それがこの２点です。屋内でシーリング材を使用する場合は防水を主な目的として使用されますが外装に使う場合も同様です。外壁と屋根は常に雨風に晒され、サッシと外壁の間などの取り合いと呼ばれる部分は必ず隙間が発生します。その隙間を埋めるために必要になるのがシーリング材です。さらにサイディングやALCなどの外壁材は取り付け時に隙間(目地)を設けるためこの隙間を埋める際にもシーリング材が必要になります。
外壁の目地はどうして設けるの？
施工性の確保と温度差による伸縮や地震等による揺れによって外壁が破損することを防ぐためです。
先ほども記載しましたがサイディングのサイズはどのメーカーでも概ね一定に定められています。大きくすればそれだけ使用枚数も減るから良いのではと考えられるかもしれません。
しかし大きくなるとそれだけ運搬しづらくなったり施工時に人数が必要になったり寒暖による収縮が発生した場合クラックが発生しやすくなるなどデメリットが多くなるのです。そういった運搬面、施工面、性能面など様々な問題から現在のサイズに落ち着いています。
サイディングやALCを適度な大きさで製造し、繋ぎ目に目地を設けて伸縮に自由度を持たせることでサイディングやALCの耐久性を高めることが可能です。従ってサイディングやALCによる外壁の場合は施工時に必ず目地を設けます。
この目地にシーリング材による防水を施さないままにしておくと、雨水が入り込み透湿防水シートを傷め、そこからお住まいの耐久性低下につながる恐れがあります。つまりパネル式の外壁の場合、目地は無くてはならないものでそれを埋めるシーリング材もまたなくてはならないものなのです。
サイディングやALCとは異なり目地や繋ぎ目がない外壁にモルタル外壁があります。モルタル外壁には地震などの揺れが原因でひび割れや亀裂(クラック)が入りやすいというデメリットがあり、さらには工程が多く、施工費用も高いため近年では採用されるお住まいが減っている状況です。
そんなモルタル外壁ですが目地や繋ぎ目が無いからと言ってシーリングによる補修が不要というわけではありません。クラックがあればそれを埋めなければいけませんしサッシや配管周りなどの隙間を埋める際にもシーリング材は必要になります。その中でもクラックの補修の際は塗装に支障が出ないようにシーリング材の種類に注意しなくてはいけません。
ホームセンターの売り場を見るとシリコン系やシリコンシーラントと呼ばれる製品もあり紛らわしいため注意が必要です。例えば変性シリコンとシリコンでは名前は似ていますがシリコンの方は塗料の密着性が悪いので上から塗装することができません。
屋根、外壁どちらで使用するにしてもシーリング材の種類と特性を理解した上で使用することが外壁の耐久性を維持することに繋がりますよ。
外壁材の中でもALCはサイディングよりもパネルが小さくて厚みがあり、縦横どちらにもシーリングが施工されているケースが多いです。シーリングの施工範囲が多いのは以下の順番になります。
このようにALCは縦張り、横張りに比べてシーリングの施工範囲が多くなっています。また目地が無いようなお住まいでもサッシ周辺などシーリング材を全く使用しないお住まいはありませんので外壁補修工事ではシーリング補修が欠かせないということを覚えておきましょう。
先ほど記載した通りシーリングは外壁で最も重要な部分の１つと言えます。劣化が雨漏りに直結する場合も多いシーリングですが、その一方でシーリングは外壁材や屋根材と比較しても耐用年数が非常に短く、重要度の高い部分であるにも関わらずすぐに劣化をしてしまいます。(中にはオートンイクシードのように耐用年数１５年を超えるような製品もあります。)
外壁の目地に充填されたシーリング材はお住まいが建てられた地域の気候によって変わりますが短ければ新築から３年、長く保てても７年ほどで傷みはじめ、劣化します。外壁塗装より早く先に寿命を迎えるということも珍しくなく、塗装は綺麗なのにシーリングの打ち替えが必要となることもあるのです。
外壁塗装と比べるとシーリングの補修工事費用は安く収まるのですが、２階部分や１階の高い部分など足場が必要になる場合がほとんどなので工事費用全体が膨らみやすいです。シーリングの補修とは別途で外壁塗装を行うと足場費用が余計に掛かってしまうため、シーリングの補修と外壁塗装はできるたけ同時に行うことをおすすめします。
足場なしでも補修はできますか？ほとんどのケースで足場は必要とお考えください
横目地の場合…
目地の向きが横の場合、シーリングも横方向になりますが雨水はそのシーリングに沿って横に流れます。水というのはわずかな隙間からでも浸入するため部分的に傷んでいる場合などはそこから雨水が染み込み内部が腐食する恐れもあるのです。従って部分的だとしても傷んでいればシーリング全体を補修する必要があります。
