お住まいのリフォームをご経験されたことのある方は、塗装業者から提示された見積書をご覧になられた際に「この部材・工程は何だろう?」と思った経験はありませんか?シーリングやタスペーサーなどインターネットが一般的な現代ではネット検索をすればわかる項目がほとんどです。
しかし塗料に関しては塗装する建材に適しているか、下塗り塗料と仕上げ塗料の相性は良いかなど施工業者に確認しなければならない部分もあり、それらはいくら調べてもわかるものではありません。そんな塗装の中でも仕上がりにも大きく影響し、最も重要と言われるのが建材に直接塗布する下塗り塗料です。
下塗り塗料には様々な種類がありますが、今回は今後使用される工事が増えることが予想される下塗り塗料「プライマー」についてご紹介していきます。今回ご紹介するプライマーは多岐にわたって使用される下塗り塗料なのでDIYをされる方はもしかしたら耳にされたことや実際に使ったことがあるかもしれません。
住宅の外壁塗装は10年から15年に1度、高額な費用をかけて行いますので間違っても施工不良を起こすような業者の方には工事をお願いしたくありませんよね。不実な業者に手抜き工事や誤った施工をされないよう、下地に適した下塗り塗料の違いと用途などの特徴を押さえて、優良業者であるかどうかを判断することのできる知識を身につけていきましょう!
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下塗り塗料の種類を知りましょう
お住まいの塗装工事は外壁の上からただ耐久性に優れた塗料を塗ればいいというものではありません。塗装工事にもいくつかの工程があります。下地調整、下塗り、中塗り、上塗りとある中で、工事の序盤に行う高圧洗浄やケレン、ペーパー掛け、下塗りといった下地調整作業は一見すると効果を感じにくいかもしれません。しかし下地調整というのは塗装の仕上がりに大きく影響する非常に重要な作業です。
高圧洗浄や下塗りといった下地調整はその重要性を理解している塗装業者であれば入念に行う作業です。そして下地調整の重要性を理解している塗装業者は塗装面の素材や状態に合わせてプライマーやシーラーなど塗装面に最適な下塗り塗料を選択しています。ここからは下塗り塗料の種類とどのように使い分けているのかをご紹介していきます。
1. プライマー
最初にご紹介するのが代表的な下塗り塗料であるプライマーです。プライマーは英語でprimary(最初)という意味で、下塗り塗料の総称として使われる言葉でもあります。そんなプライマーは塗装面と中塗り、上塗りといった仕上げ塗料の密着性を向上させることが役割となっているのです。
塗装は原則的に3回に分けて行います。仕上げ塗料との密着性を高めるために行われる「下塗り」と、仕上げを行う「中塗り」と「上塗り」 です。多くの塗装業者では見られませんが塗装業者の中には塗装後の見栄えではわからないことをいいことに、下地調整や下塗りで手を抜いたり工程そのものを省いて工期や費用を削減しようとする業者もいます。そのような工事ではせっかくの塗装もすぐに塗り直しすることになりかねませんので、依頼しようとしている業者がキチンとした手順で塗装を行う業者かを見極めなければいけません。
また、プライマー以外にもバインダーと呼ばれるプライマーと似た機能の下塗り塗料もあります。これは塗料の吸い込みが少ない外壁材に使用されることの多い塗料です。上塗りとの密着性に優れますが塗料を吸い込みやすい外壁材には向かないという面もあります。例えば木材は塗料を吸い込みやすいため、木部プライマーなどの下塗り塗料を用いて仕上げ塗料との密着性を高めます。
2. シーラー
シーラーは英語でseal(封印する)という言葉になります。シーラーが、下地が劣化して塗料を多く吸い込んでしまうようになった場合に吸い込み止めを施すことからこの名前が付けられました。長期間にわたって太陽光や雨、寒さにより傷んでしまった下地は塗料を吸い込み過ぎて色ムラを起こし外観を損なってしまう恐れがあります。
