中
野区
中央にあるアパートのオーナーI様より、アパートの鉄骨階段のメンテナンス依頼をいただいたことが今回の工事のキッカケでした。2021年6月に起きた八王子のアパートの鉄骨階段崩落事件をきっかけに、鉄骨階段のメンテナンスに関するお問い合わせを多数いただいておりまして、今回もその事件を受けてご自身の所有されているアパートの階段が気になってとのお問合せでした。
八王子の事件は室外にある鉄骨階段を設計とは異なる木造部分に固定したことによって、木部が腐食して階段が崩落、女性が1人死亡してしまった事件です。根本的な原因は設計を守らずに鉄骨階段を木に接続した施工店の施工不良が原因の事件であるため、通常の施工で造られた鉄骨階段では考えいにくい出来事となります。
とはいえ、錆が発生してきた鉄骨階段のメンテナンスがしたいというご要望を受けて、コーキング材による補修と塗装工事によるメンテナンス工事をご提案させていただきました。鉄骨階段などの鉄製のものを塗装する際は、錆止めを下塗りとして塗らせていただきますが、錆止めはあくまで錆を抑制する効果のある塗料であり、完全に錆を止めることはできません。そのため、既に錆が発生してしまった鉄部の塗装は、錆の進行を完全に止めるわけではなく、錆の進行を抑制するものであると考える必要があります。できれば錆が発生する前にこまめに塗装メンテナンスをすることが望ましいです。
今回使用した塗料は、錆止めにハイポンプライマーⅡ、中塗り・上塗りにファインシリコンフレッシュという日本ペイントさんから出ている高耐久のシリコン系塗料を使って塗装工事をさせていただきました。綺麗に階段のメンテナンスができて、I様にも喜んでいただくことができました。
八王子の階段崩落事件を受けて、ご自身のアパートの階段のメンテナンス塗装をご希望
中野区中央にお住まいのアパートオーナーI様より、所有されているアパートの鉄骨階段のメンテナンスを考えているので、調査をお願いしたいとご相談を受けたことが今回の工事のキッカケでした。4月の中旬に八王子市で鉄骨階段が崩落し、女性が転落死するという痛ましい事件がありましたが、その報道をきっかけに、鉄骨階段の点検とメンテナンスを希望される方のお声を多数いただいております。今回のI様からのお問い合わせも、同じく八王子の事件を受けてご自身のアパートも心配になったことがお問い合わせのキッカケになったとのことでした。
八王子の事件は鉄骨階段が問題というよりは、鉄骨階段の折り返し地点である踊り場との接続部分に設計とは異なり木材が使用されており、その木材が腐食したことによって起きた事故です。そのため、鉄骨階段が問題というよりは、設計を無視して木材を使って工事をした欠陥工事が問題の事件であり、通常の施工で造られた鉄骨階段では発生しがたい事件となります。とはいえ、鉄骨階段を何もメンテナンスせずに放置していれば錆の発生や鉄の腐食が発生してきて、酷い場合は崩れてしまう場合もございます。定期的にメンテナンスしてあげることが大切です。
今回の鉄骨階段も最後に塗装してからだいぶ期間が空いてしまったそうで、段裏などの細かい部分に錆の発生が見受けられました。錆の発生は鉄骨階段の宿命のようなところがありますが、一度錆が発生してしまうと完全に修復することが難しくなります。というのも、錆を抑制するために錆止めの塗装を行いますが、錆止めはあくまでも錆を抑制する効果のある塗料というだけで、錆を完全に止める効果があるものではないからです。錆が発生する前に塗装メンテナンスをしてあげる必要があるため、理想を言えば2年に1回ほどのペースで塗装してあげてもよいのですが、それなりに費用もかさんでしまうため、そのようなペースで塗装メンテナンスすることは難しいというのが現実かと思います。定期的にご自身でも点検を行い、少しでも劣化のサインが見られたら早め早めに対処していきましょう。
階段の踏み板部分の写真です。元々は滑り止めの塗装が施されていたようですが、長年使われた影響で塗装が剥げてしまっています。単純に見栄えもよくないです。また、踏板の先端部分(段鼻)をよく見ると、隙間が空いていることがわかります。元々はコーキングが打たれていたようですが、剥がれて隙間になってしまっています。段裏に錆ができていましたが、おそらくはこういった隙間から階段の内側に雨水が浸透してしまい、内部から鉄を錆びさせたと考えられます。塗装工事と併せて、隙間を再度コーキングして塞いであげる必要があります。
