外壁塗装や屋根塗装は、さまざまな建物で大切なメンテナンスです。しかし、なかには簡単に塗り替えできない外壁材や屋根材が存在していることをご存知でしょうか。塗料がかなり付着しづらく、慎重な判断をしなければならない「難付着サイディング」と呼ばれる外壁材や、塗装をしてもすぐに塗膜が剝がれてしまうような不具合を持ったスレート屋根材もあります。塗装前には、「塗装ができるのか」「塗装をしてはいけないのか」などを十分に確認してから行いましょう。
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外壁塗装が難しい難付着サイディングボードとは
「綺麗な状態が長く続く」、そんな外壁材があれば、願ったり叶ったりですよね。多くの人の願いを追求すべく、建築資材メーカー各社がこぞって開発をした結果、ひと昔前よりも「汚れに強い」「色褪せしにくい」という特徴を持つ外壁材も出回ってきました。
外壁の汚れを分解する光触媒、色褪せしづらい無機系ハイブリッド塗料、雨が降ることで塗料が汚れを落とす親水性、そもそも汚れがつきにくいフッ素系の技術など、さまざまな機能性のある塗料が実用化されています。
これらの塗料の技術から生み出された難付着サイディングボードを使用されているお客様からは「圧倒的に汚れに強い」「色褪せしにくい」と高評価を得ております。
ただ、注意したいポイントは「塗り替え」です。汚れの付きにくさが、逆に「塗料が密着しにくい」という難点につながっています。
難付着サイディングボードは、光触媒や無機系、親水性、フッ素などの塗料でコーティング加工された外壁材です。現在、戸建て住宅のメインとなっている「窯業系サイディング」の次にシェアが広がっている金属サイディングにも難付着サイディングボードがあります。
難付着サイディングボードの見分け方1
難付着サイディングボードが持つ特徴から判断する
製品名や品番は、難付着サイディングボードかどうかを見分けるポイントになります。家を建てたときの設計書や仕様書が残っていれば、確実に判断できるでしょう。
ただ、なかには建築時の設計書や仕様書について「どこに収納したのだろう」となかなか見つからないことも多いかもしれません。
難付着サイディングボードをお住まいに採用されるとき、業者の方から「汚れにくい外壁」「綺麗が長続きする」「ほかの外壁材よりも画期的な外壁材」というお話がなかったでしょうか。もし、そういったニュアンスで外壁材の特徴を聞いた記憶があれば、難付着サイディングボードの可能性もあります。
光触媒塗料による塗装やコーティングがされている
光触媒塗料は「光を受ける⇒酸化チタンがラジカルを発生させ油分を分解⇒雨が降ると汚れとともに流れる」という光触媒のメカニズムによって汚れがつきにくいです。それによりセルフクリーニングが行われ、油分と汚れがなじみ流れていきます。
制御方法や目的こそ異なるものの、ラジカル制御形塗料と同じく、光触媒塗料もラジカルを制御しているというわけですね。。
無機系塗料による塗装やコーティングがされている
無機塗料によるコーティングがされているケースもあります。陶磁器の主成分として知られている無機成分が入ったコーティング材で外壁材を加工したケースです。
陶磁器を思い浮かべてください。陶磁器の代表とも言える食器ですが、見た目はもちろん、触ったときもツルツルした表面というのが分かりますよね。茶碗などの陶磁器は、色褪せせず、割れなければ半永久的に使えます。つまり、無機系でコーティングされていれば、色褪せしにくいのです。
親水性の塗料による塗装やコーティングがされている
親水性とは「水となじみやすい」機能です。親水性塗料によるコーティングは、水に汚れが浮いてくるイメージです。雨水は汚れよりも外壁になじみやすいので、内部に入り込んで浮かし、汚れを洗い流してくれます。
フッ素塗料による塗装やコーティングがされている
フッ素塗料のコーティングも汚れがつきにくいです。イメージしやすいのは、フッ素樹脂加工のフライパンではないでしょうか。
表面がツルツルし、油や水をはじき、「調理中に焦げ付かない」「調理後に汚れが落ち洗いやすい」というメリットがありますよね。外壁に使えば、同等の効果が期待できます。
難付着サイディングボードの見分け方2
お住まいを建てた年代に注目する
