君津市君津台にお住まいのN様より、台風で破損してしまった雨樋の修繕に合わせ屋根と外壁のメンテナンスも行いたいとご相談をいただきました。そこで今回は火災保険を申請した上で住宅全体のメンテナンスも行っていきたいと思います。
火災保険で塗装を行うことはできませんが、修繕に欠かせない足場費用だけでも補償で賄えれば自己負担を大きく減らせることができます。修繕が必要な時期であればぜひ同時期に補修を行うようにしていきましょう。
ビフォーアフター
工事基本情報
点検の様子
調査時の様子です。高台にあるピンク系のお住まいは白いベランダ手すりと合わせ洋風な印象を感じます。高台にお住いの方の中では「調査できるか」という心配がある方もいらっしゃいますが、梯子を運搬できるほどの幅があればまず点検が可能ですし、難しい場合はドローン飛行での点検も可能ですのでお気軽にご相談ください。
台風での被害もそうですが、築年数が経過したことでお住まい全体のメンテナンスが必要ではないかと感じられたそうです。そこでまずは屋根・外壁の様子を確認し火災保険の修繕と合わせメンテナンスが行えるようにしておきましょう。
経年劣化する目地のシーリング材
窯業系サイディングの塗り替え・メンテナンスのサインとしてチェックしておきたい箇所が目地です。サイディングはパネルですのでどれほど丁寧に施工しても隙間のない外壁に仕上げることはできません。そこであえて1㎝程の隙間を作り、シーリング(コーキング)材で埋めることで雨漏りを起こさない外壁に仕上げることができます。
しかしシーリング自体の耐久性はそれほど長くありません。寿命を迎えればヒビ割れや亀裂を起こし隙間を作ってしまい、そこから雨水が入り込めば雨漏りを起こす心配も高まります。外壁の色あせはもちろんですが、目地の劣化は塗装を行う時期の目安としてもチェックしましょう。
窯業系サイディングはセメントと繊維質を原料とした板状の外壁材ですが、原料だけを見れば化粧スレートと同じです。つまり塗膜保護がされており、塗膜が劣化すれば色あせや汚れの付着も進行し、外壁材自体も吸水し劣化してしまいます。そうならないような塗装メンテナンスが不可欠なのですが、普段生活しているお住まいの些細な変化に気づく方はなかなかいません。
そこでオススメなのは1年に1回、家を見渡してみるという事です。大掃除のタイミング等で「以前よりも汚れや色あせが目立つ」「洗っても汚れが落ちなくなった」と感じれば確実に塗膜が劣化している証拠です。
外壁の塗膜劣化を見極める簡単で有効な方法が手で触る事です。なぞるように触り白い粉のようなものが手についていれば、チョーキングが発生しています。チョーキングは塗膜が劣化したことで粉のように変化している事ですが、この状態になれば外壁を保護する役割はほとんどありません。
外壁は外壁材だけで成り立っているわけではありません。目地もそうですがサッシや庇があり、そしてエアコンの配管や換気扇の通気口等様々なものがあり始めて外壁や住宅が成り立ちます。配管やダクト周辺は必ず隙間ができないようコーキング等が施されますが、充填剤も全て経年劣化を起こしますので、外壁に隙間を作ることがあります。すると吹き込むような降雨の際に雨漏りを起こすこともありますので、しっかり補修していく必要があります。
化粧スレートの様子です。築年数の経過によって塗膜が劣化し汚れや苔が付着してしまっています。スレートのメンテナンス方法としては塗装・屋根カバー・葺き替えとありますが、築年数と状態、そして今後のメンテナンスを考慮した上で決めていく必要があります。
化粧スレートの寿命は25~30年程です。10年目で塗装を行うのは全く問題ありませんが、25年で塗装を行うと翌年雨漏りを起こす可能性も視野に入れなければならないという事です。
また棟板金を確認すると塗膜が劣化し錆びてしまっています。錆は性質上仕方ないのですが、錆が進行すると素材自体の耐久性も低下し塗膜の密着性も悪くなってしまいます。
棟板金の継ぎ目を埋めているシーリング材の劣化もチェックです。今回は台風被害も雨漏りもありませんが、錆びてしまった棟板金は交換が必要です。それに伴い化粧スレートの経年劣化も見られますので、今後の雨漏りを考慮した上での補修方法を検討します。
ご提案内容
品番・品目 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
仮設工事 | 159,200 | ||||
楔式仮設足場工事 | 206.0 | ㎡ | 700 | 144,200 | |
メッシュシート | 15,000 | ||||
屋根カバー工事 | 918,500 | ||||
スーパーガルテクト | 79.0 | ㎡ | 6,500 | 513,500 | IG工業 |
アスファルトルーフィング | 79.0 | ㎡ | 1,800 | 142,200 | 粘着式 |
棟板金 | 24.0 | m | 4,500 | 108,000 | |
軒先水切り | 34.4 | m | 2,500 | 86,000 | |
雪止め | 34.4 | m | 2,000 | 68,800 | |
外壁塗装工事 | 442,000 | ||||
高圧洗浄 | 1 | 式 | 40,000 | ||
下地処理・養生 | 1 | 式 | 40,000 | ||
下塗り | 144.8 | ㎡ | 600 | 86,880 | |
中塗り~上塗り | 144.8 | ㎡ | 1,900 | 275,120 | |
付帯部塗装工事 | 91,120 | ||||
軒天塗装 | 12.3 | ㎡ | 1,500 | 18,480 | |
