外壁塗装の後、ピカピカと光沢のある外壁になると新築気分ですよね。光を反射して輝くと気分も良いですが、一方で、外壁塗装の塗料によっては光沢や艶を抑えて落ち着いた感じにもできます。塗料には「艶有り・艶なし」が存在し、そのどちらかを選ぶかで“外壁の印象”もだいぶ変わります。艶有りと艶なしでは見た目がかなり違うため、「どちらの塗料を選ぶべきか?」で迷われる方もたくさんいらっしゃるでしょう。お住まいになる人のお好みに合わせて選ぶこともできます。ただ、艶の有無は、見た目の印象を左右するだけでなく、耐用年数とも深く関わっています。単に、艶の有無のイメージで選ぶのではなく、塗料の特徴を詳しく知っておくことをおすすめします。
そこで、今回は艶の有無による耐用年数やそれぞれの特徴、艶の段階による見た目の印象、外壁塗装するときに注意すべきポイント、塗料の選び方などを詳しくお伝えしていきます。
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自分の好みで選んでもいい?
外壁塗装の「艶有り塗料」と「艶消し塗料」とは?
外壁塗装をするとき、自分好みの色の塗料を使って外観の印象にこだわりたいという人も多いのではないでしょうか。これまでの塗料から色を変えると大きなイメージチェンジもできますよね。「どんな色で塗ろう?」と色選びで迷っている人は多いですが、「艶を出すべきか・艶を消すべきか」という選択肢で迷っている人は少ないかもしれません。なかには、「艶有り・艶消しという違いがあると知らなかった」という方もいらっしゃるかもしれません。「艶の有無」の選択はどうやって行えばいいのでしょうか。グロス仕上げを選べばツヤツヤな印象になりますし、マット仕上げを選べば光沢は少なめとなります。しかし、この「艶」ですが、単に見た目の印象だけでなく、耐用年数とも関係するのです。一般的に艶有りの方が長寿と言われています。
外壁塗装では「長持ちさせたい」と考える人も多いです。「艶有り塗料の方が耐用年数は長い」と聞くと、艶のない方がお好みの方は迷ってしまうでしょう。“耐用年数”という観点で考えると、艶有りの方が耐用年数は確かに長めです。ただ、艶のない塗料だとしても、寿命の長い塗料を選ぶこともできます。後悔のない外壁塗装のためには、単純に耐用年数だけを考えて「艶の有無」を選択せず、まずはその内容を詳しく知ることが大事です。
そもそも外壁塗装において「艶」とは何のこと?
外壁塗装における“艶”とは、滑らかな平面や曲面に浮かぶ、光の反射や光沢のことです。艶があることを「ピカピカしている」「輝きのある」「光っている」と表現する人も多いかと思います。
外壁塗装や工業製品では、60度の角度から平面に光を当てたとき、反射した光を「艶の有無の尺度」として測定します。これはグロス値と言われています。当てた光を100%とし、そのなかの何%が反射したのかを数値化、それにより「艶有り・艶なし」を判断したものです。
艶は、基本的に「艶有り」「7分艶」「5分艶」「3分艶」「艶消し」の5段階に分けられている
基本的に、艶は「艶有り」「7分艶」「5分艶」「3分艶」「艶消し」というように、全部で5段階に分けられています。ただ、塗料によっては「艶消し」「艶有り」のどちらかがないものもあります。すべての塗料に「5段階の艶」があるわけではなく、塗料ごとにその内容は異なるのです。
艶有り | 光の反射率70%以上 |
7分艶 | 光の反射率55~65% |
5分艶 | 光の反射率30~40% |
3分艶 | 光の反射率10~20% |
艶消し | 光の反射率5%以下 |
外壁塗装で使う塗料の艶と耐用年数の関係性とは?
