パッと見たところで一番気になるのが2階正面の黒い染みです。一見シーリングのブリード現象と勘違いしましたが、ベランダの笠木からの水染みのようです。笠木もそうですがサッシの隅からの雨染みも含め、適度に掃除をしない限り残りがちな跡は数年で遠目からでも確認できるようになってしまいます。 なぜこのようになるかというと、外壁に付着している汚れを雨水で流していることで同じ箇所がだんだんと目立ち始めてしまいます。これがS様ももちろん、塗り替えを検討される一番の悩みでもあると思います。
外壁を部位別に見ていくと他にも気になる所は出てきます。まずは全体的な色褪せです。新築時と比べると大きく色が抜けてしまいボヤッとした印象になってしまったのではないでしょうか? 幕板や窓枠が同じ材料を取り付けられていましたが、チョーキング(白亜化)現象が発生していました。もともと材料に塗られていた塗料が経年劣化によって粉状になってしまう現象です。 雨樋も陽の当たらない場所では茶色が残っていましたが、日の当たる部分になると白っぽくなっていました。
軒天はサイディング外壁と同じように吹付塗装で外壁と同色仕上げでした。この吹付塗装、重厚感溢れる仕上がりですが、塗り替えの際には表面積が大きくなるため塗料を多く必要とします。またはっきりした凸凹であっても塗り替え後には少し滑らかになってしまいますので塗装前にご説明させて頂きます。 右写真はサッシ廻りや霧除けの壁との取り合いですが、若干隙間が出来ています。今すぐに雨漏りが起きるといったことはありませんが、早く対処するに越したことはありません。塗装前の下地処理としてコーキングでサッシ廻り増し打ちと目地の打替えを行っていきます。
ベランダも状態としては北側の面と同じで、陽当たりと風通しが悪く苔やカビが発生しやすくなっています。ベランダの内壁は特に、変色が起きている住宅も多いのではないでしょうか? 湿気がこもっている時間が長いとサイディング外壁が傷むスピードも上がりますので注意が必要です。繁殖した苔が水分を含むことで水捌けが悪くなります。そうすると苔再繁殖の悪循環ですし、防水の下地面も傷めてしまいますので適度に綺麗にすることが大切ですね!
続いてスレート屋根の点検です。元々はブラウンでしょうか。やはり紫外線・赤外線によって塗膜が劣化し色褪せてしまっています。屋根の塗膜の重要性は大変高く、美観の為と言ってもそうですが、屋根材表面の保護の為に塗り替えをします。 塗膜が無くなることによって屋根材が雨水を含み紫外線を受け、反り・割れを発生させやすくしてしまいます。
時間が経つことによって屋根材にも苔が発生し更にスレート屋根を傷めます。苔が出来るという事はつまり屋根材がすでに水分を含んでいる状態ですので早急に塗装をする必要があります。たかが苔のようにも思えますが、苔が屋根材にダメージを与える原因です。 屋根材自体がボロボロになり大規模な工事が必要になる前にしっかりとメンテナンスをしてあげましょう!
塗装前確認です。スレート屋根の細かいひび割れが多く東面のみで20箇所・北面5ヶ所と見られました。すぐに雨漏りに直結するような事はありませんので塗装時にコーキングで補修対応をしていきます。 風や建物の揺れによって浮いてしまった棟板金の釘も塗装時に打ち直して再固定します。もし釘がきかない場合はSUSビスで打ち付けます。
補修箇所と工事内容が決まったところで今度は色の打ち合わせです。あくまで原状回復で同じような色に仕上げたいとのことでしたので実際に見本帳を壁に合わせ色を決めます。ある程度の候補が決まりましたらA4サイズの見本板を取り寄せてさらに仕上がりのイメージを近づけていきます。
また他の方法として弊社ではカラーシミュレーションを作成しています。原状回復のご希望の方でも他の色でイメージを作成いたしますので、お気軽にお申し付けくださいませ。何色が合うのか組み合わせをどうしたらいいか等、ご自宅に合わせてみれば印象が掴めるかと思います。
こちらは見本板を取り寄せ外壁に合わせて頂いたところです。実は当初、塗料をナノコンポジットW防藻+で決定していましたが、ナノコンポジットW防藻+の特性上濃い色を作成することが困難で、ナノコンポジットWの見本板も急遽取り寄せました。 左写真、上下の見本板ですが、同色で取り寄せました。低汚染性を向上させることで出せる色の濃さが違うのかとただ驚かせられました。
2種類のカラーサンプルをみてもわかるように、提案色の色がかなり違うようです。ナノコンポジットW防藻+が淡い色しかないのと比べナノコンポジットWは黒に近い色も作成が可能です。低汚染塗料の中でもご希望の色が淡い場合は防藻+、濃い目であればナノコンポジットWと決めて頂いてもいいかもしれませんね。
