外壁塗装に関連する問題やトラブルについて、口コミサイトや周囲の人の話を聞くと、不安を感じることがありますね。2022年には、国民生活センターに塗装工事に関する相談が3,860件も寄せられました。
外壁塗装は経費がかさむため、お客様には絶対に後悔してほしくありません。信頼性の高い業者であっても、お客様との理解のずれからトラブルが発生することもあります。
この記事では、外壁塗装のトラブルの実例と、問題が生じた場合の対処法について詳しく解説します。外壁塗装のトラブルを避け、満足度の高い塗装工事を実現しましょう。
訪問業者と交わした外壁塗装の契約トラブル
外壁塗装で多いトラブルが「訪問営業」に関するものです。
訪問業者に注意!とは言っても、訪問でやってきた業者が必ず悪質な業者というわけではありません。
ただ、「今日契約してくれれば半額サービスです!」「モニター価格になるので破格でお得です!」「今日契約すれば足場代が無料になります!」など、あたかも急いで契約すればお得であるといった話で契約を迫る営業方法がトラブルのもととなっています。
悪徳業者は、誰かに相談される前に急いで契約を結ばせようとします。「早く塗装しなければ外壁が剥がれる」「次に雨が降ると雨漏りが起こるほど傷んでいる」とお客様を不安にさせるのが手口です。こういった悪徳業者の場合、契約させるのが目的ですから、工事が手抜きであったり「安い」と言っておきながら相場と比較すると高額なケースだってあるのです。
「大幅値引き」「今にも雨漏り」「早くやらないと危ない」とお客様を急かしたり不安な気持ちを煽る行動が見られたら、悪徳業者の可能性があるので注意が必要です。
そもそも、状況を調査したうえで適正な見積もりを出しているなら、大きく値引きをすることは本来難しいはずです。それなのに極端な値引きができるのは、あらかじめ値引きすることを想定して高額な見積もりを提示していると言えるでしょう。
また、見積もりを適切に行うには、状況を詳しくチェックする必要があります。外壁を軽く眺めただけで見積もりを提示するような業者は疑わしいでしょう。
・外壁の傷みはどの程度か
・どんな補修を行うのか
・どんな塗料を使うべきか
など、時間をかけて現在の状況をチェックしてくれるのは信頼できる業者と言えるので、どのような調査を行っているかということもチェックしておくと良いでしょう。
訪問業者がやってきて契約を急かされた場合、絶対にその場ですぐに契約しないようにしましょう。万が一、書面での契約をしてしまったとしても、8日以内であればクーリングオフ(契約解除)が可能です。
書面での契約を交わしていない場合や、契約時に「クーリングオフができないと嘘をつかれた」場合は、8日以内でなくてもクーリングオフができるケースがあります。
希望とは異なる工事をされた・違う塗料を使われた
工事内容に関するトラブルも多いです。外壁塗装工事では「ここをこうしたい」「この塗料を使いたい」など、事前にお客様のご希望を伺うのが一般的ですが、工事完了後に「話が違う…」といった仕上がりになってしまうケースもあります。そのような場合、工事内容や使用する資材などが明確に書面化されていないことが多いです。
契約書や見積もりを提示された際、
☑ 塗料の名称およびメーカーが曖昧
☑ 塗装範囲が記載されていない
☑ 塗装の工程が記載されていない
など、不明瞭な点が多い場合は業者と改めて打ち合わせをした方がよいでしょう。
そもそも見積書や契約書にきちんとした情報が記載されていなければ、「言ったはず!」「聞いていない!」などのトラブルも起こりやすく、はっきりしない状態で契約されているため、“どちらに責任があるか”も不明瞭なまま、埒が明かずになかなか解決しないでしょう。
外壁塗装の業者選びの際、「金額が安ければいい」と考えるのは止めましょう。
相場よりも金額が安いのは良心的な訳ではなく、「塗料のグレードが低く性能が悪かった」「本来やるべき工程を省き、工期が短くなっている」というカラクリが隠れているかもしれません。
「金額さえ安ければいい」と即決せず、まずは見積内容をじっくり読み込み、塗料の名称や作業内容がきちんと記載されているかチェックしましょう。くれぐれも口頭だけのやり取りにならないように気をつけたいものです。工事が完了した後のことも不明瞭にせず、保証制度や内容についても気になる点は確認しましょう。
優良な業者の見積書や契約書は、お客様に不安を抱かせないような配慮が随所に見られるものです。見積もり時にはしっかりと現状を調査し、調査に基づいた単価や面積で見積金額を算出しています。もちろん、「ここが分からない・気になる」というお客様の不安や疑問があれば、丁寧に回答してくれるでしょう。
トラブルを避けるためにも、契約書を自分でしっかりと読み、気になる点があればすぐに確認してみましょう。
口頭での契約をしたので、契約書が存在しない
口頭で契約してしまってトラブルが起こるケースもあります。