今回の工事で使った塗料は日本ペイントのハイポンファインプライマーⅡと、同じく日本ペイントのファインシリコンフレッシュという塗料です。ハイポンファインプライマーⅡは錆止めのための下塗り塗料でよく使われているエポキシ樹脂系の2液塗料です。刺激臭が少なく環境にもやさしい塗料なので、集合住宅や狭小住宅など臭いの問題に敏感な環境での塗装にもオススメできる塗料です。
ファインシリコンフレッシュはその名の通りシリコン系の塗料で、アクリル系やウレタン系の塗料よりも上のグレードの塗料となり、期待耐用年数は11~15年と言われています。耐候性も高く、そのほかのシリコン系塗料に比べると期待耐用年数が2年程長い優秀な塗料となっています。今回は元々の色と同様の仕上がりにしたいとのご希望があったので、N-90というホワイトで塗装させていただきました。
右の写真は「
オートンイクシード」というコーキング材の写真です。今回の階段の入隅と段鼻の部分に施工するコーキング材ですが、コーキング材は安いものだと2~3年、一般的なものでも7~8年で劣化して打ち替えが必要になってしまいます。ところがこちらのオートンイクシードは驚異の15年以上の耐久性を誇っており、現在出ているコーキング材の中でもトップクラスの性能を持った製品です。今回錆びてしまった問題の部分は階段に生じた隙間に水が浸透したことによって起きたものなので、塗装がしっかりできていても隙間を埋めることは塗料では難しく、また、コーキング材だけ直ぐにダメになってしまうとそこだけ短いサイクルで工事をすることになってしまいます。できることなら次回の塗装でもコーキングに関してはメンテナンスしなくてもよい状態にしておくのが理想なので、コーキング材のみ良いものを使わせていただきました。
塗装範囲以外に塗料が飛び散らないように全体的に養生をさせていただいて、塗装工事開始となります。まずは塗装ではなく、対象の清掃・ケレン掛けから始まります。ゴミが付いた状態で塗装してしまうと塗装のノリも悪くなってしまうので、刷毛や箒で綺麗に掃除をします。
掃除が終わったらケレン掛けといって、既存の錆などをある程度落とし、金たわしなどで小傷を付けていきます。錆についてはそのまま塗ってしまうと、仕上がった跡に錆ごと塗装が剥がれてしまうことがあるため、塗装前に剥がれそうになっている部分は全て剥がしてから塗装する必要があります。
小傷を付ける作業は抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、鉄部は表面がつるつるとしていて、そのまま塗装した場合、塗料が綺麗にぺりっと剥がれてしまうことがあります。そう言ったことを防ぐために、あえて小傷を付けておくことで塗装面と塗料との密着性を良くして、はがれにくくするための効果があります。ケレン作業は
塗装後には実施したか否かわからない作業となるため、手順を省略してしまう業者さんもいると聞いたことがありますが、これをするかしないかでは塗装の持ちが全然変わってきてしまうので、しっかりと作業風景を写真に残してもらうことが大切と言えるでしょう。
ケレン作業が終わったら、下塗りとして先ほど紹介したハイポンファインプライマーⅡを塗装していきます。外壁の塗装だとローラーを使ってコロコロと塗っていくことが多いですが、今回の鉄骨階段の様に細かい箇所が多い場合は刷毛などを使って塗っていくことが多くなります。そのため、塗る範囲としては外壁塗装と比べれば少ないのですが、単純に手間が増えるため費用もそれなりにかかってきます。下塗り材は基本的に白を使って、そのあとに塗る塗料の色の邪魔にならず、塗り残しが無いようにしますが、今回は上塗りも白なので色の違いは分かりにくいかもしれません。現場の職人は塗った箇所と乾いた箇所の微妙な色の違いを見極めることができるため、塗り残しなく塗り進めていきますのでご安心ください。錆止めを塗り終わったら乾燥させて、次の工程に進みます。
下塗りが終わったら中塗り・上塗りの工程に進みます。塗料にはそれぞれメーカーさんが指定した適正な塗装回数というものがあり、一般的には3回塗りが指定されている塗料が多くなっています。3回塗りとは、錆止めやプライマーなどの下塗りを1回、仕上げ用の塗料を2回の合計3回という計算です。時折、「私たちの会社は4回、5回塗りをします!」というような業者さんもいらっしゃいますが、メーカーが指定している塗装回数はその塗料の品質や耐久性を最大に発揮できるための回数として指定しているものなので、多ければ良いというものではありません。厚塗りすればそれだけ透湿性などが阻害されて膨れに繋がったりすることもございます。