→3ｍほど高い場所にあるシーリングをまとめて補修するには足場が必要不可欠です。
縦目地の場合…
目地の向きが縦の場合、縦に充填されたシーリングの上を雨水は下に向かって流れていきます。その結果一部でもシーリングが傷んでいる箇所があればそこから雨水が侵入することとなるため、シーリング補修は最善策を取り適切な施工を行わなければいけません。
→高さ2mほどの箇所で足場を仮設せず、ハシゴでの補修を行った場合は安定性が保てなくなり、シーリングを綺麗に充填できず適切に補修できないということが起きるのです。そのため横移動が少ない縦目地の場合でも足場を仮設しシーリングの補修を行うことが最善と言えます。
外壁材や屋根材と同様に風雨や日光に晒されるシーリング材は紫外線や雨水、温度差によって劣化します。もちろんシーリング材には外部からの要因による劣化を防ぐために様々な成分が含まれていますが、その成分も年月の経過とともに消費されていくのです。
そんなシーリング材の中でも安価な製品には柔軟性を保つために「可塑剤」という成分が含まれています。この可塑剤はシーリング以外にも壁紙やクッションフロアー、輪ゴムなど私たちの身近にあるものにも使われているのです。
輪ゴムを使っていて劣化した輪ゴムを見たことはありませんか。劣化した輪ゴムは表面がベタつき、埃などが付着しやすくなります。これは劣化によって輪ゴムに含まれる可塑剤がにじみ出てくるからです。可塑剤という成分は輪ゴムの伸び縮みに作用しており、これが輪ゴムからにじみ出てくると輪ゴムの柔軟性がなくなり、引っ張ると簡単にちぎれるようになります。
シーリング材もこれと全く一緒で年月の経過とともに表面から可塑剤がにじみ出し、ベタベタして汚れが付着して柔軟性がなくなるのです。その後はシーリングが痩せて縮み、ヒビや亀裂が入り、最終的にはシーリング材が裂けて剥落していきます。
そんなシーリング材やゴム製品に多く使われている可塑剤ですが、先ほども少し触れましたがゴム製品などの柔らかさを維持する成分です。目地などに充填されたシーリングに含まれる可塑剤は紫外線や雨水、温度差やなどによってシーリング材から分離していきます。
この分離する現象は「ブリード」と呼ばれ、シーリング周辺が埃や舞い上がる塵などで汚れやすくなるだけではなくシーリングが痩せて硬化しひびや亀裂、シーリングの裂けの原因にもなります。ブリードが起こるとシーリング周辺にはにじみ出た可塑剤が黒く変色し外壁材などに染みついてしまうのです。この黒ずんだ染みは洗ってもなかなか落ちず、お住まいの美観を損ねてしまいます。
そんな美観に悪影響を及ぼすブリードを防ぐ方法は１つだけです。それは可塑剤を含まないノンブリードタイプのシーリング材を使うこと。そもそも可塑剤を含まないシーリング材であれば可塑剤由来のトラブルの発生を防止することができます。
シーリングの補修であればDIYでメンテナンスはできますか？可能ですがおすすめはしません。プロに任せるのが一番です！
シーリングの補修工事の工程は上の図のようになります。工程の中で特に注意が必要なのが２番目の「養生」です。
サイディングの目地だけにシーリング材を充填するためには目地に沿って綺麗にマスキングテープを張り養生する必要があります。しかし凹凸の多いサイディングに隙間なくマスキングテープを張ることはとても難しいのです。
しっかりと養生することはシーリング補修工事を綺麗に仕上げる上で極めて重要で無事にマスキングテープを張り、シーリング材を充填できたとしてもマスキングテープを剥がす段階で外壁を汚してしまう恐れがあります。そのためシーリング補修工事はプロに任せた方が安心です。街の外壁塗装やさんではシーリングの補修工事に関するご相談もお受けしておりますのでぜひご相談ください！
シーリング補修工事だけを行っても効果はありますか？もちろん効果はありますが、街の外壁塗装やさんでは塗装とセットの施工をおすすめします その理由は先ほどから記載しております通り、シーリングの補修工事には足場が必要であり、塗装工事にもまた足場が必要となるからです。
足場を仮設すること自体多額の費用がかかり、シーリングと塗装で別々に足場をかけるとさらに足場費用は嵩んできます。そのため塗装とシーリングのように足場を必要とする工事は一度で終わらせるのが最善です。
打ち替え
打ち替えは既存のシーリング材を撤去し新しいシーリング材を充填する工事方法です。
増し打ち
増し打ちは既存のシーリング材の上から新しいシーリング材を重ねて充填する工事方法です。
目地の増し打ちはいけないの？劣化し傷んだシーリング材の上から増し打ちすると既存のシーリング材と一緒に剥落する恐れがあります 可塑剤の部分でもご紹介しましたが、シーリング材は充填後しばらくは柔軟性を維持し揺れや衝撃から外壁を守りますが、年月の経過とともに徐々に柔軟性は失われ、硬化し肉痩せし亀裂が入るようになります。
