使用している屋根材は化粧スレートです。築15年との事で塗膜がすでに劣化し始めているようで、全体的に色褪せた印象を受けます。化粧スレートは塗膜によって紫外線や風雨などの影響から劣化を抑える働きがありますが、塗膜が弱まった状態では紫外線や風雨の影響を受けやすくなってしまう為、劣化が早まってしまいす。

　苔や藻の繁殖はまだそれほど多くなく、遠目にはまだ比較的きれいな状態を保っているように見えますが、日照時間の少ない北側の面を見てみますと、全体的にうっすらと苔が繁殖しはじめているのがわかります。塗膜が劣化して防水機能を失った状態といえますが、このタイミングで高圧洗浄を行い塗装し直せばスレート材もまだまだ長持ちするでしょう。

　スレート自体は全体的に良好な状態を保っていますが、一部でクラックが入っている個所がございました。劣化からくるクラックではないですので、ひび割れた部分をシーリングで補修すれば大丈夫でしょう。
　また棟板金を見てみますと、強風に煽られたのか、わずかに浮いた釘が確認できました。棟板金自体は、錆などの症状もなく、棟板金自体の状態は悪くないようです。
　調査の結果、屋根と付帯部分の塗装工事、スレートの亀裂の補修工事を承りました。

　まずは足場の仮設工事を行い、安全と飛散防止用のメッシュシートを足場へ取りつけます。
　工事の準備が出来ました。まず最初に上階から高圧洗浄を行います。屋根の汚れやカビ、苔などをきれいに洗い落としていきます。高圧洗浄を行いますと表面の汚れだけでなくこびりついたカビや苔、さらには古い塗膜も削ぎ落していきます。ただあまり水圧が強すぎると屋根材を傷めてしまいますので、洗浄する場所に合わせて水圧を調整を行いながら洗浄していきます。

　スレートの苔や汚れを綺麗に落とし終えたら屋根の補修にかかります。亀裂に沿ってシーリングを塗布し、亀裂内に注入していきます。厚塗りをすると、雨水の流れを邪魔してしまいますので、丁寧かつ慎重に塗布していきます。亀裂全体に注入し終えたらコテで表面を平らにならします。

　塗装は下塗り専用塗料を使用した下塗りと、仕上げ塗料を使用した中塗り、上塗りの合計３回塗装いたします。下塗りはスレート表面と仕上げ用の塗料との密着性を高める為、下塗り専用の塗料を使用します。
　まずは下塗りを行います。今回使用する塗料は日本ペイントのサーモアイシーラーです。遮熱性の非常に高い下塗り用塗料です。夏の暑さをしのぐのには最適な塗料です。
　スポンジタイプのローラーでムラなく塗っていきます。色は仕上げの色にかかわらず白になります。

　下塗りを塗装後、屋根材同士の隙間にタスペーサーを設置していきます。タスペーサーというのはスレート材とスレート材の間に差し込む具材で、スレート材の間にあえてと隙間を作り、屋根材の下に入ってしまった雨水を排出する「逃げ道」を作る役割を担います。こうすることで下地へ雨漏りするのを防ぎます。

　下塗り塗料が十分に乾いたら仕上げ塗装にかかります。今回使用しているのは日本ペイントのサーモアイ４Ｆです。カラーはクールナポリブラウンです。サーモアイ４Ｆは非常に高い遮熱性が特徴で、耐久性、耐候性に優れています。仕上げ塗装は中塗り、上塗りの２回重ねて塗ります。一度だけの塗装では塗り斑が起こる可能性もあり、塗膜が薄くなって耐久性も落ちてしまいすぐに剥がれてしまいますので、きちんと乾燥させて重ね塗りを行い、塗膜に厚みを持たせるることで塗料が持つ本来の性能を発揮しますので、しっかりと塗装をおこないます。

　やや毛足の長いローラーを使用し、白い下地塗料を覆うように隅々まで丁寧に塗っていきます。
　続いて棟板金を塗装していきます。同じ塗料で塗っていきます。細部は刷毛を駆使して斑なく塗っていきます。

　一度乾燥させて、上塗りを行います。再度同じ塗料で塗ります。二度目の仕上げ塗装を行い、塗膜に厚みを持たせます。仕上げで2度塗りすることによりメーカーが期待する耐久性、耐候性を発揮いたします。
　塗装工事の完了となります。塗膜に充分厚みが出て光沢が増し、とてもきれいに生まれ変わりました。

　軒天や雨樋といった、付帯部分も塗っていきます。使用する塗料はケンエースG2です。洗浄を行った後、ホワイトで軒天をローラで丁寧に塗っていきます。雨樋は刷毛を使用して塗っていきます。こちらは使用した塗料はファインパーフェクトトップです。これでスレート屋根、ならびに付帯部分の塗装工事が完了いたしました。充分に乾燥させた後、最後に複数スタッフにより最終確認を行い、塗装後の塗り残しや色ムラなどをチェック・補修し、工事完了となります。
　そして最後はお客様にご確認いただき、工事竣工となります。

　十分な塗膜の厚みを得て、とても艶やかで美しく仕上がりました。お客様も大変ご満足いただけたようです。やはり10年から15年で定期的にメンテナンスを行いますと、屋根や外壁の劣化を最小限に抑える事ができ、最終的にはリーズナブルにお住まいを維持することができます。お住まいの点検・メンテナンスは、街の屋根やさんに一度ご相談ください。