塗料の色が決まり次第工事に入らせて頂きますが、まずは近隣の方々へ工事前のご挨拶です。いつからどのくらい工事を行うのか、注意点等も含めお話をさせて頂きます。塗装工事には高圧洗浄がある為、周辺の方々にもご迷惑をおかけいたしますが、アクシデントが起きず無事に工事が完工できます様ご協力の程宜しくお願い致します。 塗装工事はまず、足場架設工事から入りますが、お客様としても足場が長く組まれていると防犯上心配に感じるかと思います。長く足場を架設しないように洗浄日前1.2日位からの着工を心がけています。足場の架設後、安全上で玄関周りの人通りがある所には単管に養生を巻いていきます。
洗浄当日からはメッシュシートをかけ水や汚れの飛散を防いでいきます。またホースなどで住宅に傷を付けないように養生等の準備を行います。メッシュシートは1軒の住宅で大体2.5万円前後です。 工事の費用を抑えるためにメッシュシートはいらないかな?とご相談を受けることがありますが、近隣への水の飛散は想像以上に多いです。特にお隣が近い場合は今後のトラブルを防ぐためにもメッシュシートを設置させて頂きますのでご了承ください。
いよいよ高圧洗浄です。高圧洗浄では屋根や外壁に付着している苔・カビ・汚れを落とすために行い、塗装の下地を綺麗にしていきます。物凄い威力の水圧ですが、1軒の洗浄を行うのに1日近くかかります。それ程に丁寧に行わないと、塗装をしても浮きや剥がれの原因になってしまいますし、それ程に付着している苔は頑固という事です。
屋根は雨漏りを起こさないように屋根の面に沿って苔を流していきます。洗浄後の屋根は劣化にもよりますが、苔が表面に繁殖していることで気付かなかった素地の白色が多々見られます。洗浄後にあの色は苔とカビだったのか!と驚かれるお客様大多数です。 苔は緑というイメージですが屋根の劣化は赤や黄色に近いオレンジです。
対して外壁に付着する苔は緑が多く一番嫌な印象を受けますね。高圧洗浄にかかればビッシリとついていた苔も根絶ちをしながら洗い落としていけます。苔が残っている状態で塗装をすると一見綺麗に仕上がります。 しかし、残っている苔が塗膜の内側で繁殖し塗膜を突き破ってしまいます。影響が出るのは塗装をしてからしばらく経過してからですので、いかに高圧洗浄の重要性としっかり施工しているかを把握する必要があります。
泥が溜まってしまっていたバルコニーも洗浄で目地から洗い流していきます。FRP防水の上にタイルを張り付けている為、しばらく蓄積された泥は内部まで入り、なかなか落としきれませんが根気よく排水まで流し続けます。
外壁はもちろん、住宅から流れた汚れを駐車場に溜めないように排水溝まで汚れを流していきます。全体が綺麗になった住宅は1トーン明るくも見えます。洗浄後の塗装は浮きやしわの原因にもなりますのですぐに作業はできません。しっかりと乾燥させて後日、下地処理の作業に入ります。
翌日は養生です。どれ程注意をして作業しても塗料が垂れたり、服についてどこかに擦ってしまったりといった事は当然起こりえます。塗装しない場所にはテープやビニールでしっかり養生を行います。
塗装は上からつまり屋根から塗っていきます。まずは下塗り日本ペイントのサーモアイシーラーを満遍なく塗布することで中塗り・上塗りの密着力を高めるだけでなく、遮熱塗料の下地を作ります。サーモアイも今注目の遮熱塗料ですが、下塗りにも遮熱の効果が含まれているのは珍しく、恐らく同等のシリコン系グレードの中では高い遮熱効果を発揮してくれるのではないかと期待しています。
洗浄前にもチェックしていたスレート屋根のひび割れはコーキングで補修していきます。コーキングが少ないとまたひび割れが出てきますし、多すぎると雨水が滞留してしまうので適度が一番!塗り付けるように補修を行います。
全体のヒビ補修後の様子です。点検時には見られなかったヒビも洗浄後に明白になりますので、見逃さないように補修をします。下塗り後にはタスペーサーの設置をしてスレート屋根の毛細管現象による雨漏りを防ぎます。 タスペーサーの設置で屋根が割れやすくなるなど様々な情報がありますが、真上に乗っても割れることは無いのでご安心ください。弊社では屋根材1枚につき1枚設置のシングル工法よりも確実に隙間を作ることが出来るダブル工法で施工しています。
