杉並区和田にお住まいのH様より「築11年でジョリパットにクラックが増えてきたため塗装を考えたい」とご相談をいただきました。塗装の時期は使用している屋根材・外壁材によっても異なりますが、多くが10年程度での塗り替えを推奨されています。新築時形成した塗膜が傷んでくる時期、汚れが目立ち始める時期等が全て10年前後からだからです。
今回外壁を仕上げているのは塗り壁として非常に有名なジョリパットですが、どういうものなのかを詳しく知らないという方も多いと思います。正直に言えばモルタル外壁のメンテナンスにはぜひオススメしたい仕上げ材ですが、今回は施工の様子に合わせジョリパットについてもご紹介していきたいと思います。
ビフォーアフター
工事基本情報
点検の様子
調査にお伺いしたのは東京23区の西端に位置する杉並区です。杉並区は23区の中でも住宅地の比率が高くいわゆる住宅密集地エリアですので、遠くからお住まいを見ても屋根の様子が見られるお住まいは限られてきます。また今回は運よくバルコニーから脚立で屋根の様子をみることが出来ましたが、梯子がかけられない3階建て以上のお住まいや住宅形状のお住まいも多い傾向があります。私たち街の外壁塗装やさんはドローンによる点検も行っておりますが、ドローン飛行の制限がある地域ややはり近くで見てみないとわからない劣化等もありますので、目視点検は非常に重要です。
今回築11年ということで化粧スレートは塗り替えの時期です。塗膜が劣化したことで苔や汚れは付着していますが、軽いひび割れ程度でしたので塗装メンテナンスでしばらく問題ありません。スレートが欠損している部分はありますがこれで雨漏りを起こすことはありませんのでご安心ください。
スレートの浮き・反りをチェック
スレート屋根材は端部を見ると屋根材の劣化状況が分かります。そもそも化粧スレートは厚み5㎜まで圧縮させたセメント屋根材です。塗膜に保護されているうちは問題ありませんが、塗膜が劣化し雨水を吸水するようになると屋根材自体が吸水・乾燥を繰り返します。するとその過程で少しずつスレートに浮きや反りが起こり始めます。浮きや反りは多くのお住まいでも見られるのですが、運が悪いと吹き込むような強風時に屋根材が割れてしまうことがあります。
割れただけでは雨漏り等を起こすことはありませんが、防水紙が露出する機会が増えれば下地が傷み被害が拡大する恐れがあります。この浮きや反りは一度起きてしまうと塗装をして直るものではありませんので、浮きや反りが起きる前に補修をすることが非常に大切です。
今回は若干の浮き・反りがみられますが、塗装は可能です。隙間が大きく開いている部分に関してはタスペーサーが差し込めない為縁切り自体を行いません。
最後に外壁と屋根の取り合い部分を確認します。取り合いと呼ばれる素材の異なるものの接部に関しては、特に雨漏りを起こしやすい場所として知られます。今回ジョリパット仕上げの外壁材と屋根板金が接している部分は苔が発生している状態です。苔は雨水を滞留させ付着部の劣化を促してしまうのですが、今回は破損や雨漏り等はない状態でしたので、塗装で綺麗に仕上げ苔等の付着を防ぐようにしていきましょう。
塗り替えのきっかけとなりました外壁ジョリパットです。
ジョリパットとは?
