ビフォーアフター
工事基本情報
屋根塗装10年
バルコニー防水10年
点検の様子
「2階部分の屋根から雨漏りしているようだ」とお施主様はおっしゃっていましたが、どうもバルコニーの方が怪しいようです。表面がざらついており、そこに汚れが溜まって綺麗にならないとお施主様はおっしゃっていました。床面は既にひび割れている状態で、画像では分かりづらいのですが、大きく裂けている部分もありました。表面にガラス繊維が浮かび上がっているところから判断するとFRP防水のようです。
排水口は床面にではなく、立ち上がり部の側面に取り付けられていました。これ、うまく排水できずに床面に水が溜まることが多く、いつまでも雨水が溜まり続けていたのではないでしょうか。排水口からの排水路はベランダの壁面を貫き、外側の集水桝へとつながっていました。側面にある排水口から雨水はほぼ水平に流れていかなくてはいけないため、かなり無茶なレイアウトです。
バルコニーの床下の軒天には雨染みもできていました。漏水が釘を錆びさせており、それが見える状態です。雨漏りによる雨染みも確認できますし、バルコニーの床は歩行すると凹みが感じられる状態です。
続いて、外壁の状態です。外壁には複数の窯業系サイディングが使われていました。窯業系サイディングの目地の部分のシーリングがブリード現象を起こしており、染み出てきた可塑剤に汚れが付着し、黒くなっています。ブリード現象とは紫外線などでシーリング材が分解され。含まれていた可塑剤(柔らかさを保つ成分)が表面に染み出してくる現象です。
外壁には表面に小さなクラックがいくつかできていました。この程度なら問題はないのですが、ある部分だけに集中してできているのが気になります。
2階部分には黒い石材調の窯業系サイデイングが使われています。こちらは日が当たりにくいためか、さほど傷んでいないようです。ただし、お家の周囲の犬走(コンクリートが打設された部分)には藻が発生しています。お隣との距離も近いことから風通しが悪いようです。
日当たりの悪い部分のシーリングにも傷みが見られます。やはりブリード現象が起こっており、染み出た可塑剤に汚れがついています。ガスメーターの配管や固定金具には錆が出ています。こちらも綺麗ににしてあげたいところです。
カラーシミュレーション
外壁56 ベランダ62 屋根クールホワイト
外壁28 ベランダ53 屋根クールローズブラウン
外壁54 ベランダ57 屋根クールライトグリーン
外壁19-90F ベランダ19-80F 屋根クールビスケットブラウン
外壁27-90F ベランダ27-90P 屋根クールクリーム
外壁N-80 ベランダN-50 屋根クールミラノグリーン
外壁19-90D ベランダ19-50D 屋根クールマルーン
外壁27-90F ベランダ19-70L 屋根クールクリーム
外壁塗装を行うので、塗り替え後がどのようになるかをカラーシミュレーションで先取り体験いたします。用意したカラーシミュレーションは全部で8種類。お施主様は外壁を色番号19-90D、ベランダを19-50D、屋根クールマルーンのパターンをお選びになられました。現在はグレイッシュなブラウンなので、塗り替え後はライトブラウンにイメージチェンジされることになります。現在のブラウンを基調としたイメージチェンジです。
足場の仮設
3階建ての建物の外壁塗装と屋根塗装、バルコニー防水となりますので、高所作業となる工程がいくつもあります。足場を仮設し、安全性と作業性を高めます。また、お施主様とそのご家族が出入りする際、通路となる足場の柱にはスポンジを被せ、養生しておきます。足場のパイプは突起物が多いので、うっかりぶつかっても怪我をしないように気を配ります。
雨漏りしているバルコニーの改修、FRP防水からウレタン塗膜防水へ
歩くたびに床面が沈み込むバルコニーを改修します。下地が大きく傷んでいることは間違いないので、そこから直していきましょう。まずはこれまでのFRP防水にサンダーで切れ目を入れ、撤去していきます。あまり、傷んでいなければよいのですが…