難付着サイディングボードの見分け方のひとつとして「美しさの持続」があります。結果的に色褪せが起こらないため、一般的な住宅設備ならチョーキングも発生しにくいです。
また、先ほどお話させていただいた「光触媒」や「親水性」ですが、これらの技術が実際に活用されたのは21世紀に入ってからのことです。「汚れにくさ」「耐用年数の長さ」「お住まいを建てた年代」にも着目することで見分けることもできます。
築年数が10年程度経ってもチョーキング(白亜化)が発生していない
一般的にチョーキング(白亜化)が起こり始め、塗り替え時期と言われる「築10年」。難付着サイディングなら色褪せしにくいため、その頃でもまだ艶が残っているでしょう。築10年頃になってもチョーキングが起こりません。
築10年になっても艶がありチョーキングもなければ、難付着サイディングの可能性が高いです。
建築時期が21世紀以降
光触媒の実用化により製品化され始めた時期が2001年以降なので、それよりも以前の建物なら従来のサイディングと考えることができます。
2001年頃をボーダーラインとし、最近に近い新しい建物ほど難付着サイディングの可能性が高まります。
塗料がラッカーシンナーで溶けない
一般的に、外壁塗装で使う塗料を薄める際に使うのは「塗料用シンナー」です。難付着サイディングは、それと比べるとかなり溶解力が強い「ラッカーシンナー」を用います。吹き付け塗装などの際に使用する機械類の洗浄に使うラッカーシンナーで溶けないなら、難付着サイディングである可能性が高まります。
塗替えが困難な難付着サイディングボードの見分け方フローチャート
製品などの情報から見分ける
こちらのフローチャートではあくまで可能性の高低が求められるというものですので「難付着サイディングボードではない」と思えても、実際には100%とも言い切れません。そこで、外見的な特徴も参考にすることでより正確な判断をすることが可能になります。以下のフローチャートでご確認してみてください。
外見的な特徴から見分ける
「チョーキングが発生していない」「色褪せがほとんどない」「ラッカーシンナーに溶けない」などの外見的特徴があれば、難付着サイディングボードの可能性があります。製品情報とも合わせて、確認してみましょう。お住まいの外壁材の種類や状態が気になるという場合は、お気軽に街の外壁塗装やさんの無料点検をご利用ください。
お住まいの外壁が難付着サイディングボードかもしれないという方へ
難付着サイディングボードは、「塗り替えしづらい」のですが、塗装がまったくできないという意味ではありません。ただ、一般的な塗装とは違う点が多々あるので、難付着サイディングボードの性質を理解して塗装してくれる業者への依頼が必要です。
難付着サイディングには、その性質に合わせた下塗り用塗料を使えば塗装ができます。難付着サイディングボードは「塗料がつきにくい」という特徴があるため、密着力が高まるシーラーが開発されています。今では、他の外壁材と同じように塗装もできます。
しかし、難付着サイディングと知らずに通常の塗装をすれば、すぐに不具合が起きる可能性もあります。ほかの外壁材のように塗っても、数年後に失敗したとなってはせっかくの塗装に不満を抱いてしまいますよね。難付着サイディングボードに合ったシーラーを使い、適切な施工をしてくれる業者さんを依頼することが大切です。
基本的に、塗料は有機物から作られます。一方、無機系塗料は、有機塗料のなかに無機成分が多く含有されています。難付着サイディングボードの下塗り材には、有機物に付着しやすい有機物、そして無機物に付着しやすい無機物が入っています。
そのため、難付着サイディングボードの塗装には両者に対応可能なメカニズムが必要です。
そこで開発されたのがエポキシ系シーラー。無機と有機のハイブリッドです。難付着サイディングボードの塗装が可能となるしくみは、外壁材においてシーラーに含まれる「無機成分」と「有機成分」がそれぞれに付着するからです。
代表的な下塗り材
難付着サイディングボードが普及した現在では、各塗料メーカーが無機と有機のハイブリッド型のエポキシ系シーラーを発売しています。
日本ペイントの弱溶剤高付着浸透形ハイブリッドエポキシシーラー「ファインパーフェクトシーラー」、エスケー科研の「エスケーハイブリッドシーラーEPO」などが代表的な塗料です。
塗装しても無駄になってしまうスレート屋根材(カラーベスト・コロニアル)も存在する