最近耳にすることが多くなった印象のあるジョリパットですが、実は1975年に発売されはじめたということで、既に45年程度の実績があります。鮮やかな発色や豊富なバリエーション、そして自由度の高い仕上がりなどが有名なアイカのジョリパットは、塗料に砂を混ぜたモルタル外壁用意匠性塗材です。現在ではどこでもジョリパットが使えるように、外壁用だけでなく内壁用、外内兼用の塗材も販売されています。
ジョリパットの大きな特徴は主に3つです。
耐久性
ジョリパットが住宅に使用され始め20年程度経過していますが、恐らく当時導入された方も外壁のリフォームを余儀なくされたという方は少ないのではないでしょうか?ジョリパットの耐久性は15~20年といわれています。汚れや美観の問題から塗装を検討される方はいらっしゃいますが、塗材の中でも耐久性に優れています。
また10年経過すればモルタルもクラックが目立ちますが、ジョリパッドは粘性が高くクラックを起こしにくい性質があります。その点から雨水浸入や構造的な劣化が起こりにくい塗材です。
意匠性
ジョリパットは180以上のカラーと100以上のデザインを組み合わせてお好みの仕上がりにすることができます。落ち着いた和風住宅はもちろん鮮やかで明度の高い色とタイル調仕上げで洋風にすることもできます。きっとお客様のお好みの仕上げが見つかると思います。
また塗装を行う際には「気に入っていたテクスチャーがなくなってしまうかも」と心配される方が多いと思います。ですがジョリパットは専用の塗り替え塗料を使用することで、仕上がりを変えることなく塗り替えが可能です。意匠性を損なうことなく塗装をされたない場合は一度チェックしてみましょう。
安全性
室内にも使用できるジョリパットはホルムアルデヒドの放散量が最も低いF☆☆☆☆を取得している塗料です。ホルムアルデヒドとは大量に吸い込むと、アレルギー症状(鼻水や咳、めまいや頭痛)などを引き起こす危険な物質ですので、放散量が少ない商品を使う方がもちろん良いです。
また消臭・抗菌作用の高いジョリパット製品もありますので、リフォームでも更に快適な室内を作る事が可能です。
ジョリパットは劣化し防水性が低下してくると水分を含みやすくなります。日が当たる南面であれば多少吸水しても早い段階で乾燥しますが、隣家が近い・木々が多い・日が当たらない面は吸水していくうちに苔やカビの付着が目立ちます。今回塗り替えが気になった理由としては洗っても落ちにくい汚れが増えてしまったという所でしょう。
ちなみに同様の理由でバルコニーの内壁も黒ずみが表れ始めていました。バルコニーは防水層で雨水の浸入を防いでいる部分ですので、必然的に湿気がこもりやすくなります。長く水分が溜まればやはり苔やカビが発生しやすくなってしまいます。
クラックが気になり始めたという事ですが、築11年でこの程度のクラックであればやはりジョリパットは耐久性に優れた塗材として認められるでしょう。塗装を行う事で今回発生したクラックは綺麗に埋めて仕上げることができます。またそれと同時に適切な塗料で塗装することで、今後クラックが発生しにくい状態に仕上げることが可能です。
お客様のご要望とご提案内容
今回H様は経年による汚れやクラックの発生が気になるという事でした。そこで近所の工務店や塗装職人に問い合せを検討されたようですが、私たち街の外壁塗装やさんにご相談をいただきました。
品番・品目 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
仮設工事 | 158,940 | ||||
作業用足場架け払い | 264.9 | 架㎡ | 500 | 132,450 | |
養生用メッシュシート | 264.9 | 架㎡ | 100 | 26,490 | |
屋根塗装工事 | 111,860 | ||||
高圧洗浄 | 32.9 | ㎡ | 150 | 4,935 | 13~15MPa |
縁切り(タスペーサー) | 32.9 | ㎡ | 250 | 8,225 | |
下塗り(クラック補修含む) | 32.9 | ㎡ | 850 | 27,965 | |
中塗り・上塗り | 32.9 | ㎡ | 2,150 | 70,735 | |
外壁塗装工事 | 858,793 | ||||
高圧洗浄(一部バイオ洗浄) | 213.1 | ㎡ | 180 | 38,358 | |
下塗り(クラック補修含む) | 213.1 | ㎡ | 950 | 202,445 | |
中塗り・上塗り | 213.1 | ㎡ | 2,900 | 617,990 | |
付帯工事 | 90,000 | ||||
付帯部塗装工事 | 1 | 式 | 55,000 | ||
