へーベルパワーボード、ALCの外壁塗装工事を承りましたのは、船橋市のお客様邸です。
ALCと聞くと、あまり馴染みのない外壁材とも思えますが、実は様々な建物に使用されています。
高性能ですが、メンテナンス上に注意点がありますので、今回は綺麗にするだけでなく、塗装保護によって素材自体の性能維持を目指しましょう。
ビフォーアフター
工事基本情報
新築時に綺麗だった外壁も、時が経てば徐々に色褪せたり、汚れの付着が目立つようになります。
見た目の問題から、塗装を検討する方もいらっしゃるかと思いますが、塗装を行った方が良い時期があります。
更に、お住まいの外壁材に適したメンテナンスを怠ると、見栄えどころか、素材本来の性能が低下してしまうこともあります。
今回はALC外壁の特徴と、塗装の重要性についてご紹介していきたいと思います。
メンテナンスのご依頼を頂いたのは船橋市のお客様邸です。へーベルハウスで建てられた、ALC外壁です。
ALCを簡単に言うと、軽量コンクリートの事を指します。サイディングやモルタルと比べて、あまり耳にしたことがないという方もいらっしゃると思いますが、実は1920年代にスウェーデンで開発されていますので、歴史の長い外壁材です。
旭化成では1960年代に技術導入し生産を開始していますので、日本で普及され始めるのはその後ですが、決して新しい外壁材という事でもないようですね。
ALCの特徴
主成分はセメント・生石灰・アルミニウム粉末等です。これらを固めて高圧の蒸気をかけて養生します。
この中でセメント等が水と反応し、アルカリ成分を発生させ、それがアルミニウムと化学反応を起こすことで、水素ガスを発生させます。
この水素ガスが外壁材内部に無数の気泡を作ることで、軽量化が図れるのです。
どの程度の軽量化というと、通常のコンクリートのおよそ1/4です。
外壁材や屋根材の軽量化は、住宅への負担が軽くなり、耐震性の向上にも繋がるということで、ALCに限らず非常に注目されています。
では軽くなった分、性能が落ちるのかというとそうではありません。コンクリートの持つ、高い遮音性・耐火性・耐久性・耐熱性はそのままです。
更に内部気泡の空気が層を作ることで、熱の伝わり方を抑え、夏は涼しく冬は暖かい断熱性能と、調湿性能も持っています。
たくさんの高性能をもっていますので、新築時に「ALCで建てたい!」と思う方も多いのではないでしょうか?
メリットがたくさんある外壁材ですが、もちろんデメリットも存在しますので紹介していきます。
ALCの弱点は水を吸い込みやすい事です。
どのような外壁材も、主原料がセメントということもあり水には弱いのですが、ALCは特に多孔構造から吸水性が高いです。
内部の気泡に水が入り込み、寒さにより水が凍結すると内部で水が膨張し、ヒビ割れ・剥離の原因にもなります。
ALC自体に防水性はない為、水を吸い込ませないようにするためには、表面の塗膜保護に頼るしかありません。
つまり、塗料の寿命がALCの耐久性までも繋がってしまいますので、塗装メンテナンスの重要性がお分かりいただけましたか?
もう一つのデメリットは、新築時に他の外壁材よりも費用がかかる点です。
しかし、多くのメリットを理解し、適切なメンテナンスを行うことが出来れば、長く安心して生活が出来るお住まいになるかと思います。
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塗膜が劣化すると、色褪せはもちろん、コケや藻が付着しやすくなり、全体的に見栄えが悪くなります。
定期的に掃除をしているにも関わらず、以前よりも汚れが落ちにくくなったという場合は、塗膜が正常に機能していないことが考えられます。
これは外壁だけでなく、他の部位にも言えます。
ALCのメンテナンスサイクルは10年程度と言われていますが、方角によっても汚れやすさは違います。
北側などの最も汚れが目立つ面を基準に、塗装を検討すると良いと思います。
ALCのもう一つの注意点は「目地」です。ALCはパネルを組み合わせて外壁を仕上げています。
その為、サイディングのように継ぎ目があり、充填されているシーリングの補修が必要となります。
シーリングのひび割れ・亀裂・肉痩せが見られる場合は、雨水の浸入を起こす恐れがありますので、速やかに補修を行いましょう。
左画像は目地の劣化に見えますが、右画像は目地とは関係の無い外壁部分の亀裂です。
このようなヒビを発見した場合、少なからず雨水が入っている可能性がありますので、メンテナンスのサインです。
手遅れにならないように日頃から確認し、早い段階で塗装工事を検討しましょう。
こちらは玄関のドア枠です。雨水の捌けが悪いのか、下端が腐食してしまっていました。
