
江戸川区東小岩にお住まいのH様邸にて、屋根・外壁の塗装工事を実施いたしました。
今回はその施工の様子をご紹介いたします。
工事のきっかけは、「近所の同じ築年数の建物で屋根・外壁のメンテナンスが行われているのを見て、自宅も点検や見積もりをお願いしたい」とのご相談でした。
そこで調査にお伺いしました。
調査の結果、築8年ということもあり、外壁全体には目立った塗装の劣化は見られませんでした。
しかし、隣家と接する部分では日当たりが悪く、塗料の防汚性や撥水性の低下により、カビや苔の発生が確認されました。
外壁材は塗膜によって保護されていますので、塗装の劣化を放置すると外壁自体の劣化が進み、将来的に修繕費用も増大してしまいます。
また、シーリング材にも柔軟性の低下などの経年劣化が見られ、築年数を考慮するとメンテナンスが必要な状態でした。
屋根についても、塗装の色あせなどの経年劣化に加え、数枚のスレートにはヒビ割れが確認されました。
スレート屋根は塗装によって保護されているため、メンテナンスを怠ると屋根材の劣化を早める原因となります。
これらの調査結果を基に、H様には屋根・外壁塗装工事のご提案をさせていただきました。
メンテナンスの重要性をご理解いただき、工事をお任せいただくこととなりました。
使用材料
エスケープレミアム無機ルーフ、エスケープレミアム無機

まずは外壁の調査から行いました。
今回使用されている外壁材は、窯業系サイディングです。
窯業系サイディングは、セメントや繊維質、混和剤などを混ぜ合わせて作られた外壁材で、防火性や強度に優れているのが特徴です。
戸建て住宅によく使用される建材ですが、吸水性が高いため、表面の塗装やジョイント部分のシーリングによる保護が欠かせません。
既存の塗膜の状態を確認したところ、築年数が浅いためチョーキングは軽度でしたが、紫外線の影響により徐々に経年劣化が進行している状況でした。
チョーキングとは、外壁を保護している塗膜が劣化する現象のことです。
紫外線などによるダメージを受けると、塗料に含まれる顔料が分離し、塗膜表面に粉のように現れます。
この症状が見られる場合は、外壁メンテナンスのサインとなりますので、塗装工事をご検討されることをおすすめします。
さらに、右の写真のように外壁表面で塗膜の剥がれやひび割れが発生している場合、外壁が水分を吸収しやすくなり、劣化をさらに進行させる原因となります。

外壁の一部では苔の発生が確認されました。
日当たりの悪い場所や、塗装の劣化により撥水性が低下している部分では、水はけが悪くなり苔が繁殖しやすくなります。
苔は外壁に根を張って成長するため、外壁材の劣化を早める原因となり、注意が必要です。

外壁の調査で特に確認しておきたいポイントのひとつが、サイディング同士の間にある目地のシーリングです。
外壁材同士がぶつかって破損するのを防ぐため、目地という隙間にシーリング材が充填されています。
しかし、シーリングが経年劣化すると柔軟性が失われ、肉痩せが起きることでサイディングとの接着面が剥がれ、隙間が生じてしまいます。
こうした隙間から雨水が浸入すると、目地の下に開口部がある場合には雨漏りにつながる可能性があります。

使用されている屋根材はスレートです。
スレートは、セメントを主成分とした平板に塗装を施した屋根材で、耐久性と見た目の美しさを兼ね備えています。
ただし、
屋根材の表面塗装はおおよそ7~10年で劣化するため、定期的なメンテナンスが必要です。

屋根材の表面塗膜は、紫外線や雨風の影響により色あせが見られました。
塗料の色あせは劣化のサインであり、撥水性や低汚染性といった塗料本来の性能が低下していることを示します。
塗膜が劣化すると水はけが悪くなり、苔や汚れが付きやすくなるため、屋根の美観も損なわれてしまいます。

棟やケラバ板金付近のスレートには、数枚ですがひび割れが確認されました。
ひび割れたスレートの断面は塗装されておらず素地が露出しているため、雨水が浸入すると屋根材の劣化を早める恐れがあります。
しかし、全体的には大きな破損や著しい劣化は見られず、雨漏りにつながるような症状も確認されませんでしたのでご安心ください。
上記の調査内容をH様にご報告し、屋根・外壁塗装工事のご提案をさせていただきました。
高耐久塗料をご希望されていたため、屋根・外壁ともに無機系塗料での施工をご提案し、ご検討の結果、工事をお任せいただくこととなりました。
今回のお客様の屋根・外壁塗装工事の費用は、税込み1,350,000円で承りました。
施工金額は、施工範囲や使用する材料によって異なりますので、詳細についてはお問い合わせください。
屋根・外壁塗装工事の様子をご紹介します。
まずは、高圧洗浄による下地処理を行います。
高圧洗浄では、スレート表面に付着した汚れや旧塗膜を除去します。
すべての旧塗膜が剥がれるわけではありませんが、密着が弱くなっている部分はきれいに取り除くことが可能です。
屋根塗装は旧塗膜の上から塗料を塗っていくため、下地処理を丁寧に行うことが重要です。
この工程をしっかり行わないと、塗装がすぐに剥がれるなどのトラブルにつながる恐れがあります。