FRP防水の一部を撤去しました。ここを起点に防水層を剥がしていきます。一部を剥がしてみましたが、下地の木部が傷んでおり、ボロボロです。傷んでいる下地を撤去していきます。
FRPの防水層を剥がしている部分を広げて、傷んでいる木材を取り除いているのですが、傷んでいる範囲の終わりが見えません。傷んでいる部分はかなり大きく、完全に取り去るためにかなり部分を剥がしまた。畳一畳分くらいでしょうか。ここまで拡げて、やっと傷んでいない部分までたどり着きました。
傷んでいた部分の新たな下地を作るため、構造用合板をそのサイズに合わせて加工します。構造用合板は言わば、丈夫な厚いベニヤです。床の下地としても使われるもので、人間がこの上を歩行しても問題ありません。構造用合板を取り付ける前にその下には木材を渡し、補強を入れておきます。
下地を撤去した部分に構造用合板を嵌め込みます。ぴったりと収まりました。この上にさらに構造用合板を敷いていき、新たな下地とします。構造用合板が二重になったため、床の位置が少し上がりますが、床面はかなり丈夫になりますし、これで排水勾配を正しく取り直すことも可能になります。
新たな下地となる構造用合板の上にプライマーを塗布していきます。プライマーにはこれから流し込むウレタン塗膜を密着させるはたらきがあります。プライマーがある程度、乾燥したところでウレタン防水材を流し込み、防水層の1層目を形成します。
ウレタン塗膜防水層の1層目が乾燥しましたら、2層目を流し込み、表面をなだらかにしていきます。これで防水層は形成されましたが、ウレタン塗膜防水は紫外線に弱いので、保護するためトップコートを塗布します。今後のお手入れとして、トップコートを定期的に塗布しておけば、耐用年数も長くなります。
トップコートが乾いたら、バルコニーの防水工事は完了です。新たに下地を作り直すという大規模な防水工事となりましたが、室内の下地を腐食させるような漏水の仕方ではないのが幸いでした。バルコニー床面の下の軒天の変色していた部分も張り替えました。これで雨漏りに困ることはありません。
塗り替え前の屋根と外壁の高圧洗浄
屋根塗装と外壁塗装を行うので高圧洗浄を行います。洗浄といっても、水道水で汚れを洗い流すだけなのですが、エンジンなどの発動機でその水を加圧しているので、その水流はすさまじいものです。1
平方センチに150kg以上の水圧をかけられますので、汚れの他、古い塗膜も削ぎ落とされていきます。
屋根塗装を行う前に棟板金の補修を行います。釘が浮いている部分があったので、打ち込んで直しました。また棟板金の継ぎ目の部分のシーリングも刷新しました。棟板金を固定している釘にはすべてシーリングで処理をしました。これで釘が緩みにくくなりますし、そこから雨水が入ることも防げます。ちょっとした手間をかけることによって、これまでよりも強風に強い棟板金にすることも可能なのです。
今回は遮熱塗料のサーモアイで塗装しますので、専用のシーラーをスレート屋根に塗布していきます。サーモアイ専用のシーラーは資料を密着させるだけでなく、この下塗り材自体にも遮熱機能を備えています。上塗り層や中塗り層を通過してきた赤外線を下塗り層で反射し、屋根の蓄熱を防ぐのです。
今回はサーモアイシリーズの中でも最も耐用年数が長いフッ素塗料のサーモアイ4Fを使用します。画像の色見本ではサーモアイヤネガードとなっていますが、サーモアイ4Fです。サーモアイヤネガードと色が共通ですので、こちらの色見本を使用しております。
サーモアイ4Fは塗料を乾燥・硬化させるために硬化剤を混ぜて使う2液型塗料です。画像のサーモアイ4Fの隣にあるものはデジタル量りです。しっかりと重さを量って規定通りに混ぜ合わせなければ、いくら高性能な塗料でも、その性能を発揮できないのです。色はクールチェリーブラウンを選びました。
竣工、遮熱塗料によるスレート屋根塗装
