豊島区高松にお住まいのS様より屋根・外壁塗装工事のお見積り依頼を承りました。10年程度での塗り替えが良いということは把握されていたようですが、きっかけが見つからずなかなか踏み切れなかったそうです。今回築15年となりお住まいを見回したところ、ヒビや汚れが気になったこと、塗装業者のチラシがポストにはいっていたことから塗装を検討されたようです。
屋根も外壁も良い塗料もわからず相見積もりでのご検討ですが、調査から提案内容までの様子から私たち街の外壁塗装やさんへ工事をお任せいただく次第となりました。今回は次回の塗り替えまでの期間が延びるよう高耐久塗料を使用しましたので、塗料の特徴、施工上の注意点を踏まえご紹介したいと思います。
ビフォーアフター
工事基本情報
点検の様子
調査にお伺いしたのは豊島区高松の2階建て住宅です。
豊島区は1965年、2010年の国勢調査で人口密度日本一になった地域です。一見お住まいへの影響がないようにも感じる数値ですが、余った土地に住宅を建て、建て直しや購入、新築と繰り返すことで、複雑な敷地形状になりやすい傾向があります。建築会社も出来るだけ無駄のないよう敷地を使うため年々土地は狭く、隣家は近い状態になってしまいやすいという事です。こういうことは都市部ではしょっちゅうですが隣家が近いことで足場の仮設が難しかったり、隣家に足場を架設させていただくということもありますので、より一層正しい工事が求められます。工事にあたって不安を感じる方、足場が立てられるのか?といった質問はぜひ私たち街の外壁塗装やさんにご相談ください。
塗装を行う前にはお住まいの状況を確認する必要があります。
外壁はモルタルのソフトリシン吹き付け仕上げです。目立ったクラック(ひび割れ)は見受けられませんが、経年による細かなクラックは発生し始めているようです。素材の成分上どうしてもクラックが発生しやすい条件はありますが、塗り替え等で現在のクラックを補修することも今後のクラック発生を予防することも出来ますので、雨漏りや破損といったトラブルが起きる前に対応しておきましょう。
敷地内では外壁材が剥がれたような跡がみられました。特に大きな欠損は見られない為余剰に吹き付けられた分の剥がれかもしれませんが、塗膜が劣化し雨水や太陽光に晒されることで外壁材の剥がれを引き起こすこともあります。
塗膜の劣化を見極めるサインとしてはチョーキングや汚れの付着です。築10年程度経過するとみられるようになりますが手で触ると白い粉が付く、洗って落ちない汚れが増えた等は塗り替えを行う目安です。
劣化は特に日が強く当たる南面、日が当たりにくい北面で顕著に現れます。南面は極端に色が抜けていることがあり、北面は水分の多い苔やカビが外壁に付着している事がありますので、劣化が最も気になる部分を参考にメンテナンスを検討しましょう。
塗り替えと同時にメンテナンスを推奨しているのがバルコニーです。近年はFRP防水と呼ばれる硬膜で高耐久な防水層が施工されているお住まいが多いかと思います。固い為歩行にも強く15年程度は何の問題も起きませんが、まず表面を保護しているトップコートに剥がれが起きるようになります。今回チェックを行ったバルコニー面も転々と黒い部分がありますがこれらはトップコートの剥がれで、ひどくなると防水層まで傷める恐れがあるため、早い段階で塗り替え補修を行いましょう。
続いては屋根です。画像を回転させているわけではなくほぼ垂直に施工されている屋根は珍しいですが、隣家が近い都市部ではみられる機会があると思います。メンテナンス方法は勾配が変わろうとも同じですが、急勾配屋根は屋根足場費用も必要になると覚えておきましょう。
屋根材はセメントと繊維質を加工し圧縮させた化粧スレートです。10年程度で屋根材を保護している塗膜は劣化し、吸水しやすくなるため定期的な塗膜保護が欠かせません。劣化が進行し塗装しても塗膜が剥がれるような状態までになると、葺き替え工事もしくは屋根カバー工法を行わなければなりますのでご注意ください。
