以前ご自宅を塗装させて頂いたお客様より、今回は隣接するアパートの屋根外壁メンテナンスのご依頼を承りました。
前回塗装をされてから既に10年以上経過しているとのことですので、前回施工された施工業者様との相見積もりを行いました。
一番気にされている箇所は、入居者様の安全に関連する「鉄製階段」のようですので、合わせて確認します。
アパートの外観は、入居者が賃貸を決める大事な判断材料にもなります。今回は必要となる補修を行い、塗装メンテナンスで美観性を高めましょう。
施工内容
外壁塗装 屋根塗装 サイディング張替え 部分塗装 階段手すり溶接補修 雨樋交換 階段ステップ交換
使用材料
屋根:ファインパーフェクトトップ(ND-400)
外壁:ファインパーフェクトトップ(ND-155.ND-460)
付帯部:ファインパーフェクトトップ(ND-155.23-255)
塗装を行う際には築年数を考慮し、どのような補修が必要で、どのような塗料が最適なのかを見極めていく必要があります。
屋根は折板屋根と呼ばれる、工場や倉庫等の大規模な建物に多く使用される金属屋根材です。
梁や母屋などに直接葺くことが出来る為、野地板などの施工が不要で、工期短縮・費用削減が可能な屋根です。
雨仕舞・強風にも強い為、長期的に建物の雨漏りを防ぐことが出来ます。しかし下地材が無い為、屋根材が劣化してしまうと雨漏りを引き起こす恐れがあります。
一般住宅でも近年、金属素材が使用されることが増えつつあります。従来よりも錆びにくいガルバリウム(GL)鋼板等を使用していますが、それでも永久的に状態を維持できることはありません。
表面塗膜が劣化したり、傷が付くことによって錆が発生すると、徐々に進行し、素材に穴開けを起こす恐れがあります。
防水テープやコーキングで雨漏りを防ぐことも出来ますが、応急措置に過ぎません。
確実に状態を改善させるためには、屋根カバーや葺き替え工事は必要となり、その分補修費用がかかってしまいます。
塗装は建物のメンテナンスとしては、最も安価で行う事が出来る方法ですので、定期的に行い素材の腐食を防ぐように行っていきましょう。
折板屋根を固定しているボルトやビスにも錆が見られました。錆が進行することでボルトが腐食し、この部分から雨水が浸入することがあります。
施工後にボルトにキャップを取り付け、腐食を防ぐことも出来ますので、お気軽にご相談ください。
続いては外壁です。アパートの様な大人数が入居される建物の塗装には、いくつか注意点があります。
まず塗装時には、塗料の付着が考えられるため、玄関先・ベランダに置いているお荷物を室内に片付けて頂く必要があります。
同様の理由から通路にビニールで養生を行います。足元が滑りやすくなりますので、お気を付け下さい。
作業時間は通常、8時半頃から17時程度まで行います。通勤時間の自動車の出入等のご相談に関しては、可能な限り対応させて頂きます。
夜勤務の方は睡眠の妨げになってしまう可能性がありますが、でき得る限りの努力をさせて頂きますので、ご了承ください。
玄関側からの点検です。目隠しと意匠性を目的に、階段手すり部分に取り付けられた窯業系サイディングですが、外側は雨水が当たる為、傷みやすい箇所です。
固定するための釘は、経年劣化によって錆が発生していました。釘の固定は、サイディングの浮き・剥がれの原因にもなります。
また錆びが流出することによって、サイディングにまで錆を流し、見栄えを大きく損ねてしまいます。
塗装を行えば綺麗にはなりますが、釘を蘇らせる事は出来ません。浮きや剥がれにはビス固定、外壁材の腐食には張替等、状況に合わせて補修方法を決めていく必要があります。
窯業系サイディングは主原料がセメントの為、塗膜が劣化すると雨水を吸い込み傷んでしまいます。
こちらは既に表面が剥がれ、苔まで発生していました。苔の繁殖は対応しない限り改善はしません。
高圧洗浄を行えば根絶ちが出来ますが、外壁材の劣化が酷いと、状態を悪化させてしまいます。今回は、手摺部分の窯業系サイディングの張り替え工事をご提案させて頂きました。
雨水の当たる面によって、傷み方に違いが出ます。外側のサイディングの劣化に対し、内側(通路側)の壁は塗膜の剥がれ程度です。