遮熱塗料による屋根塗装が完了しました。サーモアイシリーズなど遮熱塗料を使用した場合の室内の温度低下は約3度程度というデータが出ています。室温33℃が30℃になってもそれほど涼しくないと思いますが、30℃が27℃になればかなり涼しいですよね。エアコンを完全に停止できるわけではありませんが、その稼働時間と稼働量を確実に減らせるのが遮熱塗料です。一説には蓄熱が多いコンクリートやアスファルトをすべて遮熱塗料で覆ってしまえば、都市部のヒートアイランド現象の大部分は解消されると言われています。
超耐候塗料スーパーセランフレックスによる外壁塗装
お隣りとの距離が近く、足場を仮設するのにもいろいろと苦労がある都内をはじめとした都市部、そんなことから都市部では「できるだけ建物のメンテナンスを少なくしたい」という方も多く、耐用年数の長い塗料を選ぶ方が増えてきています。今回のお施主様もそのような考え方の持ち主で、耐用年数の長い無機塗料をお選びになられました。無機塗料の中でもスーパーセランシリーズは耐用年数が特に長く、四半世紀にも及びます。まずはスーパーセランシリーズを製造販売しているダイフレックス社の下塗り剤、ワイドシーラーで下塗りです。
お施主様に色合いをご説明するためにダイフレックス社から実際に使用する塗料を塗った塗り板を事前に取り寄せました。外壁塗装をする際はこの塗り板を外壁を当てたり、日向や日陰で見たりすると、塗り替え後のイメージがより具体的になるのではないでしょうか。カラーシミュレーションと併用することをお勧めします。今回使用するスーパーセランフレックスはこれまでのスーパーセランシリーズよりも塗膜が柔らかいことが特徴です。目地のシーリング材の上に塗った塗料のひび割れを防ぐように開発された製品です。
そのスーパーセランフレックスで中塗りと上塗りを進めていきます。外壁が違う色になっていくのは塗り手側の私達にとっても楽しいものです。スーパーセランフレックスは彗星なので、臭いも少ないのが特徴です。できるだけメンテナンスまでの期間を長くしたいという都市部や人口密集地では今後、主流になっていくのではないでしょうか。
スーパーセランフレックスによる外壁塗装が完了しました。光の加減によってはペールライトブラウン、またはピンクベージュにも見える温かみのある素敵な色に仕上がりました。塗っている途中でもお施主様から「素敵な色ね」というお言葉をいただきました。
付帯部の塗装
破風や鼻隠し、雨戸や戸袋といった付帯部をファインパーフェクトトップで塗っていきます。塗る場所や素材を選ばず、さまざまなところに使える上に耐用年数も期待できるというのがファインパーフェクトトップです。1液型の弱溶剤塗料で、ラジカル制御機能を備えており、コストパフォーマンスも高いのが特徴です。窯業系の素材が使われていた破風を塗装しました。
雨戸もファインパーフェクトトップで塗装しました。塗料に含まれる色付け成分である顔料の酸化チタンは紫外線に当たるとラジカルを発生させます。このラジカル、質が悪いことに強アルカリ性で塗膜をどんどん破壊していく性質を持っています。そのラジカルの発生を抑えるのがラジカル制御塗料なのです。軒天はケンエースで塗装しました。塗装は塗り終わったら、乾くまで他の部分を塗るということも多いので多少、工程が前後しています。軒天は外壁塗装する前に塗り替えました。
竣工、バルコニー防水・屋根塗装・外壁塗装での外装のフルメンテナンス
今回はメンテナンスが必要とされるバルコニー・スレート屋根・窯業系サイディングボード、外装のほとんどの部分をメンテナンスしました。屋根と外壁に関しては塗り替え時でしたが、バルコニーに関してはもっと早くメンテナンスしていれば下地からやり直す防水工事にはならなかったでしょう。こちらの外観の画像を見てみれば分かるように、2階のバルコニーは面積も広いので、特に気を付けたい部分でした。雨漏りなどの異変はすぐに対応するようにしましょう。放置すれば、するほど、それだけ費用がかかることになります。
記事内に記載されている金額は2019年03月22日時点での費用となります。
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