バルコニートップコート | 1 | 式 | 35,000 | ||
今回ご提案させていただいた内容は築年数に応じた屋根・外壁塗装メンテナンスです。屋根はは生活していて夏の暑さが伝わるという事でしたので遮熱塗料、外壁はテクスチャー自体は変えずにクラックが起こりにくい塗装をご希望されていましたので、ピュアアクリル塗料エラストコートの使用をご提案させていただきました。
隣家が近い為足場を仮設する機会もぐんと減るかと思います。この際に気になる場所はしっかり直して今後不具合が出ないような状態を維持していきましょう。
初回訪問時のアンケート
工事前準備・カラーシミュレーション
塗装を行う際に重要なのは色・仕上がりです。ただ全体的なイメージチェンジというと想像が難しいという方も多いと思います。そこで私たち街の外壁塗装やさんはカラーシミュレーションを作成させていただき、お客様のお住まいにあった色をいくつかご提案させていただいております。
ホワイト系は清潔感・高級感が増しますので人気の高い色ですが、少しの傷や汚れも目立ってしまいます。ホワイト同様人気の高い色といえばクリーム・ブラウン系です。汚れが目立ちにくいのですが落ち付きや柔らかい印象も感じさせます。また洋風住宅に多い人気の色はネイビーです。黒よりも柔らかいですが印象がギュッと引き締まったかのような仕上がりになります。ただ遮熱効果を求めている方は熱を吸収しやすい濃色よりも明るい色を使用するにしましょう。
また今回塗装工事を行うに当たり隣家との距離が近い為、特に気を付けなければならないのが水・塗料の飛散です。人一人入れないほどの距離では足場仮設工事すらできない為、メッシュシートの設置すら難しくなります。あらかじめ近隣の方へは工事中注意する旨を伝えますが、より一層気を引き締めて作業に当たります。
施工の様子~竣工まで
足場仮設後まずは高圧洗浄で屋根や外壁に付着した汚れを一気に洗い流していきます。一気に削り落とすように洗い流すことで長年にわたって付着した苔も根絶ちし、劣化した旧塗膜もなくなります。特に化粧スレートは洗浄後乾くと真っ白になっていることが多いのですが、傷んだ塗膜がなくなることで屋根材の素地が露出している状態を表します。
高圧洗浄の様子
外壁のジョリパットも同様に付着している汚れを洗い流していきますが、傷んだジョリパットは吸水しやすくなっている為水圧を調整しながら作業に当たります。左側からすこしずつ洗浄を進めていますが、コケやカビが一気になくなっていることが良くわかります。
モルタルやジョリパットは頻繁に同時をしていても汚れが付きやすい外壁材の為、経年につれ徐々に汚れが目立つようになってしまいます。汚れが落としにくくなったと感じる時期はまさに塗り替えの時期でもありますが、塗装を行う事でまた汚れが付きにくい仕上がりになりますのでストレスの軽減にもつながりますよ。
洗浄後の屋根・外壁です。洗浄後は大量に水を含んでいる為、すぐに次の工程を行えません。しっかり乾燥させるために洗浄当日の作業は行わず後日となります。塗装後の屋根材・外壁材を見ていただくとわかると思いますが、洗浄だけでも十分に綺麗になります。しかしこれらは今非常に傷んでおり、吸水しやすい状況ですので早い段階で塗装メンテナンスをしてあげましょう。
ひび割れがある化粧スレートはシーリング材で補修を行います。雪止め金具はステンレスの場合塗装は行わない為養生をしますが、ガルバリウム鋼板製の場合は錆の発生を防ぐためにも屋根と同時に塗装を行います。
シーリング補修部分が乾燥後、下塗り作業を行います。下塗りは中塗り・上塗り塗料の密着性を高めるために行います。
化粧スレートに欠かせないのがタスペーサーです。縁切り作業とも呼ばれますが、屋根材間に差し込むことで意図的に隙間を作ります。この隙間は塗装した時に塗料が屋根材同士を接着させないために必ず作っておかなければならないのですが、隙間がないと毛細管現象が発生し雨漏りを起こすリスクが急激に高まります。そうならないように皮スキで屋根材間を切る作業を行うか、タスペーサーを設置するかをしないといけませんが、屋根を汚すことなく、また長く隙間を作っておけるようにタスペーサーのW工法(屋根材1枚に対して2か所の設置)を行います。
屋根塗装には日本ペイントのサーモアイ4F(クールビスケットブラウン)を使用しました。サーモアイは下塗りと仕上げ塗料のWで遮熱機能を高めているのですが、フッ素である4Fはシリコン(Si)よりも更に高い耐久性を持ち、長期間にわたって綺麗を維持することができます。
サーモアイ4F(クールビスケットブラウン)