傷んだシーリング材の上から新しいシーリング材を増し打ちしても元のシーリング材が劣化している以上、亀裂は拡大し雨漏りの原因にもなり、そこから腐食が起きるなどお住まい全体の耐久性の低下につながる恐れがあるのです。
劣化が著しい箇所のシーリング補修の場合、増し打ちをしても焼け石に水ですので既存のシーリング材を撤去し新しいシーリング材に打ち換えた方が無難です。サッシ周りや窓枠周辺など陰になりやすく劣化が少ない箇所は増し打ちで対応することも可能です。
外壁塗装とシーリング補修を同時に施工する場合、シーリング補修を外壁の塗装前に行う先打ちと塗装後に行う後打ちがあります。どちらにもメリットとデメリットがあるためどちらがおすすめとは言い切れません。補修する上で一番良いことは耐久性に優れ長寿命なオートンイクシードなどのシーリング材を使うことです。
仮にシーリング材の背面まで接着してしまうと伸びしろが少ないシーリング材が無理矢理伸縮した結果、サイディングやALCから剥がれてしまう恐れがあるのです。
ワーキングジョイントとは逆に動かないことを前提に設けられるノンワーキングジョイントは、防水性の面から背面も含めてしっかり接着させる３面接着が基本です。シーリングの充填方法１つとってもこれだけ違いがあるため、こういった知識を持ち、それを実践し施工できる業者を見極めて、選んでください。
この記事の中でもご紹介してきましたがお住まいで最も傷みやすい箇所の１つがシーリングです。モルタルや金属系サイディングの外壁では目立ちませんがそれでもサッシ周辺などには充填されています。窯業系のサイディングボードの外壁では目地に充填されているたおり、経年劣化が進んでいると亀裂やヒビがはっきりと表れ、お客様自身で目視点検も可能です。
こちらのお住まいではシーリング材から可塑剤がにじみ出してしまいシーリング自体は痩せ細り、表面も黒ずんでしまっています。可塑剤はベタついているため黒ずみの上に塵や埃が付着し汚れは酷くなるでしょう。シーリングに細かなヒビも見られ、劣化も進んでいるようなのでこのような場合は打ち替えをおすすめしています。
作業の最初は傷んでいるシーリングの撤去です。カッターでシーリングに切り込みを入れて、手で掴んで剥ぎ取ります。
劣化が激しいと表面に触れただけでボロボロと崩れてしまい、そうなると手で掴んで剥ぎ取ることは難しくなりますので状態の見極めは慎重に行いましょう。
目地側面に残ったシーリング材はカッターで削り取って除去しましょう。そのままにしてしまうと新しく充填するシーリング材の接着力が十分に発揮されませんので綺麗に除去していきます。
広いお住まいだとカッターの刃を何度も交換することになるためカッターの刃は多めに用意しておく方が無難です。
シーリング材とサイディングの側面との接着を強くするためにプライマーを塗布します。少し前に記載しましたが、窯業系サイディングの継ぎ目は動くことを前提に設けられているワーキングジョイントです。そのため接着は側面のみの２面接着になります。背面(画像の刷毛の先、グレーの部分)には全く接着させないよう施工するのが理想形です。
いよいよシーリング材を充填していきます。側面のみの２面接着と言っても背面にシーリング材を全く触れさせないように充填するのは難しい作業です。
そこで、背面に接着しないようにバックアップ材を入れてからシーリング材を充填します。シート状の素材を入れてそこで接着させて背面との接着を防ぎましょう。
シーリング材を充填したら専用のヘラでシーリングを奥まで押し込んでいきましょう。何故そんなことをするのかというと空気を入れず側面の接着性を向上させるためです。こういった工程を「均す」と表現する場合がありますがシーリングの場合は押し込んでいるためただ均すこととは異なるため、「押し込みながら均す」という意識で作業をすると綺麗に施工ができます。
満遍なく奥に充填するためにヘラの持ち方を変えて違う方向から押しこみながら均していきます。その後、ある程度シーリングが固まったら養生のマスキングテープを剥がしていきます。
これでシーリングの補修工事は完了です。シーリングの補修工事では打ち替えを外壁の塗装前に行う「先打ち」と塗装後に行う「後打ち」があります。
今回の場合、シーリングを打ち替えた後に塗装を行うので先打ちです。外壁とともにシーリングも塗膜で覆われるため後打ちよりシーリングの寿命が長くなります。先ほども記載しましたが外壁塗装とシーリングを別々に行うと足場の仮設費用がそれぞれかかってしまうので外壁塗装とシーリングをまとめて行ってしまう工事がおすすめです。