仕上げ塗料は日本ペイントのサーモアイSi、色がクールコーヒーブラウンです。屋根塗料はサンプルの色で見て選ぶと実際の仕上がりの明るさにビックリすることがあります。室内でみるサンプルと比べ、紫外線に当たっている屋根を見るとではやはり色の明るさは全く違うからです。サーモアイは全40色と豊富なカラーバリエーションですので、きっと気に入る屋根色が見つかると思います!また淡色になるに従い日射反射率は高くなります、遮熱効果を期待して選んでいただくのも1つの手です。
当初クールナポリブラウンとお悩みでしたが、落ち着いたブラウン系にしたいとご希望でしたのでサンプルではかなり暗く見えてしまいますが、クールコーヒーブラウンをお勧め致しました。上塗り塗装後の色です。常時陽に当たっている場所ですので、サンプルよりも明るく見えると考えて頂きたいと思います。塗り残しが無いかを確認して屋根塗装完了です。
続いて外壁塗装工事に入ります。まずは目地の打替で既存のコーキングをカッターで削ぎ取っていきます。サイディング外壁の場合はパネル間に目地がありますので打替作業を行いますが、モルタル外壁は代わりにクラック補修を行いますので、どちらにしてもすぐに塗り替えとはなりません。コーキングを撤去、綺麗な仕上がりにするためにマスキングテープで養生、コーキングの充填・密着の為にプライマーを塗っていきます。
目地コーキングの耐用年数は通常3~5年とも言われ、初めての塗装工事までにも一度打替が必要と言われるほど早く傷んでしまいがちな場所です。コーキングの補修をするためにも足場の架設が必要なのにこまめにやる方はなかなかいませんよね。 そんな目地コーキングと塗装工事のメンテナンスサイクルの同期化を図るために耐久性の高いコーキングを使う必要があります。弊社ではオート化学工業の「オートンイクシード15+」を推奨しています。耐用年数は約20年、シリコン系塗料での塗装は10年を目安と考えると、次回の塗り替え時にコーキングの補修をする必要がありません。 もちろんフッ素塗料など高耐候の塗料と併用しても全く問題がありません。ノンブリードタイプのコーキングですので外壁を汚すことなく、高耐久・高耐候性能を発揮することが出来ます。
今回は2階と1階の塗り分けになりますので、コーキングも2色使い分けています。目地の打替部分は塗料で隠れますが、増し打ち施工をするサッシ廻りはほんの僅かですが色が出る場合もあります。オートンイクシード15+は全75色です。 全く同じとはいかないかも知れませんが近い色をお選びいただく事は出来ますのでお気軽にご相談ください。
コーキングの乾燥後いよいよ外壁の下塗りに入ります。サッシの周り等細かい部分にハケでダメこみをし、全体的にローラーで下塗りをしていきます。
下塗り塗装は仕上げ塗料と外壁材の密着力を高めるため、既存外壁材の塗料の吸い込み止めをするために行います。塗装は基本的に3回塗り、下地の状態によって下塗りを2回に、色を仕上げるため仕上げを3回塗りに、と塗装回数を増やすことはあっても減らすことはありません。下塗りから塗り残しがないように塗装することで中塗り・上塗りの仕上げと耐久性は発揮できます。
中塗り塗装です。1階はH19-60F、2階はG19-70D、幕板や雨樋等付帯部は23-255のこげ茶で仕上げていきます。吹付仕上げの外壁は凹凸が多い為中塗りが終わった段階では、下地が点々と残っているのが確認できます。 もう一度上塗りを行い、細かいタッチアップを行い完了となります。 付帯部塗装は一度既存の部材にケレン作業で傷を付けていきます。わざわざ綺麗なものに傷を付けるのは塗料との表面積を増やす為です。傷を付けてからシリコン塗料を2回塗りします。もし色ムラや透けがある場合には3回、4回塗りで仕上げます。
雨樋・破風板も全て23-255(こげ茶)で仕上げていきます。艶があることによって新品のような風合いを出すことが出来ますが、艶感が苦手な方は塗料を変えて艶なしにすることが出来ますのでご相談ください。
工事もそろそろ終盤です。塗装が終わり初めてメッシュシートを外していきます。影で分かりづらかったものをもう一度ムラが無いように確認し、足場の解体です。塗装した外壁にぶつけないように、触って汚さないように慎重に作業を行います。
ちなみに、今回塗れなった部分は2階部分のアルミのフラワーボックスと銅板の水切りです。塗ること自体は可能ですが、塗膜の剥離が起こってしまうと汚く見えてしまいますので今回は塗装は行いませんでした。 シーリング部分も目地は塗りつぶし、サッシ廻りは若干見えている状態ですが、色を合わせたので違和感は全くありません。
記事内に記載されている金額は2021年06月24日時点での費用となります。
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