そういった場面でシーラーを使用し塗料の吸い込み過ぎを抑え、美しい外観を維持することが可能になるのです。窯業系サイディングやモルタル、ALCなど、セメントやコンクリートを原料に使用する外壁材は経年劣化による吸い込みを起こしやすく、現在はプライマーよりも多く使用されている下塗り塗料であると言えます。
3. フィラー
詰め物や充填剤を意味するfillerを語源とするフィラーはプライマーとしての役割を持つことはもちろん、その意味通り塗装面の凹凸を埋めて滑らかにする役割を持ちます。クラックが発生しやすいモルタルやALCパネルに使用されることが多くサイディングの下塗りに使用されることはありません。フィラーの中でもシーラーとフィラー2つの役割を持つ微弾性フィラーが多く使用されています。
※モルタルに発生した幅0.3mm以上の構造クラックの場合、フィラーで埋めることができませんので必ず別途補修工事を行う必要があります。
下地塗料の中でもプライマーとシーラーは仕上げ塗料のように水性塗料と油性塗料があります。それらは塗装面の状態に合わせて選択する必要があり、例えば新築からそれほど年数が経っておらず経年劣化も少ない綺麗な塗装面には、上塗り塗料の種類が豊富で臭いも少ない水性塗料が適しています。逆に新築からそれなりの年数が経過し塗装面にはっきりとした劣化が見られるような場合、浸透性が高く耐久性にも優れる油性塗料が最適です。また油性塗料は乾燥時間が早いため次の作業時間を短縮できるメリットもあります。
塗装工事の見積書をとるとプライマーの塗装は「下塗り」などと記載されていることが多いです。業者によるバラツキもありますが塗装費用の単価は1平方メートルあたり概ね600円から1,200円の間であることが多いです。
プライマーの費用相場 | 600~1,200円/㎡程度 |
金額にバラツキがあるのには理由があります。それはプライマーに様々な種類があるためです。水性、油性、防錆、絶縁性、導電性と一口にプライマーと言っても用途や施工箇所によって様々であり1件1件のお住まいの状態に合わせて塗料を組み合わせるため明確な金額を算出することは難しいという事情があります。
下塗り費用にバラツキがある理由として仕上げ塗料との相性もあります。例えば、日本ペイントの下地塗料、パーフェクトプライマーは金属サイディングの外壁材や雨樋などの付帯部の下塗りに適した油性塗料です。パーフェクトプライマーに適した上塗り塗料はパーフェクトトップやハナコレクションなどがカタログで挙げられています。これはほんの一例になりますが下塗り塗料と仕上げの上塗り塗料には相性がありますので検討の段階で相性を確認しながらプライマーを選びましょう。
※日本ペイント・パーフェクトプライマーPDFより
ここまでご紹介してきたように塗装工事において下塗りは無くてはならない工程です。ここからはプライマー塗装をする上で注意しておくべき塗装箇所とポイントを注意点と併せてご紹介していきます。
1. 金属系素材
金属系の素材は昔から庇や雨戸等に使用されてきた素材です。技術が進歩した現在では新築・リフォームを問わず、耐久性に優れ錆びにくいガルバリウム鋼板を使用するお住まいが増加傾向にあります。ガルバリウム鋼板をはじめとした金属系素材は吸水性が低いため劣化に強く近年のガルバリウム鋼板などは錆に強いという特徴がありますが、永遠に劣化しないというわけではありません。築年数の経過とともに塗膜は劣化し色褪せや錆が発生し美観を損なってしまうのでそれを防ぐために塗膜による素材の保護は必須です。
金属素材は表面がツルツルとしているためそのままでは塗料との密着性が低いという特徴があります。そのためケレンやペーパー掛けを行い、目荒らしを施すことで密着性を高めるという作業が必要です。その上から防錆プライマーを塗り仕上げ塗料との密着性を高めますがこの時に塗る塗料に錆止め塗料が使用される場合もあります。錆止め塗料を使用した場合、それ自体にプライマーとしての機能もあるため錆止め塗料とプライマーの両方を塗る必要はありません。
2. 目地シーリング打替え時
サイディングの塗装に併せて劣化した目地のシーリングを補修する場合もあります。劣化した既存シーリングを撤去し新しいシーリングを充填しても外壁材との密着性が十分に発揮されず外壁と目地のシーリング材との間に隙間を作ってしまう恐れもあります。
