外壁塗装や屋根の工事で避けて通れないのが、足場の仮設です。
この度、厚生労働省では、足場に関する法定の墜落防止措置を定める労働安全衛生規則が改正されることが決まりました。
一部の規定が2024年4月1日から施行されたことに伴い、足場費用がこれまでより高くなるといわれています。
高所作業には足場が必要不可欠とはわかっているものの、やはりお客様としては少しでも安く済ませたいものですよね。
足場の法改正について、改正に至った理由と変更点、費用相場や計算方法などを解説していきます。
外壁塗装や屋根工事などを検討中の方は、法改正で足場の仮設内容と費用負担がどのように変わるのか、ぜひ最後までチェックしてください。
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近年の足場からの墜落・転落事故が減らない現状を受け、厚生労働省は、足場に関する法定の墜落防止措置を定める労働安全衛生規則を改正し、足場からの墜落防止措置を強化しました。
そのうち「一側足場の使用範囲」に関する規定は2024年4月1日から施行されました。
これから工事を依頼する方にとっては、仮設の条件や工事代金などに変更があるため、法改正の要点をしっかりと理解しておくことが大切です。
法改正の要点
1. 一側足場の使用範囲が明確化
2. 足場の点検者を指名
3. 点検者の氏名の記録と保存
2. 足場の点検者を指名
3. 点検者の氏名の記録と保存
一側足場の使用範囲が明確化
建物と足場の幅(水平距離)が1m以上の箇所において、原則として本足場を使用することが義務付けられました。
※厚生労働省HPより画像引用
外壁塗装や屋根工事をする際、以下の例のように、つり足場や障害物の有無、足場の仮設場所の状況により本足場の仮設が困難な場合を除き、幅が1m未満であってもできる限り本足場を使用することを推奨しています。
本足場の仮設が困難な場合の例
☑ 足場の仮設場所に撤去困難な障害物があり、支柱を2本仮設できない
☑ 建物の外面の形状により、1mに満たない隅角部を設ける必要がある
☑ 床面に著しい傾斜または凹凸等があり、支柱を2本仮設できない
☑ 本足場にすると建物と足場の間隔が30cm以上になり、墜落や転落の危険が高まる
☑ 建物の外面の形状により、1mに満たない隅角部を設ける必要がある
☑ 床面に著しい傾斜または凹凸等があり、支柱を2本仮設できない
☑ 本足場にすると建物と足場の間隔が30cm以上になり、墜落や転落の危険が高まる
なお、一側足場においては、揺れや倒壊を防ぐために、十分な強度を有する構造にしなければならないことも定められました。
※厚生労働省HPより画像引用
足場の点検者を指名
法改正後、足場の仮設における事業者または注文者は、足場の点検時に点検者を指名しなければならないことが決まりました。
この規定は2023年10月1日からすでに施行されており、点検者は以下の方法で指名するとルール化されています。
この規定は2023年10月1日からすでに施行されており、点検者は以下の方法で指名するとルール化されています。
指名方法
☑ 文書やメールによる書面での指名
☑ 朝礼などによる口頭での指名
☑ あらかじめ点検者の指名順番を決めておく
☑ 朝礼などによる口頭での指名
☑ あらかじめ点検者の指名順番を決めておく
点検者の資格
☑ 作業主任者かつ、作業主任者能力向上教育の受講者
☑ 労働安全衛生法に基づく「計画作成参画者」の資格保有者
☑ 全国仮設安全事業協同組合の「仮設安全監理者資格取得講習」受講者
☑ 建設業労働災害防止協会の「施工管理者等のための足場点検実務研修」受講者
☑ 労働安全衛生法に基づく「計画作成参画者」の資格保有者
☑ 全国仮設安全事業協同組合の「仮設安全監理者資格取得講習」受講者
☑ 建設業労働災害防止協会の「施工管理者等のための足場点検実務研修」受講者
知識と経験を持つ点検者本人が、自覚と責任を持って点検できるような仕組みが整ったことで、より安全で適切な足場の点検が期待されています。
点検者の氏名を記録、保存
点検者の指名とともにルール化されたのが、点検者氏名の記録と保存です。
事業者あるいは注文者は、足場の仮設において指名した点検者の氏名を記録、保存することが義務付けられました。
明確な規定ができると、必然的に点検頻度が増え、これまで以上に入念に行われることが予想されます。足場点検の透明性が高まることで、作業の安全が守られるようになるでしょう。
事業者あるいは注文者は、足場の仮設において指名した点検者の氏名を記録、保存することが義務付けられました。
明確な規定ができると、必然的に点検頻度が増え、これまで以上に入念に行われることが予想されます。足場点検の透明性が高まることで、作業の安全が守られるようになるでしょう。
建設業界ではこれまでに何度も法改正がなされてきましたが、今回また改正されたのはなぜなのでしょうか?