さきほどお伝えしたものは、「塗りにくい」という外壁材でしたが、「塗っても無駄になってしまう」という屋根材も存在しています。
アスベスト含有の時期からノンアスベストに切り替わった時代のスレート屋根材には不具合のあるものが多く、塗装をしてもすぐに剝がれてしまうような屋根材が存在しています。このスレート屋根で、雨漏りトラブルにお悩みになっている方もたくさんいらっしゃいます。
スレート(カラーベスト・コロニアル)屋根材「パミール」
通常、スレート屋根は20年以上の耐用年数があると言われているものの、パミール屋根は築7年程度で劣化が始まります。7年ほどで表面の剥がれが見られ、そして十数年もすればボロボロです。
通常、多くの方が「屋根に傷みが見られたら塗装メンテナンスをしよう」と考えるかもしれませんが、こちらのパミール屋根の場合、屋根塗装が無駄に終わってしまうのです。表面が剥がれた築7年目ほどで塗装をしても、いずれ十数年も過ぎればまたボロボロに。塗装メンテナンス自体に意味がないものとなってしまいます。
塗装が意味をなさないパミールのメンテナンスは、基本的に「屋根カバー工法」や「屋根葺き替え」。傷んできたら、新しい屋根を取り付けるのが最適なリフォーム方法です。
厚型スレート「セキスイかわらU」
アスベスト含有の場合なら頑健、ノンアスベストなら脆弱という屋根材が「セキスイかわらU」。両極端な性質が混在していますが、どちらも同じ時期に生産されたものです。
セキスイかわらUの劣化症状としてはまず、塗膜が剥がれていきます。そして次第にひび割れが起こり、最後に屋根材自体が崩れるのです。「ひび割れ」や「崩れ」が起こったときに、屋根塗装でのメンテナンスを考えるかもしれませんが、ひび割れや崩れを抑えることはできないため結果的に無駄になってしまいます。
セキスイかわらUも塗装をしても意味がないため、「屋根カバー工法」や「屋根葺き替え」により、新しい屋根を取り付けるのが基本的なメンテナンスです。
業者を選ぶときは「知識のない業者」の存在に注意しましょう
リフォーム業界では、悪徳業者の存在がいまだ絶えることがありません。せっかくのリフォームなのに、業者選びを間違ったがためにトラブルで失敗したケースもたくさんあります。また、悪意はないのに知識が乏し過ぎて施工不良を起こす業者も存在しています。
外壁や屋根の塗装メンテナンスを行う際、「塗装のことなら塗装業者に任せておけば安心」と考える人は多いです。
しかし、たとえ塗装業者であっても知識や経験が十分でない業者も存在しており、屋根塗装の際に「縁切りをせずに屋根塗装をする」など、間違った施工をする業者もいます。塗装業者の選定を誤ってしまったことで、雨漏り被害につながるケースも少なくありません。
今回お伝えした「難付着サイディングボードの塗装」についてはきちんとした知識が必要ですが、縁切りの存在さえ知らないような知識の乏しい塗装業者に任せてしまっては、難付着サイディングの性質を理解せずに塗装を行われてしまうかもしれません。
塗料についてはもちろんのこと、建築資材も含めて「お住まい全体」の知識に長けた塗装業者を選ぶことが大切です。
外壁塗装について「塗り替えしにくい外壁とは?」「うちの屋根材は塗装しても無駄にならないの?」など、外壁材や屋根材に疑問があれば、街の外壁塗装やさんにお気軽にご相談ください。
「汚れが付きにくい」「綺麗が長続きする」という特徴を持つ外壁材は、難付着サイディングボードの可能性が高いです
とても高機能な外壁材ですが、「汚れが付きにくい」ために、結果的に塗料が付着しにくいという難点があります
光触媒、無機系、親水性、フッ素などの塗料やコーティング材で仕上げられた難付着サイディングは、21世紀に普及した外壁材です
難付着サイディングボードかどうかの判断は、「色褪せしにくい」「チョーキングが起こりづらい」という特徴に加え、「21世紀になってから普及した」という時期的なポイントに着目するといいでしょう
難付着サイディングは、外壁塗装がしづらいだけで、外壁塗装は可能です。難付着サイディングの塗装に特化したシーラーを使用するなどで対応ができるため、難付着サイディングボードの知識を持った業者に依頼しましょう
パミールやかわらUなど、屋根塗装をしても無駄になる屋根材が存在しているということにも注意が必要です