逆に少ないことはもってのほかです。中塗り・上塗りでは同じ塗料を使うため、正直中塗りだけで終わりですと言われても、2回塗りしたかどうかの判断は難しくなっています。作業をずっと見ていられるお客様は決して多くないでしょうから、きちんと信頼できる業者さんに施工してもらうことが大事かがわかります。
先ほど紹介したオートンイクシードを使って入隅と段鼻の隙間を埋めていきます。コーキング材を打つだけでは見栄えも悪いので、打つ前に綺麗にマスキングテープで養生をして、プライマーを塗った後にコーキング材を打ち、写真の様にヘラで成形していきます。成形後はマスキングテープをはがして完成となります。
階段の踏板の部分は滑り止めとしてIP速乾フロアで施工していきます。プライマーを塗って下地を整えた後にIP速乾フロアを塗るのですが、ここで注意しなければいけないのが、入居者様への配慮です。今回塗装する階段は作業中も入居者様がいらっしゃるアパートの外階段であるため、一気に塗装してしまうと乾燥を待つ時間の間は階段が使えないということになってしまいます。出入口が他にもあればよいのですが、今回のアパートの場合はこの階段しか2階へ上がる手段がなかったため、半分ずつの塗装をすることで、塗装作業中も階段が使えるように配慮いたしました。
全ての工程が終了し、鉄骨階段塗装工事が完了いたしました。もともと錆が出ていた部分も綺麗に仕上がり、新品のような美しさを取り戻しました。踏板も滑り止めがシッカリと施されて、雨の日でも安心して歩けるようになりました。錆の原因になっていた踏板周辺の隙間もオートンイクシードによって埋めたので、15年以上は再発の心配なく階段を使えることでしょう。
綺麗にメンテナンスができて、工事してよかったとI様にも喜んでいただけました。
私たち街の外壁塗装やさんでは、感染拡大が続いている
新型コロナウィルスへの感染対策としてマスクの着用や手指の消毒を徹底して実施しています。お問合せや
現地調査のご依頼の際はご安心いただければ幸いです。
今回使った塗料はさび止めに日本ペイントの
「ハイポンファインプライマー
Ⅱ
」
、中塗り・上塗りには同じく日本ペイントの「ファインシリコンフレッシュ
」を使用しました。文中でもかるく塗料の紹介をしましたが、ここではより詳しく塗料の解説をさせていただきます。まず、下塗りで使用したハイポンファインプライマー
Ⅱは鉄部などを塗装する際の
錆止め塗料です。
鉄部は
錆が発生してしまうと見た目が損なわれるだけでなく、強度が落ちてきてしまい本体を交換などする大きなメンテナンスが必要になってしまいます。そのため、塗装の際には最初に
錆止め塗料を塗って,
錆びを生じにくくする必要があります。
既に発生している
錆びの進行を
遅らせる効果もありますが、あくまで遅らせるだけなので完全に止める
わけではない点に注意が必要です。昔は塗料による健康被害などにあまり厳しくなく、
錆びを完全に止める鉛入りの塗料などもあったそうですが、安全面への配慮にも厳しくなった現在では人体に悪影響のある成分は厳しく規制を受けることになりました。その結果、最新の技術を持ってしても、
錆止め塗料で
錆びを完全に止めることはできなくなっているということが実情です。
ファインシリコンフレッシュはシリコン系の塗料です。塗料のグレードはアクリル<ウレタン<シリコン<フッ素の順にグレードが上がっていき、グレードが高いほど耐久性が伸びていきます。シリコン系ということは中の上ぐらいのグレードのものなのかとご理解いただければ幸いです。
ファインシリコンフレッシュは高耐候性・超低汚染性・使い易さの3拍子が特徴の塗料で、同じ日本ペイントのシリコン系塗料の中でもその点で性能良く作られています。塗装対象についても万能で、今回は鉄を塗っていますが、鉄だけでなくモルタルやサイディングボード、木部などのあらゆる対象に塗装することができる万能塗料です。価格もそこまで高いわけではありませんが、耐用年数も11〜15年ほどと長く、色あせなどが生じにくく人気のある塗料です。何の塗料で塗装したら良いかわからないという際には、選択肢の一つとして考えていただくのも良いかもしれません。
記事内に記載されている金額は2021年12月24日時点での費用となります。
街の外壁塗装やさんでは無料でのお見積りを承っておりますので、現在の詳細な費用をお求めの際はお気軽にお問い合わせください。
外壁塗装、
屋根塗装、
外壁・屋根塗装、
ベランダ防水の料金プランはそれぞれのリンクからご確認いただけます。