足場に関する法令が改正されるに至った理由は、以下の3つが挙げられます。
法改正の理由
☑ 墜落や転落による死亡事故の発生率が高い
☑ 被災した約9割が、労働安全衛生規則で定められた防止措置なし
☑ 事故発生件数と死亡者数が減らない現状に対し、安全対策の強化が急務
☑ 被災した約9割が、労働安全衛生規則で定められた防止措置なし
☑ 事故発生件数と死亡者数が減らない現状に対し、安全対策の強化が急務
建設業における労災のうち、2011年以降の足場からの墜落・転落事故は、死傷災害が約15%、死亡災害が約18%を占めています。また被災のほとんどが、労働安全衛生規則で定められている墜落防止措置が適切に実施されていないことも明らかになっています。
※「死傷者数」は休業4日以上の死傷者(死亡者を含む)の人数
墜落・転落事故は、被災すると死亡に至る恐れがかなり高く、発生率がなかなか下がらないことが課題でした。
支柱と作業板の緊結が不十分だったり、手すりがなくて不安定だったりするなど、足場の構造上の問題が認識されるようになり、安全対策の強化が急がれていたことが今回の法改正につながったのでしょう。
支柱と作業板の緊結が不十分だったり、手すりがなくて不安定だったりするなど、足場の構造上の問題が認識されるようになり、安全対策の強化が急がれていたことが今回の法改正につながったのでしょう。
2024年4月から施行の「一側足場の使用範囲の明確化」にあたり、外壁塗装や屋根工事をする際に仮設する足場の費用がこれまでより高くなることが考えられます。
足場の種類
そもそも「一側足場」と「本足場」というのは一般的に知られている言葉ではないですね。まずは2つの違いを簡単に説明しておきましょう。
一側足場(ひとかわあしば・いっそくあしば)
建築物の外壁面等に沿って支柱を1列組み、その支柱にブラケットで作業板を固定した組み立て方法です。
幅の狭い場所や隣の建物と近接した場所にも仮設しやすく、コストが安く済むのが特徴ですが、手すりがないという構造上、転落事故が発生しやすいのが課題となっています。
本足場(ほんあしば)
建物の外壁面等に沿って組んだ2列の支柱に作業板を乗せた組み立て方法です。一側足場に対して「二側足場」とも呼ばれています。
足場の仮設の基本形として広く使われており、「一側足場」よりも安全性や作業性の高さに優れています。
法改正に伴い、一側足場の使用範囲が明確化されることで変わるポイントは以下の2点です。
法改正で変わるポイント
☑ 足場費用が上がる
☑ 足場に関わる点検と書類が増える
☑ 足場に関わる点検と書類が増える
今回の法改正において最も大きなポイントといえば、足場費用が上がることではないでしょうか。
一般的に、足場費用は外壁塗装費用の約2割を占めるといわれていますが、これがもっと大きくなるのです。
住宅や建物が密集しているような場所では、幅が1m以上ない狭い箇所も多いですよね。
しかし一側足場の使用範囲が明確化されると、お庭に面している側など、1m以上の余裕がある面についてはこれまでよりも余分に大きく足場を組む必要があります。すると当然、部材だけでなく、組み立てに必要な作業人員や運搬のためのトラック台数も増やさなければなりません。
塗装工事の足場に関わる費用は、これまでの1.5倍〜2倍くらいまでに上がるとされています。
一般的に、足場費用は外壁塗装費用の約2割を占めるといわれていますが、これがもっと大きくなるのです。
住宅や建物が密集しているような場所では、幅が1m以上ない狭い箇所も多いですよね。
しかし一側足場の使用範囲が明確化されると、お庭に面している側など、1m以上の余裕がある面についてはこれまでよりも余分に大きく足場を組む必要があります。すると当然、部材だけでなく、組み立てに必要な作業人員や運搬のためのトラック台数も増やさなければなりません。
塗装工事の足場に関わる費用は、これまでの1.5倍〜2倍くらいまでに上がるとされています。
単純に面積で追加計算されるのか、足場費用として単価全体が値上げされるのかは、施工業者によって異なるでしょう。工事を頼むときは必ず複数の業者から見積もりを取ってしっかり検討することが重要です。
法改正によって足場の料金が上がり、外壁塗装にかかる費用負担だけが増えることを心配する声は多いですが、事故を減らせるといった面で、これまで以上に安心感を得られるといったメリットもあります。
法改正のメリット
☑ 作業の安全性が向上する
☑ 足場が倒壊する危険性がなくなる
☑ 墜落や転落などの事故が減る
☑ 足場が倒壊する危険性がなくなる
☑ 墜落や転落などの事故が減る
安全性が向上し、現場で作業する職人の尊い命が守られるのはもちろんのこと、工事を依頼するお客様にとっても、倒壊の危険がなくなり墜落・転落事故の防止にもつながります。
改正された法令に従えば、足場費用が上がってしまうのは避けられないことです。
工事費用の負担増が懸念されてはいますが、人命よりも大切なものはありません。もし、改正後も料金据え置きを謳っている業者があれば、費用を抑えられる理由を教えてもらいましょう。
外壁塗装で仮設する足場の費用は、足場を組む面積ごとに「1m²〜円」のように単価で計算されるのが一般的です。
足場費用の相場 1m²あたり700円〜1,000円
足場の面積 =(建物の外周+0.5mの長さ)×(建物の高さ+α)
※ここでの費用相場は2024年3月での相場です。(値上げ前)足場の面積 =(建物の外周+0.5mの長さ)×(建物の高さ+α)
