サイディングのひび(クラック)の原因となります。ひびは生じなくても、固定部分の釘・ビス・金具が抜けてしまったり、外れてしまったりする場合もあります。
ひびが入ったまま放置していると、変形が進行して割れてしまいます。サイディングボードが真っ二つに割れてしまう訳ではなく、釘・ビス・金具の固定部分付近が割れるケースが多く見られます。この場合、サイディングと下地が固定されていないので、台風や地震などで落下する恐れがあり大変危険です。すぐに補修が必要となります。
窯業系サイディングをはじめとする外壁材の弱点は水です。目地のシーリング剤や表面の塗装が経年劣化した結果、サイディングが吸水してしまうようになります。この吸水が、変形の原因となる場合がほとんどです。
サイディングが吸水→乾燥を繰り返すということは、膨張→収縮を繰り返すことになります。このサイクルがサイディングの変形を助長し、反り→浮き→ひび→割れの流れで外壁が劣化していきます。
窯業系サイディングは、工場出荷時に防水塗装が施されています。しかし、この防水塗装も直射日光や経年劣化によって防水性は年々低下します。目地のシーリング剤も同じように、収縮や劣化で防水性は低下し吸水します。さらに、釘やビスの穴も適切な防水処理が行われていない場合は吸水の原因となります。
目地のシーリング材の劣化によるサイディングボードの断面の露出
目地を埋めているシーリングは、劣化が早い建材です。新築から10年も経たないうちにひび割れしてしまったり、乾燥によって収縮し隙間ができることも多いです。サイディングボードは、表面こそ防水塗装がなされていますが、断面はそうではありません。従って、シーリングが劣化していると、断面からの吸水は避けられません。また、2階建てで庇のない部分では、軒天から基礎まで一直線に目地が続いています。すなわち、目地は雨水が伝ってきやすい部分ということになります。
釘やビスの周辺の防水処理
サイディングボードに穴を開けて、下地に釘・ビスで固定する方法があります。この時、防水のためにシーリングや塗料で上から修正塗装を施します。釘・ビスは金属のため、サイディングよりも塗装が剥がれやすいです。塗装が剥がれてしまうと、そこから水が入ってしまいます。
塗装が剥がれてしまう
1階部分のサイディングは、自転車や荷物をぶつけてしまう場合があります。その際に傷がついてしまうと、塗装が剥がれる恐れがあります。塗膜が完全に剥がれてしまうと、そこから雨水が侵入します。物をぶつけるなどの外的要因がなくても、経年劣化によって塗装は剥がれてしまいます。定期的な外壁塗装で防水性を保つことで、サイディングの吸水を防ぐことができます。
サイディングの直貼り工法
窯業系サイディングは「直貼り工法」と「通気工法」のどちらかで施工されます。直貼り工法は2000年頃までよく使われており、構造用合板に透湿防水シートを貼り、その上に直接サイディングを留めてあります。
現在は通気工法が主に採用されており、透湿防水シートの上に胴縁を打ち付け、胴縁にサイディングを留めます。胴縁の厚み分、下地とサイディングの間に通気が確保される仕組みで、湿気や水分が貯まりにくくなります。
ご自宅が2000年以前に建てられていた場合、直貼り工法が採用されていることがあります。古い住宅は通気層がなく、サイディングの裏に湿気が溜まりやすいため、そこから吸水してしまう可能性があります。
新築時の施工不良
釘やビスの打ち忘れや施工方法の間違いも、サイディングの不具合の原因になります。窯業系サイディングの厚さは一般的に、12mm・14mm・16mm以上があります。14mm以下のものは釘・ビスで固定します。16mm以上のものは重量が大きいため金具で固定するのが標準仕様で、釘やビスでの固定は想定されていません。
寒冷地でよく見られる凍害
凍害は、物体に染み込んだ水が凍ることで膨張し、その物体を破壊する現象をいいます。これがサイディングで起こると、不具合の原因になります。
水が氷になる時、体積は9%ほど膨張します。その力は、約2000気圧と非常に大きいです。2000気圧は、1㎠あたりに2tの重さがかかっている状態に相当します。これがサイディングの内部で繰り返されるのでひびや割れが発生してしまいます。
一度変形してしまったサイディングは、元には戻りません。よって、サイディングの変形具合によって、補修方法が異なります。
また、窯業系サイディングに変形が生じている場合、同時に防水性が低下していることがほとんどです。その場合、変形の補修と併せて外壁塗装も施します。
サイディングの変形が少ない場合
窯業系サイディングの変形が少ない場合、釘やビスを追加で打つことで固定します。釘やビスは胴縁に打ち付けるため、外壁の裏に隠れている見えない胴縁を、現在の釘の位置から判断します。
釘やビスを打ち増ししたらその頭をシーリングで隠し、色に違和感が出ないように近い色の塗料を用いて補修をしていきます。
・実際の補修事例
築10数年の住宅で、サイディングに浮きが見られます。通常、横張りのサイディングでは450mmピッチで釘を打ち下地に固定します。こちらの住宅では、数カ所釘が打たれていませんでした。このように、施工ミスは新築時にはわからなくても、時間の経過とともに症状として必ず現れます。
浮きが見られるサイディングをビスで固定します。この時、サイディングが割れないように丁寧な作業が必要です。
サイディングの浮きと同時に、目地に割れが見られました。こちらは、専用のプライマーを塗布した後、オートンイクシード(長寿命のシーリング)を充填しました。併せて外壁の全面塗り替えを施工する予定なので、シーリングもビスも目立たなくなります。
サイディングの変形が大きい場合