外壁塗装における「艶」ですが、耐用年数が長いのは艶有りの方と言われています。この理由について見ていきましょう。
1.汚れが付きにくく、劣化がおさえられるのは「艶有り塗料」
塗膜に艶があれば、表面も滑らかになります。通常、何かの表面は「ざらざら」と「滑らかでツルツル」の場合、汚れが付着しやすいのは「ざらざら」の方です。表面が細かく凸凹していれば、汚れが溜まりやすいでしょう。汚れがつき蓄積された外壁表面は劣化します。つまり、汚れがつきにくい滑らかな「艶有り」の塗膜の方が寿命は長いことになるでしょう。
2.塗料にとって異物となりうる艶消し剤は少しだけ塗膜の性能を低下させる
艶のない塗料は、「もともと艶のある塗料」に、「フラットベースと呼ばれる艶消し材」を混ぜ合わせた結果、光沢を鈍く見せています。フラットベースは、滑らかな表面を凸凹させる働きがある成分です。そのため光が乱反射し、艶が少なく見えるのです。このフラットベースが混じることで、本来の塗膜よりも性能が低下すると言われています。
塗料は、そもそも外壁や屋根の表面を保護する目的で塗られるものです。耐久性の観点では、汚れが溜まりづらい艶有り塗料の表面の方が有利と言えるでしょう。つまり、異物が入らず、表面の滑らかさをキープできる「艶有り」の方が耐用年数は長いのです。
ただし、艶を抑えた塗料にも耐用年数が長いものがある
光沢と輝きを持つ外壁は、新築のようで気分がいいものですよね。でも、近年の建築物は多様化しています。ピカピカと輝くよりも、建物の印象を崩さないためにマットな印象が求められることもあるでしょう。「艶をおさえて落ち着いた印象にしたい」「耐用年数もできるだけ長く」という両方の希望を叶えられる塗料も存在しています。時代の変化に伴うニーズに合わせて、塗料もさまざまな開発が進化し、最近では耐用年数が長い艶をおさえた塗料も選ぶことができるのです。
水谷ペイントの外壁塗装用塗料「ナノコンポジットシリーズ」は、3分艶の塗料です。「完全な艶消し」ではないですが、艶消し塗料に分類されることが多いです。“3分艶”とは言え、1~2分程度の艶に見えるという業者もいます。艶をおさえて長寿を希望する方は、ぜひ選択肢としてご検討ください。
艶有り塗料と艶消し塗料の耐用年数はどのくらい?
「艶有り」と「艶消し」の塗料、耐用年数を比べると艶有り塗料の方が1.5~3年程度長めです。ただし、これはもともと艶の有った塗料の艶を調整した場合です。艶有り塗料も、塗装後2~3年もすれば艶消し塗料とほぼ同じ色合いになると言われています。
また、外壁塗装の耐用年数が短くなる要因は、“艶の有無”よりも、塗り替え時の外壁の状態と環境や立地が大きく関係しています。前述の「艶有り・艶消し」の塗料の耐用年数はあくまでも目安としてお考えください。ただ、艶の有無が大きく耐用年数を左右するとも言い切れないほど塗料は年々進化しています。先ほどご紹介したナノコンポジットシリーズの、「ナノコンポジットW」ですが、耐用年数は14~16年程度と長いです。マットな仕上げで艶はないですが、耐用年数はそれなりにあるのです。
艶有り塗料での外壁塗装の耐用年数 | 艶消しに較べてプラス1.5~3年程度 |
艶消し塗料での外壁塗装の耐用年数 | 艶有りに較べてマイナス1.5~3年程度 |
ナノコンポジットWでの外壁塗装の耐用年数 | 14~16年程度 |
次に、艶有り塗料と艶消し塗料のそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
1.基本的に艶があるほど耐用年数が高くなる
2.艶が表面をコートして汚れにくくなる
3.艶有り塗料を販売しているメーカーが多いため、塗料の選択肢が豊富
4.新築のときのような輝きを味わえる
1.艶の調整により耐用年数が短くなる可能性もある
2.艶はいつまでも続かず、塗り替えから数年程度で艶がなくなってくる
3.艶の程度で安そうに見えることもある
1.塗り替えから耐用年数近づいても
風合いや雰囲気の変化があまり感じられない
2.高級感が漂うマットで落ち着いた雰囲気
3.和風の建物には艶消し塗料の方が似合う
1.艶消し塗料はそんなに流通していないため、選ぶ種類が限られる
2.カラーバリエーションも少ない
3.本来「艶有り」を艶の調整により「艶消し」にすると価格は高め
艶有り塗料を塗装現場で艶を調整することもできるが、おすすめはできない