下屋には天窓(トップライト)も設置されていました。隣家が近いからこそ窓を開けるのは少し、でも換気はしたいし解放感を得たいという方にはまさに最適です。しかし皆さんの盲点になりがちなのがメンテナンスと交換です。30年近く天窓を交換していないというお住まいもかなり見られますが、10年でのメンテナンス、20年での交換が推奨されています。その後は天窓周りのパッキンから漏水を起こしたり、下地木材が腐食したりとトラブルが起きる可能性がありますので、屋根とあわせてのメンテナンスを心がけましょう。
化粧スレートにみられる白い斑点、これは屋根材の素地が露出してしまっているものです。素地が露出する原因は多くが経年劣化と自然災害です。特に雹は氷の大きさによっては屋根材表面を削り今回の斑点のようなダメージを残します。築年数が浅く素地の露出を起こす可能性が低い場合には、火災保険が屋根塗装に適用されることもありますが見落とされることもしばしばです。
屋根材の素地露出は吸水を早めてしまいますので、今回を機にしっかり塗装メンテナンスで塗膜保護を行います。
ご提案内容
品番・品目 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
仮設工事 | 257,650 | ||||
足場架け払い | 295.0 | ㎡ | 700 | 206,500 | 楔式 |
屋根足場 | 52.3 | ㎡ | 500 | 26,150 | 急勾配施工 |
メッシュシート |
1 | 式 | 25,000 | 飛散防止対策 | |
下処理工事 | 139,115 | ||||
屋根外壁他高圧洗浄 | 227.9 | ㎡ | 200 | 45,580 | 適宜水圧 |
ケレン・養生 | 1 | 式 | 50,000 | ||
雑シーリング | 1 | 式 | 20,000 | ||
縁切りタスペーサー | 52.3 | ㎡ | 450 | 23,535 | |
屋根塗装工事 | 111,860 | ||||
下塗り | 52.3 | ㎡ | 500 | 26,150 | |
中・上塗り | 104.6 | ㎡ | 1,700 | 177,820 | サーモアイ4F |
外壁塗装工事 | 858,793 | ||||
下塗り | 132.0 | ㎡ | 600 | 79,200 | |
中・上塗り | 264.0 | ㎡ | 1,500 | 396,000 | スーパーセランフレックス |
付帯部塗装工事 | 157,000 | ||||
軒天塗装 | 1 | 式 | 5,000 | ||
雨樋塗装 | 41.9 | m | 800 | 33,520 | |
破風板塗装 | 33.1 | m | 800 | 26,480 | |
シャッターボックス | 4 | カショ | 3,000 | 12,000 | |
北・玄関上バルコニー | 1 | 式 | 80,000 | FRPトップコート | |
初回訪問時のアンケート
カラーシミュレーション
塗装工事の最大の目的は塗膜保護による劣化防止ですが、皆さんが気にされるのは仕上がりです。そこで私たち街の外壁塗装やさんではカラーシミュレーションを作成させていただき実際の完成イメージをお客様にご提案させていただいております。塗料によっては調色が苦手で希望の色が作れないということもありますので、塗料が決まってからの方がお薦めですが仕上がり重視で塗料を選ばれる方もいらっしゃいます。
ちなみに調色が苦手な塗料というと多くが機能性効果が高い塗料です。高弾性のピュアアクリル塗料エラストコートや低汚染機能に特化したナノコンポジットW+防藻、断熱塗料のガイナ等が挙げられます。それらは高い性能を発揮するため、決められた色から選ばなければなりませんのでご注意ください。
