壁の塗装工事は、外観を美しく整える大規模な改修工事ですよね。見栄えの向上を期待しつつも、
「できるだけ経費を抑えたい」
「できるだけコストの安い業者に工事を依頼したい」
というご希望もあるかと思います。
ただし、無理に価格を引き下げたり、工事代金の安さに引かれて契約することは、外壁塗装の品質低下を招くリスクがあるため、お薦めできません。この記事では、外壁塗装工事の価格相場や仕組みに触れつつ、「価格だけを基準に業者を選ぶこと」の危険性について丁寧に解説していきます。
塗装工事をするとき、多くの方がまずは費用を気にされるにではないでしょうか。見積もりを比較する際も、やはり一番に目につくのは金額ですよね。
ただ、そこで注意したいのは決して金額だけで判断をしてはいけないということです。一見安く見えても、お見積り書を見ると必要な工程を省いていたり塗料を規定量よりも減らすことで価格を抑えている可能性もあります。
また、塗装工事の経験があるご友人や知人の方など身近な人からの情報とお見積り金額を比較し、「安い」と思えるケースもあるかもしれません。しかし、それぞれのお住まいによって使用されている外壁材や塗装範囲、劣化の進行度などは異なるため、より大切なことは価格の相場を知るということです。
塗料は「半製品」と言われており、塗料そのものだけでは塗装の品質は決まらず、技術のある職人による処置や正しい手順での施工が行われて初めて製品として完成します。塗装工事には定価があるわけでないので、「高い・安い」の判断は簡単ではありません。
そこで、見積書に記載の合計金額で判断せずに、工事内容にも目を向けなければなりません。
塗料の種類や面積、現状などによって異なる外壁塗装の価格
塗料のグレードって?
「グレードが高い」と聞くと、高そうなイメージを受けるかもしれません。言葉通り、グレードが高いものは高機能で長寿命。価格もそれに見合ったもので、高額です。
グレードが低い塗料の場合、価格はリーズナブルな反面、耐用年数に期待はできません。また「グレードが低い」と言っても、あくまでもほかと比較したときの「低さ」であって、品質が著しく劣る意味とは異なります。
主な塗料の耐用年数を見てみましょう。
☑ アクリル塗料…耐用年数5~8年
☑ ウレタン塗料…耐用年数7~10年
☑ シリコン塗料…耐用年数10~13年
☑ ラジカル塗料…耐用年数12~15年
☑ フッ素系塗料…耐用年数13~15年
☑ 無 機 塗 料…耐用年数15~25年
上は、安価な順に並べたものですが、低いグレードほど耐用年数が短いことが分かります。金額や耐用年数は比例しているのです。
(※上記の耐用年数は目安で、実際には立地や気候などの環境によって異なります)
グレードが低ければ耐用年数は短く、耐用年数が短ければメンテナンス頻度も増えるため、長い目で見ると費用はかかります。塗料選びのときは安い塗料であるほど「コストをおさえられる」と思うかもしれませんが、総合的に考えるとお得とは言い切れないかもしれません。
塗装面積は、同じ坪数でも異なる場合がある
ただ、よくあるのが「自分で予想していた金額よりも見積額が高かった」というケースです。これは、実際の塗装面積が坪数で計算すると異なることによります。
たとえ坪数が同じでも、お住まいの形状が微妙に違えば、外壁の面や外周が異なります。一般的に、複雑な形状の建物であるほど壁が増えます。そのため、塗装面積も増える傾向にあるのです。
また、同じ面積の外壁だとしても、窓が多ければ塗装面積は減ります。
現在の外壁の状態によっても塗装価格は変わる
塗装価格が異なる条件のひとつとして「外壁の現状」があります。基本的に、外壁塗装の前には「下地処理(ケレン)」作業が必要です。ひび割れや破損がある状態に塗料を塗っても、塗膜がつかないからです。築年数が長く外壁そのものが傷んでいる場合、塗装前にはいくつかの工程が必要になります。仮に「面積・塗料が同じ」という条件の2軒があったとしても、傷みがひどい方が材料費と人件費が高くついてしまうのです。
外壁塗装の費用は、見積もりをしてみなければ正確なところが分かりません。とは言え、「見積もり前に相場が知っておければ…」と感じている方も多いでしょう。
だいたい次のような金額をイメージしていただくとご参考になるかと思います。
☑ 20坪の家…50~80万円
☑ 30坪の家…70~100万円
日本では、一般的な一戸建てが20~30坪とよく言われます。つまり、50~100万円ほどの費用が予算感です。ただ、窯業系サイディングではモルタル外壁よりもシーリングを多用する傾向にあります。その分の費用も高くなるでしょう。
また、最近の外壁塗装の傾向として、足場費用を節約する意味で「屋根塗装も一緒に行う」というケースも多いです。その場合は、上記の費用感を目安に、だいたい20~30万円ほどが上乗せされると考えておくといいでしょう。
ただし、外壁塗装の諸条件は、それぞれのお住まいで異なるのが普通です。
