築25年経過した木更津市の事務所兼工場です。印刷会社様ですので、雨漏りで大切な機械等が濡れてしまえば大事です。屋根外壁だけでなく、サッシ廻りからも雨水の浸入があるようですので、雨漏りの原因を特定し適切な工事を進めていきましょう。
ビフォーアフター
工事基本情報
点検の様子
雨漏り調査・補修依頼を承りました木更津市の印刷会社様の事務所兼工場です。ここで全ての作業を行っているようですので、雨漏りによるストレスを感じているようです。
特に機械が置いてある場合に水は大敵です。濡れて破損するような事があれば元も子もありません。
早速雨漏りの調査を確認して見ますが、天井にも壁にも雨染みがくっきりと残ってしまっています。少しの漏水であればすぐに乾いたりそれ程跡には残りません。
ここまでしっかり跡が残っているということは長期間に渡って雨漏りを起こしている証拠です。
外壁にも同様に雨染みが残っていますが、天井からとサッシからの雨漏りが確認できます。サッシからの雨漏りはサッシ自体の建付けが悪いのか、サッシ廻りのシーリングの劣化が原因です。
但し、外壁内部を雨水が通り全く違う場所から浸入している可能性もありますので、調査を行わなければなりません。
サッシの下部にクロスの割れも見られます。雨水による原因もそうですが、外壁下地の劣化が原因という事もあります。室内を補修するにはまず外部の雨漏りを改善することが大前提です。
屋根の調査を行っていきましょう。工場や大きな建物に多く使用される折板屋根ですが、野地板等の下地を必要としない為、工期が短く雨仕舞にも大変優れている屋根材です。
0.6~1.2㎜厚の特徴的な山高の形は強風にも強く耐え、工場・倉庫・体育館でも使用されています。
軒先部分に折板屋根の欠けが見られます。また屋根材を固定しているボルトの錆・腐食が進行し真っ黒に変色してしまっています。固定自体には問題ありませんが、錆は屋根材にも移り拡大してしまうため早急に除去する必要があります。
錆が進行すると屋根材に穴を開け、そこから雨水が入り込んでしまいます。特に折板屋根の場合は下地等の取付をしていないため、屋根に破損があると雨漏りに直結してしまいます。
また鋼板の継ぎ目にはシーリングが施工されていますが、経年劣化によってシーリングに肉痩せや亀裂が見られるようになります。
シーリング(コーキング)の寿命はおよそ5~10年、屋根材の耐久性に関係なく補修をしていきましょう。
屋根材の上に空調・排水・給湯等の設備を置いている建築物は多くございます。屋根材に安定して取り付ける為に架台を設けて設置をしますが、屋根材よりも比較的早く錆が発生します。
もらい錆での腐食の原因、設備があることにより下地確認が難しいケースが多々存在します。劣化を防ぐためにも、まず錆を発生させないための塗装メンテナンスが非常に重要です。
屋根パラペット部分です。立上りには多数の補修跡があります。雨風の影響を受けやすい為、屋根メンテナンスでは必ず同時期に確認をしましょう。
事務所玄関の屋上です。シート防水ですが至るところにたわみ・しわが見られます。これは経年劣化や建物の揺れによって徐々に下地との密着性が弱まり、シワになってしまいます。破れていなければすぐに雨漏りを起こすわけではありませんが、内部に水分が入る危険性が増します。
また、しわだけでなくドレンの腐食劣化は進行しているようですので、防水補修工事をご提案いたしました。
ALC外壁です。まずALC外壁とは軽量気泡コンクリートの事で、耐火性・防火性・強度等の性能を高い水準でクリアしている外壁材です。
およそ50年の耐久性をもつ外壁材の為、ビル等の大型建築物以外に、戸建て住宅でも注目されています。
またコンクリートと耳にすると重量があり、耐震性に心配を持たれると思いますが、ALCは内部に無数の気泡をもち、水に浮く程の軽量化に成功しています。
これは通常のコンクリートの約1/4の重さです。
メリットの多い外壁材ですが、当然デメリットを理解しておくべきです。まずALCの最大の弱点は吸水性の高さです。
外壁が雨水を吸い込むことによって、内部の気泡に入り凍結・膨張・乾燥を起こします。外壁材にひび割れを起こし耐久性が著しく劣化してしまいます。
このような劣化を防ぐためには、目地補修と塗装による表面保護が非常に重要になります。外壁材が一度劣化してしまうと回復することはありませんのでメンテナンス時期をしっかりと確認し定期的に補修していきましょう。