変形が大きい場合、釘やビスで無理やり固定しまうとかえって割れてしまうことがあります。また、既にひびや割れが生じていることもあります。このような場合には、サイディングを部分的に張り替えることで対応をしましょう。周辺のシーリングを剥がし、サイディングを取り外します。そして、新しいサイディングを張ります。この時、同じ模様のサイディングが見つかればいいのですが、古いものは生産が終了している場合もあります。この場合、近いデザインのものを選ぶことになりますが、違和感を感じてしまうことも多いです。こういった事態を防ぐためにも、張り替えが必要になる前に定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
・実際の補修事例
こちらのケースでは、ベランダのサイディングに大きな割れが生じ、浮いてしまっています。放置してしまうと、サイディングが剥がれ落ちてしまう可能性があります。このままでは危険なため、ベランダ周りのサイディングの張り替えを行いました。
既存のサイディングを全て外しました。内部は綺麗で不具合はなく、補修する必要はありませんでした。新しいサイディングを、間柱に合わせてビスで固定します。
既存のサイディングと全く同じものは用意することができませんでしたが、お客様とのご相談の結果、似たデザインのもので代用することとなりました。ベランダ周りのサイディングは全て張り替えたため、違和感のない仕上がりとなりました。
ベランダ周り以外の目地シーリングも劣化していたので、併せて補修を行いました。
小さな割れであれば、張り替えではなく補修も可能です
サイディングの角の部分が、釘やビスによって割れてしまうことがあります。このような小さな割れの場合は、修復可能です。シーリングや接着剤で補修し、その上から塗装を施します。
窯業系サイディングが変形する原因は、水分の吸収にあるとご紹介させていただきました。したがって、変形を予防するには吸水を抑えることが重要ということになります。凍害による割れや破裂も水分の吸収を防げば予防することができます。サイディング以外の一般的な建材と同様に、水から守ることで不具合を回避できます。
外壁塗装による防水性の保持
塗装は、建材を水から守るために施されます。窯業系サイディングも例外ではなく、外壁塗装を施すことで防水性を保持できます。
定期的なメンテナンスで、外壁の寿命を長く保ちましょう。一般的に、外壁塗装の頻度は10年に1度が理想的と言われています。しかし、塗料の性能・立地・環境によってもその頻度は変わってきます。特にクリア塗装をお考えの場合は、少し早めの7〜8年あたりで施工されるのが良いでしょう。また、新築時に比べて色褪せている、チョーキングが起きているなどの異変が見られる場合は、外壁塗装が必要かもしれません。街の外壁塗装やさんでは無料で点検からお見積りの作成まで承っておりますので、是非お問い合わせください。
シーリングによる断面の保護
目地を埋めているシーリング材は、劣化しやすい部分です。特に、新築時に施工されたシーリング材は保護塗装がされていません。そのため紫外線による硬化が著しく、ひび割れ・避け・剥がれが発生します。さらに劣化が進むと、風化してボロボロになってしまいます。症状が出る前に、既存のシーリング材を除去して新しく充填し直すなどの、定期的なメンテナンスが必要です。
結局どれが最適?窯業系サイディングの修理方法に迷った時は
大切なご自宅の外壁に不具合が出てしまうと、不安ですぐにでも修理したいですよね。まずは焦らずに、症状に合った適切な修理方法を選ぶことが大切です。コストや機能性、さらには今後の居住年数なども考慮して、修理方法を選びましょう。
もし外壁の不具合を見つけたら、街の外壁塗装やさんまでお気軽にご相談ください。無料で現地調査へお伺いし点検を実施させていただいたあと、状況に適した補修方法やリフォーム内容についてご提案いたします。補修が必要かどうかわからないような、些細なご心配事もお問合せください。
街の外壁塗装やさんでは、外壁塗装のみならず外壁サイディングのお問い合わせも受け付けております。外壁に関するお悩みは、街の外壁塗装やさんまで、お気軽にご相談ください。
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窯業系サイディングはセメントと繊維からできていて頑丈だが、経年によって変形やひび割れが発生してしまう
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変形やひび割れの原因は主にサイディングの吸水で、吸水は寒冷地で凍害を引き起こす
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変形やひび割れは吸水を防ぐことで予防できるため、外壁の防水性を保つメンテナンスが必要
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防水性を保つには、外壁塗装とシーリングの打ち替えが効果的である
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小さな変形については、釘・ビスの増し打ちで改善することができる
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大きな変形・割れが生じると、張り替えが必要になる
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部分的な張り替えをする場合、同じデザインのものが手に入らないことがあるため、そうなる前に定期的なメンテナンスが必要