さきほどお伝えしたように、坪数が同じでも塗装面積が違うことは珍しくありません。しかも、「どのくらいの下地処理が必要なのか」「塗料はどれを選ぶのか」などで、具体的な金額はだいぶ変わるでしょう。そのため、正確なところは、一軒一軒の状態を確認してからでなければ分からないのです。
また、多くのお住まいで共通してかかると思われるのが「足場代・高圧洗浄・養生代・シーリング打ち替え」といったところですが、軒天や雨樋、雨戸、破風板といった付帯部にも塗装しなければならないケースもあるでしょう。
街の外壁塗装やさんでは付帯部の塗装、補修工事も承っておりますので、塗装以外にもお悩みのことがございましたらお気軽にご相談ください。
外壁塗装費用の実例
施工内容 | 外壁塗装 |
建 坪 | 32坪 |
費 用 | 70万円 |
こちらのお住まいは築12年とのことで、外壁の色あせが気になってきたということでお客様より塗装のご相談をいただきました。破風や軒天などの付帯部も外壁とあわせて塗装していきます。
今回選んだ塗料は、「クリーンマイルドシリコン」という塗料。密着性に優れている特徴があります。外壁のコーナーに施されたブリックストーン部分も丁寧に仕上げていきます。
施工内容 | 外壁塗装・屋根塗装 |
建 坪 | 40坪 |
費 用 | 120万円 |
こちらは元々、劣化したシーリング材のみを補修したいとお考えになられていたお客様です。その後、せっかく足場をかけるのであれば…と屋根塗装も一緒にご依頼くださいました。
細かな凹凸のある外壁デザインのため、汚れを取るために塗装前の洗浄はしっかりと行っていきます。汚れに強い「ナノコンポジットW」という無機物質とシリコン樹脂のハイブリット塗料を使用しました。
お得に外壁塗装をするには?
塗装を検討する際には、次のようなポイントをおさえておきましょう。
相見積もりで「適正価格」を知ること
適正価格が分からない状態では、塗装業者に見積書をもらっても「高い・安い」の目安が分かりにくいですよね。相見積もりで、平均的な金額を把握できれば、見積書の比較も行いやすくなるでしょう。
最近塗装をされたご近所の方や知人の方から聞いた価格を参考にする際は注意をしましょう。前述させていただいたように、塗装工事はお住まいそれぞれの状況によって費用が異なります。お住まいの規模や使用塗料など、塗装の条件が異なる場合が多く、別の手段によって価格の相場を見極める必要があります。
お見積書は、塗装業者がお客様の建物の状況を調査したうえで作成されるご提案書です。適正価格の把握ができれば、結果的にお得な塗装工事につながりますよ。
足場代節約のため、高所での工事はまとめて行うことがオススメ
足場をかけておこなう工事は、外壁塗装工事のほか、屋根塗装や屋根補修工事、付帯部の塗装、雨樋交換工事などさまざまです。全て別々に工事を行うとその都度足場を設置することになり、さらに高額になりますよね。そこで外壁塗装工事をするタイミングで、足場が必要な工事を同時に行うことで節約につながります。
外壁塗装をご検討される際はほかの場所も点検し、「不具合がないか」「近々必要そうなメンテナンスはないか」などをまとめることでお得になります。
街の外壁塗装やさんでは、外壁塗装のご相談とともに、屋根や雨樋など外装全体の点検も承っておりますのでお気軽にお問い合わせください。
直接施工の業者に依頼すること
より安く、より良い工事をおこなうためには、どの業者に工事をお願いするのかという選定が大切になります。工事費用を安く済ませたいのであれば、やはり「直接施工の業者」への依頼がオススメです。
外壁塗装は、塗装専門業者だけでなく、ハウスメーカーや工務店、リフォーム会社などさまざまな会社で見積もりを作成してくれます。ただ、直接施工業者以外の場合、工事は下請けの業者が行うことになります。
お客様がご依頼されたハウスメーカー(工務店)は、「お客様と施工業者」の間の仲介役であり、中間マージンが発生するのです。ハウスメーカーやリフォーム業者の場合は、広告宣伝費や諸経費なども加味された金額となるので高く感じることが多いのです。
その点、直接施工業者なら自社の職人が塗装を行うため、中間マージンがいりません。また、そもそも“塗装”に関しての知識にも長けていてより専門的です。実績も多数あり、細かい部分まで配慮してくれる上質な工事にもつながります。地元に精通している塗装業者なら、自社HPやお客様からのご紹介などで集客しているため、広告宣伝費のコストもそれほどかかっていません。
外壁塗装をもっと安く?見積もり時の注意点
無理に値引きするのはNG
値引きできるとすれば、本来必要な部分を省くしかないでしょう。作業人員を減らすこと、作業時間を少しずつ省くこと…など、結果的に品質が低下してしまう可能性もあります。
必ずしもイコールではありませんが、無理に値引き交渉をした結果、「価格が安くなっても品質が悪い」という仕上がりになっては元も子もありません。また、品質が悪いのは、塗装の寿命をも短くしてしまっています。外壁塗装の主な目的を改めて思い返してみましょう。「大切なお住まいをより長持ちさせたい!」というご希望があったはずです。無理な値引きをしても、一時的に出費はおさえられますが、お住まいにとって良いこととは言えません。無理な値引きはやめましょう。