個人でやっている昔ながらの職人さんなどの場合、「こうした方がいいですよ」「塗料もこれがいいでしょう」など曖昧な状態で契約を進めることもあるでしょう。この場合、悪徳業者なわけでもなく、昔からそのようなスタイルで経営していたのかもしれません。
友人や知人からの紹介で塗装業者がやってきて、「○○さんの紹介だし…」と思い不信感をそれほど抱かずに、「お任せします」と見積書や契約書がない状態で工事を進めるケースも少なくありません。
ただ、やはり書面化されていなかったばかりに、「聞いていた塗料と違う…」「初めに聞いた金額よりも高くなっている」とトラブルに発展するケースもあるのです。
知人からの紹介だとしても、くれぐれも口頭だけで契約をするのは避けましょう。見積書をもらったときも、不明な点はきちんと確認してください。「塗料名」や「工程」を書面化して説明し、納得してもらった状態で契約する流れが普通です。思い違いからトラブルが起こらないためにも大切なことなのです。
優良業者なら、きちんとした流れで契約や工事を進めるので、黙っていてもきちんと見積書・契約書を書面で出してくれます。つまり、お客様側から「口頭ではなく見積書を出してください」と言わせる業者は、お客様とのトラブル対策がしっかりとできていないと言えるでしょう。
また、初めに見積書をもらった場合でも、工事が進む過程で変更が起こることはよくあります。その場合も、工事内容や金額などを訂正した書面を発行してもらい、口頭で終わらせないようにしましょう。
完成後の色が思っていた色と違う
塗装前に色選びをしているはずなのに、「こんな色だったかな?」「塗料が違うのでは?」というトラブルも起こりやすいです。塗料見本から選んだ色なのに、色のイメージが違うと失敗に思うケースです。
このような色に関するトラブルを避けるには、塗装の色は「選んだときと実際の色でイメージが異なるかもしれない」と想定しておくことが大事です。色見本帳のサンプルで色を選ぶことが多いですが、仕上がりの色がイメージ通りとは言えないことも珍しくないのです。
面積効果
まず、知っておきたいのが“面積効果”です。色の見え方は面積によって異なり、小さな面積よりも大きな面積の方が同じ色でも明るく見えます。色見本は数センチほどの面積しかありません。一方、実際に塗るのはその何千倍にもおよぶ大きな面積。見本帳ではそれほどでなくても、実際に塗ると明るく見えてしまうのです。
つまり、「ちょっと明るく見えるかもしれない」と想定しながら色選びをすることをおすすめします。多少暗めに感じても、実際に塗るとちょうどよくなることもあるでしょう。
外壁の色は天候や時間帯で見え方が変わる
太陽が降り注ぐ晴天の日、今にも雨が降りそうな曇天の日、夕焼けが染まった時間帯…。同じ外壁でも、天候や時間帯によって色の見え方が大きく異なります。
屋外で塗られる塗料の色と、屋内の照明の下で見る見本帳の色とは違うのは当然かもしれませんね。
外と家の中では見え方が違う点に注意して色選びをしましょう。できるなら、A4サイズくらいの塗板見本を用意してもらうといいでしょう。屋内ではなく、屋外でどう見えるかをチェックしてみてください。
追加工事の費用を請求された
見積書の金額に加えて、「追加工事の分も請求された」というトラブルも起こります。そもそも、塗装工事前に提出された見積書の金額を見て工事を決めたはずなのに、それよりも金額が高くなるのは納得できないという方もいるでしょう。こういったトラブルに発展するケースは、追加料金について事前に説明がない場合がほとんどです。
通常、外壁塗装工事は事前の調査をしっかりと行って工事価格を算出しています。塗装面積や塗料に変更がなければ、最初の見積りに提示された金額だけで済むのが普通です。つまり、基本的には大掛かりな変更がなく、予定通りに工事が進めば追加料金が発生することはないのです。
ただ、「足場をせっかく組むのだから屋根塗装もお願いしようかな」「今後のことも考えて性能の良い塗料で塗ってもらおうかな」と、工事内容に大きな変化があれば、もちろん追加料金は発生します。
お客様が納得して変更工事がある分には問題ありません。しかし、悪徳業者の場合、見積時にかなり低めの金額で契約させた後、あれこれと理由をつけては追加料金を設定することがあります。そんなこともあるので、相場よりも安い破格の業者には気をつけなければならないのです。
ただ、追加工事が発生するからと言って悪徳な業者とは言えません。見積もりのときの点検では全てを把握することが難しく、塗装を進めていくなかで当初の予定を変えざるを得ない問題が発見されることもあるからです。しかし、だからと言ってお客様の了承を得ずに追加料金を取ることはなく、作業前に十分に必要性をお伝えします。優良業者なら、お客様が不安に思うようなことはしません。
念のため、見積書をもらったときに、追加料金の可能性について聞いてみてください。誠実な業者の場合、お客様の不安を解消するために、追加料金がかかる場合についても十分に説明してくれるでしょう。
車や庭木に塗料が付着した
