
富里市根木名にお住まいのO様より、「軒天と破風板の補修をお願いしたい」とご相談をいただきました。軒天と破風板は住宅の付帯部に分類される部位ですが、どちらも高所の場合は足場仮設工事が欠かせません。その為屋根や外壁の様子を見て必要に応じたメンテナンスを同時に行うことがオススメです。私たち街の外壁塗装やさんでは塗装だけでなく外装の補修等も承っております。今回は無料点検の結果に合わせ、長期的に無駄のない補修方法をご提案させていただきました。
ビフォーアフター





工事基本情報
点検の様子


調査にお伺いさせて頂いたのは富里市根木名の2階建て住宅です。棟違いとなった切妻屋根に合わせ下屋、外壁の色から洋風なイメージを感じるお住まいです。屋根材は化粧スレート、外壁は窯業系サイディングですが、屋根材に関しては塗膜の劣化に伴い苔の繁殖がみられました。
塗膜剥がれが気になる破風板

今回修繕をご検討されたきっかけでもある破風板です。破風板は鼻隠しとつながるように取り付けられていますが、雨樋が設置されている部分を鼻隠し、取り付けられていない場所が破風板となります。現在は劣化しにくい樹脂製や金属製を使用することの多い破風板ですが、以前は木材が主流でした。ただ木材は何度塗り直しても塗膜が剥がれやすい傾向があるため、今回のように塗膜が剥がれ素地が露出してしまっているお住まいは多いのではないでしょうか?
ちなみに塗膜がこのようにペリペリと剥がれている場合は、造膜型の塗料を使用しています。ウッドデッキ等に使用されることの多い浸透型塗料は剥がれることはありませんが、劣化は比較的早いですので、どちらの塗料を使用するかはしっかり検討していきましょう。


軒天は外壁よりも外側に出ている屋根材の裏に設置されるボード部分です。多くのお住まいが白系の色ではないでしょうか?妻壁と呼ばれる三角部分の軒天も白いボードが貼られていますが、経年により表面が剥がれてしまっているようです。こちらも現在は耐久性に優れた石膏やフレキシブルボードを使用することが多いのですが、ベニヤや合板というお住まいも少なくないかと思います。
軒天自体は屋根の裏側ですので雨水に触れる機会は少ないのですが、湿気が劣化を促す恐れがあります。また強風が吹き上げることでボードが剥がれ落下してしまう事故も発生してしまいます。軒天は元来、住宅構造を隠すために設置されていますが、小屋裏と直結しています。
軒天が剥がれることで鳥や小動物が入り込み棲家にしてしまうこともありますので、早急に補修しておく必要があります。表面が少しでも剥がれていれば塗装で改善できませんので、増し張りや張替を行いましょう。


補修をご希望されている軒天と破風板はお住まいの形状、高さをみても足場仮設を行わなければ補修ができません。予算が許す限りはこの機会に屋根と外壁の塗装工事を行うべきです。外壁は若干の色あせや塗膜剥がれがあるものの、目地の劣化等がそれほどみられない為今回は見送っても問題ありません。ただし屋根はしばらくメンテナンスされていないという事でしたので、今回を機に屋根塗装メンテナンスを行っていこうと思います。
ご提案内容
今回作成させていただいたお見積りは以下です。高所作業の際には足場が欠かせませんが、工事後に残るものでないのに10~20万円ほどはかかってしまいます。だからこそメンテナンスは一度にまとめたほうがお得なのです。
また屋根塗装も合わせて行いますが、どちらかというと軒天・破風板の修繕に費用が掛かっています。破風板は塗装で保護することも可能ですが、今後も塗膜剥がれを起こす可能性があることから今回はガルバリウム板金でのカバー工事を行います。工事の様子は後程ご紹介しますが、錆びにくく高耐久な板金で包むことで木材の劣化も防ぎ、今後のメンテナンスサイクルを延ばすこともできます。
品番・品目 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
足場仮設工事 | 144,000 | ||||
足場仮設 | 170.0 | ㎡ | 700 | 119,000 | |
メッシュシート | 1 | 式 | 25,000 | ||
屋根塗装工事 | 184,580 | ||||
高圧洗浄(90~120圧) | 1 | 式 | 20,000 | ||
タスペーサー | 63.3 | ㎡ | 350 | 22,155 | |
下塗り | 63.3 | ㎡ | 450 | 28,485 | シーラー |
中塗り~上塗り | 63,3 | ㎡ | 1,800 | 113,940 | シリコンベスト |
外装工事 | 337,700 | ||||
破風板板金巻 | 22.2 | ㎡ | 5,000 | 111,000 | |
破風板補修 | 1 | 式 | 7,500 | ||
新規軒天 | 21 | 枚 | 800 | 16,800 | ケイカル板 |
副資材 | 1 | カショ | 50,000 | 垂木材・ボンド等 | |
軒天補修工事 | 3 | 人工 | 28,000 | 84,000 | |
発生廃材処分費 | 1 | 式 | 20,000 | ||
新規棟板金 | 8.8 | m | 4,500 | 39,600 | SUSビス |
新規貫板 | 8.8 | m | 1,000 | 8,800 | 木材 |
軒天塗装工事 | 90,000 | ||||
軒天(2回塗り) | 1 | 式 | 90,000 | ケンエース | |
初回訪問時のアンケート
工事開始前の確認