注意したいのは大幅な値引きをする業者
大幅値引きを謳っている業者のすべてが悪いわけではないものの、やはりその内容には注視しなくてはなりません。「値引き」という言葉で安くするには、
☑ 必要な工程が行われていない
☑ とにかく安い塗料で塗られる
☑ 塗装の質を左右する「乾燥時間」が短く、品質が悪くなる
☑ 人件費を削り短期集中工事をする
など、背景に安くするだけの理由が隠されています。
塗装工事は同じ塗料を使用した場合であっても、職人の技術によって今後の耐久性が大きく変化します。「明日までに仕上げなきゃ」と時間に追われて作業をすると、質が悪くなる可能性は大きいです。適正価格よりも極端に大幅に安い場合、それなりの理由が隠されているため注意しなければなりません。
見積書の内容は内訳も確認する
見積書を手に取ったときにチェックしたいのが、表紙だけでなく、内訳書や明細書です。どんな塗料を使って、どんな工事を行うかが細かに記載されています。ただ、「一式 ○○円」と大雑把な記載の場合、塗料名も分からず、正しい工程で作業しているかも不明です。「よく分からない怪しい塗料で塗られていた」「頼んだ箇所を塗っていない」など、後からトラブルになるケースもあります。金額ももちろん大切かもしれませんが、詳細についてもきちんと確認してみてください。それで、少しでも気になる点があれば、担当者にきちんと聞いてみましょう。
塗料のグレードは慎重なご判断を
先ほどお伝えしましたが、「低いグレードなら短命」「高いグレードなら長寿」と塗料にはグレードごとに耐用年数が比例します。ただ、安い塗料で一時的な費用をおさえても、長い視点で見ると高くなるケースもあります。たとえば、「耐用年数7~10年ほどのウレタン塗料」と「耐用年数13~15年ほどのフッ素系塗料」を比べてみましょう。
また、ウレタン塗料は早い場合ですと5年程度で傷んでくることもあります。フッ素塗料で塗れば次の塗り替え時期まで13~15年後なのに、ウレタン塗料を選んだら塗り替えが頻繁となります。結果的に、トータルコストが増えたというケースもあるでしょう。
塗り替え時期が早くなると、その都度、数十万円以上もの費用を捻出しなければなりません。資金計画について難しく思っている間に、劣化が進んでしまうケースもあります。
「少しでも安くしたい」というのは多くの方が思うことだと思います。しかし、外壁塗装は大切なお住まいを保護するためのものです。安さだけを重視してしまったり、無理に値引きを要求することは品質や耐久性の低下につながり、結果的に「安く工事ができたけれど無意味な工事になってしまった」という事態を招きかねません。
また、見積書の内容以外にも着目してみたいのが担当者の対応です。
☑ 点検時にお住まい全体を確認してくれた
☑ 塗装されるお客様の立場にたって分かりやすい説明だった
☑ お問い合わせやご連絡への対応がスピーディーだった
☑ 受け答えが丁寧だった
☑ 塗装後のアフターメンテナンスや保証がついている
上記のような点も、良い業者の見極めポイントとして、ご参考ください。
街の外壁塗装やさんは、お住まい全体をしっかり点検して最適なプランをご提案します。お客様それぞれのご事情やご要望もお聞きしています。無料点検をご活用のうえ、気になる点があればお気軽にお問合せください。
外壁塗装価格の内訳と見積もり時の注意点まとめ
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大きな費用が必要になる塗装工事ですから可能であればなるべく安く工事をおこないたいですよね。ただ、むやみに値引きを要求と質の低下につながるため注意が必要です。
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外壁塗装の価格の相場を知っておくと、見積書を読み解くことにつながります
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外壁塗装費用は、塗料のグレードと塗装面積が大きく影響します
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塗装工事を安くするときに効果があるのは「相見積もりをする」「足場が必要な工事をまとめて行う」「直接施工の業者に依頼する」などです。
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業者側から大幅値引きを提示してくるケースもあります。しかし、その安さの裏側には「品質の低下」となる事情も隠されている点に注意しましょう。
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見積書は、明細書や内訳書をチェックしましょう。さらに、担当者の対応や工事後のアフターメンテナンス、施工保証など、内容が充実しているかどうかも業者選びのポイントです