足場は建物を囲むように仮設するため、外周は0.5m、高さが0.5〜1mほど大きくなります。
約30坪で真四角の2階建て住宅(10m×10m)、高さは屋根+αで8mとした場合、700円/1㎡なら、足場の費用は246,400円になります。 ⇒1.5~2倍に値上がり
費用は戸建てやマンションなど建物の形態によっても変動し、通常3階建て以上はより強固に組むため単価が上がるケースが多いです。
もし雨天や強風などの悪天候で工期が延長しても、追加料金はかからないので安心してくださいね。
もし雨天や強風などの悪天候で工期が延長しても、追加料金はかからないので安心してくださいね。
改正後も、業者によっては足場代が相場より安く済む場合もあるかもしれません。
できるだけ安い業者に頼みたいというのが本音だとは思いますが、価格の安さに飛びつくと思わぬトラブルにつながりかねないため注意が必要です。
工事代金を比較するときは、足場費用(単価)だけに注目するのではなく、トータル金額を見て総合的に判断するのが望ましいでしょう。見積書にはしっかり目を通し、どの作業にどのくらいの費用がかかるのか1つ1つ確認することが大切です。
外壁塗装をはじめ、屋根や雨樋のリフォームなど高所作業を伴う工事には足場の仮設が必須です。
法改正により足場費用が上がることは避けられず、トータルの工事費用は今よりかなり高くなることが予想されます。
決して安くはない工事だからこそ、少しでもコストを抑えてお得に済ませたいと誰もが思うのではないでしょうか。
しかし、費用ばかりを気にしてただ闇雲に減額することは、必要な作業や人員を削ることにつながり、工事自体の品質を下げてしまいかねません。少なくないお金を払ったのにもかかわらず、施工不良や事故が起きてしまっては元も子もないですよね。
施工品質を保ちながらコストを抑えるためには、工事はできる限りまとめて行うのがおすすめです。
足場を必要とする工事を全て同じタイミングで一度に済ませることで、その都度支払うはずだった足場費用を節約できます。
(足場を共有できるような場合は、隣の建物と同時に工事すると安くなるというケースもありますよ。)
外壁塗装が80万円、屋根塗装を40万円、足場費用25万円として例に挙げてみましょう。
【工事をまとめず別々に実施】
外壁塗装:80万円+25万円=105万円
屋根塗装:40万円+25万円=65万円
総額:105万円+65万円= 170万円
【工事を一度にまとめて実施】
80万円+40万円+25万円=145万円
また、工事をまとめることで傷んでいる箇所を一気に直せるため、建物全体の耐久性がアップします。業者選びから見積もり依頼、打ち合わせといった手間も最小限で済むでしょう。
工事回数が増えればその分費やす日数も増えるので、まとめて工事すればそうした負担軽減にもつながります。
足場の仮設を必要とする以下のような工事は、できるだけまとめて行ってしまうのがおすすめです!
☑ 外壁塗装
☑ 屋根塗装
☑ 雨樋交換
☑ 外壁の張り替え
☑ 屋根の葺き替え
☑ 屋根の雪止め設置
☑ 屋上の防水工事など
☑ 屋根塗装
☑ 雨樋交換
☑ 外壁の張り替え
☑ 屋根の葺き替え
☑ 屋根の雪止め設置
☑ 屋上の防水工事など
法改正で足場費用が上がる今だからこそ、施工内容をじっくり検討し後悔のない工事を依頼しましょう!
街の外壁塗装やさんでは、外壁塗装や屋根塗装にかかる費用について、お客様にも分かりやすくご案内し、お見積もりをお出しいたします。
ご希望やご予算に応じ、複数のお見積もりを出すことも可能です。
また、お住まい全体を可能なかぎり点検し、必要なメンテナンスをご提案させていただきます。
外壁塗装や屋根塗装、外装リフォームをお考えならまずはお問い合わせください。
外壁塗装の足場が値上がり⁉
足場費用とお得な有効活用まとめ
足場費用とお得な有効活用まとめ
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足場に関する法定の墜落防止措置を定める労働安全衛生規則が改正になり「一側足場の使用範囲の明確化」が2024年4月から施行されました
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これにより外壁塗装や屋根工事をする際の、足場の仮設費用が値上がりします
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お住まいの立地状況にもよりますが、改正前より1.5~2倍の費用がかかります
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塗装工事時の安全のためには足場の仮設は必須で、法改正により転落や倒壊などの事故が無くなればお客様も安心です
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足場費用が据え置きと謳っている塗装業者があればその理由を確認してみましょう
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塗装工事を検討する際は金額だけでなく内容も十分に確認しましょう
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外壁塗装と一緒に屋根工事や雨樋工事などをすることで足場費用を節約できます