工事開始前に気を付けたこと
今回歩道から少し入った場所にお住いがあり、隣家に囲まれている状態です。作業車の搬出、騒音や話し声、塗料や水の飛散には細心の注意を払いますが、やはり少なからずご迷惑をかけてしまいますので工事前のご挨拶にはより一層力が入ります。
塗装工事の第一工程です。作業車を道路に停めさせていただき、足場の仮説を慎重かつスピーディーに進めます。作業車を停めるような場合は道路使用許可を出しますが、足場まで道路にはみ出すようなお住まいの場合は、道路占用許可の手続きが必要となります。このような場合も私たち街の外壁塗装やさんが対応させていただきますのでご安心ください。
施工の様子~竣工まで
足場仮設後、屋根から高圧洗浄を進めていきます。もちろんメッシュシートを足場に設置し水が隣家に飛散しないよう対応しております。こびりついた汚れを削り落とすように洗い流し、同じように外壁から敷地内一帯を洗浄していきます。汚れは駐車場に溜まりますので、洗い流しがないよう徹底的に片づけていきます。
洗浄後十分に乾燥させてからがいよいよ塗装です。まずは屋根材と仕上げ塗料の密着性を高めるための下塗りを行います。使用したのはW遮熱機能を持つ日本ペイントのサーモアイセットです。ホワイト色のシーラーが塗り残しがないかのチェックと下地色の隠ぺいに役立ちます。
乾燥後はタスペーサーを差し込んで隙間を作っていきます。縁切りと呼ばれるこの作業は薄い化粧スレートには欠かせない作業で、塗料での屋根材密着を防ぎます。そうすることで屋根材内部に入り込んだ雨水の排水もでき、毛細管現象による雨漏り防止にも働きます。急勾配ですと雨水が屋根内部の入り込みにくいから縁切りが必要ないと判断されることもあるそうですが、事故は起きないにこしたことはありません。ここでしっかり予防策を行っておきます。
ヒビが入ってしまっているスレート屋根材も適切な補修を行うことで十分利用することができます。シーリング材でひび割れ補修を行いますが、塗装後や塗装とは別のタイミングで行うと補修跡がくっきりと残ってしまいます。そうならないよう塗装前にあらかじめ補修をし綺麗に仕上げていきます。
補修材も触れる程硬化すればいよいよ仕上げ塗装です。下塗り塗料とセットのサーモアイ、今回はフッ素(4F)のクールシルバーアッシュを使用します。通常使用される塗料はシリコンが多いのですが、足場仮設が容易でない、長期的にメンテナンスサイクルを延ばしたい、高耐久な塗料で高寿命を図りたいという方にはフッ素をお薦めしております。またホワイトに近い色程遮熱効果が高い為、シルバーアッシュは今後の暑さ対策にも一役買ってくれそうです。
急勾配屋根の塗装状況
塗装の様子です。屋根足場にのって慎重に作業を進めていきます。大きな缶を持っての作業は危険ですので、小さな容器に移し丁寧に作業を進めていきます。ただフッ素塗料は硬化するとガラスのような塗膜を形成することで塗継ぎ部分の密着性が悪くなるようです。そのためその面はその一回で塗り終えるのが良いそうです。
細かな板金と屋根材の間もハケで塗りこみ、隙間ができないよう仕上げていきます。この作業をダメ込みを呼びますが、小さな作業が仕上がりを大きく左右すると言っても過言ではありません。また少しの隙間から吸水して雨漏りを起こしてしまえば正に本末転倒です。ローラーでは塗れない部分をハケで仕上げ、全面をムラのないようローラーで仕上げていきます。この作業を2回繰り返し塗装作業は終了です。
遮熱塗料サーモアイは仕上げ塗料と下塗り塗料どちらにも遮熱機能があるため、セットで使用することで高い遮熱効果が得られます。2階が暑い、光熱費をおさえたい等、暑さでお悩みの方はぜひ一度ご検討してみてはいかがでしょうか?