使用したシーリング材は、オート化学工業株式会社の「オートンサイディングシーラント」です。
こちらはサイディングへの使用を前提に設計されたシーリング材で、建材の動きに追従する柔軟性があり、耐久性や耐候性に優れています。
シーリング作業の様子をご紹介します。
窯業系サイディングの目地は打ち替えを行うため、まず既存のシーリングを撤去します。
サイディングの目地は「ワーキングジョイント」と呼ばれる可動量の大きい部分で、2面接着により施工されています。
シーリングを撤去する際は、カッターでサイディングとシーリングの接着面に切れ目を入れ、丁寧に縁を切ることで取り除くことが可能です。
撤去後は、目地周りを養生し、シールプライマーを塗布します。
シールプライマーは、シーリング材と下地の接着を良くする役割を持つ接着剤です。
プライマーを塗らずにシーリングを充填すると、接着面の剥離やブリード(シーリング材に含まれる可塑剤が表面に浮き出る現象)の原因となるため、非常に重要な工程となります。
プライマー塗布後は、30~60分ほど乾燥時間を設けた後にシーリングの充填と仕上げ作業を行います。
目地にシーリング材を充填した後は、専用のヘラを使って表面を整えます。
これにより、目地内部に隙間なくシーリング材を行き渡らせ、サイディングとの密着性を高めることができます。
使用する下塗り材は、エスケー化研の「水性SDサーフエポプレミアム」です。
こちらはサイディングの塗り替えに適した下塗り材で、上塗りに使用する「エスケープレミアム無機」との相性も良い材料です。
下塗りには、外壁と上塗り材との密着を高める重要な役割があります。
そのため、塗り残しがないよう外壁全体に丁寧に塗布します。
また、下塗り塗布後は十分な乾燥時間を確保する必要があります。
乾燥時間を守らずに施工を進めると、塗料本来の性能が十分に発揮されませんので、必ず時間を置いて作業を行います。
今回使用する塗料は、エスケー化研の「エスケープレミアム無機」です。
ハイブリッド技術により、無機成分の高い剛性と、有機樹脂の柔軟性を兼ね備えた塗膜を形成します。
色についてはH様とご相談のうえ、屋根には75-20D(紺)、外壁にはSR-161(クリーム系)をお選びいただきました。
中塗り・上塗りの様子をご紹介します。
今回の塗装では出隅部分で色分けを行うため、まずベースカラーの75-20D(紺色)から仕上げを進めました。
この工程では、上塗り塗料を2回に分けて重ね塗りします。
2回塗ることで仕上がりのムラを防ぎ、均一で美しい外観に仕上がるほか、塗膜に厚みが増すため耐久性も向上します。
75-20D(紺色)の塗装が完了した後、塗り分け部分の養生を行い、SR-161(クリーム系)の塗装に移ります。こちらも2回塗りで仕上げ、ムラのない均一な塗膜に仕上げました。
軒天や外壁の一部には、お客様のご要望によりエスケー化研「エスケープレミアム無機」の27-85V(黄)を使って塗装を行いました。
今回の塗装は色ムラもなく美しく仕上がりましたが、塗料の種類によっては仕上がりに色ムラが出やすい場合もあります。
雨樋やシャッターボックスの塗装には、クリーンマイルドシリコン(SR-161)を使用しました。
クリーンマイルドシリコンは弱溶剤系の塗料で、シンナーで希釈して使用します。
水性塗料に比べると多少匂いがありますが、密着性が高くさまざまな下地に適した塗料です。
耐用年数はおよそ12~15年とされています。
屋根塗装で使用する下塗り材は、エスケー化研の「マイルドシーラーEPO」です。
上塗り塗料によって下塗り材の種類は異なるため、使用する材料に応じた適切な下塗り材の選定が必要です。
この下塗り材も外壁と同様に、屋根材と塗膜の密着性を高め、塗膜の剥がれを防ぐ役割があります。
そのため、塗り残しがないよう丁寧に作業を行います。
下塗り後は、タスペーサーを設置します。
タスペーサーは、スレート屋根用の縁切り部材です。
屋根塗装の際に縁切りを行わないと、屋根材の重なり部分が塗料で密着してしまい、排水用の隙間がなくなってしまいます。
屋根材の裏に湿気や雨水が溜まると逃げ場がなくなり、雨漏りの原因となるため、縁切りは必ず行う必要があります。

屋根の上塗りには、エスケー化研の「エスケープレミアム無機ルーフ」を使用しました。
無機系塗料のため耐久性・耐候性に優れ、長期にわたって屋根を保護します。
色についてはH様と相談のうえ、カタログ番号RC-106(グレー系)をお選びいただきました。
中塗り・上塗りの様子をご紹介します。この工程では仕上げ用の塗料を使用して塗装を行います。
1回で塗装を仕上げようとすると、塗料の吸い込みによって色ムラが生じることがあります。
そのため、仕上げ塗装は中塗りと上塗りの2回に分けて丁寧に行います。
屋根・外壁塗装工事が無事に完了しました。
工事完了後はお客様にお立ち会いいただき、仕上がりをご確認いただいた上で問題がなければ施工完了となります。
今回の工事には、8年間の施工保証をお付けしております。
初回点検は1年後に行い、その後は隔年で外壁の状態を確認する点検にお伺いいたしますので、施工後も安心してお過ごしいただけます。
記事内に記載されている金額は2025年10月06日時点での費用となります。
街の外壁塗装やさんでは無料でのお見積りを承っておりますので、現在の詳細な費用をお求めの際はお気軽にお問い合わせください。
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