竪・軒樋塗装 | 56.4 | m | 800 | 45,120 | |
破風板塗装 | 34.4 | m | 800 | 27,520 | |
今回のメンテナンスで最も費用が掛かるのはやはり屋根カバー工法です。既存屋根材を剥がす葺き替え工事と較べれば安いのですが、新規屋根材でカバーしますので塗装よりも高価になってしまいます。
ちなみに…
もし今回屋根カバー工法ではなく、塗装メンテナンスを行うとすれば以下が屋根補修のお見積り内容です。固定が十分でない棟板金は交換する必要性がありますし、ここまで施工しても防水紙等下地の補修が出来ているわけではありませんので、雨漏りのリスクは高くなってしまいます。
品番・品目 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
棟板金交換工事 | 169,000 | ||||
棟板金 | 24.0 | ㎡ | 4,500 | 108,000 | |
貫板 | 24.0 | 1,500 | 36,000 | ||
既存棟板金・貫板撤去 | 1 | 25,000 | |||
屋根塗装工事 | 279,800 | ||||
高圧洗浄 | 1 | ㎡ | 15,000 | ||
下地処理・養生 | 1 | ㎡ | 12,000 | ||
下塗り | 79.0 | m | 600 | 47,400 | |
中塗り~上塗り | 79.0 | m | 2,200 | 173,800 | |
タスペーサー | 79.0 | m | 400 | 31,600 | |
初回訪問時のアンケート
工事開始前のチェックポイント
足場は外壁の80㎝程離れた場所に設置します。通常であれば新築時にも足場をかけていますので問題なく仮設ができますが、隣家との兼ね合い、リフォーム等で新築時から状況が変わっているというお住まいも少なくないと思います。
バルコニーやテラスもそうです。エクステリアは足場解体後に設置していますので、足場を考慮しての設置ではありません。すると足場とテラスの屋根が接触することがあります。今回も足場仮設場所にテラス屋根がありましたので、最低限仮設できるように部分的に屋根材を取り外します。
屋根材が劣化していると外すタイミングで割れてしまうこともあります。塩化ビニル製の波板は特に注意が必要です、修繕のタイミングに合わせポリカへの変更を検討されるのも良いでしょう。
施工の様子~竣工まで
工事着工前に近隣へのご挨拶を行います。工事中は作業車の出入りや騒音等でご迷惑をおかけいたしますが、ご理解の程何卒よろしくお願いいたします。
足場仮設は通常の戸建て住宅で半日程です。工事中の約2~3週間は仮設している状態ですが、強風等でメッシュシートが煽られる可能性がありますので、天候や施工内容の様子を見ながら随時対応していきます。
屋根カバー工法
まずは屋根カバー工法をご紹介します。
屋根カバー工法は既存屋根材の上に新規屋根材を被せる工事です。つまり今までの屋根材を剥がしませんので、凹凸である棟板金を外したらそのまま新規屋根材を取り付ける作業を行います。既存屋根材の上に雨水の浸入を防ぐ防水紙(ルーフィング)を葺いていきます。今回使用したのは粘着式のタディスセルフ、施工時の張り直しは可能ですが、数時間経てばビッチリ接着し剥がれない仕様になっています。
防水紙敷設後、金属屋根材を軒から棟に向かって葺きます。今回使用したのはIG工業のスーパーガルテクト、外壁の色を合わせ選んでいただいたSシェイドモスグリーンです。金属屋根材は一枚ずつ嵌め合わせながらビスで止めていきます。
もちろんこの段階で雪止めも取り付け異常気象でのトラブル防止に努めます。スーパーガルテクトは最大16㎜と非常に薄く、1㎡あたり5㎏と住宅への負担もかなり少ないです。表面のガルバリウム鋼板は錆びにくい上に高耐久ですので、30年以上は問題ないでしょう。更に屋根材は断熱材と一体になっていますので、金属屋根材のデメリットとして挙げられる寒さ・暑さを解消し、カバー工法のお陰で音も伝わりにくい仕上がりになっています。
屋根の形に合わせて板金を加工し、隙間のないように取り付けていきます。
ちなみに棟板金の構造は板金と下地のみと、至ってシンプルです。新築時は木材を使用することがほとんどですが、今回は飛散リスクを抑えるため、腐食しにくいプラスチック樹脂製の貫板を使用しています。貫板は屋根面に対して垂直にビス止めしますが、棟板金は露出している関係からビスは側面で固定します。脳天打ちと呼ばれる真上からの固定は雨漏りのリスクを高めますのでご注意ください。
屋根カバー工法竣工
屋根カバー工事竣工です。カバー工法は屋根葺き替え工事よりも比較的安価に早く施工できる工事ですので、なるべく安く済ませたい、生活に支障なく補修したいという方には最適です。また既存屋根材を撤去しない分、解体時に最もリスクが高まるアスベスト屋根材にはカバー工法が適しています。
対して雨漏りを起こし下地にまで腐食が起きている場合には、腐食を助長させる恐れがありますので葺き替え工事で下地の補修も同時に検討していくようにしましょう。
外壁塗装工事
続いて外壁塗装です。まずは高圧洗浄からですが、バケツに水を溜めそこから吸い上げ圧力を高める方法がとられることが多いです。また工事中の電気・水はお借り致しますんのであらかじめご了承ください。高圧洗浄で外壁に付着している汚れを洗い流していき、十分に乾燥させていきます。
後日、既存シーリングを取り除き、密着性を高めるためのプライマーを塗り込んでいきます。マスキングテープで養生をした後、新たなシーリング材を奥まで充填していきます。この際のチェックポイントは
プライマーを塗布したか?