今回屋根塗装を行うにあたり仕上がりの色をお選びいただきました。外壁に近いグリーン系、グリーンの外壁に近いブラウンかでお悩みでしたので、実際に施工を行った完成写真等を見ていただき色を決めていただくことになりました。塗料によって艶や発色、微妙な違いもありますのでグリーンやブラウンと一言で言っても選択肢はたくさんです。
こちらも日の当たり方や天候で色の感じ方が違いますのであくまで参考にしかなりませんが、今回はトリノブラウンを使用することといたしました。
施工の様子~竣工まで


まずは足場仮設です。着工したのは2月ですので雪がちらついていた時期でした。寒い中、単管を滑り落とさないよう慎重に作業を進めていきます。足場は外壁より80㎝程離れた場所に立てていくのですが、カーポートや樹木など設置場所にちょうどかかるようなものがあれば撤去することがあります。今回カーポートは住宅から少し離れていましたので撤去はせず、仮設工事を進めることが出来ました。
屋根の様子です。雪が少し積もっていましたので滑らないよう気を付けます。この程度の雪であれば特に問題有りませんが、異常気象の多い現在は多雪対策に雪止めを検討しておくべきでしょう。化粧スレートであれば後付け雪止めも可能ですが、金属屋根材やアスファルトシングルは後付け雪止めが設置できないケースが多い為、施工時点でどうするべきかを決めておきましょう。

スレート屋根材では頂部を保護できない為、棟板金を取り付けています。棟板金は貫板と呼ばれる下地木材を屋根面に取り付け、貫板を下地に棟板金を固定する構造です。が、風で板金が揺れたり経年で貫板が腐食することで固定が出来ず、強風時に一気に飛散してしまうこともあります。そうならないように定期的なチェックを行う必要があるのですが、釘が浮いていたり今回のように指が入るような隙間がある場合は、既に貫板が傷んでいる可能性が高い為交換で対応しましょう。
交換時には下地貫板と板金合わせて取り替えますので、今後10年近くは飛散のリスクも下がります。また木材の貫板が強度的に心配という方は、プラスチック樹脂製の貫板に変更することも可能ですので、お気軽にご相談ください。


作業開始前の状態です。屋根塗装時には高圧洗浄を行いますので、必ず飛散防止用のメッシュシートを取り付けます。
化粧スレートは築年数の経過で苔やカビが付着していました。こうなるのは新築時、もしくは塗装メンテナンス後の塗膜が劣化したことで起こります。苔や藻が付着するということは屋根材が吸水しているという事ですので、このまま放置すれば屋根材の劣化はどんどん進行してしまいます。また吸水・乾燥を繰り返すことで屋根材自体も割れやすくなってしまいますので、傷む前のメンテナンスが非常に重要です。
苔や藻が屋根材を傷める原因に

スレート屋根材の中でも小口と呼ばれる端部は特に傷みやすい部位です。実際に吸水によって藻が小口に繁殖してしまっています。これらは雨水の流れを妨げ滞留させ、常にじめじめとした状態にし続けます。陽の当たる南面であれば全く乾燥するのですが、北面だけ黒い雨染みがある、コケが緑色というお住まいも少なくないと思います。


塗装を行う前にまずは苔や藻をしっかり洗い流していきます。家庭用の洗浄機よりも更に高い水圧で流すため、頑固にこびりついた汚れもしっかり綺麗に落ちます。洗浄が終了した後は屋根面が真っ白になっています。
これは屋根材を保護していた旧塗膜も一気に削り落とされたことで屋根材の素地が出ているのです。屋根材を守るものが何もない為一番脆弱な状態ですが、これから下塗り・中塗り・上塗りの計3回塗りを行う事で屋根材を綺麗に強固に保護していきたいと思います。


