大事なお住まいを守るにあたって、防水工事は非常に重要です。防水工事を適切な方法で行うことで屋根からの水漏れを防ぎ、建物の寿命長くすることができます。そんな防水工事として、施工数が増えてきているのがFRP防水です。FRP防水は軽量な上、工期が短く、耐久性も高いといったメリットがあるので、選ばれる方が増えてきています。ただ、実際にはウレタン防水工事の方がFRP防水よりも多く採用されていることはご存知でしょうか。
昔は防水工事が施されるのはベランダやバルコニーのみでした。しかし、近年では狭小住宅やコンパクトハウスの普及に伴い、陸屋根を活用している住宅が増加傾向のため、より防水工事の重要性が高まってきています。
FRP防水にも様々な魅力がありますが、ウレタン防水にも特有のメリットがあるため、積極的に採用を検討していきましょう。今回はウレタン防水の特徴や施工方法、FRP防水との違いについて解説します。
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ウレタン防水とは?
ウレタン防水とは、液体状にしたウレタンと呼ばれる樹脂を対象物の表面に塗布し、防水層を形成する工法です。ウレタンには、柔軟性が高い、弾力がある、摩耗性に優れているといった特徴があります。普段の生活で使用しているものにも用いられており、スポンジや寝具、スピーカー等にも使用されています。このように、意外と身近に存在する素材と言えるでしょう。
ウレタン塗膜防水の使用が開始されたのは今から60年近く前の1966年です。使用開始された当時から改良が重ねられてきており、現在では高い防水機能を誇る工法と認識されるまでになりました。アスファルト防水やシート防水の方がウレタン防水よりも歴史が長いですが、ウレタン防水の方がより馴染みがある方が多いでしょう。
伸縮性が高く弾力があるウレタン防水に対して、耐久性が低いという印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在に至るまで改質アスファルト防水とウレタン防水を併用した複合防水の研究が行われており、1995年頃からは屋上駐車場や地下でも施工されるようになりました。これらの場所は高い防水性を求められる場所なので、それだけウレタン防水の性能が向上したと言えるでしょう。
実際に防水工事を施工する際、ウレタン防水について事前に知っておくことでより後悔のない選択をすることができます。
続いては、ウレタン防水の特徴とメリットをご紹介します。
液体状の樹脂を塗布して防水層を形成するウレタン防水を施工すると、継ぎ目のないシームレスな仕上げになります。一方でシートを貼り付けるシート防水では、シートの剥がれや施工不良による隙間からの雨漏れが発生する可能性があります。これらの心配をしなくていいのは、ウレタン防水の魅力の1つでしょう。
ウレタン防水とは、ウレタン防水塗膜を3mm程度まで塗り重ねる方法です。そのため、アスファルト防水といった他の防水工事と比較しても非常に軽く、建物への負担を減らすことができます。建物への負担を軽減することで、建物の寿命が伸びる、耐震性が向上する、といったメリットを期待できるでしょう。
ウレタン防水を施工する際は、職人が手作業で塗料を塗ります。この塗料は非常に柔らかいものであるため、ムラのないよう仕上げるには熟練の技術が必要になります。仮に塗膜の厚さが均一にならなかった場合、雨水がスムーズに排水溝に向かって流れない、降雨時に水溜りが発生する、塗膜が薄い場所から雨漏りが発生する、といった事態が発生してしまいます。そのため、ウレタン防水の施工には高度な技術力が必要になることを理解しておきましょう。
ウレタン樹脂は施工してから乾燥するまでに時間を要するため、余裕を持った工程スケジュールを計画する必要があります。特に、雨が降った場合は数日間に渡って施工できないこともあるので注意しましょう。このことから、ウレタン防水工事を行う際は、梅雨の時期を避けることがおすすめです。一方で、FRO防水は乾燥するのが早く、比較的面積が限られたベルコニーやベランダであれば1日で施工完了する場合もあります。
ウレタン防水には様々なメリットがある一方で、上記のようなデメリットや注意点も存在します。これらを十分に理解した上で、適切な防水工事業者に施工を依頼することで、納得のいく防水工事を行うことができるでしょう。
様々な用途や目的、施工箇所に用いられるウレタン防水の施工方法は、密着工法と通気緩衝工法の2つがあり、劣化状態によって使い分けます。それぞれの工法の特徴と違いを確認しましょう。
密着工法
密着工法とは、ウレタン樹脂を下地に塗る工法です。劣化が進んでいない場合に採用します。
この際、メッシュシートや補強布を併用することで工期を短縮させ、費用も抑えられます。一方で、下地に直接塗りつけるので、防水層が下地の影響を受けやすく、ひび割れも発生しやすい点に注意しましょう。
通気緩衝工法
通気緩衝工法は絶縁工法とも呼ばれるもので、防水層と下地を密着させません。そのため、下地の影響を受けにくく、水分が残留している下地への施工も可能です。
施工する際には、通気緩衝シートと呼ばれる無数の穴が空いたシートを下地に貼り、防水層が下地に密着するのを防ぎます。そして、通気緩衝シートに溜まった水蒸気を脱気盤と脱気塔から排出して防水層の膨れを防止します。