こちらは階段踊り場です。おそらく排水が悪いのか、角に酷い腐食が見られました。腐食でなくなってしまった面に塗装しても、表面保護しかできません。
穴が開いていればそこから雨水が入り込み、腐食はさらに進行してしまうでしょう。
鉄は腐食した部分を取り除き、部分的に補修することが可能です。今後の腐食による安全性を考え、しっかりと状態の改善を行っていきましょう。
裏側は雨水が当たりにくいため腐食は起こしにくいですが、湿気がこもったり汚れが付着し、見栄えが悪くなります。また通路面の影響を受けることもありますので、塗装メンテナンスで見栄えと保護を行いましょう。
ベランダ側です。こちらは雨水も紫外線も当たる為、色褪せや汚れが目立ちます。
ベランダはアルミニウムですので塗装は不要ですが、隣室との間にある目隠し板は錆びが発生していました。
外壁に固定している部分が錆びてしまうと、落下する恐れもありますので大変危険です。
鉄製階段のステップには割れがいくつか見られました。見えない場所にひび割れが入っていると、踏んだ際に割れて転落を起こす可能性があります。
どんな素材であっても経年劣化は起こします。数十年、何の問題もなく生活できていたにも関わらず、急に破損し補修を余儀なくされたということは少なくありません。
計画的に補修を行っていけば、不意の費用捻出を避けることが出来ます。
今回は、必要箇所の補修を行ったうえで、シリコン系の塗料で塗膜保護をしていきたいと思います。
まずはアパートの印象を大きく変える仕上がりを決めていきたいと思います。
弊社で作成させて頂いたカラーシミュレーションを見比べて、どのような色にしたいかを決めていきましょう。
アパートの見栄えは、入居者層も決める大事なポイントです。
女性・男性・年齢層・一人暮らし向け・ファミリー向け等、間取りからも大方決まっていると思いますので、立地も含め入居者様にとって特別な物件に仕上げていきましょう!
続いてはベランダ側です。鉄製の塗装を黒く仕上げるのか、白くするのかによっても、建物の印象を変えます。
黒を使用すると引き締まった印象を与え、白を使用すると温かみが感じられます。
サイディング部分は張替を行いますので、デザインも変わります。アクセントとして違う色で仕上げても良いかもしれませんね!
使用色は多くても全体で3色程度に抑えましょう。色を変えると統一感がなくなってしまいますので、ご注意ください。
入居者様へ工事のご案内を行い、塗装工事の準備を進めていきます。
足場を組み、飛散防止用メッシュシートで囲います。これより20日程度は日差しも風通しも悪くなってしまいますので、あらかじめご了承ください。
塗装の第一工程は【高圧洗浄】です。高い水圧を当てることで、旧塗膜・汚れ・苔の根絶ちを行い、塗膜を密着させることが出来ます。
塗装を行わない場所の汚れも落とすだけで、雰囲気が明るくなります。
洗浄後はしっかりと乾燥させてから、最も高い場所から塗装をしていきます。塗料の垂れで仕上がりを汚さないためです!
金属素材の折板屋根は、下地処理の為にマジックロンやワイヤーブラシで錆の除去、目粗しを行います。
目粗しは、塗料を剥がれにくくするための大事な作業です。大変面倒な作業ではありますが、この作業一つで、塗料の耐久性は数年も上がります。
下塗りにはシーラー・フィラー等様々な種類がありますが、下地素材と状態に合わせて適正な下塗り塗料を選ぶ必要があります。
下地処理後は密着性の高い、日本ペイントのパーフェクトプライマーを塗ります。
変性エポキシ相当の錆止め機能もありますので、新たに防錆塗料も必要なく、一石二鳥です。
ホワイト色で下地の色も隠し、仕上がりの色も邪魔することはありません。
裏側も同様に下地処理を行い、ファインパーフェクトトップ(色:ND-400)で塗装します。
パーフェクトシリーズは、シリコングレード以上の耐候性を持ち、長期的に綺麗を維持することが出来ます。
弱溶剤ですので乾燥も早く、綺麗な艶が仕上がります。肉厚な塗膜は、しっかりと素材を保護してくれます。
屋根塗装は完了です。
白色に近い色を使用することによって、日射反射率を高くさせ、遮熱塗料でなくても屋根の表面温度の上昇を抑えます。
金属屋根は、耐久性に非常に優れた素材です。塗装で錆の発生を抑えれば、数十年は問題なく使用することが出来ますので、しっかりとメンテナンスを行いましょう!