塗料が家の周りの車や庭木に付着したという問題もあります。外壁塗装でお住まいが綺麗になると嬉しいですが、後から家の周囲を見渡し、車や庭木に付着した塗料を発見すると残念に感じますよね。
外壁塗装の塗料汚れは、しっかりと“養生”をすることで回避ができます。本来、塗装において塗料の飛散を避けるためには、飛散防止ネットで養生をするのが一般的です。さらに念のため、絶対に汚したくない車や庭木をシートで覆うのも効果があります。後からトラブルが起こらないように、「養生」について事前に確認しておきましょう。また、庭先に汚れてほしくないものがあれば、外壁塗装中は別の場所に移動しておきましょう。
隣人から塗装工事に関する苦情を受けた
外壁塗装中、近隣から苦情を受けたというトラブルもあります。
☑ 足場組立や 高圧洗浄の音がうるさい
☑ 塗料の臭いが気になる
☑ 工事車両があって出入りが大変
このように、工事にともなうご近所の不満は多いものです。
これまで良好にお付き合いしてきたご近所の方から、何かしらの不満を言われると申し訳ない気持ちでいっぱいになりますよね。工事が終わってもご近所関係は続きますから、苦情を伝えられるとギクシャクしそうです。これからのことを考えると憂鬱ですよね。
外壁塗装工事中の近隣トラブルは、実は工事前の対策で減らせます。事前に「工事が始まること」、そして「迷惑をかけることがあるかもしれない」と伝えることが大事です。お住まいのメンテナンスはどのお宅にも発生するものですから、「お互い様」と思ってくれるのではないでしょうか。
しかし、近隣挨拶を全くせずに外壁塗装工事が行われた場合、工事の音のうるささに「何が始まったのか」という不安、工事車両のための出入りの大変さに「初めに言ってくれればよかったのに」という不満まで出てくるでしょう。人によっては、それがきっかけで気分を害し、近隣関係が悪くなる可能性もあります。
街の外壁塗装やさんでは、お施主様やご近所様にご迷惑をかけないためにも、スタッフが事前に挨拶にまわっています。工事の日程や担当者について伝え、不安のないように努めています。
工事後に発見した塗りムラ・塗り残し
外壁塗装が終わると、「綺麗になった」という印象を抱きます。しかし、後から塗りムラ・塗り残しを見つけることもあるでしょう。特に、人の目から見えづらい部分であればなかなか気づけないものです。
塗装工事中なら、「ここが気になる」と言いやすいものの、工事が完了して時間が経ってからでは言い出しづらいものです。まして、ちょっとくらいの塗りムラ・塗り残しであれば「ちょっとだし、いいか」と安易に考えるかもしれません。ただ、実際に塗りムラ・塗り残しがあるのは施工不良です。美観だけでなく、保護力が低下している部分であることを忘れないでください。
外壁塗装工事で塗り残しが多いのが、エアコン室外機の裏側や窓枠、軒天と言った見えづらい部分です。
優良業者の場合、自ら塗り残し等のチェックをしてくれます。お客様の大切なお住まいのためにも、施工後にじっくり塗り残しがないかを確認してくれる業者は信頼に値します。施工実績が豊富・お客様からの評判が良い、地域に根付いた塗装業者の場合、施工後のトラブル防止のために竣工後の入念なチェックをしているものです。
完成後、引き渡し前にご自身でもよく確認してみてください。しばらく時間が経過して塗りムラや塗り残しを発見したときでも、遠慮せずに塗装業者に連絡することが大事です。
塗膜の剥がれが起こった
通常、塗装後数年は塗膜が剥がれることはありません。にもかかわらず、塗装して1年にも満たないうちに塗装の剥がれが起こるのは施工不良です。
塗装工程において「下地処理をしていない」「洗浄が不十分」「規定の乾燥時間を守っていない」など、本来必要な工程が行われていない可能性が高いでしょう。
外壁塗装に必要な工程がしっかり行われていれば、「すぐに起こる剥がれ」は防げます。極端に安い金額で工事を請け負う塗装業者の場合、経費を浮かすため、そして工期を短縮するために、「塗りの回数が足りない」「下地補修をしていない」「塗料を薄めすぎ」など、何かしらをごまかしている可能性があります。
一方、優良業者なら施工不良のリスクがゼロかと言えば、そうとも言い切れません。ただ、優良業者の場合、適切な施工をしたうえで、施工不良が起こったとしてもお客様に不安を与えないような保証を充実させているのが普通です。施工不良を発生させないためにも、正しい工事をしてくれるのが基本中の基本ですが、「施工不良が起こったら…?」という点については、事前にしっかりと聞いておきましょう。
それでも施工不良について不安を感じる人もいるかもしれません。この場合、万が一施工不良があった際に補修費用の80%相当が保険で賄える“リフォーム瑕疵保険”の利用がおすすめです。別途保険料はかかりますが、瑕疵保険登録事業者の塗装業者なら契約のときに瑕疵保険への加入ができます。さらに、瑕疵保険に加入すると工事が終わると第三者からのチェックもしてもらえます。