サッシ廻りの目地に多くのヒビが入っています。ALC外壁の目地は防水の役割を担う非常に重要な場所ですので、必ず補修を行いひび割れや肉痩せが無い状態に保ちましょう。
タイル外壁も同様です。タイル自体は無機質で劣化しないものの、目地の劣化によって漏水を引き起こしてしまいます。目地の劣化はタイルの浮きや剥離も起こしてしまいますので隙間のないようにシールを打っていきましょう。
こちらは折板屋根を内部から見た状態です。穴が開いていれば雨水が入り込み、染み等を残すはずですが、雨水の形跡はありませんでした。
折板屋根補修のメンテナンスとしては塗装、劣化が酷い場合はカバー工法・シート防水工法、もしくは屋根葺き替え工事で改修を行っていきます。
補修時のご提案としては、カバー工法で断熱材を敷き込み(Wパック工法)、断熱効果と遮音性の向上を図ることが出来ます。
施工の様子
雨漏り調査の結果、屋根外壁・屋上といくつかの箇所から雨漏りを起こしています。通常、特別な事情が無い限りは上階から補修を行っていきます。
こちらの現場であれば屋根が1番です。外壁から行ってから屋根の雨漏りで外壁の膨れを起こさせるような事があれば本末転倒です。
屋根の雨漏り補修を行って上階からの雨漏りが改善したことを確認し外壁塗装に入ります。
足場の仮設とメッシュシートを取りつけます。戸建ての場合は近隣へのご迷惑とならないよう飛散防止ネットを取りつけますが、高層建物の場合は落下防止も兼ねています。
屋根補修工事
屋根の雨漏りはエアコンダクトの配管入り口です。補修前は配管の入り口部分のみ鋼板でカバーされていましたが、折板屋根を伝って内部に雨が入り込む恐れがあります。
今回はダクトのは入り口がある列を全てカバーし塞いでいきます。
防水紙で雨水の浸入を防ぎます。立上りまでしっかりと施工しておかなければ取り合い部分から雨水が入ってしまいます。
板金を被せ同じように立上りまで伸ばしビス留めをしていきます。この鋼板内部に雨水が入らず、周辺の屋根材が腐食しない限りは雨漏りの心配はなくなるでしょう。
折板屋根に少しずつ錆の発生が起こっていますので、雨漏りが再発しないように塗装メンテナンスをしっかり行っていきましょう。
屋上防水工事(絶縁工法)
陸屋根(玄関上)です。しわの有ったシート防水は全て撤去し下地の処理を行います。雨漏りを起こし下地が水分を多く吸っていることが考えられますので、膨れの対策法をご紹介いたします。
まず初めにシート防水の再施工でも補修は可能です。しかしシートのしわやたわみの発生を見ると心配になりますよね。そこで今回はウレタン塗膜防水で継ぎ目のない防水層を形成していきます。
今回の様に下地が水分を吸い蒸発した湿気によって膨れを起こす可能性がある場合、密着(接着)工法を使用せずに絶縁工法に切り替えます。
それは防水層の内部に湿気を逃がす空間を設ける施工です。シート防水では機械的固定工法ですが、ウレタン塗膜防水は通気緩衝工法と呼ばれます。
通気緩衝工法とは、通気緩衝シートと呼ばれる無数に穴の開いたシートを張り、その上に塗膜防水を塗ることで完全密着を防ぎます。そこに脱気筒を取り付けることでシート部分に溜まった水蒸気が脱気装置から外部に逃げるといった仕組みです。
通気緩衝シートは平場に張り、隙間をジョイントテープで留めていきます。
ドレンは経年劣化による腐食がありますので改修用ドレンを取付、排水部分の補強をします。
ウレタン塗膜防水は必ず立ちあがり・平場の順に塗装、最後にトップコートを施工し工事完了となります。
通気緩衝工法は必ず絶縁シートと脱気装置がセットとなります。防水層の面積にもよりますが、脱気筒は25~100㎡に1ヶ所ずつ取り付けていきます。
今回の工法により塗膜の劣化・膨れ等の不具合はしっかりと改善できるでしょう。
目地シール工事
外壁の目地補修に入ります。まずは材料の搬入と目地部分の養生です。使用材料はペンギンシールPU9000 TypeNBのノンブリードタイプです。
シーリングには耐久性と柔軟性が求められる為、可塑剤を混入させ高性能を保っています。しかし、可塑剤は経年により成分が流出し外壁を汚す事態を招いてしまいます。
ペンギンシールは独自の配合により性能を落とさないまま、ノンブリードのシーリングの開発に成功しました。塗料との相性も良いポリウレタン系ですので、様々な所でご使用いただけます。
施工箇所には目地が汚くならないようにマスキングテープで綺麗に養生を行います。