外壁塗装の現場で、艶有り塗料にフラットベース(艶消し調整材)を混合して艶を調整することもできます。ただ、温度管理された専門の工場で作りあげるのとは異なり、現場の環境によって調整後の品質が変わります。温度変化が起こる可能性もありますし、暑さや寒さで撹拌がしっかりできるかどうかも不明です。艶の調整が不完全で塗りあげたときの仕上がりが期待を裏切る可能性もでてきます。それに、仕上げ後のタッチアップなどの補修も難しくなるでしょう。
「自分好みの艶に調整したい」という気持ちもあるかもしれませんが、工場で製品化された「7分艶」「5分艶」「3分艶」といった塗料を使った方が完成度は高いです。安心感のためにも、現場での艶の調整はおすすめできません。
メーカーで既に艶が調整されている塗料(日本ペイント・パーフェクトシリーズの場合)
※日本ペイントパーフェクトシリーズカタログ.pdfより引用
ここまで「艶有り・艶消し」の塗料についてお伝えしましたが、どちらを選ぶべきかは、やはり見た目のイメージができないと判断に迷いますよね。そこでお試しいただきたいのはカラーシミュレーションです。ご自身のお住まいの外壁のシミュレーションですから、塗り替え後のイメージがしやすくなります。塗料の選択をするうえで大きな参考になるかと思います。また、実際の塗料を塗った塗り板もご用意いたします。実物を見れば、艶のイメージができるでしょう。「うちには艶有りがいいか?それとも艶消しかな?」とお迷いのときは、後悔のない塗装のためにカラーシミュレーションと塗り板をご参考いただきたく思います。どちらも無料でご用意いたしますのでお気軽にご相談ください。
艶有り塗料を選ぶときにおすすめなのは、少し暗めの色合いです。艶があっても落ち着いたシックな印象の輝きが感じられるでしょう。逆に、艶消し塗料を選ぶ場合、明るめの色合いがおすすめです。ほとんど光を反射しない艶消し塗料ですから、暗い色を選ぶと立地によっては極端に暗い印象となることもあります。お住まいの立地環境にもよりますが、艶有り塗料・艶消し塗料という艶の有無だけでなく、色の選び方にも配慮しながらご選択くださいね。
艶有り、艶消し塗料の色選びのポイント
艶有り塗料を塗りたい場合 | 少し暗めな色をお勧めします |
艶を抑えた塗料を塗る場合 | 少し明るめの色を選びましょう |
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外壁塗装において「艶」は、外壁に対して光が反射した光沢のことです
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塗料の艶は、基本的に「艶有り」「7分艶」「5分艶」「3分艶」「艶消し」の5段階に分けられています
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艶があるかどうかで、外壁の耐用年数に影響することもあります
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一般的に、艶有り塗料の方が艶消し塗料よりも、寿命が長くなると言われています
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艶有り塗料の方が耐用年数は長めと考えられていますが、艶消しだからと耐用年数が極端に短いわけではありません
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塗料の開発は日々進化しているため、艶消しで艶がおさえられた塗料のなかにも、耐用年数が長めのものもあります
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「艶有り塗料」「艶消し塗料」を比べると、それぞれにメリット・デメリットが存在しています。お選びになる前に、両者の特徴をよく理解しておきましょう
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艶有り塗料を実際の外壁塗装現場でフラットベースを混ぜて、艶を消して落ち着いた色合いにすることも可能です。ただし、既製品とは違い、不安定な温度のなかで撹拌がしっかりできないケースもあるため、おすすめはできません
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「艶有り塗料」と「艶消し塗料」で迷う方も多いかもしれません。イメージを膨らますため、塗りあげ後のお住まいの印象のご参考になる「カラーシミュレーション」、実際の塗料がどんな色かが分かる「塗り板」をご用意しています。どちらも無料ですから、もしご興味がございましたらお気軽にご活用ください