このままでは更に雨水が入り込み、状態を悪化させるだけです。
弊社では塗装はもちろんですが、外装全体のメンテナンスも承っておりますので、気になる箇所はあわせてご相談ください。
まとめて補修を進めていきますので、ご安心ください。
屋根は陸屋根で、最近シート防水を再施工したようでしたので、問題はないでしょう。
ALC住宅で雨漏り等を起こし、内部に雨水が浸入している場合は要注意です。凍結以外に外壁材の耐久性を著しく低下させてしまうからです。
屋上や屋根を確認し、問題がないと判断した上で外壁塗装工事を行っていきましょう。
カラーシミュレーション
塗装メンテナンスをするからには大事なのは仕上がりです。一度塗装を行うと、10年程度はお付き合いしていくことになりますので、しっかりと吟味し決めていきましょう。
弊社では、カラーシミュレーションを用いて、お客様に完成イメージをご提案させて頂きます。
普段見ない色を見ることで、選択肢の幅が広がり、完成までがより一層お楽しみいただけるかと思います。
お住まい次第で2色塗り分けも可能です。外壁に3色を使用すると少しごちゃごちゃとした仕上がりになってしまいますので、使用色を同系色にする等、見栄え良くするためのご相談はお気軽にお申し付けくださいませ。
奥様とご主人様のご意見をしっかりと取り入れて、決めました。
わずかな色の違いは、カラーシミュレーションでは難しい物です。ある程度仕上がりのイメージが固まってきたら、見本板を取り寄せ色を見比べて頂く流れになります。
また遠目からお住まいをみると、お隣や近隣のお住まいとの色のバランスも確認しやすくなります。
このようにお客様のご希望に合わせて、数パターン作成することも可能ですので、何なりとおっしゃってください。
今回は、日本塗料工業会の見本帳から選んだ92-80Hと15-40Dの2色を使用し塗装を行っていきます。
どのような仕上がりかは施工の紹介でご覧ください。
外壁塗装工事
では塗装工事を行っていきます。あらかじめ近隣にお住まいの方へご挨拶をさせて頂き、足場を組んでいきます。
足場は住宅の外装工事を行う場合に必須となります。完成後には解体するため後には残りませんが、1軒丸ごと組むとなると決して安くはない費用が掛かってしまいます。
その為、このタイミングで外装で気になる破損等はしっかりと補修していきましょう。
塗装工事や屋根工事を行う場合は、埃や水の飛散が考えられます。施工前に飛散防止用のメッシュシートをかけて、ご迷惑とならないように工事を進めていきます。
屋上(陸屋根)は最近シート防水を再施工をされたようですので、補修は不要です。
しかし汚れが溜まりやすい為、高圧洗浄で綺麗に洗い流していきます。このように弊社では、実際に工事を行わない場所でも、洗浄が可能な場所は作業をさせて頂きます。
全て綺麗に洗うことで、気持ちもスッキリ!仕上がりも綺麗になり気持ちが良いですね。
外壁は塗装を行うため、汚れや旧塗膜を残さず念入りに流していきます。
洗浄を行ったが為に、漏水を起こすようなトラブルが無いように、ひび割れや腐食部分に関しては、補修工事を行ってからの洗浄を行います。
ALCのひび割れには、エポキシ樹脂を注入し漏水を防ぎます。
今回使用したスムースエポは、本来補修にUカットやVカットを必要とするクラックにも、奥まで注入することが出来る為、カットなしで同等の効果が期待できます。
高弾性の為、どのような素材にも追従し二次劣化を起こさせません。
またこのような製品の中に、弾性力を高める為に「可塑剤」を含む製品もございますが、施工後数年で成分が染みだし、外壁材を黒く汚してしまう可能性があります。
しかし、スムースエポはノンブリードタイプ(黒ずみが起きない)ですので、下地の補修にはもってこいです。
補修後のクラックです。これ以上の被害を抑えることが出来ました。小さなひび割れ程度であれば、塗料で隠すことはできますが、根本的な解決にはなかなか至りません。
適切な補修をしたうえで塗装を行った方が、非常に綺麗に耐久性を維持することが出来ます。
塗装前には、塗装を行わない箇所へビニールなどで養生を行います。
一見簡単そうな作業に見えても、住宅全体の養生処理は時間もかかり、塗装の工程で養生をし直す場合もあります。
養生を行うと、工事完了までは窓が開けられなくなってしまいます。施工中にご希望があれば対応が可能ですので、お伝えください。
目地補修
パネル状の外壁材(サイディングやALC外壁等)を使用しているお住まいは、パネルの継ぎ目、目地の補修が大事です。
高耐久な塗膜で保護をしたとしても、目地が劣化していれば雨水の浸入が起こる可能性がある為です。
増し打ちよりも打替えの方が、目地の耐久性が上がる為、築年数を考慮し打替を行っています。