続いては外壁塗装です。塗装前にまずはサッシ廻りとクラックの補修を行います。今回使用するシーリング材はオート科学工業のオートンイクシードです。通常シーリング材は5年程度しか持たないというタイプが多いです。そのため塗膜に問題がなくとも目地やサッシ周りに劣化がみられるという事が懸念されていました。しかしオートンイクシードは塗料の耐用年数にも負けない15年超の耐久性を持ちます。そのため塗装と同時期にメンテナンスが可能となりコスト面、耐久性を見ても安心できます。
シーリングでの補修後は塗料を付けてはならないサッシや玄関ドアを養生で覆い、塗装に入っていきます。下塗りは外壁のわずかなクラックを塗料で埋め平滑に仕上げるフィラー、ダイヤセラ・トーシツプラスを使用します。外壁材の種類によって下塗り塗料の種類が変わるというのもポイントです。
続いて仕上げ塗料は同じくダイヤのスーパーセランフレックスです。高耐久塗料として注目されている無機塗料ですが、硬膜でひび割れしやすいという点が懸念されていました。特にモルタルと無機塗料の相性は最悪です。しかしダイヤスーパーセランフレックスは無機塗料でありながら柔軟性のある有機塗料の特徴を兼ね備えたハイブリッド塗料です。
その高い耐久性から同メーカーのスーパーセランは2002年、千葉マリンスタジアムの改修工事にも使用されています。そして改良とコストを調整し戸建て住宅改修用塗料としてスーパーセランフレックスが販売されています。長い開発の道のりと確かな実績の上での塗料ですので安心してお使いいただける塗料です。
色はイエロー・クリーム系のNo.42です。付帯部塗装に使用した塗料も調色の上、外壁に合わせた仕上がりですので非常に統一感のある仕上がりになりました。
付帯部塗装の様子もあわせてご紹介します。
雨樋は表面がツルツルとしている為塗料の密着性が悪く塗膜の剥がれを起こしてしまう可能性があります。そこでまずはサンドペーパーやマジックロン等固い素材で削り表面に細かな傷をつけていきます。すると塗料が密着する面が増える為塗膜が剥がれにくくなります。
最後にバルコニーのトップコート塗装です。表面に剥がれがあるという事は他の部分も剥がれかかっている可能性がありますので、サンダーで表面を削りながら綺麗に整えていきます。
その後アセトンで拭き表面の油分を取り除きます。この作業を怠ると油分が邪魔してべたべたとして状態がいつまでも続いてしまいます。ここまでの作業を終え下地処理が完了です。
防水工事は屋根・外壁と使用塗料が違うものの、施工工程としては大きく変わりません。まずはプライマーで下塗りを行い密着性を高めます。
その後トップコート剤(ダイフレックス:エクセルトップ)で2回塗りを行い綺麗に防水層を保護していきます。新築時のトップコートはポリエステル系が使用されていますが、硬膜で劣化するほどひび割れが多くなります。重ね塗りにも向いていない為、改修時には柔軟性が高いアクリルウレタンを使用します。
防水トップコート完了
トップコート塗装後の様子です。防水工事はまだしもトップコート塗装は塗装業者が屋根・外壁と同時に施工するということもあります。ただしアセトンは登録業者しか購入できなかったりと材料が揃っていないケースもありますので、あらかじめどのような施工工程を踏むかをチェックしておくことも大事です。
工事終了後の感想
着工から完工までおよそ1ヶ月ほどかかりましたが、無事屋根・外壁塗装、防水トップコート工事が終了いたしました。相見積もりの上私たち街の外壁塗装やさんに工事をご依頼いただきましたが、細かな点検と報告等から安心できたと仰っていただきました。またお子様も育ち盛りの忙しい中ご自身の中で気になっていたお住まいに関して、塗装メンテナンスを行うことでクリアにできて良かったとご感想をいただきました。
塗装工事は完工してからも非常に重要です。私たち街の外壁塗装やさんでは塗料のグレード、お住まいの状態から施工保証をつけさせていただいておりますが、今回は最長の15年です。今後は隔年定期点検としてお伺い塗膜が問題なく機能しているか、不具合がないかをチェックさせていただきます。長いお付き合いの程どうぞよろしくお願いいたします。
工事完了後のアンケート
記事内に記載されている金額は2020年12月23日時点での費用となります。
街の外壁塗装やさんでは無料でのお見積りを承っておりますので、現在の詳細な費用をお求めの際はお気軽にお問い合わせください。
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