外壁には部分補修を行ってから塗装をしていきます。
まずは洗浄で剥がしきれなかった旧塗膜を剥がしていきます。無理に剥がしている訳ではなく、既に剥がれてしまう恐れのある塗膜を取り除いています。
下地が傷み凸凹としている箇所には、パテ埋めを行い平坦に整えていきます。
色は違いますが塗装で隠せますので問題はありません。
自動車の傷もそうですが、パテで埋めてもそこにはまだ凸凹が残り、違和感を感じることがあります。
これはパテ埋め部分が盛り上がり、補修前と逆の凸凹が出来てしまうためです。
しっかりと乾燥させてからペーパー掛けで表面を整えていくことで、綺麗な仕上がりになります。
手摺フェンスの腐食補修です。錆びて崩れてしまった部分だけカットし清掃、新たな鉄柱を取り付けます。
溶接を行う際に【アーク光】が発生します。このアーク光には、目には見えない紫外線・赤外線・可視光線が含まれています。
アーク光を直接見てしまうと白内障を引き起こしたり、露出した肌は、長時間作業することで日焼けを通り越して火傷をしてしまいます。
その為、長袖や手袋の着用、そして溶接遮光面を取り付けて作業をしていく必要があります。
また施工している傍を通るときには、光を見ないように、近づかないようご協力をお願いいたします。
サッシ・ドア周りのシーリングは、高耐久のオートンイクシードで増し打ちを行います。
プライマーで密着性を高めてから、シーリングを打設していきます。通常市販されているようなシーリング材は5年程度で劣化し始めてしまいます。
本来は、塗装よりも頻繁に補修が必要ですので、高耐久の材料で施工し、メンテナンスサイクルを延ばしてあげましょう。
下地補修後、充分に乾燥・硬化したことを確認してから、塗装を進めていきます。
外壁にもファインパーフェクトトップを使用しましたので、色番号を確認しながら施工を行いました。
仕上がり艶は、10分・7分・5分・3分艶で調整することが出来ます。塗りたての印象を抑えたい場合は3分艶を選びましょう。
艶はいつまでもその状態を維持できるわけではありません。数年後には艶が飛び落ち着いた印象になっていきますので、今後の雰囲気も想像しながら選ぶと良いでしょう。
塗装前には見本帳等で実際に使用する色を確認するとは思いますが、室内で確認した色と陽の当たっている面との色は全く違います。
また面積効果により、広い面に塗装すると見本帳よりも2トーン程度明るく見える性質があります。
その為、「この色が良い!」という色の、1~2トーン程度、暗い色を使用していきましょう。
一般住宅の破風板に当たる部分にはこげ茶色で塗りました。
屋根や外壁と比べると重要視されていない付帯部ですが、構造を守ったり、住宅の意匠性を目的にあります。
そのため破損してしまうと、お住まいの寿命にも関わってきます。付帯部も素材を塗膜で保護している為、同時に塗り替えていきましょう。
雨戸も金属屋根と塗装方法は変わりません。塗装前にペーパー掛けで目粗しを行い、塗装していきます。
スプレーガンで吹き付けることもありますが、刷毛塗りを行う事もあります。塗料垂れが残らないように、丁寧に塗り込んでいきます。
雨樋の交換は、足場の仮設が必要になるケースがほとんどです。
その為、不具合がある場合は塗装工事等と合わせて交換を行っていきましょう。
既存の雨樋を取り外し、同じ口径の雨樋を取り替えていきます。しっかりと接続させて水の排水確認を行い、工事は完了です。
腐食したサイディングは張替を行います。既存のサイディングを剥がし、下地を整えてから新たなサイディングを貼っていきます。
サイディングが腐食する原因はいくつかあります。目地のシーリングが劣化し隙間を作ることで、雨水が入り込むことがあります。
外壁表面の塗膜が劣化し、紫外線による浮きや反り、腐食を起こせばどこからでも雨水は入り込んでしまいます。
これは一般住宅でも同じことが言えます。必ず塗膜が機能を果たしているのか、釘が固定されているか確認をしましょう。
新たなサイディングを貼り、アパート側面の中央壁と同じ、ND-460の色番号で塗装を行いました。
外壁に同系統の色をアクセントに入れることで、非常にお洒落に仕上がりますね!
階段ステップは既存を撤去、新たに防滑マットを取り付けました。雨天時にも滑りにくく、安全面も確保されました。
以上で、アパートの外装補修リフォームが終わりました。
お客様も、今まで気になっていながらも費用がかかるアパートのメンテナンスが終わり、一安心の様です。
入居者様もお住まいが綺麗になり、更に入居率が高まりそうですね!
一度しっかりと補修を行う事で、建物の寿命は維持できます。ぜひ定期的なメンテナンスを心がけていきましょう!
記事内に記載されている金額は2021年10月13日時点での費用となります。
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