まずは化粧スレートに欠かせないタスペーサーの設置です。屋根材の小口に1枚あたり2か所差し込んでいきます。既にご存じの方も多いと思いますが、タスペーサーの役割は毛細管現象防止です。薄い形状のスレートは塗装によって屋根材間の隙間が埋められてしまいます。すると屋根材内部に雨水が滞留し、毛細管現象が起き雨漏りに発展してしまいます。そうならないよう皮スキ等で屋根材間の隙間を切る【縁切り】という作業を行うか、タスペーサーで【隙間を空けておく】必要があります。
コストを考慮して縁切りを行う業者もいるとは思いますが、現在ほとんどの業者がタスペーサーを使用していると思います。塗りたての綺麗な屋根の上にまた上って作業を行えば、仕上がった屋根が汚れる可能性もありますし、縁切りで作った隙間が塞がらない保証はないからです


今回使用する屋根塗料は日本ペイントの水性シリコンベストⅡです。防藻・防カビ性に優れた化粧スレートの塗り替え用塗料で、対UV性・耐候性が強化されています。まずは水性シリコンベストⅡと相性の良い水性ベストシーラーで下塗りを行います。塗った部分は水で濡れたように濃くなるだけに見えますが、シーラーは屋根材と塗料の密着性を高める非常に大事な役割を担います。塗り残しが無いよう綺麗に塗りこんでいき、しっかり乾燥させます。


続いて中塗り・上塗りで希望の色に着色していきます。仕上げ塗料の1層目だけでも綺麗に仕上がりますが、乾燥後は吸い込み等で色ムラが起きます。また塗膜の厚みも十分でない為、必ず2層目もまんべんなく塗っていきます。
屋根塗装工事完了

屋根塗装工事完了です。苔や藻が気になっていた状態から高圧洗浄ですっかり素地が露出していた屋根材ですが、塗装を行い艶を取り戻しました。今回使用した塗料はシリコングレードの塗料ですので次回の塗り替えは10年後です。この間ノーメンテナンスではありません。棟板金に浮きがみられないか、屋根材に割れが発生していないか等注意深く確認していきましょう。


続いては軒天です。表面が剥がれしわが生じてしまっていますので、増し張りか張替で軒天材を変更する必要があります。部分的な破損等であれば段差ができないよう部分張替を行いますが、全体のメンテナンスとして増し張り工事を選ばれる方は多いです。今回はベニヤからケイカル板へ変更するため増し張りを行います。


ケイ酸カルシウム板の略、ケイカル板は不燃材料で石膏ボードが苦手な水回りや半外部(水はかからないものの外気に触れるような場所)にも使用することが出来る材料です。住宅の延焼を防ぐ役割を持つ軒天にはまさに最適な材料ですが、そのままでは吸水してしまうため施工後に塗装で仕上げていきます。今回は外壁に近い色でしあげたいという想いから、色見本帳で確認して色を選定しました。もちろん塗装を行わない外壁に塗料が付着しないようマスキングテープで養生を行い液垂れがないよう慎重に仕上げていきます。


続いては破風板です。ガルバリウム鋼板製の板金を破風板の幅でカットし、加工をしていきます。もちろんこの段階で既存破風板自体が腐食していれば固定すらできませんので、あらかじめ補修は必要ですが、一度カバー工事を行えば長期にわたって色あせ・腐蝕のない状態を維持することができます。


屋根とのわずかな隙間から雨水が入り込むことが無いよう加工した板金を取り付けしっかり固定していきます。冒頭で破風板と鼻隠しがつながっているとお話しさせていただきましたが、板金カバーの際には注意が必要です。鼻隠しには雨樋がついていますので、板金カバーを施工するにあたって雨樋と金具は外さなければならず工事費用も嵩んでしまうからです。そこで今回は特に塗膜剥がれが目立つ破風板のみ板金カバーを行い工事は完了です。色も鼻隠しと違いが出ないようブラウンで統一して仕上げました。
破風板板金カバー工事完了

工事後のご感想
工事を行うにあたって、軒天や破風板の補修のみを行ってくれる業者がいるのか不安を感じられたそうです。またそれに伴い支払い方法に融通が利くのか等、気になる事が多くあったようです。私たち街の外壁塗装やさんはどんなに軽微な補修工事も承っております。また屋根工事等は突発的に必要になる事もあるため、費用を賄えないというケースもございます。その場合はリフォームローンのご提案もさせて頂きますので、どうぞお気軽にご相談ください。

今回普段手がかけられない屋根や軒天、破風板の補修を行ったことでしばらく補修の心配もなくなりました。今後は定期点検に合わせてお伺いいたしますので、気になる事・不安点等ございましたらお気軽にご相談ください。





工事完了後のアンケート
記事内に記載されている金額は2020年12月03日時点での費用となります。
街の外壁塗装やさんでは無料でのお見積りを承っておりますので、現在の詳細な費用をお求めの際はお気軽にお問い合わせください。
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