このような事態を起こさないためにシーリング材を充填する前に目地にプライマーを塗り、密着性を高めましょう。その際密着性を高めるためにもプライマーを塗った当日にシーリング材を充填する必要があるので事前に作業手順を入念に確認する必要があります。
3. シリコン系シーリングが使用されている部分
一般的な外壁工事で使用されるシーリング材は上から塗装しても問題がない変成シリコンやウレタン系シーリング材です。しかし外壁工事に疎い電気工事業者や水道工事業者は配線・配管工事の際にシリコン系シーリング材を使用することがあります。シリコンシーリング材は浴室やキッチンなど水回りで活躍しますが塗料が密着しないため塗装業者の立場では非常に難しい存在です。
シリコンシーリングが使用されている箇所では既存のシリコンシーリングを撤去して塗装を行うことが無難です。しかし簡単な作業ではないためプライマーを塗って密着性を高めた方が良いでしょう。
4. 防水工事
雨水が浸入してはならないベランダやバルコニー、陸屋根には防水工事が施工されます。この防水工事でもプライマーは活躍するのです。塗装面の下地の凹凸を埋めて滑らかにするために樹脂モルタルを塗ることがありますが、ウレタン防水等の塗り替えの際は必ずプライマーを塗ります。
ウレタン防水工事の際にはウレタンプライマーなど施工する防水ごとにプライマーを使い分ける必要があるのです。そしてプライマー塗布後は規定時間内に上塗り塗料を塗っていきます。
塗装下地に精通した業者に工事を依頼しましょう
ただ塗料を塗布するだけならば塗装業者でなく大工やとび職人でも可能です。そして塗装直後だけでみれば綺麗な仕上がりになるでしょう。しかし塗装に関する知識がない作業者が行った塗装がどれだけ綺麗な仕上がりを維持できるでしょうか。綺麗な仕上がりを維持する期間の理想は使用した塗料の耐用年数です。しかしこのメーカーによって想定された耐用年数を発揮するためには高圧洗浄や下塗りと言った下地処理は丁寧かつ適切に行わなければいけません。
特に塗料の密着性が悪い金属系外壁材は、ケレンやペーパー掛けなどの目荒らしやプライマー塗装を怠ると数年経たずに劣化による塗膜の剥がれや錆による耐久性の低下などを引き起こし、耐久性や美観の維持という塗装の意味を失くしてしまいます。
このような事態を避けるためは下地の劣化状態を適切に判断できるか、プライマーやシーラーの役割を正しく把握しているか、外壁の状態に適した下塗り塗料とそれに合う仕上げ塗料を選択できるかなど塗装業者の知識と経験、技術を見極めて工事を依頼しましょう。プライマー塗装に関してお悩みがある方や、ご相談がしたいとお考えの方は私たち街の外壁塗装やさんにおまかせください。お見積り・ご相談は無料で承っております。
これらを見極めるポイントは
☑ 見積書が一式ではなく項目ごとに費用が算出されているか
☑ 使用する塗料を正しく説明ができるか
☑ 作業工程の施工写真を撮影するのか
☑ 施工保証は付帯するか
- プライマーは下塗り塗料の総称であり、塗装下地と仕上げ塗料の接着剤となる。シーラーにはプライマーの役割に加えて傷んだ下地が過度に塗料を吸い込まないよう吸い込み止めの役割があり、フィラーには下地の凹凸を埋め滑らかに整える役割があります。これらは塗装箇所や状態に合わせて使い分けなければいけません。
- プライマーはホームセンターでも販売されているのでDIYで使用することも可能です。ただし機能によって金額は上下します。また使用するプライマーは後から塗る仕上げ塗料との相性を考えて選ばなければいけません。
- プライマーは密着性に長けるため、塗装が剝がれやすい金属素材や目地や防水部の下塗りにもプライマーは使用されます。
- プライマー塗装は塗装の維持に大きく影響する部分ですが、下塗りのため塗装完了後には適切に施工されていたかどうかは確認することができません。そこで塗装をご検討の際は施工写真を撮影し見積書にも明記する業者に依頼しましょう。
- プライマーは塗装の耐用年数に大きく影響を及ぼすため、後になってトラブルが起きたり後悔をしないためにもシーラーやフィラーとの違いを理解した上で塗装業者にご依頼ください。