経年劣化によってダメージを受けたり、雨漏りが発生していたりする下地の多くは水分を含んでしまっています。下地に水分が含まれている状態で密着工法を行ってしまうと、下地の水分が行き場をなくし防水層が破れる原因になりかねません。そのため、水分が含まれている下地に防水工事を施す場合は、通気緩衝工法を採用すると良いでしょう。下地と防水層が密着していないので、人があまり歩行しない箇所への施工がおすすめです。
通気緩衝工法とは | 下地と防水層を密着させない手法 |
劣化状態 | 既に雨漏りが発生している、または築年数が経過している場合 |
ウレタン防水の耐用年数は12〜13年程度とされています。しかし、状況によっては耐用年数期間内であっても補修が必要になるケースも存在します。劣化症状が見られる場合は、雨漏り等が発生する前に補修を行いましょう。補修が必要になる具体的な劣化症状と補修方法をご紹介します。
1.表面のひび割れ
防水工事を行ってから数年しかたっていないのに、表面にひび割れが発生してしまった、という経験をお持ちの方も多いでしょう。こういったひび割れのほとんどは施工不良が原因のものではなく、トップコートと呼ばれる保護材のひび割れです。
トップコートは防水層を保護しているものなので、ひび割れが発生しても防水性能には影響がありません。しかし、ひび割れを放置しておくと防水層が太陽光や雨水のダメージを受けてしまい、劣化の原因になります。そのため、トップコートのひび割れが確認された場合は、再塗装を行うようにしましょう。
2.塗膜の浮き・膨れ
このような症状が見られた場合、まずは防水層に問題がないか、サッシ脇や外壁に異常がないかを確認します。浮きが発生する原因として歩行による摩耗や経年劣化が挙げられます。浮いた部分は剥がして補修する、あるいは全体補修を行う必要があるでしょう。
3.防水層の亀裂
仮に今は雨漏りが発生していなくても、防水層に亀裂が入った状態で放置しておくと下地にまでダメージが及んでしまいます。下地が腐食してしまうと改修を行うのは非常に大変です。そのため、早期にウレタン防水を再施工するようにしましょう。
4.雨漏り
防水層がダメージを受けて雨漏りが発生している場合は、早急な対処が必要です。放置しておくと家全体にダメージが広がり、家の寿命が短くなってしまうので注意しましょう。
防水層に異常が見当たらない場合は、防水層の真下に位置する軒天や室内に雨水が侵入している可能性があるので、入念な点検を行って原因を判明させましょう。雨漏りの程度が軽い場合であっても、通気緩衝工法を用いて、水蒸気を逃がす措置を取ることがおすすめです。
施工される防水工事のうち、約46%を占めているウレタン防水ですが、FRP防水も同様に高い人気があります。どちらの工法を採用した場合もシームレスな仕上がりになり、施工箇所も限定されません。そのため、実際に防水補修工事を行う際に、ウレタン防水とFRP防水のどちらが採用されているのかわからなくなってしまう方も多いでしょう。そういった際は、それぞれの特徴や違いを確認して、見分けられるようにしてください。
1.防水層の感触
ウレタン防水の特徴は防水層が柔らかく、弾力性があることです。そのため、防水層を押すとゴムのような感触がします。また、爪で押してみると少し爪痕が残るので、柔軟性があることがわかるでしょう。強く押しすぎると防水層がダメージを受けてしまうのでご注意ください。一方でFRP防水は繊維強化プラスチックでできているので表面を押しても硬く、爪痕も残りません。
2.防水層を見る
また、陸屋根や広いバルコニー等にはFRP防水を施工できない点にも注意しましょう。硬質なFRP防水を、地震等によって大きな動きが発生しやすい広い面積に施工するとひび割れが発生しやすくなってしまいます。このようにそれぞれの防水工事には向き不向きが存在するので、現在施工されている防水工事を正確に把握した上で、適正な補修工事を行ってください。
見分け方に不安がある方、ウレタン防水工事の具体的な施工方法について知りたい方は、お気軽に街の外壁塗装やさんへ無料点検をご依頼ください。
街の外壁塗装やさんの無料点検ではベランダやバルコニー、陸屋根の点検に加えて屋根や外壁の点検も行っています。ベランダやバルコニーから雨漏りが発生している場合、防水下地だけではなく、外壁もダメージを受けている可能性があります。その場合は塗装を行っても改善されず、損傷部分全体にアプローチを行わないと根本的な解決にはなりません。まずは防水層から発生している雨漏りを補修してから、建物全体のメンテナンスを行ってください。
- ウレタン防水は50年以上の歴史を持つ、人気の高い塗膜防水(メンブレン)工法です。
- 継ぎ目がなく凹凸面にも施工可能なウレタン防水は、様々な場所に採用でき、多数のメリットがありながら維持コストも安価です。
- ウレタン防水を均一に塗布するのは難易度が高いので、信頼性できる高い技術力を持った業者に工事を依頼しましょう。
- 施工箇所の劣化状況に合わせて密着工法と通気緩衝工法を使い分けて、正しい方法で補修を行いましょう。
- 約5年ごとにトップコートの再塗装を行うことで、防水層の寿命を伸ばすことが可能です。浮きや剥がれ、亀裂が発生している場合は早急にメンテナンスを行ってください。
- ウレタン防水とFRP防水の違いを見分ける際は感触や見た目を確認しましょう。適正に見極めることで正確な補修を行うことができます。
- ウレタン防水には様々なメリットが存在します。正しく施工やメンテナンスを行うことで、大切なお住まいに長く住み続けられるでしょう。メンテナンスをご検討の際は是非、街の外壁塗装やさんの無料点検をご活用ください。