さまざまな対策をしても問題解決が難しかった場合
本来、外壁塗装をすれば、綺麗な外観になって美観性もアップし、何より雨風からも守られる安心感があるはずです。しかし、美観性や安全性とは別の部分のトラブルに悩まされるのは残念ですよね。
万が一のトラブルがあっても、しっかりした優良業者なら解決に向かってスムーズに進みます。契約書の不備などによって両者の言い分が平行線のまま、お金の問題も絡んでしまうと話が長引くことも少なくありません。
外壁塗装のトラブルでお困りのときに相談できる第三者機関があります。「国民生活センター」では消費者トラブルの相談ができます。そのほか、国の指定を受けた「住まいダイヤル」という機関もあって、住宅に関連した相談を受けています。ご自身で「どうしたらいいか分からない」というときは、自分だけで悩まずに誰かに相談してみてくださいね。
・国民生活センター(消費生活センター)
https://www.kokusen.go.jp/map/index.html
・住まいるダイヤル
https://www.chord.or.jp/index.html
外壁塗装工事はそれぞれの住宅の状況に合わせて人間が作業をしていくため、「絶対にミスが起こらない」とは言えません。しかも、工事内容に関して行き違いがあり、後から揉めるケースも少なくないのです。トラブルを恐れて外壁塗装をしないのではなく、「どんなトラブルがよく起こるのか」、「それを回避するにはどんな方法があるのか」といった点をおさえて、お住まいのために外壁塗装メンテナンスを行っていただきたいのです。
外壁塗装業者を選ぶとき、契約のとき…など、事前知識があればトラブルを避けることができます。最も大事なのが、信頼できる業者を選ぶことです。お客様に誠意を込めて対応する優れた業者を選ぶようにしましょう。しかし、優良業者だからと安心して全てを業者任せにすると、後から「知らなかった・そんなつもりではなかった」などの不安や疑問が生まれます。何事も念には念を入れて、不明な点や気になる点はその都度確認しましょう。
街の外壁塗装やさんは、お客様の大切なお住まいのリフォームについて、誠意を込めてご対応させていただきます。お客様が不安にならないよう、しっかりとご説明した上で工事を行うよう努めておりますので、どんな小さなことでもお気軽にお問い合わせください。契約前、工事中、工事後、いつでも真摯に回答させていただきます。
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訪問業者がやってきた場合、金額的にお得だと感じてもすぐに契約するのは危険です
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見積書や契約書・約款などの書類はしっかりと読み込んで内容を詳しくチェックしましょう
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不安に感じた点・疑問に思った点は、詳しく説明してもらいましょう
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口頭で伝えられた金額で工事を依頼するのはやめましょう
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口頭では「言った・言わない」と行き違いが生じやすいからです
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見積書・契約書で金額が提示されても、「追加料金が発生する可能性」について事前に聞いてみてください
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面積や光の関係で塗料の色は変わります
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トラブル防止のためにも、工事前は車や庭木などの養生について確認しましょう
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街の外壁塗装やさんの場合、工事前にスタッフがご近所の方にご挨拶に伺います。近隣トラブルを避ける意味でも、工事前挨拶はとても大切です
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塗りムラや塗り残しは、引渡し前に自分でもチェックしましょう
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トラブルについて特に不安なときは、別途費用はかかりますがリフォーム瑕疵保険への加入もおすすめです
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外壁塗装について気になることがあれば、遠慮せずにお気軽にお問合せください