どの程度の耐久性のシーリングを使用しているか
です。プライマーはシーリング材と外壁材の間に隙間ができないように施工するために欠かせません。にもかかわらず施工しなくても気づかれにくいという点から怠る業者も存在します。これはシーリング材の寿命を決める大事な部分でもありますので、施工中の写真を撮ってもらう等の対策を行いましょう。
シーリングの耐久性は高ければ高い程良いという事もありますが、どちらかというと外壁塗料の耐久性と釣り合っているかが問題です。塗り替え時にシーリング補修は行いますが、再塗装前にシーリングが先に劣化しては雨漏りのリスクが高まります。少なくとも次回の塗り替えまではしっかり保護できるようなシーリング材を使用しましょう。
シーリング施工後の外壁です。シーリングも硬化し触れるほどになるまでは時間がかかりますので、高圧洗浄後同様しっかり時間を置きます。ここまでは下地処理ですが、下地処理が外壁の仕上がりだけでなく寿命も大きく変えます。
ようやく外壁塗装です。まずは下塗り、水性ミラクシーラーエコで密着性を高めます。下塗りには白色か透明色がありますが、透明の場合はどこを塗装したのかわからなくなるため、より一層集中して施工を進めていきます。
中塗り~上塗りには日本ペイントのパーフェクトトップ(ND-112・5分艶)を使用します。
塗料の多くはシリコンやフッ素と分類されますが、パーフェクトトップはそれらに属さず、塗料が劣化する原因であるラジカルを独自の技術で抑えることでシリコン以上フッ素以下の耐久性を保持しています。また仕上げ艶が艶消し・3分・5分・7分・10分で選べることも特徴です。多くの塗料は性能を維持するためにある程度の仕上がりが限定されていますが、パーフェクトトップは色や艶に制限が無い為、非常に人気の高い色です。
外壁塗装を進めます。パーフェクトトップは隠ぺい性が非常に高い為、濃色から淡色への塗り替えも可能です。また塗り替え後は低汚染・防藻・防カビ性も高い為、綺麗な状態を長期間にわたって維持することが出来るかと思います。
上塗りで保護に十分な厚みの塗膜を形成し塗装工事は完了です。
もちろんサッシや玄関タイル等は塗料が付着すると汚れてしまうので、養生を行い塗料の付着を防いでいます。工事中は窓の開閉が難しくなるためご迷惑をおかけいたします。「エアコンも付けられないですか?」と心配される方もいらっしゃいますが、室外機を移動するような作業がない場合はエアコンを稼働させても問題ありませんのでご安心ください。
付帯部は既存色同様ホワイトで綺麗に塗り直していきます。雨樋はツルツルとした表面ですので、一度ペーパー掛けで傷をつけてからの塗装になります。そうすることで数年経っても剥がれない塗膜を形成することができます。破風・鼻隠しも今回塗装で対応致しましたが、腐食や塗装のわずらわしさを感じる方には板金でのカバー工法もオススメです。鼻隠しは雨どいの取り外しも行いますので、この際のフルメンテナンスも選択肢の一つです。
外壁塗装工事竣工
工事を終えて以前のピンク系よりもクリーム系に仕上がりました。気になっていた経年による外壁の色あせや目地の劣化もすっかりなくなり、正に新築のようです。
今回屋根の施工方法や費用に関して大きな不安を抱えられていたようです。しかし屋根カバー工法に関する説明と塗装との比較、費用等をしっかりご説明させていただき、お客様自身も安心が得られたと仰っていただきました。
私たち街の外壁塗装やさんでは屋根カバー・外壁塗装のどちらにも施工保証をつけさせていただいております。今後は隔年定期点検でお伺いいたしますので、気になる事、別の修繕依頼等ございましたらお気軽にご相談ください。スタッフ一同お待ちしております。
工事完了後のアンケート
記事内に記載されている金額は2021年01月06日時点での費用となります。
街の外壁塗装やさんでは無料でのお見積りを承っておりますので、現在の詳細な費用をお求めの際はお気軽にお問い合わせください。
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