サーモアイは全40色ありますが、ホワイトに近い色程より高い遮熱効果を発揮します。今回使用したクールビスケットブラウンは遮熱効果が十分に得られる淡色で全日射反射率が57.2%です。ホワイトが91.0%、ブラックが28.4%と較べると仕上がり・性能ともにバランスの取れた色でもあります。ちなみにクリーム・イエロー系の外壁に仕上げたい方からは人気の屋根色です。
続いてジョリパット外壁です。経年により発生しているヒビはシーリング材で補修を行います。あわせてサッシ廻りのシーリング補修も行うのですが、硬化後は早速塗装です。今回使用するのはブライトンのピュアアクリル塗料エラストコートですが、まずは下塗りフィラーでわずかなクラックを埋め平滑にし、密着性も高めていきます。
下塗り塗装後の様子です。エラストコート自体にもフィラー効果はあり、クラックを隠せる下塗り不要の塗料なのですが、傷んだ外壁材は非常に塗料の吸いこみがよく無駄に塗料を使用してしまいますので、下塗り塗料で吸い込みを止めておく必要があります。
ピュアアクリル塗料エラストコート
塗料のグレードは塗り替えのタイミングを決める非常に重要な物差しです。アクリル・ウレタンであれば5年程度での塗り替え、シリコンは10年程度、フッ素なら15年といったところでしょう。ブライトンのエラストコートはアクリルです。しかし不純物がたくさん入っている安価なアクリルではなく、100%純アクリルの塗料です。
ピュアアクリル塗料の最大の特徴は高い弾性です。弾性力が高いことから多少のクラックは発生させないほどの柔軟性を持ち、雨水の浸入を完全ブロックします。まるで防水塗料のような役割ではありますが、外壁が水分を含んでいれば防水塗料は膨れやしわを起こします。その点、エラストコートは通気性が非常に高く塗膜の膨れ等を起こす心配がありません。
また耐久性もシリコンをしのぎフッ素相当ですのでメンテナンスサイクルを延ばすことができます。
エラストコートでの外壁塗装工事が完了しました。経年により付着してしまった汚れやカビが気になっていましたが、塗装によってその悩みが微塵も感じられません。またエラストコートは今後水洗いが出来ますので、汚れが付けばホースで水を掛けながらやさしくブラシでこするだけで汚れが落ちます。
ジョリパットのテクスチャーも変えることなく綺麗に仕上がりましたのでまるで新築時の状態に戻したような印象です。色はB-951、エラストコートは明るい色が得意ですが、調色でなるべく位色を作ることも可能ですので、お気軽にご相談ください。
雨樋は一度ペーパー掛けで目粗しを行ってからご希望の色に塗装していきます。付帯部と呼ばれる雨樋や庇、シャッターボックスは外壁色にあった色で仕上げていくのですが、アルミサッシとの相性も非常に大切です。人気の色としてはホワイト・ブラック・ブラウンですが、サッシや外壁色、どのような印象になるのかをカラーシミュレーションで確認しながら決めましょう。
最後にバルコニーの防水トップコートです。近年多く使用されるFRP防水は非常に硬膜で10年前後で劣化することはほとんどありません。ただし表面のトップコートは太陽光等で傷んでしまいますので、定期的な塗り替えが必要となります。トップコートを塗り替えることで防水層の劣化を防ぐことに繋がりますので、しっかり補修を行っていきましょう。
バルコニートップコート完了
防水のトップコート保護が完了しました。防水層が劣化し雨漏りを起こしてしまうと室内に雨漏りを起こす可能性が非常に高くなります。そこで大抵は屋根塗装・外壁塗装とあわせて防水工事も行います。そうすることで防水・外壁材が原因である雨漏りを起こしにくくなるからです。ただ歩行する以上トップコートも傷んでしまいますので、いずれはFRPの再施工やウレタン防水工事を行う必要があるという事を覚えておきましょう。
工事完了後のアンケー
工事終了後の感想
築年数の経過により気になり始めていた汚れやクラックもすべて綺麗に仕上げ直すことが出来ました。合わせて化粧スレートやジョリパットの塗装メンテナンスを行ったことで、今後の劣化を未然に防ぐことにも繋がりました。H様ですが「非常に綺麗になり満足している」とおっしゃっていただけましたが、これで終わりではありません。
私たち街の外壁塗装やさんでは塗料の耐久性・お住まいの状態に合わせて施工保証をつけさせていただいております。今後は隔年ごとに定期点検を実施し、今回塗装を行った部位以外に不具合が生じていないかを確認させていただきますので気になる点・補修を希望される点等がございましたらお気軽にお申し付けください。スタッフ一同心待ちにしております。
記事内に記載されている金額は2020年12月23日時点での費用となります。
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