シーリングを奥まで充填・ヘラで打設し養生を剥がすと、見違えるように目地が綺麗に仕上がりました。建坪およそ30坪程度の住宅であっても目地はおよそ150~200mはあります。
更に大きな建物ですので、施工忘れがないように1ヶ所ずつ確実に作業を進めていきます。
ALC部分は後に塗装施工がありますので、養生をせずに目地のひび割れを補修していきます。プライマーを塗り密着性を高めてからシーリングを被せていきます。
サッシ廻りも含めたシール工事を行う事で、雨漏りを引き起こす原因を一つずつ確実に解消していきます。
爆裂を起こし外壁が崩れていた部分も補修を行います。内部に鉄筋を使用している建物は雨水が入り鉄筋を錆びさせると、錆の腐食だけでなく耐久性の低下、そして鉄筋の収縮・膨張による外壁の崩壊を招きます。
建物内部に雨水が入るという事がどれ程危険な状態にするか分かりますよね。
笠木は腐食があれば交換、異常なければ塗装をし腐食を防ぎます。こちらも当然シーリングで隙間を埋めていきます。
外壁塗装工事
ようやく外壁塗装工事です。まずは高圧洗浄で外壁に付着している汚れや旧劣化塗膜を洗い流していきます。
折板屋根は塗装はしないものの、長年に渡って蓄積された汚れを落とします。そうすることで屋根の劣化を防ぎ美観性を保つことが出来るのです。
折板屋根に見られる塗膜の剥がれは錆の原因になります。そこでまず下地処理をし、錆止めを塗ります。錆びている部分よりも少し広範囲に渡って施工をすると効果的ですね。
続いて屋根と同じグレーで仕上げます。小さな補修ではありますが、確実に屋根の劣化を防ぎます。
今回は簡易補修ですが、次回は全体の塗装メンテナンスを頭に入れておく必要があるかもしれませんね。
外壁塗装の下塗です。使用したSKKの水性ソフトサーフSGは、下地調整・下塗り・中塗りまで仕上げる事の出来る微弾性サフェーサーです。
表面の細かなひび割れや凹凸も1回塗りで整え防水性を発揮します。また水性ですので、塗料ならではの臭気がなく事務所の方も普段通りの作業が可能かと思います。
上塗りは水性セラミクリーン SR-419です。独自のセラミックシリコン樹脂を結合した弾性塗材は、ひび割れに追従し、高い防水性能を持ちます。
緻密な塗膜構造により汚れを付着させにくく、カビや藻などの微生物汚染の発生も防ぎます。
弾性塗膜に多い塗膜の膨れは、透湿性により解消、内部結露の発生も抑えます。
笠木部分は錆止め後、ブルーで会社のロゴカラーと統一しました。
外部の鉄階段です。表面の塗膜が剥がれる事によって錆が出始めています。塗膜が剥がれそうな部分に関してはヘラ等で剥がし下地処理を行います。
こちらも錆止めを塗り錆の発生を抑制します。艶のある黒色に仕上げることで綺麗に蘇りました。
踏面も塗装するような階段がございますが、滑りやすくなる・塗膜の剥がれが気になるといった問題も出てきてしまいますので、予めご説明をさせて頂いた上で塗装を行わせて頂きます。
全体塗装後にタッチアップを行い、塗りムラ、傷、汚れを除去していきます。足場解体後には補修が難しくなりますので、今の段階で見落としがないように手直しを行っていきます。
右写真が塗装の仕上がりです。雨染みや汚れ、ひび割れ等も綺麗に無くなり、新築同様の仕上がりになりました。
屋根葺き替え工事
最後です。敷地内のごみ置き場の屋根材の劣化が目立つため、葺き替え工事を行います。既存屋根材を撤去後、新たに小波スレートを葺いていきます。
こちらも下地が無い為足元に気を付けながら一枚一枚取り付けていきます。
従来の小波・大波スレートにはアスベストが含まれていました。健康被害の問題から2004年以降の屋根材にはアスベストが含まれていません。
撤去の際にはアスベストの飛散が起きないように慎重に作業していきます。またアスベストを処分するのはどの業者にも出来る事ではありません。作業中は近づかないようお気をつけください。
新規屋根材の設置、ビス留めを行い作業は終了です。
今回の工事で雨漏りの修理と美観性の回復をすることが出来ました。外壁塗装をすることでALCの表面保護にもつながっております。
今後は定期点検がございますので、今回施工を行わなかった折板屋根を含め状態を見ていきます。今後とも宜しくお願い申し上げます。
記事内に記載されている金額は2017年09月15日時点での費用となります。
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