
「そろそろ塗り替えが必要ではないかな?」
今回ご相談いただいたのは、清水区にお住まいの築50年のレスコハウス(現・100年住宅)のお客様です。
長く大切に住まれてきたお住まいだからこそ、「今の状態は本当に大丈夫なのか」「まだ使えるのか、それとも手を入れるべきなのか」と不安になられるお気持ちはとてもよく分かります。
今回お任せいただいたのは、外壁塗装と陸屋根(ろくやね)の防水メンテナンス工事です。
※陸屋根とは、一般的な三角屋根とは違い、平らに近い形状の屋根のこと。レスコハウスではよく採用されている構造です。
建物診断を進める中で見えてきたのは、「単純な防水の塗り替え」では済まない、なかなか難しい状態でした。
今回の防水は、過去に一度ウレタン防水でメンテナンスされていました。
ウレタン防水とは、液体状の防水材を塗って継ぎ目のない防水層を作る工法で、住宅でもよく採用される防水方法です。
ただ、今回の防水面を確認すると、あちこちに膨れや浮きが発生していました。
これはおそらく、
- 下地(防水の下にある土台部分)が湿気を含んだまま施工された
- 防水の中塗りがしっかり硬化(固まること)しないうちに次の工程を進めてしまった
こうしたことが原因ではないかと考えられる状態でした。
防水工事は「ただ塗ればいい」というものではありません。
下地の状態、乾燥状態、施工タイミング。
こういった条件が揃って初めて、本来の性能を発揮します。
幸い、今回のお宅では室内への明確な雨漏りは発生していませんでした。
しかし軒天(のきてん/屋根の裏側部分)を確認すると、複数の漏水痕があり、この年代のレスコハウスでよくみられる症状です。
これはつまり、「今は室内まで達していないだけで、防水の下では水分や湿気がかなり悪さをしている可能性が高い」ということです。
防水工事で怖いのは、“見えていない問題”です。
表面がきれいでも、中で水分がこもっていると、防水を新しくしてもまた同じ不具合が起きることがあります。
防水の正攻法で言えば、
既存防水をすべて撤去し、下地を完全に乾燥させてから新しい防水を施工する
これがベストです。
理屈だけで言えば間違いありません。
ですが現実問題として、
- 防水を全部撤去すると費用がかなり高額になる
- 下地を完全乾燥させるには天候リスクが大きい
- 施工途中で雨に降られると逆に悪化する可能性もある
という課題があります。
さらに今回のお宅はレスコハウス特有の複雑な陸屋根形状。
通常なら「通気緩衝工法」という湿気を逃がしながら防水する工法も候補になります。
※通気緩衝工法=防水層の下に空気の通り道を作って、下地の湿気を外へ逃がす防水工法
しかし今回は形状が複雑で、それも現実的ではありませんでした。
つまり、正攻法はある。でも現実的にベストとは言い切れない。
そんなジレンマを抱えた案件だったのです。

お客様にはもちろん、
をすべて正直にご説明しました。
そのうえで今回ご提案したのが、特殊防水材「ガーディアン」です。
これはアメリカのUNITED COATINGS社が開発した防水塗料です。
特徴は、
防水しながら湿気を逃がせること。
普通、防水材は水を通さない代わりに湿気も閉じ込めやすいのですが、ガーディアンは「透湿性(とうしつせい)」を持っています。
※透湿性=水は通さないが、水蒸気は逃がせる性能
今回のように、
「下地に湿気が残っている可能性が高い」
そんなケースでは非常に相性の良い材料です。

もう一つ、今回ガーディアンが向いていた理由があります。
それは塗膜防水材だからです。
塗膜防水とは、液体を塗って防水層を作る工法。
シート防水のように大きな材料を貼るわけではないため、
入り組んだ複雑な形状にも追従しやすい
というメリットがあります。
レスコハウスの陸屋根は、この「複雑な形状」に透湿性を持たせることが難しいのが悩みどころ。
だからこそ、ガーディアンは非常に相性が良いと判断しました。
さらに、
- 薄い塗膜で防水層を形成できる
- 作業性が良い
- コストを抑えやすい
- 密着性(くっつく力)が強い
というメリットもあります。
実際、他社施工事例では、
「この外壁面から雨漏りしているのは確実。でも侵入口が特定できない」
そんなケースで、その壁一面にガーディアンを施工して雨漏りを止めた例もあるほどです。
ここは正直にお伝えします。
どんな材料にもメリット・デメリットがあります。
ガーディアンの弱点としては、
① 薄膜ゆえに物理的ダメージに弱い
人が頻繁に歩く場所、
重たいとがった物を引きずる場所。
こうした環境では、防水層が傷つくリスクがあります。
② 仕上がりの美しさは他工法に劣ることも
薄塗りなので、下地の凹凸が出やすいです。
今回も浮きや膨れのある部分だけを撤去する提案でしたので、
多少の不陸(凹凸)は仕上がりに出る
ことを事前にしっかりお伝えしました。

高圧洗浄を実施したのち、不具合箇所の撤去から工事はスタートです。
写真は膨れ・浮きが発生している部分を撤去し、掃除する直前の写真です。
調査時に想定していたよりも防水塗膜がしっかりと密着していない箇所が多くありましたが、問題を抱えた部分をそのまま包み込んでも意味がありません。
不具合につながりやすい箇所は徹底的に除去しました。

プライマーを塗布し、凹凸の出やすい不陸は弾性パテでなだらかに調整しました。
※プライマー=防水材の密着を高める接着剤のような役割

劣化が著しい部分には、
寒冷紗(かんれいしゃ)
という補強メッシュを入れて捨て塗り。
※寒冷紗=防水層の強度を高める補強布

レスコハウスでは防水の外側部分からの漏水事例も確認されています。
今回はその鼻先部分までしっかり防水施工をしました。
こういった作業が材料を変えたりせずに簡単にできるのはガーディアンの大きな強みの一つです。

ガーディアンを2回塗りし、しっかり防水層を形成。
因みにガーディアンは現在は緑色しかないのですが、過去には多数色がそろえられていたとのこと。
なぜ今は緑色しかないのかというと、不思議なことに緑色が最も性能が高かったためだそうです。
最後にメーカー推奨の上塗り材
ハイテンシルコートを2回塗りして完成です。
写真をよく見て頂くと、下地の凹凸が若干確認できるかもしれません。
今回、私たちがガーディアンを選んだ理由はもう一つあります。
こちらもお客様に説明させいて頂いたことですが、
どんな防水工法でも下地湿気による防水層の膨れの再発リスクをゼロにはできないと感じたからです。
完全撤去・完全乾燥なら別ですが、現実には難しい。
ならば、
もし膨れが起きても対応しやすい材料を選ぶ
という考え方も重要です。
ガーディアンは薄膜なので、
□部分補修しやすい
□補修跡が比較的目立ちにくい
□メンテナンス性が高い
という大きな強みがあります。
記事内に記載されている金額は2026年06月11日時点での費用となります。
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