既存のシーリングを撤去し、プライマーを塗り密着性を高めてからのシーリング打設です。奥までしっかりと充填させることで、パネルの継ぎ目を埋めるだけでなく、住宅の揺れで外壁が割れてしまう現象を防ぎます。
ALCはサイディングと比べてパネルの1枚が小さい為、目地の補修には時間がかかります。
打設後は手で触れる位硬化させなければ、次の施工が出来ません。
塗装はお客様の想像よりも手が込んでいて、難しい施工なのです。
硬化するまでは軒天等、外壁とは関係のない場所を進めていきます。
外壁に当たった風が上ることで湿気がこもりやすい軒天は、通気性の高い塗料を使用していきます。
外壁塗装は3回塗りで希望の色に仕上げていきます。
が、1回目の下塗りは下地調整の役割を果たしますので、色はクリアーやホワイトで仕上がりとは関係のない塗料です。
だからと言って抜くことが出来る工程ではありません。
今回使用する菊水化学工業のソフトリカバリーは、微弾性塗料で外壁のわずかなひび割れに追従します。
また、下地の吸い込み止めも行いますので、中塗りからは綺麗に仕上がっていきます。
外壁塗装工事
下塗り完了後、中塗りです。
仕上げ塗料での塗装ですので、お客様のご希望の色に近づいていきますが、1回では均一に、完成色に仕上がりません。
最低でも2回塗り重ねなければいけませんので、2回塗りで大丈夫!という言葉を鵜呑みにはできません。
中塗り・上塗りを行えば、外壁にも艶が蘇り新築の頃のような見栄えが復活します。
使用塗料は水系ファインコートシリコンの、ピンク部分が92-80H、ブラウン部分が15-40Dです。
バルコニー部分のみを濃いブラウンにすることで、印象が重たくなりすぎず、重厚感を与え、引き締まったような外壁になりました。
付帯部塗装工事
残りは付帯部と呼ばれる、お住まいに取り付けられた雨樋や霧除け等の塗装です。
鉄部の塗膜は劣化すると、色褪せというよりも密着性が悪くなり、剥がれを起こすことがあります。
この状態に上から塗り重ねてもすぐに剥がれてしまいますので、旧塗膜はしっかりと剥がしてから塗装を行う必要があります。
鉄部は錆が目立っていることもあるでしょう。
補修の際にはこれ以上錆の拡大が起こらないように、錆止め塗料で錆の腐食・拡大を防いでいきます。
その後、希望色で塗り替えて仕上げていきます。
鉄部の階段もありますが同様です。錆や塗膜を残さないように、ペーパー掛け等で下地を綺麗にしてから塗装を行います。
綺麗な状態であっても、塗膜が密着するための表面積を広げるために、ペーパー掛けであえて傷をつけます。
玄関枠の腐食は、雨水が入り込み更に事態を悪化させてしまいます。
そこで腐食部分を清掃後、補修材で埋めてから塗装で仕上げていきます。
鉄は確かに頑丈な素材ですが、錆が発生するとたちまち腐食が進行してしまいます。
その為、錆が起こらないようにメンテナンス、いざ発生した場合はこれ以上の被害拡大を防ぐ措置を行う必要があります。
最後に細かな部分補修です。
ベランダ手摺のアルミは塗装が出来ませんが(塗装自体は可能ですが、すぐに剥がれる恐れがあります)、継ぎ目を作ると、雨水が浸入し内部が腐食する可能性があります。
ジョイント部分は同色のシーリングで防水処理を行いました。
完成間近でメッシュシートも取り外しました。細かな手直しを行い、塗装のムラや塗り残しがないように、チェックを怠りません。
施工時に雨が続き、色ムラが発生してしまっていました。もちろん、塗り直しでムラをなくし綺麗に仕上げました。
塗装後の確認です。今までの外壁の色は何色だったのか思い出せないほど、お住まいの印象が明るくなりました。
外壁の仕上がりはもちろんですが、目地やサッシ周りの補修も行っていますので、雨水の浸入もなく安心して住めるお住まいになりました。
工事を終えて
外壁塗装工事が完了し、お客様のご希望の色に仕上がり大変満足されていらっしゃいました。
今までの色をガラリと変更するには、勇気がいると思います。カラーシミュレーションでイメージを把握し検討したことで、様々な挑戦も出来るかと思います。
色や塗料の相談、外壁塗装の費用や施工に関してのご質問、無料点検のご依頼等、気になる点がございましたらお気軽に街の外壁塗装やさんへご連絡ください。
お客様の外装リフォームを精一杯お手伝いさせていただきます。
記事内に記載されている金額は2019年12月05日時点での費用となります。
街の外壁塗装やさんでは無料でのお見積りを承っておりますので、現在の詳細な費用をお求めの際はお気軽にお問い合わせください。
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